数学と数学教育 - 東北大学大学院理学研究科数学専攻

数学と数学教育の歴史
数学科教育法 集中講義
石田 正典
東北大学理学部
2016 年 9 月 12 日
石田 正典 (東北大学)
数学と数学教育
東北大学理学部
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小倉金之助
小倉金之助 (1885 – 1962) :
1911 年の東北帝国大学理学部数学科創立時の助手で
数学教育史,数学教育の根本問題,数学史研究 などの著書がある.
著書のいくつかは国立国会図書館のホームページで公
開されている.
(現在,著作権は著者の死後 50 年で切れるので公開
が可能である.
)
彼はユークリッド幾何の公理に基づく形式論理より,
直観と関数概念の重要性を述べている.
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数学教育の根本問題
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数学教育の根本問題
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エジプト式分数展開
古代エジプトでは紀元前千年以前のパピルスに
1
1
1
1
2
=
+
+
+
29 24 58 174 232
など多くの等式のリストが書かれている.相異なる単
位分数の和となっていることが特徴である.
このような展開は 1 通りではない.現代でも,これに
関連した整数論の研究が多くある.
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古代ギリシャの数学
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ギリシャの三大作図問題
角の三等分
円と等しい面積の正方形
体積が 2 倍の立方体
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平方根の作図
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平方根の作図
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ギリシャの数学者
紀元前 6 – 3 世紀
ピタゴラス
ユークリッド(幾何学原論)
アポロニウス(円錐曲線論)
アルキメデス(円周率の計算)
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平面幾何
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平面幾何の小難問
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円に内接する正 16 角形
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円周率の近似値
半径 1 の円に内接する正 n 角形の面積を S n とすると
S4
S8
S16
S32
S64
S128
S256
=
=
=
=
=
=
=
2
2.8284271247461900976033774484
3.0614674589207181738276798722
3.1214451522580522855725578956
3.1365484905459392638142580444
3.1403311569547529123171185243
3.1412772509327728680620197708
(S8 以降は近似値)
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ヨーロッパの数学
17 – 18 世紀
フェルマーの予想
パスカルの三角形
デカルトの解析幾何学
ニュートン,ライプニッツの微積分学
史上最大の数学者オイラー
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オイラーによる円周率の展開
π = 3.14159265358979323846264338327950 · · ·
オイラーによる円周率の展開の 1 つに次の式がある。
π
1 1·2 1·2·3 1·2·3·4
=1+ +
+
+
+ ···
2
3 3·5 3·5·7 3·5·7·9
この級数展開は,すべての項が正で,各項と次の項の
関係が簡単という点で最も美しい。この式を使うと
M+ のキーのある電卓で円周率が容易に計算できる。
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近代数学
18 世紀末 – 19 世紀
ガウス
アーベル
ガロア
ワイエルシュトラス
リーマン
もう誰を挙げるのが適当かわからないぐらい多い.
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数学教育史
ユークリッドの原論に基づく公理的な平面幾何や立体
幾何が,20 世紀初頭まで日本を含む多くの国の数学の
教育に使われてきた.
近年は平面幾何は少なくなっていたが,新課程数学 A
では以前より少し増えている.
先に紹介した小倉金之助の著書ではつぎのように書い
ている.
「数学教育は形式陶冶を以て其の大なる目的として居
たのである.ここに形式陶冶とは,数学の教材を借り
て精神能力そのものを陶冶せんとすることである.
」
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文献
[1] 小倉金之助,数学教育の根本問題,イデア書院,
1924
[2] 小倉金之助,数学教育史,一つの文化形態に関する
歴史的研究,岩波書店,1933
[3] 小倉金之助,数学史研究 第 1 輯,岩波書店,1935
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平面幾何の小難問の証明
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