第一報 - 一般社団法人 日本内燃力発電設備協会

平成28年9月12日
熊本地震による自家発電設備の稼働状況報告について(第一報)
一般社団法人日本内燃力発電設備協会
平成28年4月14日21時26分から4月16日3時55分にかけて、熊本県熊本地方を震源とした震度6強を超え
る地震が群発、その後も震度5強以上の大きな地震が群発しました。その影響で、4月14日21時26分の前
震により最大16万7千戸が停電し、4月15日23時00分には送電が開始されましたが、直後の4月16日1時25
分の本震により最大で476万6千戸の停電が発生しました。その後、翌日4月17日には停電は約5万戸まで
復旧し、4月20日には復旧困難な一部箇所を除き迅速に復旧しました。
当協会では、自然災害時においても自家発電設備に要求される機能が維持されているかを確認し、若
しくは不都合がある場合は今後に反映し、設備の信頼性向上を図るため、これまでにも震度6強以上の
地震が発生した場合に、自家発電設備の稼働状況、被害状況等を調査しております。
平成28年4月に発生した「平成28年(2016年)熊本地震」につきましても、同様の調査を行いましたの
で、別紙にその結果の概要を報告します。
地震による自家発電設備の被害の報告はあったものの、その台数は極めて少なく、ほとんどが正常に
機能していたものと考察されます。この要因として次のことが考えられます。
① 自家発電設備については、昭和53年の宮城県沖地震や平成7年の阪神・淡路大震災の教訓を基に
採られていた耐震対策等が功を奏したこと。
② 過去の震災や平成23年3月11日に発生の東日本大震災における甚大な被害等により自家発電設備
の重要性の認識が高まったこと。
また、停電時の不始動又は始動後の異常停止については、燃料切れ等を除き、ほとんどが他設備の異
常に係るもの或いはメンテナンスが適切に実施されていなかったと推定されるものであり、メンテナン
スの必要性が確認されました。
今回及び過去の災害時の経験を踏まえ、地震や台風等の自然災害時には、次の①~⑤の重要な課題が
あることを認識する必要があります。
① 防災設備や保安設備の運転時間に必要な自家発電設備の燃料の備蓄は最低限必要であるが、長時
間停電に対応した燃料の備蓄や燃料の優先的な入手手段を確保する必要がある。また、燃料切れに
よる燃料配管等に混入した空気の空気抜きが必要になる場合もあり、燃料補給時の注意事項等も理
解しておく必要がある。
② 地震により建物内の燃料配管や冷却水配管等が損傷していれば、自家発電設備への燃料や冷却水
の供給が途絶し、自家発電設備による電力供給ができなくなるため、設備や配管の耐震性の確保が
必要となる。
③ 地震により建物内の配線が損傷していれば、自家発電設備からの通電による電気火災発生の可能
性がある。このため、地震による停電後の自家発電設備による電力供給や常用電源の復電に際して
は二次災害の危険性があるため、設備や配線等の耐震性の確保が必要となる。
④ 商用電源が停電と復電を繰り返す場合もあり、自家発電設備が短時間に停止及び再始動となる可
能性があるため、これに対応した制御方法や体制が必要となる。
⑤ 電気主任技術者が常駐していないことも多く、常駐している技術員が上記に対応できる教育を受
け十分な知識及び技能を有しておく、若しくは対応できる体制を講じておく必要がある。
以上
別紙
熊本地震による非常用自家発電設備の調査結果概要
一般社団法人日本内燃力発電設備協会
1.調査対象地域
前震及び本震で震度6強以上が観測された地区を含む次の市・郡
震度7
熊本県…上益城郡、阿蘇郡
震度6強
熊本県…熊本市、下益城郡、玉名市、菊池市、菊池郡、宇城市、宇土市、合志市
2.調査方法
調査対象地域に設置されている非常用自家発電設備の主要製造事業者に対するアンケート調査
3.調査対象地域の設置台数
855台(昭和64年~平成28年までの主要製造業者の設置台数)
4.自家発電設備の稼働状況
常用電源の停電等により自家発電設備が始動又は始動を試みたと確認できた施設は 104件(複数台
設置を含む)であった。
5.自家発電設備の始動及び運転状況
異常がみられた自家発電設備について 31件の報告があった。異常の概要は、燃料切れ等に係るも
のを除いて、ほとんどが他設備の異常に係るもの又は適切なメンテナンスが実施されていなかったこ
とに起因する制御系統や始動用蓄電池等の故障・異常であった。また、少数ながら発生した地震動に
係る設備の故障・異常は、ラジエータファンのカバーとの接触による破損や吸気ファン等の脱落など
であった。
異常がみられた自家発電設備のうち、始動しなかったもの 6件、始動したが異常による自動又は手
動停止したもの 7件の報告があり、原因概要は次のとおりである。
① 始動しなかった6件の原因概要(複数原因あり)
設備の故障・異常※
(燃料・潤滑油系統を
除く制御装置等)
断水(水系等
の損傷等)
燃料切れ
他設備の異常
メンテナンス
不良
その他
不明
3
0
0
1
1
1
1
※故障・異常にはメンテナンス不足などによるものも含む。
② 異常による停止をした7件の原因概要(複数原因あり)
設備の故障・異常
(ラジエータファンの
破損)
断水(水系等
の損傷等)
燃料切れ
他設備の異常
メンテナンス
不良
その他
不明
1
2
4
0
0
1
0
6.その他
停電等により始動した自家発電設備のほとんどは通常運転されたが、過去の震災時と同様に次の報
告が複数あった。
① 予定していた備蓄燃料を使い切り、運転が停止した。燃料は使い切る前に補給しなければならな
いが、使い切って停止すると燃料配管等に空気が混入することがあり、燃料補給後に空気抜きがで
きず不始動又は始動後停止したものがあった。
② 運転は継続されたが、地震動による燃料液面の揺れによって、燃料液面低下の警報発報があった。
③ 運転は継続されたが、外箱又は架台の破損があった。
以上