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2016/9/13
福岡支店
住所:福岡市中央区舞鶴 2-4-15
電話:092-738-7779(情報部)
URL: http://www.tdb.co.jp
特別企画 : 女性登用に対する九州企業の意識調査
女性管理職割合は平均 6.4%で前年比 0.1 ポイント上昇
~今後、4 社に 1 社で女性管理職割合が増えると見込む~
はじめに
生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感の高まりがみ
られるなか、政府は女性の活躍促進を成長戦略の重要政策として打ち出している。また、企業に
おいては新しい視点の取り入れや男性の働き方改革としても位置付けられるなど、人手不足に対
する労働力確保だけでなく、企業の成長に女性の活躍が不可欠という認識も高まっている。
そこで、
帝国データバンクは、
女性の活用や登用に対する企業の見解について調査を実施した。
なお、
本調査は、TDB 景気動向調査 2016 年 7 月調査とともに行った。
女性登用に関する調査は 2013
年 7 月調査、2014 年 7 月調査、2015 年 7 月調査に続き 4 回目。
※ 調査期間は 2016 年 7 月 15 日~7 月 31 日、調査対象は九州・沖縄の 2,003 社で、有効回答企
業数は 737 社(回答率 36.8%)
。
調査結果(要旨)
1. 女性管理職がいない企業は 49.5%と約半数を占める一方、
「10%以上 20%未満」
「20%以上
30%未満」
の割合が増加しており、
女性管理職の割合は平均 6.4%と 2015 年調査に比べて 0.1
ポイント上昇。また、従業員全体の女性割合は平均 23.1%で 1.7 ポイント低下、役員は平均
9.7%で 0.4 ポイント上昇
2. 今後、自社の女性管理職割合が増えると見込んでいる企業は 24.6%
3. 女性の活用や登用について「社内人材の活用・登用を進めている」企業は 41.8%で 4 割を超
えている一方、
「社外からの活用・登用を進めている」企業も 9.0%。その効果は「男女にか
かわらず有能な人材を生かすことができた」が 7 割超で突出
4. 女性活躍推進に向けた行動計画の策定が義務付けられている従業員数 301 人以上の企業は
87.1%が計画策定済みで、具体的な取り組みでは、
「女性の積極採用に関する取り組み」が
48.4%で最多。努力義務となっている従業員数 300 人以下の企業でも、約半数となる 51.6%
が計画を策定
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1
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特別企画: 女性登用に対する九州企業の意識調査
1. 女性管理職割合は平均6.4%、2015 年より0.1 ポイント上昇
自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、
「30%以上」と回答した企業は 24.8%であ
「10%未満」
(29.0%)と「0%(全員男性)
」
(6.2%)を合わせると、女性従業員割
った1。また、
合が 10%に満たない企業は 35.2%で、2015 年と比較すると、女性従業員割合「30%以上」の企
業の比率が低下し(29.2%→24.8%)
、10%に満たない企業の比率が上昇する(26.7%→29.0%)
結果となった。女性従業員割合は平均 23.1%と、全国では 2015 年と同水準(24.2%)なのに対
し、九州では 1.7 ポイント低下した。
他方、自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合では、「30%以上」とする企業は
5.0%にとどまったものの、
「20%以上 30%未満」
(3.7%)
、
「10%以上 20%未満」
(8.3%)の企業
の比率が 2015 年より上昇した。
「0%(全員男性)
」の比率は、2015 年の 51.8%から 49.5%に 2.3
ポイント低下したものの、依然として約半数を占めている。その結果、女性管理職割合は平均
6.4%となり、2015 年より 0.1 ポイント上昇した。しかし、全国と比べると 0.2 ポイント低い。
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合では、
「0%(全員男性)
」が 54.3%で半数を超
女性の割合~従業員・管理職・役員~害
20%以上
30%未満
30%以上
従
業
員
管
理
職
2015年
29.2
24.8
2016年
2015年
6.0 3.4 6.4
2016年 5.03.7 8.3
10%以上
20%未満
16.2
17.5
10%未満
0%
(全員男性)
19.5
26.7
19.3
29.0
分からない
5.8 2.5
平均
24.8
6.2 3.1 23.1
29.7
51.8
2.6
6.3
29.3
49.5
4.2
6.4
2015年
12.0
5.7 5.8
17.5
56.5
2.5
9.3
2016年
12.9
6.4 5.2
18.3
54.3
3.0
9.7
役
員
注:母数は有効回答企業737社。2015年7月調査は794社
1
「30%以上」は、
「100%(全員女性)
」
「70%以上 100%未満」
「50%以上 70%未満」
「30%以上
50%未満」の合計。
「10%未満」は、
「5%以上 10%未満」
「5%未満」の合計
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特別企画: 女性登用に対する九州企業の意識調査
えているが、全国と比べると 6 ポイント低い。オーナー企業の比率が相対的に高いことがその要
因と思われる。さらに、
「10%未満」
(18.3%)と合わせると、女性役員の割合が 1 割に満たない
企業の比率は 72.6%と前年より 1.4 ポイント低下した。また、
「30%以上」とする企業も 12.9%
で、女性役員割合は平均 9.7%と 2015 年から 0.4 ポイント上昇、全国と比較しても 1.0 ポイント
高い。
女性管理職の平均割合を規模別にみると、規模が小さくなるほど女性管理職の割合は高くなる
傾向にある。ただ、2015 年と比較すると、大企業で 0.1 ポイント低下、中小企業で 0.1 ポイント
上昇とほぼ前年と変わらなかったのに対し、小規模企業で 1.1 ポイントと低下幅が目立っている。
業界別では、
『サービス』
『小売』
『不動産』で高く、
『運輸・倉庫』
『金融』
『建設』などで低か
った。特に『小売』は前年から 5.3 ポイント上昇している。女性管理職割合上位 10 業種中には小
売りが 4 業種含まれているが、いずれも前年順位が 20 位以下から上昇している。企業からは「特
に中食業界では女性の消費者が主であ
平均女性割合上位 10 業種
る。女性目線での商品開発が必要との
認識から、女性の積極採用を行ってい
る。また、女性が働きやすい職場作り
も検討している」
(福岡県、飲食料品小
売)といった女性の積極活用を行って
いるとの声があがった。
女性管理職の平均割合はほぼ横ばい
で推移しており、依然として 1 ケタ台
と低位にとどまる。また、業界別にみ
ると、最も高い『サービス』と最も低
い『運輸・倉庫』で 7.9 ポイントの開
きがある。
15
2016年
1
2
3
4
5
6
7
8
8
10
前年割合 前年順位
医薬品・日用雑貨品小売
25.0
0.0
医療・福祉・保健衛生
24.8
24.9
繊維・繊維製品・服飾品製造
20.4
5.0 (19)
娯楽サービス
19.2
7.1 (13)
家電・情報機器小売
18.1
3.8 (27)
飲食料品卸売
12.6
8.8
(8)
広告関連
11.1
9.4
(7)
専門商品小売
10.0
4.9 (20)
各種商品小売
10.0
2.5 (29)
飲食料品・飼料製造
2015年
10.0
6.4 6.3
5
4.84.9
6.76.6
9.3
8.4
(1)
(9)
8.3
6.96.6 6.8
5.1 5.2
6.2
4.7
6.5
5.8
3.4
1.81.8
運輸 ・倉庫
金融
建設
卸売
製造
農 ・林 ・水産
不動産
小売
サービ ス
小規模企業
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8.9
12.1
9.7 9.2 9.3
4.0
中小企業
大企業
全体
0
女性管理職割合(上位10業種)
女性管理職の平均割合
(%)
10
(%)
3
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特別企画: 女性登用に対する九州企業の意識調査
2. 企業の 4 社に 1 社が、女性管理職割合増加を見込む
自社の女性管理職割合は 5 年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、
「変わらない」
とする企業が 68.1%と多数を占めている。割合が「増加した」と回答した企業は 21.8%と 2 割を
超えた一方、
「減少した」企業は 4.7%にとどまった。他方、現在と比較して今後どのように変わ
ると考えているか尋ねたところ、企業の約 6 割が女性管理職の割合は「変わらない」とみている
ものの、企業の 4 社に 1 社が女性管理職の割合が「増加する」と見込んでおり、女性の管理職登
用については、概ね拡大して
女性管理職割合の増減(5 年前と現在、現在と今後)
いくと考えている様子がうか
0%
がえる。
8.5%だったが、
今後
「増加する」
管
理
職
と考えている企業は 7.3%にと
どまり、女性役員の登用は今後
も進まない見通しであることが
20%
増加した/
増加する
女性役員については、5 年前
と比較して「増加した」企業は
10%
役
員
明らかとなった。
5年前と比較
して現在
30%
40%
50%
8.5
現在と比較
して今後
7.3
80%
90%
57.5
100%
分からない
68.1
24.6
5年前と比較
して現在
70%
減少した/
減少する
変わらない
21.8
現在と比較
して今後
60%
4.7 5.3
2.4
79.9
15.5
5.3 6.2
72.3
4.3
16.0
注:母数は有効回答企業737社
3. 女性の活用・登用状況、企業の 1 割が社外からも登用を進める
自社において女性の活用や登用を進めているか尋ねたところ、企業の 41.8%が「社内人材の
活用・登用を進めている」と回答した(複数回答。以下同)。他方、「社外からの活用・登用を
進めている」は 9.0%となり、企業の約 1 割は活用・登用する女性として社外も視野を入れてい
る様子がうかがえる。
自社における女性の活用・登用状況およびその効果
社内人材または社外から女性
の活用や登用を進めている企業
339 社にその効果を尋ねたとこ
ろ、「男女にかかわらず有能な
人材を生かすことができた」が
女性の活用や登用を進めた効果(上位10項目)
活用または登用を
進めている
46.0%
45
41.8%
37.4%
40
35
30
7 割を超え、突出して高かった。25
以下、「女性の労働観が変化し
てきた」
「従業員のモチベーショ
5
0
分 からな い
境が改善された」がいずれも 2
9.0%
10
進 めて いな い
様な働き方が促進され、労働環
15
社外 から の
活用 ・登用 を
進 めて いる
ことで業務が円滑に進んだ」
「多
16.6%
社内人材 の
活用 ・登用 を
進 めて いる
ンが上がった」
「女性を登用した
20
1
男女にかかわらず有能な人材を生かすこと
ができた
73.2%
2
女性の労働観が変化してきた
33.6%
3
従業員のモチベーションが上がった
29.2%
4
女性を登用したことで業務が円滑に進んだ
24.2%
5
多様な働き方が促進され、労働環境が改善
された
23.6%
6
従業員同士のコミュニケーションが活発に
なった
18.6%
7
将来の人材不足に対応できた
10.6%
8
男性の労働観が変化してきた
10.3%
9
採用活動等で有利に働いた
8.0%
10
女性管理職比率が上昇した(目標に近づい
た/目標を達成した)
4.7%
注1:「活用または登用を進めている」は、「社内人材の活用・登用を進めている」「社外からの活用・登用を進めている」の
いずれかを回答した企業
注2:母数は有効回答企業737社。「女性の活用や登用を進めた効果」は339社
割超となった。
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4. 女性活躍推進の行動計画、従業員 300 人以下の企業でも半数が策定
4 月 1 日より、女性が職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる
環境を整備することを目的とした「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」
(女性活躍
推進法)に基づき、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定が従業員数 301 人以上の企業に義務
付けられた(従業員数 300 人以下の企業は努力義務)。
そこで、行動計画の策定状況について尋ねたところ、「策定している」企業は全体で 53.1%と
なった。策定が義務付けられている従業員数 301 人以上の企業では 87.1%が策定している一方、
努力義務とされている従業員数 300 人以下の企業においても 51.6%と半数を超えた。
また、具体的にどのような取り組みに関する行動計画を策定しているか尋ねたところ、従業員
数 301 人以上の企業では「女性の積極採用に関する取り組み」が 48.4%で最も高かった(複数回
答、以下同)。さらに、「配置・育成・教育訓練に関する取り組み」、「女性の積極登用・評価
に関する取り組み」が 3 割超で続いた。他方、従業員数 300 人以下の企業では、多くの取り組み
が 1 割台となっており、策定項目に大きな違いはなかった。
しかしながら、「職場風土改革に関する取り組み(性別役割分担意識の見直しなど)
」は、従業
員数が 301 人以上の企業でも 9.7%と 1 割に届かず、300 人以下の企業で 5.2%にとどまり、意識
面への取り組みを行う企業は少数にとどまった。
女性の活躍推進に向けた行動計画の策定状況(複数回答)
(%)
全体
策定している
301人以上 300人以下
53.1
87.1
51.6
1 女性の積極採用に関する取り組み
21.4
48.4
20.3
2 継続就業に関する取り組み
16.8
22.6
16.6
3 配置・育成・教育訓練に関する取り組み
16.0
38.7
15.0
4 女性の再雇用や中途採用に関する取り組み
15.2
25.8
14.7
5 女性の積極登用・評価に関する取り組み
14.5
38.7
13.5
14.2
25.8
13.7
13.2
25.8
12.6
5.4
9.7
5.2
1.4
0.0
1.4
45.6
12.9
47.0
働き方の改革に向けた取り組み(長時間労働是
6
正など)
雇用形態や職種の転換に関する取り組み(パー
7
ト等から正規雇用へ、一般職から総合職へな
職場風土改革に関する取り組み(性別役割分担
8
意識の見直しなど)
その他
策定していない
注: 母数は有効回答企業737社
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まとめ
安倍内閣による『日本再興戦略 2016-第 4 次産業革命に向けて-』
(成長戦略)は、2020 年ま
でに「指導的地位に占める女性割合 30%」
「25 歳~44 歳の女性就業率 77%」のほか、2013~2017
年度で「約 50 万人分の保育の受け皿を整備」
「約 9 万人の保育人材を確保」などの目標を掲げ、
女性が就業しやすくなるための環境整備を柱の 1 つとしている。
そのようななか、課長職以上の管理職に占める女性の割合は平均 6.4%となっており、目標達
成に向けた動きはわずかな増加にとどまっている。また、
『小売』や『サービス』は 1 割近くに達
している一方、
『運輸・倉庫』は前年同様 1%台が続いた。業界間で女性登用に対する格差は大き
いうえ、拡大している状況が明らかとなっている。しかしながら、企業の 4 社に 1 社は、今後、
女性管理職は増加すると見込んでおり、女性の管理職登用は概ね増大していくと見込まれる。
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TEL 092-738-7779
FAX 092-738-8687
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