2016 年 9 月 15 日 プレスリリース ポイントサービス市場に関する調査を実施(2016 年) 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内におけるポイントサービス市場の調査を実施した。 1.調査期間:2016 年 4 月~6 月 2.調査対象:ポイント発行事業者、共通ポイントサービス提供事業者、ポイントサイト運営事業者他 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <ポイントサービスとは> 本調査におけるポイントサービスとは、特定の企業やグループ内のみで利用できるポイントサービス(ハウスポイ ント)に加え、業種業態を超えた提携先のいずれの企業でも利用できるポイントサービス(共通ポイント)も対象とし た。 <ポイントサービス市場とは> 本調査におけるポイントサービス市場規模は、家電量販店や流通小売業(百貨店、GMS、コンビニエンスストア、 ドラッグストア、スーパーマーケット、インターネットショッピングサイト・モール等)、携帯電話会社、航空・鉄道会社等 が発行するポイント発行額に加えて、共通ポイントサービス提供事業者やポイントサイト運営事業者等が発行する 発行額を合算して算出した。 【調査結果サマリー】 2015 年度のポイントサービス市場規模は 1 兆 4,440 億円まで拡大 2015 年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、共通ポイントサービス事業へ新 規参入する事業者が増加したことなどを背景に、ポイントの発行額が拡大したことなどから、前年度比 105.2%の 1 兆 4,440 億円となった。 共通ポイントサービスへの加盟増加とともに、その顧客のデータ分析が進展 共通ポイントサービスへの加盟が相次いでおり、共通ポイントサービスを軸として、自社の販促を展開 する事業者が増加する様相を呈している。共通ポイントサービスにおけるデータ利活用に関しては、他の 業種や同業種の他社の利用分も含めた顧客情報を利用できる点が、共通ポイントサービス加盟の大きな メリットであり、共通ポイントサービスの導入理由の一つとなっている。 2020 年度のポイントサービス市場規模は 2 兆 300 億円まで拡大と予測 2020 年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、2 兆 300 億円に達すると予測 する。今後は、家庭用等の低圧分野(50kW 未満)の電力小売の自由化や、予定されている都市ガス小 売の自由化により、小売電気事業者やガス事業者によるポイント発行が拡大する見通しである。加えて、 共通ポイントサービスにおいては、加盟企業 1 社で複数の共通ポイントサービスを導入するケースが増え ることが考えられることなどから、引き続き、拡大基調が続くと予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「2016 年版 ポイントサービス・ポイントカード市場の動向と展望」 発刊日:2016 年 6 月 30 日 体 裁:A4 判 267 頁 定 価:150,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 9 月 15 日 プレスリリース 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況と予測 2015 年度の国内ポイントサービス市場規模(ポイント発行額ベース)は、1 兆 4,440 億円と推計した。共 通ポイントサービス事業へ新規参入する事業者の増加や、ポイント発行事業者の共通ポイントサービスへ の加盟数の増加を背景に、国内のポイント発行額は拡大基調が続いている。 2020 年度のポイントサービス市場規模(同ベース)は、2 兆 300 億円に達すると予測する。今後は、家 庭用等の低圧分野(50kW 未満)の電力小売の自由化や、予定されている都市ガス小売の自由化により、 小売電気事業者やガス事業者によるポイント発行が新たに増加する見通しである。また、共通ポイントサ ービスにおいては、加盟企業 1 社で複数の共通ポイントサービスを導入するケースが増えることが考えら れることなどから、引き続き、拡大基調が続くと予測する。 図 1. ポイントサービス市場規模推移と予測 (単位:億円) 25,000 (単位:%) 105.5% ポイント発行額 20,000 105.2% 106.9% 107.7% 107.9% 106.7% 19,150 前年度比 106.0% 20,300 100% 17,950 16,630 15,000 13,020 13,730 14,440 15,440 50% 10,000 5,000 0 0% 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 予測 2017年度 予測 2018年度 予測 2019年度 予測 2020年度 予測 矢野経済研究所推計 注 1: ポイント発行額ベース 注 2: 2016 年度以降は予測値 注 3: ポイントサービスとは、特定の企業やグループ内のみで利用できるポイントサービス(ハウスポイント)に加え、業種業 態を超えた提携先のいずれの企業でも利用できるポイントサービス(共通ポイント)も対象とした。 2. 注目すべき動向 2-1. 共通ポイントサービスへの加盟企業が増加 共通ポイントサービスでは、これまで先行してきた「T ポイント」や「Ponta」、「楽天ポイントカード」に加え、 2015 年に「d ポイント」、2016 年からイオンが「WAON POINT」が共通ポイントの提供を開始するなど、共 通ポイントサービス提供事業者数が増加している。 共通ポイントサービス事業者の参入増加に伴い、加盟企業 1 社で複数の共通ポイントサービスを導入 するケースが増えつつある。共通ポイントサービス提供事業者は、当初は加盟企業を 1 業種 1 社に限定し てきた。しかし、後発のサービス提供事業者が業種を限定せずに展開したことで、加盟している企業の店 舗でも複数のポイントサービスを扱った方が、顧客の利便性が高まると感じており、加盟企業の中で複数 の共通ポイントサービスの導入が進みつつある。 このようなポイント発行事業者側の動きに伴い、ポイント管理システムやその端末を提供するソリューシ ョンベンダにおいては、複数の共通ポイントサービスの取り扱いへの対応が急務となっている。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 9 月 15 日 プレスリリース 2-2. ポイントサービス加盟企業のデータ利活用への取組み 共通ポイントサービスにおけるデータ利活用に関しては、他の業種や同業種の他社の利用分も含め た顧客情報を利用できる点が、共通ポイントサービス加盟の大きなメリットであり、共通ポイントサービスの 導入理由の一つとなっている。 一方、ハウスポイントサービスのデータ分析のアウトプットとして利用されている事例として、出店ブラン ド決定やマーチャンダイジング、ダイレクトマーケティングなどがある。その他の事例としては、DM やメー ルなどのダイレクトマーケティングへの活用や出稿広告の最適化などへの活用事例が挙げられる。データ をいかに効果的に活用するかが、ポイントサービス提供事業者やその導入事業者にとって成功への重要 なカギになる。 2-3. マイレージで拡大する提携カード戦略 航空運送事業者(航空会社)のマイレージ会員獲得の手段の一つとして、提携クレジットカードの発行 が挙げられる。とくに会員の年代を限定したカードの発行により、顧客属性比率が低い、若年層やシニア 層の獲得を図る動きが見られる。また、クレジットカード以外のデビットカードやプリペイドカードなどの発 行により、クレジットカードを持たない顧客層の獲得を図る動きも見られる。 また、マイレージサービスを提供する航空運送事業者において、飛行機の利用頻度(搭乗回数)の高 い顧客に留まらず、利用頻度の低いライトユーザーに対するサービス活性化の取組も進んでいる。ある程 度貯める必要があるマイルのみではなく、10 マイルなど少ないマイル数で等価交換できるコイン(電子マ ネー)をサービス提供することで、少額でも航空券の購入時支払いへの充当を可能とし、利用頻度の低 い会員層の活性化を図っている。 3. ポイントサービスをめぐる新たな動きについて 3-1. ポイントとプリペイド決済の融合 ポイントサービスだけでは、競合他社との差別化が難しいと考える共通ポイントサービス事業者において、 ポイント機能とプリペイド決済機能を融合したサービスを開発して、加盟企業への販促を実施するケース が増えている。ポイントサービスとプリペイド決済を融合することで、顧客の利用単価や利用頻度の向上 効果が出ている事例もあり、スーパーマーケットやドラッグストアなどを中心に導入事例が急速に増えてき ている。今後も、ポイントサービスとプリペイド決済を融合し、販促につなげる取組みを推進する流通小売 業者が増加していくと考える。 3-2. ビットコインやブロックチェーンの活用を模索するポイントサイト運営事業者 ポイントサイト(広告クリックやアンケート回答等でポイントを貯めることができるサイト)の主要事業者に おいては、ポイント交換商品として、Bitcoin(ビットコイン)を導入するケースも出てきている。FinTech(フィ ※ ンテック)関連の技術 を使い、ポイントサービス分野や決済サービス分野等における活用方法を模索す るポイントサイト運営事業者が増えている。FinTech 関連の基盤となるブロックチェーンに関しては、セキュ リティ面では強固であるものの、取引の確定まで時間を要する点や、資産価値が変動する点など、実際に 通貨として利用するにはハードルも多い。今後の近接領域での更なる技術革新や仮想通貨の法規制な どにより、ポイントサービスとの関わりもより密接になってくると考える。 ※参考資料.国内 FinTech(フィンテック)市場に関する調査結果 2015(2016 年 3 月 10 日発表) http://www.yano.co.jp/press/press.php/001505 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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