平成28年度 第三種電気主任技術者(電験三種) 『理 論』の解答及び解説

平成28年度 第三種電気主任技術者(電験三種)
『理 論』の解答及び解説
中央工科デザイン専門学校 電験三種研究会
問1.答え(4)
点電荷の電位Vを表す式は
V=1/4πε × Q/r
また、rに相当する距離を点Aを中心とした点Aからの距離と考え、x軸上で電位0vと
なる点を求める。このために距離rを考える位置を場合分けする。
(1)0vがx軸上の点A右側にあると仮定した場合
点A電荷による電位Va=1/4πε × 2Q/r
点B電荷による電位Vb=1/4πε ×(- Q)/(r+3d)
となりVa+Vb=0vになるためには
2Q/r=(- Q)/(r+3d)
となる。ここからrを求めるとr=-6dとなる。
この結果は仮定と矛盾するので、点Aより右側には0v点はないこととなる。
以下同様に
(2)0vがx軸上の点Aと点Bの間にあると仮定した場合
点A電荷による電位Va=1/4πε × 2Q/r
点B電荷による電位Vb=1/4πε ×(- Q)/(3d-r)
となり、同様にr=2dとなる。
この結果は点Aから左側2d、点Bから右側dの点に0vがあることを示す。
(3)0vがx軸上の点Bの左側にあると仮定した場合
点A電荷による電位Va=1/4πε × 2Q/r
点B電荷による電位Vb=1/4πε ×(- Q)/(r-3d)
となり、同様にr=6dとなる。
この結果は点Bの左側3d(注上記6dから点AB間の距離3dを引く)の位置に0v
があることを示す。
以上の結果から、上記条件を満たしそうな図は(3)又は(4)となるが、点電荷の作
る電位はなだらかなスロープを描くので(3)のような鋭角な電位分布は持たない。
よって、
(4)が答えとなる。
問1補足説明:
0v電位が円形状になることの補足
xy平面上の任意の点P(x,y)
、点Bから左側に距離dの位置にxy平面の原点O(0,0)
を設定する。このとき、点P-点A間および点P-点B間の距離はそれぞれ下図の通りなの
で、任意の点Pにおける点Aおよび点Bからの電位VaおよびVbの合成電位=0Vの条
件で式を作ると
2Q/[4πε×√{(4d-x)2+y2}]+(-Q)/[4πε×√{(x-d)2+y2}]=0
となる。この式は
2Q/[4πε×√{(4d-x)2+y2}]=Q/[4πε×√{(x-d)2+y2}]
と式変形でき、両辺を2乗してして整理すると
x2+y2=(2d)2
とすることが出来、この式は原点O(0,0)を中心とし、半径2dの円を表す式となる。
よって、0V電位の描く等電位線は円となる。
点P(x,y)
√{(x-d)2+y2}
√{(4d-x)2+y2}
y
点O(0,0)
d
x-d
以上、補足説明終了
4d-x
問2.答え(4)
選択肢a:平行平板コンデンサなので、距離に比例するので×
選択肢b~d:は正しい
よって、
(4)
問3.答え(2)
出題の導体を、直線状部分と半円部分に分けて磁界を考える。
直線状部分の磁界の寄与:
点Pは軸線上に乗っているので、直線状部分からの磁界の影響は0である。
半円部分の磁界の寄与:
円状電流の磁界の寄与の半分と考えればよいのでH=1/2 × I/2r=I/4r
よって、
(2)
問4.答え(2)
鉄心の透磁率は大きいので
(ア)鉄心中を通る
(イ)(磁束はほとんど鉄心を通るので点Aの磁束密度は極めて)低い
(ウ)磁気遮蔽
暗記問題なので解説なし
よって、
(2)
問5.答え(2)
r=0.1ΩとE=9vの部分は4組とも全く等価なので、すべて同じ電流Iが流れると
仮定する。するとR=0.5Ωには電流4×Iが流れるので、キルヒホッフの第二法則を
適用すると
9=0.1×I+0.5×4×I
となり。I=30/7Aとなり、抵抗Rでの電流は4倍の120/7Aとなり消費電力は
R×I2=0.5×(120/7)2=146.9W よって(2)
I
問6.答え(1)
各抵抗を合成する。合成は回路の右から順次、合成する。合成の順番で以下のようになる。
150Ω+200Ω=350Ω
350Ω//100Ω=700/9Ω
//は並列の合成の意味
700/9Ω+150Ω=2050/9Ω
となり、回路右側にある4つの抵抗(200Ω、150Ω、100Ω、150Ω)を合成
すると2050/9Ωとなる。
電流 I1は、この2050/9Ωと200Ωの分流により、150Ω抵抗側へ電流が流れるの、
この電流を I150とすると
I150=200/(200+2050/9)=36/77×I1
となる。この I150電流は、更に100Ωと350Ωにて、更に分流されるので電流 I2は
I2=36/77×I1×(100Ω/(100Ω+350Ω)
)
=8/77×I1
=0.104×I1
よって、
(1)
問7.答え(3)
2つの1μFのコンデンサ配列なので合成すると2μとなる。またV=Q/Cなので、1μ
Fのコンデンサと、合成された2μCのコンデンサのそれぞれの電圧は、直列で電荷Qが
同じなので、
V1=Q/1μF
V2=Q/2μF
となり、徐々に電圧Vmを上昇させていくケースを考えると、電荷Qが同じなのでV1の
方が数値は大きく、こちらが先に500Vの限界を迎える。このときのV2=250Vと
なる。従って、Vm=500V+250V=750Vが最大の電圧となる。
よって、
(3)
問8.答え(5)
それぞれ誤っている個所は
(1)電流IはVに比例する
(2)両電荷の積に比例し、電荷間の距離の2乗に反比例する
(3)導体の抵抗に比例する
(4)親指を導体が移動する向き、人差し指を磁界の向き
となる。よって、
(5)
問9.答え(5)
インピーダンスが極めて大きくなる並列共振角周波数ω2は、C(F)とL2(H)の共振条件
から、ここは単純に公式から
ω2=1/√(C×L2)=1/√(8μF×0.2mH)=2.5×104
インピーダンスが極めて小さくなる直列共振角周波数ω1は、C(F)とL1(H)、L2(H)
の共振条件となるが、その求め方は以下のようになる。
まず、C(F)とL2(H)の並列リアクタンスは、直列共振角周波数をω1とすると
jω1×L2×(-j/ω1×C)/(jω1×L2-(-j/ω1×C))
=-jω1×L2/(ω12L2C-1)
・・・①式
となる。一方、L1のリアクタンスは
jω1×L1・・・②式
となるので、共振条件のためには①式+②式=0となる。
ここからω1を求めると
ω1=√{(L2/L1+1)×(1/L2×C)}
この式に各素子の値を代入しω1を求めると
ω1=3.1×104
となる。よって(5)
問10.答え(5)
(5)時刻t=0sにおける回路に流れる電流i(A)は
i=E/R
なので、Cの値の影響は受けない。
問11.答え(2)
(2)真性半導体に外部から熱を与えると、キャリア数が増加するので、抵抗率は温度の
上昇とともに減少する。
問12.答え(2)
暗記問題
磁界中を移動する荷電粒子には、移動方向と垂直方向の力を受ける。荷電粒子の移動は
流に相当するのでフレミング左手の法則の中指に、磁界が人差し指に相当するので、力は
互いに直交する方向で働く。移動方向に垂直の力を受けた場合、力学的に物体は円運動を
行う。
問13.答え(3)
簡易小信号等価回路からもわかるように、入力部分では
ib=vi/hie
ic=hfe×ib=(hfe/hie)×vi・・・①
一方、出力部分では
vo=RL//RC × ic・・・②
①式、②式から
vo/vi=RL//RC×hfe/hie
問題文よりRL//RC=1kΩであり、vo/vi=40dB=100倍なので
hie=1000Ω
となり、したがってvi=10mVのとき
ib=vi/hie=10mV/1000Ω=10μA
よって、
(3)
問14.答え(2)
(2)デジタルオシロスコープは、周期性のない信号波形も測定することができる。
問15.
(a)
(1) (b)
(3)
(a)断線前後で線間電圧Vの値は変わらないので、断線前後のIの大きさI前とI後を
求める。
[断線前のI前の求め方]
求め方はΔ‐Y変換後に1相分の回路から求める方法と、三相3線式送電線におけ
る電圧降下を表す式(この場合線路リアクタンスx=0Ω、cosθ=1)から求め
る方法がある。どちらで求めてもよい。ここではΔ‐Y変換後に1相分の回路から求
める。
1相分とした場合、電源の電圧はV/√3、線路の抵抗はrΩ、負荷の抵抗はΔ-Y
変換をしてr/3Ωとなる。両抵抗は直列になるので流れる電流ILは
IL=V/√3÷(r+r/3)=√3×V/4r
電流ILは線電流であり、Δ-Y変換を元に戻す(Y-Δ変換)必要がある。この時、
Δ結線負荷の相電流I前は次のようになる。
I前=IL/√3=√3×V/4r/√3=V/4r・・・断線前の電流
[断線後のI後の求め方]
この場合、単相交流回路となるので、そこからI後を求めると
I後=V/8r・・・断線後の電流
したがって断線後は断線前の0.5倍となる。
よって、
(1)
(b)ベクトル図で考えると
k点
n点
m点
a相電圧
ac線間電圧
中性点o点
b相電圧
n点
n-o間電圧
m-n間電圧
c相電圧
断線後の回路図は、すべて抵抗不可なので位相ずれがないため、m点-n点間の電圧は、
ac線間電圧と同位相になり、n点はm点、k点の中間的な位置なのでac線間電圧の半
分となるので、ベクトル図中のm-n間電圧ベクトルとして表示される。断線箇所における
右側の断線点に現れる電圧は中性点を基準に取ると、上図のn点と中性点間の電圧に相当
するので、n点-o点間電圧ベクトルとなる。一方、断線箇所の左側の断線点はb相電圧に
相当する。したがってac線間電圧はV(v)なので、図形から、
n-o間電圧はV/2√3
b相電圧はV/√3
となり、従って、断線箇所の両端に現れる電圧は両者の和となり
V√3/2=0.87V
となる。よって(3)
問16.
(a)
(2) (b)
(3)
(a)測定値から求めた抵抗値は50V/1.6A=31.25Ω
したがって真値=31.21Ωと0.04Ωの誤差となる。
よって、
(2)
(b)相対誤差=絶対誤差/真値(%)なので
相対誤差=0.04/31.21×100%=0.13%
よって、
(3)
以上