ファーマライズホールディングス

ファーマライズホールディングス
(2796・東証 1 部)2016 年 9 月 16 日
かかりつけ薬局化を推進、選ばれる会社を目指す
ベーシックレポート
調剤薬局業界 11 位
調剤薬局中堅。16 年 5 月末現在の連結ベースの店舗数は 309 店舗(う
ち非調剤 60 店舗)
、グループ全体では 341 店舗(うち非調剤 61 店舗)
。
(株)QUICK
真下 弘司
調剤報酬額での業界順位は 11 位。
調剤薬局事業のほか、物販事業
(ドラッグストアやコンビニエン
会
社
概
要
スストア等の運営など)
、医学資
料保管・管理事業(紙カルテやレ
所
在
地
東京都中野区
代
表
者
岩﨑 哲夫
ントゲンフィルム等の保管・管
1984/6
理)
、その他事業(医療モール事
設 立 年 月
資
本
金
1,166 百万円
業など)を行っている。
売上高 525 億円以上、ROE5%以上を目指す
(2016/5/31 現在)
上
場
日
U
R
L
2007/2/21
ョン・サポートへの進出と選ばれる会社を目指して」では、最終年度
http://www.pharmarise.com/
業
現在進行中の「中期経営計画 Challenge 2017 ~セルフメディケーシ
種
小売業
の 18/5 期に連結ベースで売上高 525 億円以上、ROE(自己資本当期純
利益率)5%以上の達成を目指している。
かかりつけ薬局化の推進やセルフメディケーション・サポート店舗の
主 要 指 標 2016/9/15 現 在
株
価
514 円
644 円
(3/14)
456 円
(7/14)
年初来高値
年初来安値
展開、非調剤薬局事業の拡大などにより、患者・利用者並びに投資家に
選ばれる会社を目指している。
18/5 期は業績の回復を見込む
企業価値研究所予想の 17/5 期の連結業績は、売上高が前期比 8%増
の 524 億円、営業利益は同 8%増の 8.8 億円。16 年 4 月の診療報酬・
発行済株式数
9,006,380 株
売 買 単 位
100 株
時 価 総 額
4,629 百万円
予 想 配 当
14.0 円
続く 18/5 期は、売上高が前期比 4%増の 544 億円、営業利益は同 11%
15.54 円
増の 9.8 億円を予想する。診療報酬・薬価改定の影響が一巡、既存店
(
会
予 想
社
)
E P S
( ア ナ リ ス ト )
実 績
P B R
0.85 倍
2017/5
2018/5
通期
通期
通期
局・閉店による収益性の向上を見込み会社計画(売上高 520 億円、営
業利益 8.1 億円)を若干上回る水準を予想する。
の回復を見込んだ。
売上高
百万円
業績動向
2016/5
薬価改定の影響は懸念されるが、子会社再編や低採算・重複店舗の閉
前期比
%
実績
48,511
22.8
会社予想
(2016年7月発表)
52,000
アナリスト予想
アナリスト予想
アナリストレポート・プラットフォーム
営業利益
百万円
前期比
%
経常利益
百万円
前期比 当期純利益 前期比
%
百万円
%
EPS
円
813 -28.9
659 -33.9
382
7.2
810
-0.4
640
-3.0
100 -73.8 11.10
52,400
8.0
880
8.2
700
6.1
140 -63.4 15.54
54,400
3.8
980
11.4
800
14.3
200
67.7 42.44
42.9 22.21
1
えんけつ
会
社
会
社
概
概
要
要
調剤薬局中堅。調剤報酬額でみた業界順位は 11 位。16 年 5 月末現在の連
結ベースの店舗数は 309 店舗(うち非調剤 60 店舗)
、グループ全体では 341
 会社概要
店舗(うち非調剤 61 店舗)
。同社グループは、持株会社である同社を中心に、
連結子会社 18 社と持分法適用関連会社 3 社で構成。調剤薬局事業(詳細は
後述)と物販事業、医学資料保管・管理事業、その他事業を行っている。
物販事業は、薬ヒグチ&ファーマライズによるドラッグストア等の運営
事業、北海道ファーマライズによる化粧品等販売事業およびファミリーマー
ト(フランチャイザー)との業務提携に基づくファーマライズプラス並びに
新世薬品によるコンビニエンスストアの運営事業。医学資料保管・管理事業
は、寿データバンクが手掛ける紙カルテやレントゲンフィルム等医学資料の
保管・管理事業。その他の事業の主な内容は、医療モール経営事業、人材派
遣事業、文具等の販売事業。
表1.業界順位(調剤報酬額)
調剤報酬額
順位
会社名(上場取引所・証券コード)
(億円)
1
アインホールディングス(東証・9627)
2,070.0
11 ファーマライズホールディングス(東証・2796)
2
日本調剤(東証・3341)
1,888.1
12 ファーコス(注5)
3
クラフト
1,575.3
13 フロンティア
4
クオール(東証・3034)
1,045.8
14 薬樹
5
共創未来グループ(注2)
999.6
15 メディカル一光(JQスタンダード・3353)
6
総合メディカル(東証・4775)
951.1
7
ファーマホールディング(注3)
777.5
8
阪神調剤ホールディング
645.3
9
アイセイ薬局
581.4
10 たんぽぽ薬局(注4)
431.7
(注1)上場取引所は優先市場を略称で表記。東証:東京証券取引所、JQ:JASDAQ
(注2)東邦ホールディングス(東証・8129)の調剤薬局事業
(注3)メディカルシステムネットワーク(東証・4350)の調剤薬局事業
(注4)トーカイ(東証・9729)の連結子会社
(注5)スズケン(東証・9987)の連結子会社
(出所)ドラッグマガジン社「医薬品産業ランキング」から当研究所作成
順位
会社名(上場取引所・証券コード)
経
設
営
立
者
経
緯
調剤報酬額
(億円)
417.5
341.6
332.7
312.0
234.3
代表取締役社長 岩﨑哲夫
医薬分業に伴う調剤薬局事業に注目していた現代表取締役会長の大野利
美知氏が、親交ある医師からの依頼をきっかけとし、各方面からの協力を得
て、87 年 2 月に東京都文京区湯島に「大野調剤薬局本店」を開局。これを
契機に調剤薬局専門薬局の本格的な経営を開始した。
医薬分業とは、医療機関が診療を行って処方せんを発行し、それを調剤
薬局が受け取って調剤を行うという役割分担をいう。厚生労働省では、医師
および薬剤師がそれぞれの専門性を発揮することにより、医療サービスの質
的向上を目指すとしている。患者からみると、かかりつけ薬局において薬歴
管理を行うことにより、複数診療科受診による重複投薬、相互作用の確認等
による安全性の向上、調剤待ち時間の短縮などのメリットがある。一方で時
間的・物理的に 2 度手間になる、負担増などがデメリットになる。
アナリストレポート・プラットフォーム
2
事
業
概
沿
要
革
 会社概要
1984 年
6月
東京物産を設立
1987 年
2月
調剤薬局の営業を開始
2002 年
4月
商号をファーマライズに変更
2007 年
2月
ジャスダック証券取引所に株式上場(現 JASDAQ スタ
ンダード)
2009 年
6月
ファーマライズホールディングスに商号変更。会社分
割により持株会社体制に移行し、調剤薬局事業を承継
するファーマライズを新設
2014 年
2月
東京証券取引所市場第 2 部へ市場変更
2015 年
1月
東京証券取引所市場第1部に指定
2015 年
10 月
薬ヒグチ&ファーマライズを買収
(出所)16/5 期有価証券報告書
16 年 5 月 31 日現在
大
株
主
株主
1
大野利美知
2
所有株式数
(株)
所有比率
(%)
3,159,900
35.1
中北薬品
396,000
4.4
3
バイタルネット
396,000
4.4
4
ほくやく
396,000
4.4
5
ファーマライズ従業員持株会
310,500
3.4
6
大野小夜子
253,200
2.8
7
エア・ウォーター
150,000
1.7
8
日医工
150,000
1.7
9
平松仁
132,100
1.5
明治安田生命保険相互会社
100,000
1.1
10
(出所)16/5 期有価証券報告書
企
業
理
念
表2.企業理念
地域医療への貢献
急速な医療環境の変化の中、常に地域に密着した「かかりつけ薬局」の理想形を追求し、
地域医療に貢献する。
患者への良質なサービス
処方せん調剤、専門性とホスピタリティーにより、地域住民や患者に心のこもった医療サー
ビスを提供する。
医療情報の共有化
薬剤の重要性・社会的責任を強く認識し、社是である「パーフェクト(完璧)」を目指すことを
理念に積極的に活動していく。
(出所)会社資料から当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
3
事
業
概
要
調 剤 薬 局 事 業
調剤薬局事業は、同社および連結子会社・関連会社で医療機関の発行す
る処方せんに基づき一般患者に医薬品の調剤を行う調剤薬局を経営。調剤に
 会社概要
よる報酬は、健康保険法に基づき患者一部負担金を患者に請求し、患者一部
負担金以外は社会保険診療報酬支払基金および国民健康保険団体連合会に
請求を行っている。
同社の事業展開の特徴は、持株会社体制のもとで北海道から沖縄までの
地域を、各事業会社がきめ細かく主体的に運営している点。出店に際しては、
病院に隣接した出店を中心とし、主応需医療機関(薬局が最も多く処方せん
を受け取る病院、診療所等)とマンツーマンの医薬分業体制を構築すること
を基本としている。平均的な店舗面積は 100~230 ㎡。また、自宅や職場近
くの調剤薬局を利用したいというニーズの高まりにあわせ、街中でコンビニ
エンスストアを併設する新業態の開発や大型スーパーマーケットに出店す
る新型店舗の開発も進めている。
図1.連結売上高構成比(16/5期)
その他
2%
医学資料保管・管理事業
2%
物販事業
9%
調剤薬局事業
87%
(出所)有価証券報告書
事
業
モ
デ
ル
図2.健康保険法による保険薬局の指定を受けた調剤薬局の事業モデル
医療機関
処方せん 発行
患者
処方せん
調剤
負担金支払
フ ァー マラ イズ
ホー ルデ ィングス
請求
支払
社会保険診療報酬支払基金
国民健康保険団体連合会
仕入
医薬品卸業者
(出所)会社資料から当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
4
事
業
概
要
中 期 経 営 計 画
 会社概要
現在進行中の「中期経営計画 Challenge 2017 ~セルフメディケーショ
ン・サポートへの進出と選ばれる会社を目指して」
(18/5 期までの 3 カ年、
15 年 7 月発表)では、最終年度の 18/5 期に連結ベースで売上高 525 億円以
上、ROE(自己資本当期純利益率)5%以上の達成を目指している。
前中期経営計画(15/5 期までの 3 カ年)の基本戦略であるソフト(高付
加価値)戦略とハード(地域密着)戦略を踏襲しつつ、患者・利用者並びに
投資家に選ばれる会社を目指す。
具体的には、かかりつけ薬局化の推進やセルフメディケーション・サポ
ート店舗の展開、非調剤薬局事業の拡大などにより患者・利用者に選ばれる
店舗を整備する。さらに地域毎のニーズにあわせた新規出店と M&A(合併・
買収)の推進により継続的な成長を目指すほか、子会社再編等の経営効率向
上などに取り組むとしている。
図3.売上高とROE(自己資本当期純利益率)の推移
30%
(億円)
600
売上高(右目盛り)
ROE(左目盛り)
25%
20%
500
中期経営計画の業績目標
(18/5期)
売上高:525億円以上
ROE:5%以上
15%
300
10%
200
5%
100
0%
0
11/5期
12/5期
13/5期
(出所)会社資料から当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
400
14/5期
15/5期
16/5期
17/5期
18/5期
計画
5
事
業
概
要
表3.中期経営計画の基本方針における3つのテーマ
(1)患者および利用者に選ばれるために
地域のメディケーション・健康支援ニーズに対応したサービスを提供
 会社概要
《体制整備》
① かかりつけ薬局化の推進
患者のメディケーション・ニーズに対応
・ 電子お薬手帳ポケットファーマシーを活用した患者情報の一元管理に向けた取り組み強化
・ 重複投薬、飲み合わせ、残薬確認の強化
・ 在宅医療や施設調剤への積極的な参画の継続
・ 24時間対応に向けた取り組み
・ ジェネリック医薬品の推進
② セルフメディケーション・サポート店舗の展開
利用者にセルフメディケーション・健康支援サービスを提供
・ セルフメディケーション・サポートおよび健康支援ニーズ関連商品の販売
・ 健康支援のためのイベント開催
・ 関係職種・関係機関との連携強化
・ 健康支援のための設備等の充実
・ 認知症問題への取り組み
《運用》
① 面展開の推進
新規店舗において、患者・利用者の身近な地域における出店を強化
② ドミナント展開する複数店舗によるサービス提供
かかりつけ薬局の複数店舗とセルフメディケーション・サポート店舗との協働による地域毎のニーズに合わせたメディケーション・
健康支援サービスを提供
(2)健康保険制度外(非調剤)事業の拡大
既存の非調剤事業の他、セルフメディケーション・サポートおよび健康支援関連商品販売の本格的な取り組みを開始
・ 一般用医薬品、医療材料、介護用品、機能性食品・健康食品、等
(3)投資家に選ばれる会社になるために
① 出店・M&Aの継続的推進により、従来の成長率を維持し着実な成長を目指す
② 企業価値向上のために資本効率をより意識し、子会社再編等の経営効率向上施策を加速化
③ 会計処理・システムの継続的改善を実施し、開示の早期化を目指す
(出所)会社資料から当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
6
業
界
分
析
図 4 に国民医療費と薬局調剤医療費(医師の発行する処方せんにより保険
国民医療費、薬局
 会社概要
調剤医療費の増加
続く が、医薬分業
は鈍化傾向
薬局を通じて支給される薬剤等の額:調剤基本料等技術料と薬剤料の合計)
の推移、図 5 に薬局数と処方せん受取率(分業率:医療機関を受診し患者が
受け取った処方せんのうち外部の調剤薬局で薬剤を調剤した割合)の推移を
示した。
13 年度の国民医療費は、前年度比 2%増の 40 兆 610 億円。うち薬局調剤
医療費は同 6%増の 7 兆 1118 億円となり、国民医療費全体に占める割合は
17.8%(前年度比 0.7 ポイント上昇)となった。
高齢化の進展等を背景に国民医療費、薬局調剤医療費とも増加が続いてい
る。13 年度は薬価引き下げや診療報酬改定がなく薬局調剤医療費の国民医
療費全体に占める割合は上昇した。
14 年度末の薬局数は 5 万 7784 店で前年度比 713 店増加、14 年度の処方せ
ん受取率は前年度比 1.7 ポイント上昇の 68.7%、15 年度は同 1.3 ポイント
上昇の 70.0%だった。処方せん受取率が 50%を超えた 03 年度以降は、医薬
分業の進展、薬局の増加数とも鈍化傾向にある。
図4.国民医療費と薬局調剤医療費の推移
(兆円)
50
20%
国民医療費
薬局調剤医療費
薬局調剤医療費比率
45
40
18%
16%
35
14%
30
12%
25
10%
20
8%
15
6%
10
4%
5
2%
0
0%
00
02
04
(出所)厚生労働省「国民医療費の概況」
06
08
10
12 (年度)
図5.薬局数と処方せん受取率(分業率)の推移
(薬局数)
70,000
80%
薬局数
60,000
処方せん受取率
50,000
40,000
70%
60%
50%
40%
30,000
20,000
10,000
0
30%
20%
10%
0%
00
02
04
06
08
10
12
14 (年度)
(注)10年度の薬局数は、東日本大震災の影響で被災地区の一部が含まれていない
(出所)厚生労働省「衛生行政報告例の概況」、日本薬剤師会「医薬分業進捗状況」
アナリストレポート・プラットフォーム
7
業
界
分
析
高齢化の進展により国民医療費は引き続き増加する見通し。団塊の世代が
かかりつけ薬局へ
 会社概要
の転換、かかりつ
け薬剤師の育成が
急務に
定年を迎え、最も医療費を必要とする 70 代人口が増加するためだ。医薬分
業の進展のペースは緩やかになるが、薬局調剤医療費も増加傾向が続くと予
想する。
同社を含め大手調剤薬局各社は、医薬分業の進展にあわせて医療機関の周
辺(門前薬局:病院などの前に店舗を構え処方元が集中している薬局)に出
店するとともに積極的な M&A により、業容を拡大してきた。しかし、かかり
つけ薬局への転換、かかりつけ薬剤師の育成が急務となり従来型のビジネス
モデルの見直しが必要になってきた。
厚生労働省が 15 年 10 月に発表した「患者のための薬局ビジョン」では、
かかりつけ薬剤師・薬局の今後の姿を明らかにするとともに、団塊の世代が
後期高齢者(75 歳以上)になる 25 年、さらに 10 年後の 35 年に向けて、中
長期的視野に立って、すべての薬局をかかりつけ薬局に再編する道筋を示し
た。副題には~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~とあり、
地域包括ケアシステムの中で、服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づ
く薬学的管理・指導、24 時間対応・在宅対応、医療機関等との連携など、
患者本位の医薬分業の実現に取り組むとした。ビジョンの基本的な考え方は、
(1)立地から機能へ、(2)対物業務から対人業務へ、(3)バラバラから一つへ、
の 3 点。
また調剤薬局業界は、大手による寡占度が低いことや後継者問題等から業
界再編が進むと予想する。ちなみに調剤薬局大手 5 社合計の市場占有率は
6%程度。ほぼ同規模の店舗数があるコンビニエンスストア(16 年 5 月末で
5 万 4195 店、上位 3 社の占有率は約 8 割)と比べると極端に低い。
中長期的な調剤薬局各社の成長をみるポイントは、利便性以外の付加価値
を提供することで、医療機関や患者・利用者から必要とされる薬局への転換
と、新規出店や M&A、合従連衡による業容拡大といえよう。
表4.業界順位(処方せん応需店舗数)
順位
会社名(上場取引所・証券コード)
(店)
順位
会社名(上場取引所・証券コード)
1
アインホールディングス(東証・9627)
881
11 ファーコス(注4)
2
クラフト
677
12 フロンティア
3
共創未来グループ(注2)
577
13 エスマイル(注5)
4
総合メディカル(東証・4775)
576
14 たんぽぽ薬局(注6)
5
クオール(東証・3034)
534
15 ミック
6
日本調剤(東証・3341)
526
7
ファーマホールディング(注3)
354
8
アイセイ薬局
311
9
阪神調剤ホールディング
257
10 ファーマライズホールディングス(東証・2796)
248
(注1)上場取引所は優先市場を略称で表記。東証:東京証券取引所、JQ:JASDAQ
(注2)東邦ホールディングス(東証・8129)の調剤薬局事業
(注3)メディカルシステムネットワーク(東証・4350)の調剤薬局事業
(注4)スズケン(東証・9987)の連結子会社
(注5)スズケン(東証・9987)の保険薬局事業子会社
(注6)トーカイ(東証・9729)の連結子会社
(出所)ドラッグマガジン社「医薬品産業ランキング」から当研究所作成
アナリストレポート・プラットフォーム
上位5社計
上位10社計
(店)
200
139
132
118
117
3,245
4,941
8
業
績
既存店は順調だ
が、費用の増加で
 会社概要
16/5 期の営業利
益は 29%減
16/5 期の連結業績は、売上高が前期比 23%増の 485 億円、営業利益は同
29%減の 8.1 億円、薬ヒグチ&ファーマライズの連結子会社化により負のの
れん発生益 5.9 億円を計上、純利益は同 68%増の 3.8 億円となった。
調剤薬局事業において既存店が順調に推移したほか、薬ヒグチ&ファー
マライズの物販事業の寄与もあり 2 割超の増収。連結子会社化に伴い発生し
た費用や採用・研修に係る費用の増加で営業減益。
調剤薬局事業の売上高は同 14%増の 423 億円。16 年 5 月末現在の調剤薬
局店舗数は 249 店舗、15 年 5 月末と比較すると 29 店増加、7 店減少の純増
22 店舗となった。開局から 12 カ月以上が経過し前期との比較が可能な既存
店 206 店舗合計の売上高は、前期比 7.6%増の 384 億円。処方せん枚数は微
増(同 0.4%増)にとどまったが、処方日数の長期化や高額な C 型肝炎治療
薬の取り扱い増加等による処方せん単価の上昇(同 7.2%増)が寄与した。
物販事業の売上高は同 7.4 倍の 45 億円。15 年 10 月の薬ヒグチ&ファー
マライズの連結子会社化により大きく増加。16 年 5 月末現在の調剤を併設
しない店舗数は 5 店舗減少の 60 店舗となった。
医学資料保管・管理事業の売上高は同 4%減の 7.7 億円。全国の病院におい
て震災対応や業務効率化のための建て替え・移転が活発に行われていること等
を背景に紙カルテやレントゲンフィルムなど医学資料の保管・管理の需要は継
続的に発生しているが、保管年数の短縮化等の経費削減の影響を受けた。
営業利益
売上高
図6.売上高・営業利益の増減要因
(16/5期・前期比)
調剤薬局事業
物販事業
医学資料保管・管理事業
その他
調剤薬局事業
物販事業
医学資料保管・管理事業
その他
調整額
5,089
3,863
-33
85
-209
-106
【16/5期実績】
売上高:48,511(+9,005)
営業利益:813(-330)
-25
-1,000
29
-18
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
(百万円)
(出所)会社資料から当研究所作成
診療報酬改定等の
影響で 17/5 期の
営業利益は横ばい
を計画
17/5 期の連結業績に関して会社側は、売上高が前期比 7%増の 520 億円、
営業利益は同横ばいの 8.1 億円、負ののれん発生益がなくなり純利益は同
74%減の 1.0 億円を計画。
薬ヒグチ&ファーマライズの通期寄与から増収だが、16 年 4 月の診療報
酬および薬価改定の影響で営業利益は伸び悩む見通し。
アナリストレポート・プラットフォーム
9
業
績
図7.会社計画の売上高・営業利益の増減要因
(17/5期・前期比)
営業利益
売上高
 会社概要
調剤薬局事業
物販事業
医学資料保管・管理事業
その他
調剤薬局事業
物販事業
医学資料保管・管理事業
その他
調整額
-846
4,363
-3
-25
-57
【17/5期会社計画】
売上高:52,000(+3,489)
営業利益:810(-3)
67
-33
-9
-1,000
30
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
(百万円)
(出所)会社資料から当研究所作成
診療報酬改定等の
影 響 が 一 巡 、
18/5 期は業績の
回復を見込む
企業価値研究所予想の 17/5 期の連結業績は、売上高が前期比 8%増の 524
億円、営業利益は同 8%増の 8.8 億円。16 年 4 月の診療報酬・薬価改定の影
響は懸念されるが、子会社再編や低採算・重複店舗の閉局・閉店による収益
性の向上を見込み会社計画を若干上回る水準を予想する。
既存店増収率は同横ばい(上期は診療報酬改定等の影響で 1~2%程度の
減収、下期は 1~2%程度の増収を想定)
、新規出店は 10 店舗(年間売上高
1.5 億円程度の店舗を想定)を見込んだ。
続く 18/5 期は、売上高が前期比 4%増の 544 億円、営業利益は同 11%増
の 9.8 億円を予想する。16 年 4 月の診療報酬・薬価改定の影響が一巡、か
かりつけ薬局化の推進や地域医療、後発品に積極的に取り組むことで既存店
の回復を見込んだ。
表5.会社計画と当研究所予想の連結業績
15/5期
通期
実績
調剤薬局事業
37,256
物販事業
603
医学資料保管・管理事業
806
その他
840
売上高
39,506
営業利益
1,143
経常利益
997
純利益
227
(注)会社計画は16年7月13日付
(出所)会社資料、予想は当研究所
アナリストレポート・プラットフォーム
16/5期
通期
前期
実績
比
42,346 +14%
4,466 +641%
773
-4%
925 +10%
48,511 +23%
813 -29%
659 -34%
382 +68%
(単位:百万円)
17/5期
18/5期
17/5期
会社
前期 当研究所 前期 当研究所 前期
計画
比
予想
比
予想
比
41,500
-2%
41,880
-1%
43,840
+5%
8,830 +98%
8,840 +98%
8,880
+0%
770
-0%
780
+1%
780
+0%
900
-3%
900
-3%
900
+0%
52,000
+7%
52,400
+8%
54,400
+4%
810
-0%
880
+8%
980 +11%
640
-3%
700
+6%
800 +14%
100 -74%
140 -63%
200 +43%
10
(出所)㈱QUICK
上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。
上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。
上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。
2014/5
株 価 推 移
2015/5
2017/5 予
(アナリスト)
2016/5
株価(年間高値)
円
790
659
660
-
株価(年間安値)
円
523
480
470
-
月間平均出来高
千株
2,380
5,133
4,381
-
売
上
高
百万円
38,221
39,506
48,511
52,400
営
業
利
益
百万円
1,572
1,143
813
880
経
常
利
益
百万円
1,272
997
659
700
当 期 純 利 益
百万円
369
227
382
140
業 績 推 移
E
P
S
円
46.55
25.31
42.44
15.54
R
O
E
%
7.6
4.1
6.9
2.6
流 動資産合 計
百万円
8,557
8,257
9,071
-
固 定資産合 計
百万円
16,296
15,945
16,580
-
資
計
百万円
24,879
24,225
25,667
-
貸借対照表
流 動負債合 計
百万円
10,112
10,624
10,736
-
主 要 項 目
固 定負債合 計
百万円
9,138
7,789
8,693
-
負
計
百万円
19,250
18,414
19,430
-
株 主資本合 計
百万円
5,451
5,592
5,445
-
純 資 産 合 計
百万円
5,628
5,811
6,237
-
営業活動による CF
百万円
1,306
3,405
-272
-
投資活動による CF
百万円
-1,708
-1,064
-773
-
財務活動による CF
百万円
490
-2,100
492
-
現金および現金同等
物 の期末残 高
百万円
3,633
3,873
3,319
-
キャッシュフ
ロー計算書
主 要 項 目
産
債
合
合
アナリストレポート・プラットフォーム
11
リ
事
関
ス
ク
す
業
る リ
 会社概要
分
析
に
ス ク
・調剤薬局事業・物販事業の法規制
調剤薬局事業を行うに当っては、関連する法令に基づき、各都道府県知事
に薬局開設許可及び保険薬局指定を受けるとともに、必要に応じて各都道府
県知事等の指定等を受けることとされている。物販事業のうち医薬品医療機
器等法に基づく医薬品等の販売を行うに当っては、各都道府県知事に店舗販
売業許可を受けるとともに、必要に応じて各都道府県知事等の指定等を受け
ることとされている。また、食品・酒類等の販売についても、それぞれの関
係法令に基づき所轄官公庁の指定等が必要。同社グループは調剤薬局事業・
物販事業を行うために必要な許認可等を受けて営業しており、これまで店舗
の営業停止又は取消等の処分を受けたことはないが、法令違反等により、当
該処分を受けることとなった場合には、業績に影響を及ぼす可能性がある。
・医療制度の改定
近年、健康保険法の改定のほか、その他の医療制度の改定が実施されてお
り、今後も各種の医療制度改定の実施が予想される。その動向によっては、
同社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
・薬価基準の改定
同社グループの調剤売上は、薬剤に係る収入と調剤技術に係る収入から成
り立っている。薬剤に係る収入は、健康保険法により定められた「薬価基準」
という公定価格によっている。調剤技術による収入も健康保険法により定め
られた調剤報酬の点数によっている。今後、医療法の改定が行われ、薬価基
準、調剤報酬の点数等が変更になった場合、同社グループの業績に影響を及
ぼす可能性がある。
・仕入価格の暫定措置
調剤薬局業界では、薬価基準の改正が実施された場合、最終的な仕入価格
を医薬品卸業者と妥結するまでの間、暫定価格(合理的であると見積もった
価格)で仕入計上し、暫定価格と最終的な仕入価格の差額については医薬品
卸業者との取引条件の妥結後、薬剤ごとに精算の会計処理をしている。暫定
価格と妥結価格の間に大きな乖離が発生した場合、同社グループの業績に影
響を及ぼす可能性がある。
・消費税の影響
調剤薬局事業において、調剤売上高は消費税法において非課税売上、一方、
医薬品等の仕入は同法の課税仕入となる。同社グループが仕入先に対して支
払った消費税等は、租税公課として販売費及び一般管理費に費用計上してい
る。過去の消費税の導入及び消費税率改定時には、消費税率の上昇分が薬価
改定幅に考慮された。今後、消費税率が改定され、消費税率の上昇分が薬価
改定幅に考慮されない場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があ
る。
アナリストレポート・プラットフォーム
12
デ ィ ス ク レ ー マ ー
1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。
)が実施する「アナリストレポー
ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。
 会社概要
2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作
成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社 QUICK
(以下「レポート作成会社」といいます。
)に支払われています。
3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに
誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま
せん)
。
4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ
れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。
5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の
取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変
動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資
の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適
合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお
願いいたします。
6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当
該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは
なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の
ものであり、今後予告なく変更されることがあります。
7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及
びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が
欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは
ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし
ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる
情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。
8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作
権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに
複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。
<指標の説明について>
本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。
参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/ir-clips/analyst-report/02.html
アナリストレポート・プラットフォーム
13