医療関連データの国際比較 -OECD Health Statistics 2016- 定例記者会見 2016年9月7日 公益社団法人 日本医師会 保健医療支出の範囲 保健医療制度は国によって制度が異なり、すべての国が同じ手法で保健医療支出等を推 計しているわけではない。SHA(System of Health Accounts)が示した区分が存在しない(あ るいは切り分けられない)といったところもある。 OECDの保健医療支出は、日本でいうところの国民医療費、介護費のほか、一般薬、予防 接種、健康診断、保険者の管理コスト等も対象である。 2011年にSHA1.0からSHA2011への改訂が行われ、「Long Term Care」と「Preventive Care」の定義が見直された。SHAの機能区分「HC.3 Long Term Care(health)」は、 SHA2011によって、境界が示され、ADL関係を対象とすることが明確化された。 SHA2011(新基準)で、訪問・通所介護、介護老人福祉施設(特養)等に集計範囲が広がり、 日本の対GDP保健医療支出が上昇した。 Figure 5.3. The health and social boundary of long-term care (LTC) Personal care Medical or nursing services(ADL) care 食事・入浴など ADL 支援※ Assistance services 買い物、洗濯、掃除 機かけ、料理など Other social care services コミュニティ活動など HC.3 HC.R. Excluded *OECD “A System of Health Accounts 2011 EDITION” ※Personal care services:These services provide help with activities of daily living (ADL) such as: eating, bathing, washing, dressing, getting in and out of bed, getting to and from the toilet and managing incontinence. 1 対GDP保健医療支出 日本の対GDP保健医療支出は11.2%(2015年, OECD estimates)でOECD加盟国中3位 であるが、ドイツ、フランスとほぼ同水準である。 イギリスは2013年からSHA2011を適用し、対GDP保健医療支出が増加している。 高齢化率(65歳以上人口比率)との関係で見ると、日本は高齢化が進んでいる割には対 GDP保健医療支出は高くない。 65歳以上人口比率と対GDP保健医療支出(2013 (or nearest year)) (%) 20.0 15.0 日本 10.0 5.0 0.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 65歳以上人口比率(%) *OECD.Stat, *"OECD Health Statistics 2016-JUNE 2016" 2 United States Switzerland Norway Netherlands Sweden Denmark Ireland Germany Austria Luxembourg Belgium Canada France Australia United Kingdom Iceland Japan Finland OECD AVERAGE Italy Spain Portugal Slovenia Czech Republic Korea Greece Estonia Slovak Republic Poland Hungary Latvia Mexico 3,151 3,307 3,308 2,372 2,573 2,009 1,202 1,248 1,289 1,355 1,540 744 3,431 3,478 3,606 3,312 1,833 907 4,001 4,075 4,095 4,279 4,375 4,456 4,643 3,382 1,909 2,000 3,800 4,000 5,420 (US$ PPP) 2,077 6,000 5,894 8,000 7,767 1人当たり診療技術料およびサービス料 医療財(Medical goods)以外の支出を、「診療技術料およびサービス料」とする と、直近の日本の1人当たり診療技術料およびサービス料は17位でOECD平均を 若干上回る程度である。 1人当たり診療技術料およびサービス料 (2014(or nearest year)) 0 *"OECD Health Statistics 2016-JUNE 2016"から計算。日本、オーストラリアは2013年データ。 2013年以降のデータがない国は除く。 3 1人当たり医薬品およびその他の非耐久性医療財支出の推移 日本は1人当たり医薬品およびその他の非耐久性医療財支出は2位であり、上昇傾向 が続いている。OECDも指摘をしている※)が、OECDの諸外国が抑制的であるのに対し、 日本では1人当たり医薬品およびその他の非耐久性医療財支出が経済危機の2009年 以降も伸びていることが特筆できる。 1人当たり医薬品およびその他の非耐久性医療財支出 (2014(or nearest year)) 279 306 324 325 339 348 399 401 408 377 400 457 476 484 485 487 489 490 532 533 543 544 609 623 626 630 656 730 703 547 600 741 800 772 1,000 783 1,200 1,112 (US$ PPP) 200 United States Japan Canada Germany Switzerland Ireland France Greece Australia Belgium Austria Spain Italy Hungary Slovak Republic OECD AVERAGE Iceland Sweden Korea United Kingdom Slovenia Finland Norway Czech Republic Netherlands Portugal Luxembourg Latvia Poland Denmark Estonia Israel Mexico 0 *"OECD Health Statistics 2016-JUNE 2016"から計算。日本、オーストラリアは2013年データ。 2013年以降のデータがない国は除く。 ※)OECD”Health at a Glance 2015 How does Japan compare?” (https://www.oecd.org/japan/Health-at-a-Glance-2015-Key-Findings-JAPAN.pdf) 4 詳細は後日、日医総研ホームページで公開します。 (http://www.jmari.med.or.jp/) 5
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