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2016/
原油価格週間動向
9/5
投資情報部
シニアコモディティアナリスト
津賀田 真紀子
産油国の言動に振り回される原油相場
原油相場は再び下落基調に転じている。今月末にロシアを含めた主要産油国がアルジェリアで非公式会
合を開くことが予定されているものの、イランやサウジアラビアが減産に対していまだ後ろ向きな姿勢を示し
ており、今回も物別れに終わる可能性が高いとみられていることが失望売りにつながっているためだ。今回の
会合に対する産油国の態度は日替わりであり、本音がつかみ難い。仮に増産凍結に向けた合意が形成
されたとしても、世界全体の需給が供給過剰であることに変わりはない。今月いっぱいは会合に向けた産
油国の言動に振り回される展開になるだろう。
国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は、8/19
WTI 原 油 先 物 は 3
週間ぶりの安値
に 1 バレル=48.75 ドルまで上昇したものの、その後は上値の重い展開となっており、
足元では 44 ドル台と 3 週間ぶりの水準にまで値を落としている。
8/8 に石油輸出国機構(OPEC)の議長国であるカタールのサダ・エネルギー産業相が
9 月 26~28 日にアルジェリアで開催される国際エネルギーフォーラム(IEF)に合わ
せ、非公式会合を行うことを明らかにして以降、原油価格は需給改善期待を受け急
反発していた。しかし、主要産油国であるイランやサウジアラビアが減産に対して依然
後ろ向きな姿勢を示していることから、4 月のドーハ会合や 6 月の OPEC 総会に引き
続き、今回も物別れに終わる可能性が高いとみられており、市場参加者の失望売りを
誘っていることが背景にある。
ショートカバーを急
ぐ非商業筋
なお、非商業筋は現在の状況を買いではなく、ショートカバーの好機としてとらえてい
るようだ。米商品先物取引委員会(CFTC)の報告によると、8/30 現在の非商業筋の
ショートポジションは 197,075 枚と今年 6 月下旬の水準にまで縮小する結果となった。
原油価格動向
W T I原油先物価格とドルインデックス
2016/8/22
~
~
2016/8/29
期間
北海
ブレント
(週次:2014/1/3~2016/9/2)
120
前週比
2016/9/2
WTI
(1バレル=ドル)
76
110
2016/8/26
WTI原油先物(左目盛)
78
ドルインデックス(右逆目盛)
80
始値
47.22
48.40
▲ 1.18
100
高値
47.49
48.46
▲ 0.97
90
84
86
82
安値
43.00
46.42
▲ 3.42
80
終値
44.44
47.64
▲ 3.20
70
始値
49.54
50.70
▲ 1.16
60
92
94
高値
49.76
50.76
▲ 1.00
50
安値
45.32
48.48
▲ 3.16
40
終値
46.83
49.92
▲ 3.09
30
88
90
96
98
100
20
(注)価格は 1 バレル=ドル
14/1
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
14/7
15/1
15/7
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
16/1
102
16/7 (年/月)
2016/9/5
原油価格週間動向
年内の需給改善は
困難
OPEC の原油生産量は 7 月時点で日量 3,311 万バレルと過去最高水準にある。ロシ
アの増産意欲も依然として強いままだ。仮に今回の非公式会合で増産凍結に向けた
合意が形成されたとしても、世界全体の需給が供給過剰であることに変わりはない。
国際エネルギー機関(IEA)はインドや中国を中心に需要が拡大することから、年内に
は需給が引き締まるとの見通しを示しているが、おそらく 2017 年に後ずれする可能性
の方が高いと思われる。
サウジアラビア VS
ロシア
そもそも、今回の会合に対するサウジアラビアやロシアの態度は日替わりであり、本音
がつかみ難い。9/4、主要 20 ヵ国・地域(G20)主要会議のため中国を訪れているロシ
アのプーチン大統領とサウジアラビアのムハンマド副皇太子が会談し、再び下落基調
にある原油相場への対応で協力する意欲を示したと伝えられている。プーチン大統
領はサウジアラビアに対し増産凍結を促しており、ムハンマド氏が今後同意に向け動
くかどうかが注目されている。ただし、サウジアラビアのジュベイル外相は「サウジだけ
が譲歩することはない」との認識を示しており、先行きは不透明だ。
今月いっぱいは会合に向けた産油国の言動に振り回される展開になるだろう。
ロシ ア とサウジアラビアの原油生産量
OPEC 原油生産量
(百万バレル/日)
(月次:2014/1~2016/8)
(千バレル/日)
12,000
33.5
33.0
11,500
32.5
2016年
32.0
11,000
過去3年最多
31.5
10,500
過去3年平均
31.0
過去3年最少
10,000
30.5
ロシア
30.0
9,500
サウジアラビア
29.5
9,000
14/1
29.0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
15/7
16/1
16/7
(年/月)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
W T I原油先物オプション権利行使価格分布
80,000
15/1
(注)ロシアは 2016 年 7 月まで
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
(枚)
90,000
14/7
(月)
C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格
(2016年9月2日時点)
(週次:2014/7/1~2016/9/2)
(万枚)
(1バレル=ドル)
50
プット(10・11・12月限合計)
110
買残-売残(左目盛)
コール(10・11・12月限合計)
45
70,000
100
WTI原油先物(右目盛)
90
40
60,000
50,000
80
35
70
30
60
40,000
30,000
50
25
20,000
40
10,000
20
30
0
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80
(1バレル=ドル)
15
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
16/4
20
16/7 (年/月)
(注)CFTC 非商業部門建玉は 8/30 現在
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
22
2016/9/5
原油価格週間動向
■ エネルギー関連統計
日付
国・地域
9月7日
9月7日
9月7日
9月7日
9月7日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月9日
9月9日
9月9日
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
短期見通し 原油(ドル/バレル)
短期見通し 自動車用ガソリン(ドル/ガロン)
短期見通し ディーゼル(ドル/ガロン)
短期見通し ヒーティングオイル(ドル/ガロン)
短期見通し 天然ガス(ドル/千立方フィート)
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数
期間
前回
9月
9月
9月
9月
9月
9月2日
9月2日
9月2日
9月2日
9月2日
9月2日
9月2日
9月2日
9月9日
9月9日
9月9日
51.58
2.26
2.7
2.6
10.66
2,276
▲1,039
▲691
1,496
0.3%
17,080
10,060.4
4,887.3
497
88
407
■ 今週の経済指標
日付
国・地域
9月5日
9月5日
9月5日
9月5日
9月5日
9月6日
9月6日
9月6日
9月6日
9月6日
9月6日
9月6日
9月6日
9月6日
9月7日
9月7日
9月7日
9月7日
9月7日
9月7日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月8日
9月9日
9月9日
9月9日
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
欧州
米国
米国
米国
中国
米国
米国
中国
中国
中国
中国
欧州
米国
米国
米国
中国
中国
米国
米国
中国
イベント
マークイット ユーロ圏サービス業 PMI
マークイット ユーロ圏コンポジット PMI
センティックス投資家信頼感
小売売上高(前月比)
小売売上高(前年比)
マークイット ユーロ圏小売業 PMI
GDP(季調済/前年比)
総固定資本(前期比)
政府支出(前期比)
家計消費(前期比)
労働市場情勢指数
ISM 非製造業景況指数(総合)
IBD/TIPP 景気楽観指数
外貨準備高
MBA 住宅ローン申請指数
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
貿易収支
輸出(前年比)
輸入(前年比)
海外直接投資(前年比、中国元)
ECB 主要政策金利
新規失業保険申請件数
失業保険継続受給者数
消費者信用残高
消費者物価指数(前年比)
PPI 前年比
卸売在庫(前月比)
卸売売上高(前月比)
マネーサプライ M2(前年比)
期間
8 月 確報
8 月 確報
9月
7月
7月
8月
4-6 月期 確報
4-6 月期
4-6 月期
4-6 月期
8月
8月
9月
8月
9月2日
前回
53.1
53.3
4.2
0.0%
1.6%
48.9
1.6%
0.8%
0.4%
0.6%
1.0
55.5
48.4
3,201,100,000,000
2.8%
8月
8月
8月
8月
9月8日
9月3日
8 月 27 日
7月
8月
8月
7 月 確報
7月
8月
52,310,000,000
▲4.4%
▲12.5%
▲1.6%
0.0%
263,000
2,159,000
12,320,000,000
1.8%
▲1.7%
0.0%
1.9%
10.2%
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2016/9/5
金融商品取引法に係る重要事項
原油価格週間動向
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投
資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ
きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手
数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含む)、国や地域
の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ
とがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ
ります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の
高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ
まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の
流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ
とがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基
づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額
は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで
お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込
み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対
して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お
よび諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負
担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を
委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理
料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替
レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け
資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160905-19
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