特集 物流 サプライチェーンを 変革する グローバルロジスティクスの 高度化 インターネットを通じて商品を入手しやすくなった今、 グローバルに広がるサプライチェーンの最適化は、モノの調達・製造・ 販売の生命線を担うロジスティクス(物流)の高度化にかかっています。最先端クラスのデジタル技術を活用して製造・流 通業の全体変革を支援する日立は、自らの構造改革で培ったノウハウを生かし、お客さまのキャッシュフローとビジネス価 値を最大化するロジスティクスサービスを提供していきます。 ロジスティクスの高度化が 重要なカギに れています。 End(以下、E2E)の業務プロセスの見 こうした次世代型の産業改革を実現 直しなどを通じ、コスト競争力やキャッ するには、材料・部品・完成品などの物 シュ創出力の強化、事業基盤の再整備 流経路のグローバルレベルでの最適化 に取り組んできました。ここで得た幅広 か、先進的な企業は競争力強化に向け や、工場・保管倉庫の適正な拠点配置、 い分野の改革ノウハウや分析力、日立グ て、ITを高度活用した多様なお客さま FTA やTPP といった税制条件も考 ループ内の実証で得られた多くの施策 ニーズへの対応や、生産の最適化をめ 慮した調達戦略も重要なテーマとなって は、同じ悩みを抱えるお客さまの事業改 ざしています。ドイツが国を挙げて推進 きます。 革、構造改革にも貢献できると考えます。 ビジネスのグローバル化が進展するな ※1 ※2 している技 術 政 策「Industrie 4.0」で 日立は2011年度から「Hitachi Smart なかでも大量の部品や商品を工場や は、製造設計や生産設備、生産工程な Transformation Project」 というグルー 店舗へ届けるロジスティクスの効率化 どのプロセスをインターネットを介してサ プを横断した構造改革プロジェクトを実 が、今まで以上にビジネスの成否を決す プライヤーやお客さまが連携することで、 施してきました。このプロジェクトで日立 る重要な要件となっています。そこで日 IoTによる今までにない価値と新たなビ はサプライチェーンにおける引き合いか 立はロジスティクスを含めたグローバルサ ジネスモデルを構築する取り組みが行わ ら受 注、製 造、サービスまでのEnd to プライチェーン全体をITによって高度化 はいたっく 2016.9 All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd. 2 日立の取り組み 調 達 お客さまバリューチェーン お客さま意思決定、 経営課題 サービス コンサルティング・ エンジニアリング 製造(お客さま) 販 売 保守サービス グローバルSCM・ロジスティクス改革(KP I :コスト、在庫、キャッシュ) 在庫コントロール(部品・原料、製品) 生産計画 需給調整 販売計画 保守計画(人員、在庫) ◆SCM/ロジスティクスエンジニアリング(コスト構造・CF改革、E2E業務プロセス改革) ・構想立案コンサルティング、グローバルSCM・ロジスティクス改革エンジニアリング バリューチェーン・ロジスティクス サービス サービス プラットフォーム (IT&オペレーション) ◆製造ロジスティクス高度化サービス ・共同調達物流サービス ・調達BPOサービス ・E2Eグローバル在庫最適化サービス ◆流通ロジスティクス高度化サービス ・物流センター高度化 ・デマンドチェーン最適化 シミュレーション・アナリティクス・最適化(SCMシミュレーター・Pentaho・人工知能) 基幹系システム(ERP・販売システムほか) IT基盤/ プロダクト・ コンポーネント 生産設備・機器・システム (建屋・ロボット・MES) ロジスティクス設備・機器・システム (建屋・マテハン・AGV・WMS/TMS/FMS) サプライヤー (海外) 国際輸送 (国内) ミルクラン 部品 倉庫 (VMI) 調達物流 工場 (生産) 構内物流 物流 センター 販売 会社 需要先 現場・運営 グローバルEDI(TWX-21) 販売物流 図1 各種サービス、ソリューション体系 務をE2Eで高度化するサービスです。グ サービス」の開発を進めています(図1) 。 ローバル在庫削減によるキャッシュフロー 本サービスでは、お客さまの経営課題 ※1 Free Trade Agreement:自由貿易協定 の改善、消費動向を反映した計画の最 を共有・明確化する上流コンサルティング 適化による製造・販売リードタイムの短 から、グローバルな調達、物流、在庫最 縮などを実現することで、グローバルバ 適化、物流センター高度化、それにともな リューチェーン全体での競争力強化を うITサービスやBPO※3サービスまでをワン 支援します。 ストップで提供します。日立は、お客さま ※2 Trans-Pacific Partnership:環太平洋パートナーシップ 「バリューチェーン・ロジスティ クス サービス」の全体像 3 度化サービス」です。 していく 「バリューチェーン・ロジスティクス サービスは大きく二つのカテゴリーに 個々の経営課題を短期間に明確化し、 本サービスは、原料・素材、部品のサ 分けて提供します。一つは自動車部品 事業改革をトータルに支援します(図2) 。 プライヤー、製 造 工 場、物 流センター メーカーなど、一般的な製造業のお客さ ※3 Business Process Outsourcing (メーカー/小売)、店舗といった広域な ま向けの「製 造ロジスティクス高 度 化 サプライチェーン上にある各企業とその サービス」です。もう一つが、製造から 製造ロジスティクス ITシステムを連携させ、各システムの持 流通・小売りを自社展開する製造小売 高度化サービス(製造業向け) つデータを統合し可視化と活用を進める 業やコンビニエンスストアなど小売業の ことで、製造業・流通業のお客さまの業 お客さま向けの「流通ロジスティクス高 はいたっく 2016.9 All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd. 本サービスでは、日本の製造業が海 物流 サプライチェーン上の各企業・システムを連携させ、データを統合して可視化・活用することで、製造ロジスティクス高度化 サービス・グローバル在庫削減(E2Eキャッシュフロー改善)、流通ロジスティクス高度化サービスを実現 原料・素材 サプライヤー 部品 サプライヤー メーカー/小売 物流センター 製造工場 店舗 ユーザー 製造ロジスティクス高度化サービス/製造業 国際調達 店舗 POSなど 流通ロジスティクス高度化サービス/ 製造流通・製造小売業 ミルクラン 配送 最適化 共同倉庫 グローバル在庫削減(E2Eキャッシュフロー改善) 実績データ収集/蓄積 在庫 最適化 営業・受注 調達 部品在庫 工場 物流 センター サプライヤー 倉庫 WMS WCS 最適化&自動フィードバック 設計・生産 ロジスティクス・物流 仕掛在庫 製品在庫 トータル在庫 工場 配置 最適化 AGV 保守・メンテ 保守部品在庫 販社倉庫 業務 最適化 ロボット 工場 お客さま ERP WMS:Warehouse Management System WCS:Warehouse Control System AGV:Automated Guided Vehicle ERP:Enterprise Resource Planning 図2「バリューチェーン・ロジスティクス サービス」の概要 外進出する際の生産・販売拠点をつな そのつど検品作業の手間がかかるほ 検品などの管理コストのトータルな削減 ぐバリューチェーンの最適化を支援しま か、欠品を回避する意識から余剰在庫 が図れ、調達コストとリードタイムの最適 す。現在、共同調達物流サービス、調 が発生する可能性がありました。また供 化につなげることが可能となります。 達BPOサービス、グローバル在庫最適 給される部品には、それぞれ物流コスト なお日立は、本サービスの提供に先 化サービスの開発を進めています。 が含まれており抜本的なコスト削減を阻 立ち、日立グループの中国進出拠点に む要因の一つでした。 おいて共同ミルクランの実証実験を行 ■共同調達物流サービス そこで本サービスでは、日立物流が持 い、調達物流コストと在庫コストの削減 日本の製造業、関連サプライヤーな つグローバルネットワークを利用して、海 効果を確認しています。お客さまに本 どが集まる海外の工場地帯・工業団地 上・航空輸送での共同輸送によるコスト サービスをご提案する際には、多角的な などを中心に、複数のお客さまの部品 削減を、日本・海外にある物流センター 実データから課題や解決の方向性を共 調達、製品配送を共同化するサービス の共同利用に加え、 ミルクラン(巡回集 有し、想定効果を可視化するシミュレー です。 荷)による複数のお客さまの共同集荷を ションツール「Cyber-PoC」※4を使った効 これまで複数のサプライヤー(素材・ 実施します。さらに、部品コストに含まれ 果検証を行い、プロジェクトの意思決定 部品メーカー)が調達先である場合、サ ていた輸送コストを分離した上で、 ミルク を支援します。 プライヤー各社が個別に納品するため、 ランによる物流コスト・部品在庫コスト・ ※4 Cyber-Proof of Concept はいたっく 2016.9 All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd. 4 日立の取り組み ■調達BPOサービス 施。日立が棚卸残高の値などのKPIを ナル情報などを用いてお客さまの需要 本サービスは、日立グループの国際調 設計し、それを実現する施策としてロジ 創造による品ぞろえや発注量を適切に 達を担う日立ハイテクノロジーズの商社 スティクスと在庫の最適化をサービスで コントロールします。オンデマンド供給に 機能を利用して、高効率・低リスクな調 提供するものです。例えば、東南アジア 対応した自動倉庫などで、在庫・ロジス 達オペレーションのBPOサービスを提供 や中東の市場向けに製品を提供する際 ティクスの最適化、市場リードタイムの最 するものです。物流業務をお客さまの立 に、中国にある工場の生産能力を活用 短化を実現していきます。 場に立って継続的に改善する3PL と するなど拠点ごとの最適在庫やロジス それには、オムニチャネルなどの新た 同様、調達業務をお客さまに代わって行 ティクスネットワークの設計を日立が支 なサプライチェーンも含めた全体の情報 う3PP※6とも呼べるサービスです。 援。販売機会ロスの極小化、キャッシュ 管理と、迅速にモノを届ける物流セン フロー改善などのバリューを継続的に提 ターの自動 化 技 術 が 欠 か せません。 イムの長さからどうしても欠品・過剰在 供していきます。 日立は、IoTプラットフォーム 「Lumada」に 庫のリスクが避けられません。そこで本 ※7 Key Performance Indicator:重要業績指標 よって、これらのサービスを迅速に構築・ ※5 たとえば国際調達では、そのリードタ ルマーダ 提供します。また、物流拠点と倉庫設計 サービスでは、お客さまの生産計画とサ プライヤーの生産状況、発注された部 流通ロジスティクス の最適化を支援するシミュレーション・人 品の輸送状況などをリアルタイムに把握 高度化サービス 工知能技術や、物流業務の情報をタイ することで発注量と時期の精度を上げ、 (製造流通・製造小売業向け) する可視化・アナリティクス技術、倉庫内 調達業務におけるさまざまなオペレー ションコストやリスクを改善し、お客さまの ムリーに集約して経営判断をスピード化 商品と消費者の接点である店舗で、 作業を効率化・自動化する小型・低床 ラック ル コア業務への集中を実現します。さら 消費者が欲しい商品が品切れを起こし 式無人搬送車「Racrew」など、さまざま に、お客さまの海外展開に合わせ、国 ては、せっかくの販売機会を失ってしま な最先端クラスの技術を保有していま 内で取り引きしていた優良サプライヤー います。そこで流通ロジスティクス高度 す。 こうしたITとロジスティクスのシナジー の海外進出を海外共同工場・共用設備 化サービスでは、多様化するお客さま で、お客さまの次世代ビジネスをスピー の 提 供・運 用 など で サ ポ ートす る ニーズに対応し、欲しいときに欲しい数 ディーに最適化していきます。 Factory as a Serviceの提供も予定し 量の商品を用意し、在庫リスクや品切 ています。 れによる販売機会のロスをなくすデマン 日立グループの構造改革プロジェクト ドチェーンの最適化と、その基盤となる で培ったノウハウと、 リアルなグローバル 物流センターの高度化を支援していき 物流ネットワーク、最先端クラスのITプ ます。 ラットフォームなどを生かして提供される ※5 Third Party Logistics ※6 Third Party Procurement ■グローバル在庫最適化サービス 本サービスは、複数の分散した海外 生産拠点・販売拠点を持つお客さまに 「バリューチェーン・ロジスティクス サービ ■物流センター高度化/ ス」。日立はグローバルサプライチェーン デマンドチェーン最適化サービス 全体の効率化と最適化を通じ、お客さま 対し、価格変動や需要変動などに対応 本サービスは、 メーカー/販社の生産・ したサプライチェーンの最適化設計や 販売計画、店舗の在庫・売り上げ状況、 KPI を設定するコンサルティングを実 消費者の嗜好や購買履歴などのパーソ ※7 し こう との協創によってイノベーションを実現し ていきます。 お問い合わせ先 (株)日立製作所 社会イノベーション事業推進本部 https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/totalsolutions/logistics/form.jsp 5 はいたっく 2016.9 All Rights Reserved,Copyright ©2016,Hitachi,Ltd. ■ 情報提供サイト http://www.hitachi.co.jp/products/ts_logi/
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