脱・都会! 地方に移住した若者たち 大阪→鳥取県米子市・大山町 小栗かおるさんの場合 Part2 総務企画部 広報・情報システム室 TEL 082-224-5618 このコーナーでは、東京や大阪などの都会から、地方に移住し、充実した生活を送っ ておられる方をご紹介します。 連載第6回は、大阪から鳥取県米子市にIターンされ、大山町にて結婚式場を営む (株)プリムローズガーデン 代表取締役 小栗かおるさんにお話を伺いました。 小栗さんは、生まれは三重県尾鷲市。大 阪府にて就職をされたのですが、24歳の 時にイギリスに3年間留学。本場のガーデ ンデザインを学ばれました。 今は、大山の麓にある結婚式場、(株)プ リムローズガーデンの代表取締役として活 躍。1000組余りの結婚式をプロデュー スし、インターネットの口コミサイトで2 015年鳥取県総合ランキング 1 位を獲得 されています。 最終回となる今回は、会社の取り組みや 今後の目標など教えて頂きます。 Part1 を読まれていない方は、旬レポ中国地域8月号「小栗かおるさんの場合 Part1」 をご覧ください。 大山町の環境と人 --ご苦労された点はどのようなことでしょう? 資金面でしょうか。お金に苦労したというより、調達するノウハウが分からないという状態でした。今 でこそ中期計画書など作成できるようになりましたが、創業した当時は場当たり的でした。でも場当た り的でなかったら創業できてないんです。怖いですから。 旬レポ中国地域 2016 年 9 月号 1 絶対に、このガーデンの環境に助けられていると感じます。環境がお客様を呼んでくれる、だから投 資をしても売上げが上がるという自信が絶対にありました。とはいえ、そこには人、つまりスタッフの彼女 たちが居るから事業ができています。 --若い女性は、結婚等で職を離れることが多いのでは? 当社は離職率が非常に低く、9割が既婚女性です。それが今やっぱりうちの強みになっていると思 います。今、手狭になったため事務所を増築していますが、それに併せて彼女たちが安心して子どもと 一緒に働ける職場の環境作りをしたいと思っています。具体的には、事務所にガラス張りの子どもの 部屋を作る計画を考えています。 スタッフにはまだ子どもはいないのですが、そういう体制を作ることで、当社の歴史を知っているベテラ ンのスタッフに戻ってきてもらいたい。若いスタッフとベテランのスタッフが融合して一緒にやっていければ もっと強い会社になると思っています。 --それが技術の継承につながりますね。 今のスタッフたちが辞めて、一から新しいスタッフを育てるには、絶対に時間が掛かります。ところが 結婚式というのは最終的には人が作るもので、そしてやっぱりお客様の決め手も最終的には人です。 当社はやっぱりその強みがあるからこそ、口コミでナンバーワンになれたと思っています。 ウェディングプランナーの方々 [写真提供](株)プリムローズガーデン ウェブサイト より 会社の理念を常にベースに --今、特にこだわっている点は何でしょう? 理念唱和とよく言いますが、私は理念を唱えさせるだけではだめだと思っていて、会社の思いをスタ ッフに理解してもらうことが大切だと思っています。そこで、会社の取り組みとして、「育みガ-デニング」 と称して2か月に1回、私を筆頭に従業員全員でユニフォ-ムに着替え、ガ-デンの庭造りをしてい ます。 旬レポ中国地域 2016 年 9 月号 2 理念の体感というのでしょうか、「プリムロ-ズ ガ-デンは地域の宝、訪れる全ての人に安らぎ のあるガ-デン作りを提供します」というところに 通ずるのですが、誰かが整備してくれた庭という よりも、自身がそこに手を加えたからこそ、咲いた お花に愛情が深まりますし、「当社だからこそ」と いうことが体感できます。 --スタッフに何か変化がありましたか? 大きく変わりました。特にお客様に対するト-ク、そして庭に対しての思いが変わりました。それが結 果としてお客さまのウェディングにつながっている。さらには、結婚式を挙げる時期に咲く花を私たちと一 緒に植えたいという新郎新婦さんも出てきて、そこではお客様と私たちのふれあいも生まれました。こう いったことが最終的に当社をオンリーワンの結婚式場としていると思っています。 --理念がビジネスにつながっていますね。 どこでオンリ-ワンを出すかというところを考えないとい けないと思います。人でも環境でもそうですが、やっぱり、 そこでできた物を使うことによってオンリ-ワンができます。 --会社のPRはどのようにされているのですか? PRはインターネットの口コミサイトだけで、ほとんどし ていません。無駄な広告宣伝をするよりも、こういう口コ ミサイトで1位になることにこだわるほうが早い。だからこ そ1件1件の結婚式をきっちり満足していただく。そこに いる未来の花嫁、花婿にも、「自分が結婚する時はここ に見学に来よう」と思ってもらいたい。だからこそ、一つ一 つの結婚式に対して当社だからこそのこだわり、そしてプ ランナ-の人材育成というのは欠かせません。 結局は自分の志次第 --今、行政は移住者や創業者を増やそうとしていますが。 私は、結局その人の思いだと思います。誰かが何かをしてくれるからではなく、自分がどうありたいか、 どうしたいかという思いで、全てが変わってくると思います。 自分がどうありたいか、どういうことをやってみたいという志をしっかりすることで初めて周りの人の応援 がある、そう思う方がいいです。その志が無かったらスタッフの人、ましてや周りの人は巻き込めないで す。そこが絶対大事だと思います。 旬レポ中国地域 2016 年 9 月号 3 --御社は県から経営革新計画の承認も受けました。 当社がいろいろ取り組んだ結果としてそういうこととなりました。計画書を書く際には商工会の方に 手伝っていただきました。商工会は地域の企業をとてもサポ-トくださる所で、その枠組みはすばらし いと思います。 --I・Uタ-ンをしようとする方に一言あれば。 さっきの話に戻りますがどこに行ってもどの場所にいっても志、つまり、その人の思いがすべてだと思い ます。 私はガーデンでの仕事のために鳥取県に来たので「Iタ-ン」と呼ばれてもピンと来ませんが、この 場所だからこそ来たというのも有ります。鳥取県、そして大山の魅力。このような山があって、近くには 海があるという環境というのはなかなか無いと思います。ここは空気もきれいですし、食べ物も美味し い、本当に素晴らしいところなので、Iタ-ンをする魅力がとてもある場所です。 --最後に、今後の目標をおしえてください。 最終的には、地域の人に「ああ、ここがあってよかったな」 と思えるような企業にしていきたい、と思っています。 私は、この会社の事業ドメインを「癒やしと感動のライフス テ-ジを創造する企業」と位置づけています。単なる結婚 式場で終わるのではなくて、「癒やし」、つまりここに来たら癒 やされ、「感動」は結婚式、「ライフステ-ジ」は、いい意味 でのライフステ-ジで利用していただける、そんな企業にした いと思っています。 結婚式はその中でも一番大きな事業として確立している のでそれを上手く利用し、例えばコンサ-トもその一つです が、ここでもっといろんな集いを催すことができればと思ってい ます。 2回にわたってお届けした小栗さんのIタ-ンはいかがでしたでしょうか。 プリムローズガーデンの魅力は、ロケーションだけでなく、人材育成からも生まれて いるということで大変勉強になりました。ガーデンを結婚式場以上の存在にすることを 思い描かれており、今後のご活躍が益々楽しみですね。 素晴らしい英国調の庭を拝見でき、カフェもありますとのこと。皆様も米子方面に行 かれる際には、一歩足を伸ばしてみられては。 次回以降もこの連載は続きます。ご期待ください。 経済産業省 中国経済産業局 広報誌 旬レポ中国地域 2016 年 9 月号 Copyright 2016 Chugoku Bureau of Economy , Trade and Industry. 4
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