ブロードキャストアジア 2016

「ブロードキャストアジア 2016」
神谷 直亮
放送と通信の総合展「ブロードキャスト
開幕講演の後、サンズの 4 階、5 階に設
ていた。
アジア 2016 ( 以下、BA2016)」
「コミュ
営された第 22 回「BA2016」会場を回っ
も う 1 点、 興 味 を 引 い て い た の は、
ニックアジア 2016(以下、CA2016)
」
てみたら、日本からの出展者として、ソニー、
「BA2016」初出展の超高感度カメラ「ME-
が、
5 月 31 日から 6 月 3 日までの 4 日間、
キヤノン、池上通信機、NEC、朋栄、リー
20F-SH」である。肉眼では見えない暗闇で
シンガポール市内のマリーナ・ベイ・サンズ・
ダー電子、ヤマハ、パナソニックが目につ
も超低ノイズのカラー動画が撮影できると
コンベンション・センター(以下、サンズ)
いた。
いうので、熱心に見入っている来場者が多
で開催された。アジア最大級のこのコンベ
ソニーは、5 階に最大のブースを構え、
かった。
ンションは、毎年シンガポール政府の情報
最新のカメラ、IP ライブ、4K OLED モニ
通信開発局とメディア開発局が主催して行
ターを前面に押し出していた。2K 4K カ
池上通信機は、昨年、NHK 技研と共同
われている。事務局の発表によれば、今年
メラについては、数えきれない位たくさん
開発した 8K カメラ「SHV-8000」を出
は、
「BA2016」と「CA2016」を合わせ
展示されており、最もアピールしたい製品
展して注目を集めたが、今年は、ライブイ
て 53 か国から 1,741 社・団体が出展し
はどれかと聞いてみたら、
「4K CMOS セ
ベント向きという 2/3 型 3CMOS センサ
たという。
ンサーを搭載したショルダーカムコーダー
ーを搭載した 4K ポータブルカメラ「UHK-
PXW-Z450」との回答であった。このカ
430」を初公開した。ドバイで 3 月に開催
本稿では、まず、恒例の開幕セレモニー
メラは、2/3 型 B4 レンズマウントに対応
された「CABSAT 2016」と 4 月の「2016
に触れ、次いで「BA2016」会場におけ
できるという。
NAB ショー」で評判になったこともあり、
る主だった出展内容についてレポートする。
「AIMS」のステッカーが張られた IP ラ
ブースには大勢の来場者が押しかけていた。
併催された「CA2016」に関しては、別稿
イブのコーナーでは、マルチフォーマット・
地元シンガポールで雇われたというセール
を参照願いたい。
ビデオ・スイッチャー「XVS-8000」とシ
スマンは、
「アジア全体で見れば、4K はま
初日の朝に開催された開幕セレモニーに
グナル・プロセッシング・ユニット「NXL-
だ早いかもしれないが、先行投資を行う顧
は、シンガポール政府を代表してヤーコブ・
FR318」が紹介された。
「XVS-8000」は、
客も少なくない」と語っていた。
イブラヒム情報通信大臣が登壇した。同大
IP インターフェースをサポートし、5 M/
予想外だったのは、池上通信機のブース
臣は「シンガポールは、昨年、独立 50 周
E、40 入力、12 出力を実現する。
「NXL-
に、デジタル・マイクロウェーブ・リンク
年を祝った。次の 50 年を視野に入れた喫
FR318」には、SDI-IP コンバータボード
「PF-531A」 が 展 示 さ れ た。6.4GHz ∼
緊の目標は、世界初のスマート・ネーショ
「NXLK-IP40F」が搭載されているという。
8.5GHz の帯域で超低遅延伝送を実現する
ンを創り上げることである」と強調した。
不思議だったのは、ソニー自身が提唱して
システムで「雨の多いアジアでも切れるこ
この目標を達成するための第一弾として作
いるプロトコル、
「NMI」の表示が見当たら
とはほとんどない」とのことであった。
成したというのが「インフォコム・メディ
なかった。
ア 2025」計画で、
「これに基づき、シン
55 型業務用 4K OLED マスターモニタ
NEC は、H.265/HEVC リアルタイム低
ガポールに、最先端の、かつ最も競争力の
ー「BVM-X550」 を 2 台 使 っ た SDR と
遅延エンコーダ「VC-870」
、同デコーダ
あるインフォコム・メディアのエコシステ
HDR の比較デモは、特設された暗室で行わ
「VD-870」を並べ「このコンパクトなコー
ムを構築する」と語った。具体的には、
「金
れ、大勢の来場者の注目を集めていた。
融インフォコム・システムの増強」
「ソーシ
デックで 4:2:2、10 Profile Level 4.1 の
符号化・復号化が実現できる」とアピール
ャル・ネットワーク拡大のための高機能・
キ ヤ ノ ン は、
「4K UHD DIGISUPER
していた。遅延は、
「ウルトラ遅延モードで
高性能ハブの構築」
「デジタル・メディア・
90」 を 中 心 に 据 え て ブ ー ス を 構 成 し て
14.5msec ∼ 300msec」とのことであ
テクノロジーの融合促進」
「世界最高レベル
い た。4K カ メ ラ を サ ポ ー ト す る こ の 巨
った。同社のブースには、市場のニーズに
の研究機関での有能な人材の育成」の 4 点
大なレンズは、世界最高の Zoom Ratio
合わせたという H.264 超遅延コーデック
を挙げた。直近の興味深いプロジェクトと
(90x)と世界最長の Focal Length (810
「VC-7710」
「VD-7710」 も 展 示 さ れ て
して引用されたのは、
「屋外グリーン Wi-Fi
事業」である。同国のセントサ島を対象に
mm) を誇っている。ブースの説明員は、
「このフラッグシップレンズの他に、4K
いた。こちらの方の遅延については、
「ウル
トラ遅延モードで 10msec ∼ 120msec」
して、全島に太陽光発電による広域屋外型
UHD DIGISUPER 86、CJ20e x 7.8B、
と語っていた。
Wi-Fi スポットを完成させるというものだ。
CJ12e x 4.3B も取り揃えている」と語っ
朋栄は、4K スーパースロー・ライブプ
22
FDI・2016・08
写真 1 ソニーは、4K CMOS センサーを搭載したショルダーカムコー
ダー「PXW-Z450」を熱心に売り込んでいた。
写 真 2 キ ヤ ノ ン は、 巨 大 な「4K UHD
DIGISUPER 90」レンズを中心に据えてブースを飾
っていた。
写真 3 パナソニックは、VR コンテンツ撮影用と思わ
れる 360 度カメラのプロトタイプを披露して来場者の
意表を突いた。
ロダクション関連の「FT-ONE-S」カメラ
製品に大きなスペースを割いており、今年
れていた。ブースの説明員は、
「AIMS に参
と「FT-1RU」リモート・コントローラ・
はリオ五輪のスポンサーとして、どのよう
加し、8K も含め多様化するフォーマット
ユニットに加えて、新製品としてビデオ・
な製品を揃えるのか期待が高まっていたが
を経済的に取り扱えるエコシステムの構築
フリッカー・コレクター「FC-ONE」を紹
裏切られてしまった。
に注力している」と語っていた。
介した。どちらのデモも来場者の目を引き、
今回、パナソニックが打ち出した未来志
ブースは、非常に立て込んでいた。
向の展示の一例は、間もなく実現するとい
リ ー ダ ー 電 子 は、4 系 統 の 3G-SDI
う 8K フルフレームカメラ「X-AU-V3U」
信号を同時に測定可能なラスタライザ
を使った ROI(Region of Interest)シス
「Glass to Glass IP」を旗印に掲げて、放
「LV7390」をアジア向けの新製品として
テムのデモである。ROI は、その名称の通
送局やプロダクションスタジオを対象にし
訴求した。ブースの説明員は、
「4K にもも
り複数の 8K カムコーダを並べて多様な角
た IP ソリューションを熱心に提案してい
ちろん対応が可能」と説明していた。
度から撮影したライブ映像の中から、必要
た。カメラ、ルーター、サーバー、プロダ
ヤマハは、
「真のフラッグシップ・モデ
な部分を抜き出してフル HD 映像として使
クションスイッチャーなど、一連のワーク
ル」と銘打った新世代ミキシング・システ
用することができる連動型カメラシステム
フローに SMPTE 2022-6 をベースにし
ム「RIVAGE PM10」を中核に据えていた。
だ。
た IP インターフェースを導入しようという
実演も行われ、担当者全員が「無色透明な
もう 1 つ目を引いたのが、コンパクトな
試みである。
サウンド品質、操作性、機能、拡張性など、
360 度カメラである。説明員は、
「今年ビ
ブースの担当者は、
「グラスバレーは、
あらゆる要素を徹底的に磨き上げた自慢の
ジネスが期待できる VR 用に開発した」と
AIMS の創立メンバーである。また、TICO
製品」と PR に余念がなかった。中でも開
説明していた。まだ、プロトタイプという
4:1 ロスレス・コンプレッションをサポー
発に苦労したのは、
「ハイブリッドマイクプ
ことで、詳しい技術仕様は公表されなかっ
トしている」と強調していた。これに対し、
リアンプ」とのことであった。
たが、パナソニックの 4K ウェアラブルカ
エバーツは、同社独自の ASPEN プロトコ
パナソニックは、サンズ 4 階の最も奥ま
メラを 6 ∼ 8 台連動させることで、没入感
ルに基づく IP インターフェースの PR に余
った場所に、こぢんまりとしたブースを設
のある超高精細映像の撮影を実現させよう
念がなかった。
営して、意表を突く未来志向の展示とデモ
としているように思われた。
を実施した。昨年は、ハンディカム、プロ
4K 12Gbps 伝送を視野に入れた IP ラ
ジェクター、ディスプレーなど、即売れる
イブ伝送システムの展示とデモにも力を入
日本以外の企業では、グラスバレーとエ
バーツが注目を集めた。グラスバレーは、
Naoakira Kamiya
衛星システム総研 代表
メディアジャーナリスト
23
FDI・2016・08
「コミュニックアジア 2016」
神谷 直亮
前述「ブロードキャストアジア 2016
は、すでにアジア広域に配信を始めてい
United TV のスポーツイベントのハイライ
(以下、BA2016)
」の併催イベントとし
る「 フ ァ ッ シ ョ ン TV 4K」
「インサイト
トである。欧米と日本が本格的に取り組み
て「 コ ミ ュ ニ ッ ク ア ジ ア 2016( 以 下、
4K」の再生デモに加えて、4K HDR(ハ
始めている HDR 市場に、早々とマレーシ
CA2016)
」 が、 マ リ ー ナ・ ベ イ・ サ ン
イダイナミックレンジ)の特別デモを実施
アの事業者が参入を試みていたのは、今回
ズ・コンベンション・センター(以下、サ
していた。この特別デモに協賛したのは、
の最もうれしい発見であった。
ンズ)の 1 階と 3 階を使って行われた。
ATEME(HEVC エンコーダ)
、
BBright(プ
「BA2016」の主役は、日本の放送機器メー
レイアウト)
、MStar(STB)
、Newtec
ミアサットのすぐ隣にブースを構えたス
カーであったが、
「CA2016」の展示会場
(モデム)
、ソニー(75 型 4K HDR テレ
カイパーフェクト JSAT は、総務省が発表
には、世界の衛星通信・衛星放送事業者が
ビ )の 5 社である。ブースの担当者によれ
した 4K8K ロードマップで日本の全体像を
19 社集結して、各社特有の戦略と最新鋭
ば、
「クアラルンプール郊外にあるサイバー
示したうえで、5 月 1 日に開局したばかり
のシステムを披露した。
ジャヤ放送センターからミアサット 3a 衛
の
「4K 体験」
のコンテンツを公開した。サッ
中でもウルトラ HD(4K)戦略に注力
星にアップリンクし、サンズの屋上に設置
カーのスローモーション高精細映像が繰り
しているミアサット、アジアサット、スカ
した直径 3m のアンテナで受信している」
返し再生され、見入っている来場者が多かっ
イパーフェクト JSAT、ユーテルサット、
とのことであった。HDR のフォーマット
た。興味深かったのは、この 4K スローモー
SES の 5 社による競演が目を引いた。
を聞いてみたら「ドルビービジョンの PQ」
ション映像の方が、ミアサットの 4K HDR
と答えていた。上映されたコンテンツは、
映像より人気を得ていた。
Clubbing TV が制作したライブ音楽番組と
香港に本社を構えるアジアサット社は、
マレーシアから出展したミアサット社
すでにアジアサット 4 衛星で配信を始めて
いる「4K Sat」と新しく開局したばかり
の「4K Sat-2」のデモを実施した。
「4K
Sat」 の 目 玉 番 組 は、
「Fashion TV 4K」
「Love Nature」で、
「4K Sat-2」は、ハー
モニックがアメリカで提供を始めた「NASA
TV 4K」の専門チャンネルだ。
フランスを本拠とするユーテルサット社
は、大手企業の PR 用に制作した一風変わっ
た 4K コンテンツを紹介していた。社名は
写真 1 マレーシアのミアサット社は、すでにアジア広域に
配信している 2 チャンネル 4K コンテンツの再生デモを実
施した。
写真 2 ミアサット社は、さらに 4K HDR コンテンツの衛
星中継を実現して来場者の注目を集めた。
公表されなかったが、自動車メーカーや衛
星メーカーの工場の生産ラインや仕上がっ
た製品の高精細映像とその詳しい説明が中
心であった。放送以外の 4K ビジネスに活
路を見出そうという試みと思われた。
ルクセンブルグを拠点にして世界展開を
行っている SES 社は、コマーシャルベー
スとデモベースを合わせて、すでに 24 チャ
ンネルの配信を請け負っており、今回、こ
れらの 4K コンテンツのハイライトを次々
に披露した。最新のコンテンツを確認した
ら「ボディペインティング」
「スケートボー
写真 3 スカイパーフェクト JSAT は、
「4K 体験」で放送している
サッカーのスローモーション映像を再生して来場者を魅了した。
24
FDI・2016・08
写真 4 アジアサット社は、
「4K Sat」プラットフォー
ムで配信中の「Fashion TV 4K」目玉にしていた。
ド」
「バレー」
「武術」を挙げていた。どぎ
つい色のペイントを女性のボディに塗りま
くる「ボディペインティング」と、動きの
送への取り組みを聞いてみたら「まだ尚早
を練っているようである。
極めて速い「スケートボード」の 2 本が非
と判断している」との回答であった。
インマルサット社は、同社の第 5 世代衛
常に印象的であった。
星の売込みと共に、従来の L バンドを使う
既述の 5 社以外に今回、ブースを構えた
中国のチャイナサット社は、すでに運用
新しいサービスとして、UHF を L バンドに
のは、インテルサット、KTSat、アジア放
中の 4 機の衛星に加えて、2017 年に打
変換してインマルサット衛星経由で目的地
送衛星(ABS)
、チャイナサット、APT サ
ち上げを予定している「チャイナサット
に伝送し、ここで L バンドから UHF に戻
テライト、タイコム、Gazprom、インマル
9A」
、
「同 16」
、
「同 17」の PR を展開した。
して通信を実現するというデモを行ってい
サット、シングテル、グローバルスター、
特に注目されるのは、中国初の Ka バンド
た。狙いは、
「遠隔地のトランシーバー間の
O3b ネ ッ ト ワ ー ク ス、 ロ シ ア 衛 星 通 信
衛星となる「チャイナサット 16」と言える。
簡易なコミュニケーションの実現」とのこ
(RSCC)イリジウム、スラーヤの 14 社で
まだ、手の内を公開していないが、アメリ
とであった。
ある。
カで普及しているバイアサット衛星やジュ
グローバルスター社は、
「SPOT GEN3」
インテルサットは、ブースのモニターで
ピター衛星に類似したブロードバンド・イ
と名付けた端末を展示して、
「携帯電話不感
同社が配信している「NHK ワールド」
「BBC
ンターネット・サービスを始めるのではな
地帯に入り込んだ際の人命救助の手助けに
ワールド」の番組を紹介する傍ら、超高速
いかと思われる。
なる」との説明を行っていた。よく見ると
大容量衛星(EPIC)
、小型低軌道周回衛星
香港を拠点とする中国系の APT サテラ
端末に 5 つのボタンが付いており、このう
(OneWeb)
、平面アンテナの PR に余念が
イト社は、自社の 5 機の衛星の他に「ラオ
ちの 1 つが S.O.S. ボタンと表示してある。
なかった。EPIC シリーズの第 1 号衛星と
スが打ち上げたラオサット衛星のトラポン
絶体絶命の状態に陥った時にこれを押すと、
なった「インテルサット 29e」については、
販売を支援している」と、意表を突く発言
GPS によるロケーション情報がグローバル
「リオデジャネイロ・オリンピック・パラリ
をしていた。
「APStar-L」という名称がつ
スター衛星経由で救命本部に伝わる仕組み
ンピックの映像伝送に最適」と売り込んで
いていたこの衛星は、中国で製作され、昨
になっていた。
いた。出資先のカイメタ社が鋭意開発中で、
年 10 月に長征ロケットで打ち上げられた
O3b ネットワークスは、赤道上空の中
期待が大いに高まっている平面アンテナに
ばかりである。中国、ラオス両政府に頼ま
軌道に 12 機の Ka バンド周回衛星を打ち
ついては、ホログラムを駆使した変わった
れて、支援を断れなかったものと思われる。
上げてブロードバンドサービスを提供して
プレゼンテーションを行って来場者の注目
タイのタイコム社は、会期直前の 5 月
いる。今回、ブースの担当者は、
「さらに
を集めた。
28 日に待望の「タイコム 8」衛星を打ち
追加の 8 機をフランスのタレス・アレニ
韓国の KTSat 社は、東経 113 度で「コ
上げたばかりで、ブースはお祝いムードで
ア・スペースで製作中である。打ち上げは、
リアサット 5」
、116 度で「同 6」
、75 度
あった。この衛星は、アメリカのオービタ
2017 年から始めて、待望の 20 機体制に
で「同 8」の 3 機の衛星を運用中である。
ル ATK 社で製作され、搭載されている 24
する」と語っていた。Ka バンド衛星なので
ブースで確認したところ、後継機として「コ
台の Ku バンド中継器は、主に自国の衛星
降雨減衰について聞いてみたら「直径 4.5m
リアサット 5A」と「同 7」を、フランス
放送とインドの衛星放送用に提供されると
のアンテナで追尾する条件で、99.7% の
のタレス・アレニア・スペース社で製作中
のことであった。
運用実績となっている」と答えていた。
とのことであった。注力しているアプリケー
Gazprom 社 の ブ ー ス で は、 同 社 の
地元シンガポールのシングテルは、同社
ションを聞いてみたところ「KT スカイラ
「Yamal-401」衛星を使って 4K の伝送試
の ST 衛星を駆使する海上ブロードバンド
イフの 4K 放送と船舶・航空機向けの移動
験を実施したという面白い話を聞くことが
サービスを売り込みに余念がなかった。同
体通信」と答えていた。
できた。この伝送には、NEC が開発した
国は、衛星放送の個別受信を認めていない
ABS 社は、昨年 3 月に西経 3 度に打ち
「VC − 8150」HEVC エンコーダと「VD-
ので、移動体衛星通信に活路を見出してい
上げた ABS-3A 衛星の売込みに躍起になっ
8100」デコーダが使用され、コンテンツは
ていた。ヨーロッパ、
中東、
アフリカをカバー
ロシア公共放送が提供したという。ロシア
する Ku バンドビームとアフリカ、南米を
では、すでにユーテルサット衛星によるト
カバーする C バンドビームを搭載しており、
ライカラー社の 4K 放送が始まっており、
中継器の数は 48 台と語っていた。4K 放
Gazprom も真剣になってビジネスプラン
るようであった。
Naoakira Kamiya
衛星システム総研 代表
メディアジャーナリスト
25
FDI・2016・08