PKS(アブラヤシ殻)の輸入状況 2016 年 9 月 株式会社FTカーボン 1. 概要

輸入バイオマス燃料の状況
2016 年 9 月
株式会社FTカーボン
(注)2016 年 9 月号から、発電用の輸入バイオマス燃料として想定されている、木質バイオマス(木質ペレット、
木質チップ)のデータも追加しました。
目
次
1.
概要 ....................................................................................................................................... 2
2.
PKS ....................................................................................................................................... 3
3.
4.
5.
2.1.
PKS の輸入動向............................................................................................................. 3
2.2.
2016 年の PKS の輸入動向 ........................................................................................... 4
2.3.
PKS の輸入単価............................................................................................................. 5
2.4.
PKS を燃料利用するバイオマス発電所 ........................................................................ 6
木質ペレット ......................................................................................................................... 7
3.1.
木質ペレットの輸入動向 ............................................................................................... 7
3.2.
2016 年の木質ペレットの輸入動向 ............................................................................... 8
3.3.
木質ペレットの輸入単価 ............................................................................................... 9
(参考)木質チップ ............................................................................................................ 10
4.1.
木質チップの輸入動向 ................................................................................................. 10
4.2.
2016 年の木質チップの輸入動向................................................................................. 11
4.3.
木質チップの輸入単価 ................................................................................................. 12
2030 年のバイオマス発電の導入見込量 ............................................................................. 13
本レポートにおける記載は、弊社独自の分析であり、弊社の見解で記載しております。本レポ
ートの記載内容を引用するなどして損害を被った場合でも、一切の責任は負いませんので、ご
了承ください。
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1. 概要
FIT 制度を利用したバイオマス発電の建設が各地で行われているが、国内産の木質バイオマ
ス燃料の供給には限界があるとして、PKS など輸入バイオマス燃料の利用を計画する発電所が
増加している。
(1)PKS
2015 年の輸入量は 2014 年比 1.9 倍の約 46 万トン。国別では、インドネシアが 56%、マレ
ーシアが 44%。輸入価格は、インドネシアの関税引き上げの影響もあり、やや上昇。2015 年
10 月以降、輸入量が月 5 万トンを超えることが多くなり、2016 年の輸入量も前年比で約 2 倍
程度になる見込み。
(2)木質ペレット
2015 年の輸入量は 2014 年比 2.4 倍の約 23 万トン。国別では、2014 年までは、北米が中心
であったが、2015 年はアジアが顕著に増加。北米 63%、アジア 37%。輸入価格は下落傾向。
2015 年 10 月以降、輸入量が月 3 万トンを超えることが多くなり、2016 年の輸入量も前年比で
約 2 倍程度になる見込み。
(3)木質チップ
2015 年の輸入量は 2014 年比微増の約 1,200 万トン。国別では、アジア 38%、オセアニア
24%、北米 20%。輸入価格は下落傾向。2016 年の輸入量は同程度になる見込み。
(注)バイオマス発電所における輸入木質チップの燃料利用の拡大が見込まれていますが、輸入される木質チップは、これ
までは主に製紙の原料として輸入されています。一般的に、製紙用の木質チップは燃料用の木質チップに比べて良質で
す。以下のデータは、それらの用途の輸入量を多く含むため、参考データとしてご活用ください。
2
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2. PKS
2.1. PKS の輸入動向
PKS の輸入量は、年々増加し、2015 年の輸入量は約 46 万 t(前年比約 1.9 倍)
。
インドネシアが 56%、マレーシアが 44%。
500,000
450,000
400,000
エクアドル
350,000
アメリカ
300,000
フィリピン
タイ
(t)
250,000
中国
インドネシア
200,000
マレーシア
150,000
100,000
50,000
0
2012年
図 1
2013年
2014年
2015年
(出典)財務省貿易統計
直近 4 年間の国別の PKS 輸入量
3
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2.2. 2016 年の PKS の輸入動向
2015 年 10 月から月間輸入量がおおむね 4 万トンを超える水準で推移。
2016 年は 2015 年を上回る輸入量で推移しており、年間輸入量は、2015 年比 2 倍程度
の 70~100 万 t 程度と予想される。
PKSは年中安定的に発生するが、日本の輸入量は夏季に少なく、冬季に多い。
80,000
70,000
60,000
50,000
2015年輸入量
(t) 40,000
2016年輸入量
30,000
20,000
10,000
0
1月
2月
3月
図 2
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
2015 年と 2016 年の各月の PKS 輸入量
(出典)財務省貿易統計
4
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2.3. PKS の輸入単価
2015 年の PKS の輸入単価は、やや上昇し、12.7 円/kg。インドネシアは、2015 年に
従量税の関税を導入したことで、価格が上昇し、2015 年時点では、インドネシアとマレ
ーシアで大きな価格差はなくなった。2016 年 7 月は前月比 0.3 円下落し、10.0 円/kg。
表 1
直近 4 年間の国別の PKS 輸入単価(単位:円/kg)
マレーシア
インドネシア
中国
タイ
フィリピン
アメリカ
エクアドル
加重平均
2012年
8.6
9.8
2013年
12.8
10.7
2014年
12.4
11.8
2015年
12.7
12.8
32.5
23.3
23.0
46.2
9.2
11.8
13.7
12.7
12.1
(出典)財務省貿易統計に基づいて計算
(t)
(円/kg)
100,000
20.0
90,000
18.0
80,000
16.0
70,000
14.0
60,000
12.0
50,000
10.0
40,000
8.0
30,000
6.0
20,000
4.0
10,000
2.0
マレーシア輸入量(左軸)
インドネシア輸入量(左軸)
マレーシア輸入単価(右軸)
インドネシア輸入単価(右軸)
0
総平均単価(右軸)
0.0
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
図 3
2016 年の各月の PKS 輸入量と単価推移
(出典)財務省貿易統計
5
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2.4. PKS を燃料利用するバイオマス発電所
20 か所程度のバイオマス発電所で、PKS が利用される計画。
数字は発電出力
(単位1,000kW、100の
単位で四捨五入)
◎稼働済み(FIT前)
○稼働済み(FIT後)
■2016年度稼働予定
●2017年度以降稼働
予定or詳細不明
■34
●12
■20
■14
●50
PKSの輸入税関
(年千t以上)
◎30
■7
▲13
●75
●25
●50
◎13
○10
●22
○17
■57
■20 ●22
■45
○49
○9
○18
図 4 PKS を利用するバイオマス発電所
(出典)各種報道資料等から㈱FTカーボン作成
6
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3. 木質ペレット
3.1. 木質ペレットの輸入動向
木質ペレット輸入量は、2014 年までは微増傾向であったが、2015 年に大幅増となり、
2015 年の輸入量は約 23 万トン(前年比約 2.4 倍)
。
2014 年までは北米からの輸入が中心であったが、2015 年にはアジアからの輸入が増加。
北米 63%、アジア 37%。
25
20
オセアニア
アフリカ
15
南米
北米
(万t)
欧州・ロシア
10
アジア
5
0
2012年
図 5
2013年
2014年
2015年
(出典)財務省貿易統計
直近 4 年間の地域別の木質ペレット輸入量
7
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3.2. 2016 年の木質ペレットの輸入動向
2016 年は 2015 年を上回る輸入量で推移しており、月間輸入量が 3 万トンを超える月
が多い。
年間輸入量は、2015 年比 2 倍程度の 35~40 万トン程度と予想される。
6
5
4
2015年輸入量(木質ペレット)
(万t) 3
2016年輸入量(木質ペレット)
2
1
0
1月
2月
3月
図 6
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月
2015 年と 2016 年の各月の木質ペレット輸入量
(出典)財務省貿易統計
8
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3.3. 木質ペレットの輸入単価
2015 年の木質ペレットの輸入単価は、下落し、23.8 円/kg。
輸入量の多いアジアと北米で価格に大きな差はない。
2016 年は価格が大きく下落しており、2016 年 7 月は 19.4 円/kg。
表 2
直近 4 年間の地域別の木質ペレット輸入単価(単位:円/kg)
2012年
16.2
49.8
21.8
アジア
欧州・ロシア
北米
南米
アフリカ
オセアニア
加重平均
2013年
18.4
116.3
24.0
2014年
17.0
70.1
27.3
2015年
23.4
38.4
23.9
23.4
31.2
26.7
23.8
25.3
21.5
(出典)財務省貿易統計に基づいて計算
(万t)
(円/kg)
6
30.0
5
25.0
4
20.0
3
15.0
2
10.0
1
5.0
輸入量(左軸)
0
輸入単価(右軸)
0.0
1月
2月
3月
図 7
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
2016 年の各月の木質ペレット輸入量と単価推移
(出典)財務省貿易統計
9
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4. (参考)木質チップ
(注)バイオマス発電所における輸入木質チップの燃料利用の拡大が見込まれていますが、
輸入される木質チップは、これまでは主に製紙の原料として輸入されています。一般
的に、製紙用の木質チップは燃料用の木質チップに比べて良質です。以下のデータは、
それらの用途の輸入量を多く含むため、参考データとしてご活用ください。
4.1. 木質チップの輸入動向
木質チップ輸入量は、微増傾向。特に、アジアからの輸入が増加。
1,400
1,200
1,000
オセアニア
アフリカ
南米
800
北米
(万t)
欧州・ロシア
600
アジア
400
200
0
2012年
図 8
2013年
2014年
2015年
(出典)財務省貿易統計
直近 4 年間の地域別の木質チップ輸入量
10
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4.2. 2016 年の木質チップの輸入動向
2016 年は 2015 年と同程度で推移。
140
120
100
80
2015年輸入量(木質チップ)
(万t)
2016年輸入量(木質チップ)
60
40
20
0
1月
2月
図 9
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月
2015 年と 2016 年の各月の木質チップ輸入量
(出典)財務省貿易統計
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4.3. 木質チップの輸入単価
2015 年の木質チップの輸入単価は上昇し、22.6 円/kg。
アジアからの輸入価格が比較的安い。
2016 年は価格が下落しており、2016 年 7 月は 18.2 円/kg。
表 3
直近 4 年間の地域別の木質チップ輸入単価(単位:円/kg)
2012年
14.7
18.2
18.2
19.1
18.7
19.7
18.2
アジア
欧州・ロシア
北米
南米
アフリカ
オセアニア
加重平均
2013年
17.2
18.2
18.5
21.5
20.4
21.2
19.8
2014年
17.9
17.7
21.5
22.5
21.6
21.7
20.6
2015年
20.7
22.1
25.0
23.7
23.4
23.6
22.6
(出典)財務省貿易統計に基づいて計算
(万t)
(円/kg)
120
30.0
100
25.0
80
20.0
60
15.0
40
10.0
20
5.0
輸入量(左軸)
0
総輸入単価(右軸)
0.0
1月
2月
3月
図 10
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月 11月 12月
2016 年の各月の木質チップ輸入量と単価推移
(出典)財務省貿易統計
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5. 2030 年のバイオマス発電の導入見込量
政府が発表した 2030 年のバイオマス発電の導入見込量では、一般木材、農産物残渣に
よるバイオマス発電が大きく伸びると見込まれており、最大で現状比 390 万 kW(現状比
40 倍)増加する。国内の製材端材の大半は、既にエネルギー利用等されているため、輸
入バイオマス燃料(PKS、木質ペレット、木質チップ等)による発電が想定されている。
しかし、
390 万 kW の発電を PKS で賄う場合には、
PKS が年間 2,000 万 t 程度必要で、
現状の PKS 輸入量が年間 20 万 t 程度の状況において、PKS の輸入量の確保が大きな課
題である。
表 4
2030 年のバイオマス・廃棄物発電の種類別導入見込量
(単位:万kW)
2014年
導入済出力
未利用間伐材等
一般木材、農産物残渣
建設廃材
バイオガス
一般廃棄物等
RPS
合計
3
10
33
2
78
127
253
2030年
見込出力
【最大値】
増加出力
24
400
37
16
124
127
728
21
390
4
14
46
0
475
(出典)総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会(第 8 回)
以上
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