『第 5 回 臨床高血圧フォーラム ~イベントゼロを目指した高血圧個別診療へ

『第 5 回
臨床高血圧フォーラム
~イベントゼロを目指した高血圧個別診療へ~』
開催のご報告
自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門
第5回
臨床高血圧フォーラム事務局長
星出 聡
2016 年 5 月 14 日-15 日の 2 日間、第 5
回臨床高血圧フォーラムが、ステーションコン
ファレンス東京にて、自治医科大学内科学講座
循環器内科学部門苅尾七臣主任教授を会長と
して開催されました(写真 1)。
臨床高血圧フォーラムと秋に行われる高血
圧学会総会との大きな違いは、実地医科の医師
(写真1)開会式にて
が、翌日の診療からすぐさま取り入れることが
できる内容を中心とする、ということにあります。今回のテーマは、
「イベントゼロを目指
した高血圧個別診療へ」で、現在、ガイドラインなどにより、ある程度は均一な高血圧診
療が可能にはなっていますが、より個々の症例に特化した診療を行うことで、更なる心血
管イベント抑制につなげるということがテーマとなりました。なかでも、苅尾教授が高血
圧の臨床研究を開始してからのこだわりである、
“血圧変動性”に特化し、“血圧変動スペ
シャル 390”と銘打ち、1 会場を開会式から閉会式まで、血圧変動性に関連したシンポジ
ウムを行いました。この中で、会長講演では、
「血圧変動より 循環器予防医学へ」という
タイトルで行われました。本講演では、苅尾教授が、いまや第一人者として知られる高血
圧診療や研究の今まで行ってきた軌跡とそのこだわり、また今後の発展や展望を熱く語っ
ていただきました。本シンポジウムに講演を御依頼したアカデミアの先生方には、患者診
療に直接つながる臨床高血圧領域の重要トピックに焦点を当て、臨床研究の最新成績の発
表や解説、見解を発表していただきました。また、今まで我々が共に臨床研究を行ってき
た、常に第一線で高血圧診療を行っている先生を選りすぐり、実際にご自身がこだわる診
療スタイルとノウハウを発表していただきました。加えて、第一線の研究者からは高血圧
診療に必要な最新基礎知識を整理し、今後の臨床への展望を発表していただきました。
特別講演は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金・戦略投資効果局の國井修先生に、
ご講演頂きました。國井先生は、大会長の苅尾教授の自治医科大学の同期生であり、日本
の僻地にとどまらず、世界の僻地への医療支援をグローバルな展開でなされている先生で
す。東日本大震災の時にも、発生直後からユニセフの多大な支援金を持参し、現地で支援
活動を行っています。小生も以前より國井先生のことは存じあげ、会う度にスケールの大
きさに驚かされているのですが、國井先生の、いかに多くの人材と巨額な資金を医療に対
してグローバルに動かすか、という講演内容に、聴衆者の方々から感嘆の声が聞かれまし
た。
今回、新たな試みとして、日本医師会理事の先生の御協力もあり、厚生労働省、食品会
社、学会側が共同して減塩に関するシンポジウムを開催することができました。学会参加
者の減塩に対する思い入れが強く、用意していただいた会場は満員になり、急遽、別室で
の映像配信をさせていただきました(写真 2)。本セッションは御評価頂き、次回の高血圧フ
ォーラムでも企画される予定であると聞いています。
また、高血圧学会のワーキンググループの一つである、
“若手活性化ワーキンググループ”
の企画として、
“高血圧症例検討道場(SKD)ファイト 2016”を行いました(写真 3)。事
前の準備段階から、メンバーによる活発なメールでのやり取り、前日、当日の数時間にも
及ぶ打ち合わせ、会を盛り上げるための衣装や道具の準備などの結果、当日は大変盛り上
がり、会場も入りきれないほどの人があふれてしまい、次回開催時はもっと広い会場で、
というご意見も頂きました。
(写真2)
(写真3)
減塩に関するシンポジウムの様子
“高血圧症例検討道場(SKD)ファイト 2016”
本会開催直前の 4 月に熊本大震災が発生しました。これに伴い、大会初日の夕方にプロ
グラムを急遽変更し、臨時震災セッションを設け、被災者の方々、これから現地に向かお
うと思われる医師・コメディカルの方々に向けたメッセージを東日本大震災を現地で経験
された先生方に講演いただきました。
臨床高血圧フォーラムは今回で 5 回目となりましたが、2 日間の期間での参加者は 1100
名を超え、秋の総会の参加人数に近づいてきました。今回、6 の会場およびポスター会場に
て行いましたが、今後、参加人数の増加も見込まれることを考えれば会場の選定なども重
要と思われました(写真 4)。
このように、今回の第 5 回臨床高血圧フォーラムは、おかげさまで大変な盛会となり終
了することができました。今後も、臨床高血圧フォーラムは高血圧の診療や研究に関わる
全ての方々に、臨床に必要な有用な情報共有の場を提供できることができ、日本の高血圧
診療に大きく貢献できる会であると思われます。
(写真4)ポスター会場の様子