2016 年 9 月 6 日 車載モータ世界市場に関する調査を実施(2016 年) -燃費改善技術の採用を背景に新たな需要が拡大【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて車載モータの世界市場の調査を実施した。 1.調査期間: 2016 年 5 月~8 月 2.調査対象: 自動車システムメーカ、モータメーカ等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用 <本調査における車載モータとは> 本調査における車載モータとは、スタータやオルタネータ、各種補機類から次世代自動車(HEV/EV)に用い られる主機モータまで、すべてのモータを対象とするが、カーオーディオやナビゲーションシステムに使用され るディスクドライブ・HDD 用モータ等の一部は対象外とする。また市場は車両生産地域をベースとする世界市 場とし、対象車両は次世代自動車(ハイブリッド車・電気自動車)を含む、すべての乗用車および車両重量 3.5t 以下の商用車に搭載される車載モータとした。 【調査結果サマリー】 車載モータの 2015 年世界市場規模は約 28 億 5,900 万個、 2020 年には約 36 億 3,200 万個、2025 年には約 44 億 600 万個に拡大すると予測 2015 年の車載モータ世界市場規模は約 28 億 5,900 万個であり、2020 年には約 36 億 3,200 万個、 2025 年には約 44 億 600 万個まで大きく伸長すると予測する。 2020 年に向け各国で燃費規制の厳格化が進むなか、次世代 自動車(ハイブリッド車、電気自動 車)の普及や、燃費改善技術の積極的な採用が世界的に進められており、こうしたことを背景に車載 モータの新たな需要が広がっている。 システム領域別ではボディ領域のモータが最も多く 2015 年の世界市場規模全体の 73.5% 次世代自動車領域は 2015 年では 0.5%に留まるが、2025 年には 1.8%まで拡大すると予測 本調査では、車載モータをパワートレイン、シャシ、ボディ、次世代自動車システムという 4 つの領域に 分けて分析している。2015 年の世界市場規模において最も大きな比率を占めるのはボディ領域(パワー ウィンドウやパワーシート、ダンパモータ等)で、全体の 73.5%を占める。一方、次世代自動車システム領 域(主機モータや電動コンプレッサ、各種電動ポンプ等を含む)は、現状では需要個数が少ないが、今後 次世代自動車の普及に伴い増加が見込まれ、2025 年には全体の 1.8%を占めると予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「車載モータ市場の最新動向と将来展望 2016」 発刊日:2016 年 8 月 31 日 体 裁:A4 判 142 頁 定 価:130,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 9 月 6 日 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況 2020 年に向け各国で燃費規制の厳格化が進んでいる。従来厳しい規制が行われてこなかった米国 でも 2025 年に向けた燃費目標が掲げられ、中国でも先進国に迫る目標が定められている。これに対応 すべく、次世代 自動車(ハイブリッド車、電気自動車)の普及や、燃費改善技術の積極的な採用が世界 的に進められており、これらの動向を背景に車載モータの新たな需要が広がっている。 こうした中、2015 年の車載モータ世界市場規模は約 28 億 5,900 万個であり、2020 年には約 36 億 3,200 万個、2025 年には約 44 億 600 万個まで大きく伸長すると予測する。 2. 車載モータの搭載領域別動向と予測 本調査では、車載モータをパワートレイン、シャシ、ボディ、次世代自動車システムという 4 つの領域に分 けて分析した。近年では先述のように次世代自動車の普及も進んでいるものの、燃費改善技術の積極的な 採用に伴い、内燃機関車でも構成部品の電動化が進展している。 2-1. パワートレイン領域 パワートレイン領域では、エンジンバルブを精緻に制御する電動可変バルブや、アイドルストップシス テムを採用した場合にはトランスミッション油圧を保持する電動オイルポンプ、アイドルストップ中に暖房 目的でエンジン冷却水を循環させる、あるいは水冷ターボ車等で冷却水を循環させる電動ウォーター ポンプ等の需要増が見込まれる。特に電動オイルポンプは、今後コースティングやセーリングといった 機 能 を 搭 載 し た 車 両 が 普 及 し て い け ば 、 急 な シ フ ト チ ェ ン ジ 等 に 対応するため AT(Automatic Transmission)車や CVT(Continuous Variable Transmission)車で不可欠となるほか、DCT(Dual Clutch Transmission)車や AMT(Automated Manual Transmission)車ではアイドルストップ時の対応も含めてク ラッチ・ギアアクチュエータに電動オイルポンプが使用される事例も増加している。 2-2. シャシ領域 シャシ領域はこれまで電動化があまり進んでこなかったが、エンジン負荷低減に繋がる電動パワース テアリングが急速に普及しているほか、モータによって直接ブレーキキャリパを作動させる電動パーキン グブレーキが増加傾向にある。その他にもブレーキ周りでは直噴エンジンや高効率ディーゼルエンジン を採用した場合に負圧の供給をサポートする電動バキュームポンプが普及しているほか、近年では次 世代自動車だけではなく、内燃機関車でも倍力装置を電動化する電動ブレーキの搭載事例がみられる。 さらには後輪操舵システムについても各社が開発を公表しており、今後の普及が期待される。 2-3. ボディ領域 ボディ領域に関しては、先進国市場でも日本で普及するパワースライドドアのように利便・快適性の向上を 企図して一定の電動化が進むことが予測されるが、特に新興国市場で搭載拡大への期待が大きい。中国を はじめとする新興国市場では、コスト制約等から電装品の装備は普及段階とみられ、今後ボディ領域の小型 モータを中心に車両当たりのモータ搭載個数が増加する可能性が高い。また、ボディ領域はパワーウィンド ウやドアロック、ドアミラー、エアコンダンパ等の 1 台あたりに多数のモータが使用される。そのため、車両当た りの搭載個数の増加と合わせて、急増する新興国での自動車生産台数がボディ領域に搭載される車載モー タの市場拡大を大きく後押しすると考える。 2-4. 次世代自動車システム領域 次世代自動車には、 車両の駆動力や電力回生を担う主機モータを始め、エンジン停止時にエアコン を駆動させる電動コンプレッサ、エンジンやインバータ等の冷却に用いられる電動ウォーターポンプ、ト ランスミッションへの油圧供給や潤滑、モータの油冷等に用いられる電動オイルポンプといった部品に モータが使用される。次世代 自動車システムを構成するこれらのモータは、次世代 自動車の普及に合 わせて市場が急拡大する。 一方で、次世代自動車の普及は内燃機関車で使用されていたスタータやオルタネータの省略に繋 がるほか、電気自動車の場合にはエンジンの搭載が不要になることからパワートレイン領域を中心に多 数のモータが不要となる。そのため、ハイブリッド車が多い現状ではパワートレイン領域のモータは増加 傾向であるが、今後電気自動車の比率が増加していけば、モータの搭載個数は減少に転じる可能性も ある。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 9 月 6 日 図表 1. 領域別 単位 パワートレイン (千個) 構成比 シャシ (%) (千個) 構成比 ボディ (%) (千個) 構成比 次世代自動車システム 構成比 車載モータのシステム領域別世界市場予測 542,337 2016年 (予測) 563,689 2017年 (予測) 589,889 2018年 (予測) 616,413 2019年 (予測) 640,792 2020年 (予測) 656,751 2025年 (予測) 753,723 19.0% 18.8% 18.7% 18.5% 18.3% 18.1% 17.1% 201,926 214,786 229,199 245,536 260,534 274,075 353,038 7.1% 7.2% 7.3% 7.4% 7.4% 7.5% 8.0% 2015年 2,101,982 2,205,861 2,324,084 2,452,629 2,569,741 2,666,952 3,218,912 (%) 73.5% 73.6% 73.5% 73.5% 73.5% 73.4% 73.1% (千個) 12,870 14,549 17,365 21,305 26,400 33,750 80,483 0.5% 0.5% 0.5% 0.6% 0.8% 0.9% 1.8% (%) 世界市場規模(合計) (千個) 2,859,114 2,998,884 3,160,537 3,335,882 3,497,466 3,631,528 4,406,155 矢野経済研究所推計 (百万個) 矢野経済研究所推計 注1. 車両生産台数ベース 注2. (予測)は予測値 注3. 各システム領域に該当するモータアプリケーションは次のとおり 《パワートレイン領域》 スタータ、オルタネータ、ラジエータ冷却ファン、フューエルポンプ、電子制御スロットル、電動 EGR バルブ、電動可変 バルブ(タイミング・リフト)、電動タンブルコントロールバルブ、電動サーモスタッド、エンジン冷却用電動ウォーターポ ンプ、ターボ・EGR 冷却用電動ウォーターポンプ、DCT/AMT のクラッチアクチュエータ、AT/CVT 用電動オイルポンプ (アイドルストップ車) 《シャシ領域》 電子制御ブレーキ(ABS・TRC・ESC)、電動パワーステアリング、電動油圧パワーステアリング、電動ステアリングロック、 ブレーキ用電動バキュームポンプ、電子制御式ギア比可変ステアリング、電動ブレーキ、電動パーキングブレーキ、 電子制御サスペンション、後輪操舵システム、電動アクティブスタビライザ、電動 4WD 《ボディ領域》 ミラー、ドアロック、パワーウィンドウ、ワイパー/リアワイパー、ウォッシャ、メータ、エアコン関連(ブロア・ダンパ・ルーバ)、 パワーシート、アジャスタブルペダル、パワースライドドア、イージークローザ、ヘッドライト光軸調整(レベリング・スイブ ル(AFS))、ヘッドライトクリーナ、シート空調システム、空気清浄機ブロア、電動プリテンショナ(シートベルト)、電動ア クティブヘッドレスト、電動チルト・テレスコピックステアリング、電動シェード(リア・リアドア)、サンルーフ、電動グリルシ ャッター、電動スポイラー、電動フューエルリッドオープナー 《次世代自動車システム領域》 主機モータ、電動コンプレッサ、電動ウォーターポンプ(エンジン冷却用・暖房用・モータ・インバータ冷却用・バッテ リ温度管理用)、電動オイルポンプ(トランスミッション油圧保持・潤滑用、モータ冷却用)、バッテリ冷却ファン Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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