奈良県企業の4割超が「女性登用」進める

2016/9/6
奈良支店
住所:奈良県奈良市高天町 38-3
近鉄高天ビル5F
TEL:0742-26-3231
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画 :
「女性登用」に対する奈良県企業の意識調査
奈良県企業の4割超が「女性登用」進める
~今後、自社の女性管理職割合が増えると見込んでいる企業は 21.4%~
はじめに
生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感の高まりが
みられるなか、政府は女性の活躍促進を成長戦略の重要政策として打ち出している。また、企
業においては新しい視点の取り入れや男性の働き方改革としても位置付けられるなど、人手不
足に対する労働力確保だけでなく、企業の成長に女性の活躍が不可欠という認識も高まってい
る。
そこで、帝国データバンク奈良支店は、女性の活用や登用に対する企業の見解について調査
を実施した。なお、本調査は、TDB 景気動向調査 2016 年 7 月調査とともに行った。
※調査期間は 2016 年 7 月 15 日~7 月 31 日、調査対象は奈良県内 144 社で、有効回答企業数は
56 社(回答率 38.9%)
。
調査結果(要旨)
1.奈良県企業の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は、
「0%(全員男性)
」が 51.8%
で最多。
「10%未満」
(30.3%)を合わせると、女性管理職が 10%未満の企業は 82.1%に達し
た。役員に占める女性の割合も「0%(全員男性)
」が 53.6%となり、
「10%未満」
(19.7%)
を合わせると、女性役員が 10%未満の企業は 73.3%に達した
2.女性の活用や登用について「社内人材の活用・登用を進めている」企業は 39.3%となった一
方、
「社外からの活用・登用を進めている」企業は 8.9%。その効果は「男女にかかわらず有
能な人材を生かすことができた」が 7 割超で突出
3. 5年前と比較して女性管理職の割合が「増加した」企業が 14.3%にとどまるも、21.4%の
企業は女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる
4. 女性活躍推進の行動計画、
「策定している」企業は 46.4%
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特別企画: 女性登用に対する奈良県企業の意識調査
1. 女性管理職が 10%に満たない企業は 82.1%
自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、
「30%以上」と回答した企業は 28.6%であ
った。また、「10%未満」(23.2%)と「0%(全員男性)」(8.9%)を合わせると、女性従業員
割合が 10%に満たない企業は 32.1%で、女性従業員割合は平均 26.2%となった。
自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合では、
「0%(全員男性)
」が 51.8%とな
り、
「10%未満」
(30.3%)と合わせると、女性管理職が 10%に満たない企業は 82.1%にのぼっ
た。一方で「20%以上 30%未満」
(5.4%)
、
「10%以上 20%未満」
(8.9%)が前年より上昇した
ものの、「30%以上」(3.6%)、「10%未満」(30.3%)が減少した。これらの結果、女性管理職
割合は平均 5.2%となり、2015 年より 0.1 ポイント減少した。
自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合では、
「0%(全員男性)
」が 53.6%となり、
「10%
未満」
(19.7%)を合わせると、女性役員が 10%に満たない企業は 73.3%に達した。
「30%以上」
とする企業は 7.1%、
「20%から 30%未満」の企業が 12.5%となったことなどから、女性役員割
合は平均 8.0%と、2015 年より 1.9 ポイント上昇した。
■女性の割合~従業員・管理職・役員~
20%以上
30%未満
30%以上
30.0
2016年
28.6
16.7
10%未満
0%
(全員男性)
21.7
平均
分からない
21.6
10.0 0.0 25.5
23.2
8.9 0.0 26.2
従業員
2015年
10%以上
20%未満
2015年
14.3
5.01.7 6.6
35.0
25.0
0.0
51.8
0.0
5.2
0.0
6.1
0.0
8.0
管理職
51.7
2016年 3.6 5.4
8.9
6.7 5.0
2016年
7.1
10.0
21.6
56.7
役員
2015年
30.3
5.3
12.5
7.1
19.7
53.6
注:母数は有効回答企業 56 社
1.
「30%以上」は、
「100%(全員女性)
」
「70%以上 100%未満」
「50%以上 70%未満」
「30%以
上 50%未満」の合計。
「10%未満」は、
「5%以上 10%未満」
「5%未満」の合計
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2.女性活用・登用状況
~
社内人材の活用・登用「進めている」が 39.3%
自社において女性の活用や登用を進めているかを尋ねたところ、企業の 39.3%が「社内人材
の活用・登用を進めている」と回答した(複数回答。以下同)。他方、「社外からの活用・登用
を進めている」は 8.9%となり、一部社外も視野に入れている様子がうかがえる。
社内人材または社外から女性の活用や登用を進めている企業 25 社にその効果を尋ねたところ、
「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が 7 割を超え、全国同様に突出して高
かった。以下、
「女性を登用したことで業務が円滑に進んだ」が 40.0%(全国 24.9%)
、
「女性
の労働観が変化してきた」が 32.0%(同 29.8%)
、
「多様な働き方が促進され、労働環境が改善
された」が 24.0%(同 22.1%)と続いた。
■自社における女性の活用・登用状況およびその効果
活用または登用を
進めている
44.6%
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
39.3%
女性の活用や登用を進めた効果(上位10項目)
37.5%
17.9%
8.9%
分 からな い
進 め て いな い
社外 から の
活用 ・登用を
進 め て いる
社内人材 の
活用 ・登用を
進 め て いる
1
男女にかかわらず有能な人材を生かすこと
ができた
76.0%
2
女性を登用したことで業務が円滑に進んだ
40.0%
3
女性の労働観が変化してきた
32.0%
4
多様な働き方が促進され、労働環境が改善
された
24.0%
5
従業員のモチベーションが上がった
16.0%
6
将来の人材不足に対応できた
12.0%
7
従業員同士のコミュニケーションが活発に
なった
8.0%
7
男性の労働観が変化してきた
8.0%
7
女性管理職比率が上昇した(目標に近づい
た/目標を達成した)
8.0%
10
採用活動等で有利に働いた
4.0%
注2:母数は有効回答企業56社。「女性の活用や登用を進めた効果」は25社
注1:「活用または登用を進めている」は、「社内人材の活用・登用を進めている」「社外からの活用・登用を進めている」の
いずれかを回答した企業
注2:母数は有効回答企業56社。「女性の活用や登用を進めた効果」は25社
3.女性管理職割合の増減
~
21.4%の企業は女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる。
自社の女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったかを尋ねたところ、
「変わらな
い」とする企業が 82.1%(全国 69.8%)と多数を占めている。割合が「増加した」と回答した
企業は 14.3%(同 20.3%)にとどまり、全国と比較して 6 ポイント低い結果となった。
他方、現在と比較して今後どのように変わると考えているかを尋ねると、
「変わらない」と回
答した企業が 64.3%(同 58.6%)を占めるものの、21.4%(同 23.5%)の企業は女性管理職の
割合が「増加する」と見込んでおり、女性の管理職登用については、概ね拡大していくと考え
ている様子がうかがえる。
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特別企画: 女性登用に対する奈良県企業の意識調査
女性役員については、5年前と比較して「増加した」と回答した企業が 8.9%(同 7.7%)で
あったが、今後「増加する」と考えている企業は 5.4%(同 6.9%)にとどまり、多くの企業は
女性役員の登用を進めていないことが明らかとなった。
■女性管理職の割合の増減 (5年前と現在、現在と今後)
0%
20%
増加した/
増加する
管理職
5年前と比較
して現在
役員
現在と比較
して今後
60%
5.4
100%
分からない
82.1
21.4
8.9
80%
減少した/
減少する
変わらない
14.3
現在と比較
して今後
5年前と比較
して現在
40%
64.3
3.6 0.0
0.0 14.3
80.4
82.1
8.9 1.8
0.0 12.5
注:母数は有効回答企業56社
4.女性活躍推進の行動計画、
「策定している」企業は 46.4%
4 月 1 日より、女性が職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる
環境を整備することを目的とした「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」
(女性活
躍推進法)に基づき、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定が従業員数 301 人以上の企業に
義務付けられた(従業員数 300 人以下の企業は努力義務)
。
そこで、行動計画の策定状況について尋ねたところ、
「策定している」企業は全体で 46.4%(全
国 51.2%)となった。また、具体的にどのような取り組みに関する行動計画を策定しているか
尋ねたところ、
「女性の積極採用に関する取り組み」が 16.1%(同 19.8%)で最も高かった(複
数回答、以下同)
。続いて、
「継続就業に関する取り組み」が 14.3%(同 18.4%)
、
「雇用形態や
職種の転換に関する取り組み(パート等から正規雇用へ、一般職から総合職へなど)
」が 12.5%
(同 12.7%)となった。
しかしながら、
「職場風土改革に関する取り組み(性別役割分担意識の見直しなど)
」は 7.1%
(同 5.9%)にとどまり、意識面への取り組みを行う企業は少数にとどまった。
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特別企画: 女性登用に対する奈良県企業の意識調査
■女性の活躍推進に向けた行動計画の策定状況(複数回答)
全体
策定している
46.4
1 女性の積極採用に関する取り組み
16.1
2 継続就業に関する取り組み
14.3
3
雇用形態や職種の転換に関する取り組み(パート
等から正規雇用へ、一般職から総合職へなど)
4 配置・育成・教育訓練に関する取り組み
4
働き方の改革に向けた取り組み(長時間労働是正
など)
12.5
8.9
8.9
6 女性の再雇用や中途採用に関する取り組み
7.1
6 女性の積極登用・評価に関する取り組み
7.1
6
職場風土改革に関する取り組み(性別役割分担意
識の見直しなど)
その他
7.1
1.8
策定していない
51.8
注: 母数は有効回答企業56社
まとめ
安倍内閣による『日本再興戦略 2016-第 4 次産業革命に向けて-』
(成長戦略)では、2020
年までに「指導的地位に占める女性割合 30%」
「25 歳~44 歳の女性就業率 77%」のほか、2013
~2017 年度で「約 50 万人分の保育の受け皿を整備」
「約 9 万人の保育人材を確保」などの目標
を掲げ、女性が就業しやすくなるための環境整備を柱の 1 つとしている。
そのようななか、課長職以上の管理職に占める女性の割合は平均 5.2%となっており、目標に
対しては低い水準である。しかしながら、企業の 5 社に 1 社は、今後、女性管理職は増加する
と見込んでおり、女性の管理職登用は概ね増大していくと見込まれる。
【 内容に関する問い合わせ先 】
株式会社帝国データバンク 奈良支店
担当:野口
TEL 0742-26-3231
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