no.152 −ニコニコ超会議 2016 −

no.152 −ニコニコ超会議 2016 −
松野 美茂 今年もニコニコ超会議の季節がやって来
になったホール 9 から 11 までの再入場は、
大きいかと思えば最近はそうでもないよう
た、今年で 5 回目となるニコニコ超会議で
どの様にするのかと思っていたいが通常は
である。
あるが幕張メッセでの定例イベントとなっ
一般に開放されている遊歩道を仕切って飛
今回の会場の拡大によって各展示ブース
てきた感がある。個人的には 3 回目の参加
び地とメインホールを直接繋げていた事に
もレイアウト変更がなされており、更に見
なのであるが、年々巨大化していて全体像
は驚いた。
やすくなった感じがした。
と正体がつかみにくいイベントでもある。
幕張メッセ周辺がコンベンション目的以
入り口は相変わらずのホール 1(駐車場
今回は祝日の 4 月 29 日の金曜日と翌日
外では、ほとんど人通りが無い事を利用し
側)で駅から歩くと最も遠い位置にあるが、
の 30 日の日曜日の 2 日間の開催である、
ているとは言え大胆な方法だと思ったので
これは事前に入場行列が発生する事を見越
開催場所はいつもの幕張メッセなのである
ある。
してのことであり戦略的な方針ではあると
が今年は会場が拡大していて、いわゆる幕
それ程に特殊な事を行わなければならな
思うが歩く側からすると遠いのも事実であ
張メッセのホール(1 ∼ 8)は全て使って
いぐらいに今年のニコニコ超会議は拡張し
る。
おり道を挟んで飛び地になっているホール
ていたと言う事である。
個人的には 3 回目となる参加ではあるが、
9 ∼ 11 も使用していた。
来場者数は 15 万人越えと昨年度を少し
朝から並ぶ本気の人たちではないので午後
更に、その飛び地に挟まれた幕張イベン
上まったが、ネットによる参加者は減少し
の列の少ない時を狙っている。列が少ない
トホールも使用した上に今年は野球場であ
ていて直接遊びに来ると楽しいイベントで
と距離が遠く感じるのであるが入り口のホ
る QVC マリンフィールドの一部も使って
ある事が認識されてきているのではないだ
ール 1 にたどり着き最初に目に入るのが入
いたのであるから驚いた。
ろうか。
り口の看板と祝いの花である。
基本的に入場は有料であるので、飛び地
ニコニコの性質上ネット参加者の勢いも
今年はその部分も控えめでレイアウト変
用語解説
「技研公開 2016」 (NHK 技研公開 2016)
今年も通常では簡単には入る事の出来な
来図が提示できていたのではないだろう
い NHK 技研の公開日が来たのである。
か。
毎年会期は 4 日間で行われ、今年は 5
8K の 解 像 度 ベ ー ス の 展 示 の み な ら ず
月の 26 日(木曜日)から 29 日(日曜日)
BT2020 ベースの高色域、ハイフレーム
までである。一般の参加者を意識している
レート、HDR の HLG 系展示と分解し丁
イベントなので土曜日、日曜日としっかり
寧に説明していた。また全てが重なるとど
開催されている。
の様な表現レベルになるのかも非常にわか
今年は昨年と違い 8K 対応を大きく謳う
りやすく展示されていたことが印象的であ
事は無くまるで日常の様に 8K を取り扱っ
る。
マットの未来が一段落したことにより、リ
ている姿が印象的であった。勿論、NHK
未来のテレビの姿が実感できたのではな
ソースを未来に振り向けられるようになっ
の R & D の最先端部署であるので未来に
いだろうか。
た為ではないだろうか。
進んでいる感じは当然なのであろう。
また未来と言えばインテグラル立体テレ
特にインテグラル立体用の撮影素子の開
その様な事も含め今年の展示は、おそら
ビも進みを早めているように感じた、これ
発を始めている辺りは非常に興味が持てる
く一般の方々にもわかりやすいテレビの未
は高解像度に引っ張られた新テレビフォー
研究である。
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FDI・2016・08
ニコニコ会議 2016 入り口
立体写真館
えの影響かもしれないが少しさびしい感じ
る。このエリアは音楽系のコンテンツが比
がした。
較的集まっており、ボーカロイド関連が纏
感のある面白いコンテンツが揃っていた。
その入り口のホール 1 は毎回、企業系ブ
められており大変賑わっていた。その裏側
特に VR アトラクションは前年と比べ大き
ースが華やかさを競っており今年も熱気が
には「超音楽祭 2016」が開催されており
く充実しており今後の展開が期待される展
有った。ホール 1 と言っても仕切りは取り
有名アーティストから小林幸子、アイドル
示だった。
払われているので実質、ホール 1 ∼ 3 なの
グル−プ、アニメーションベースの声優ユ
また、
「超・アニメエリア」もホール 9
であるが、その広いエリアに企業ブースの
ニットなど賑やかに登場し、こちらも超満
∼ 11 にあり、アニメ関係の専用イベント
他には毎回登場する話題の政党ブース、そ
員であった。
会場も設置されていた。
して企画物のフードコートと人気エリアと
また、恒例の MMD で作成された 3D モ
更にここには自衛隊のエリアも設定され
なっている。
デル・キャラクターと記念写真が撮れるブ
ており、大人気ブースの一部を飛び地に移
かつてはこのエリアに駐車エリアが有っ
ースも拡張され長い行列を形成していた。
して混雑緩和を狙った意図がよく判る。
たりと緩衝地帯になっていたが、今年はゲ
企画物として設置されていた「特撮体験
しかし、分断されたことによって渾然一
ームエリアが進出していた。これはゲーム
スタジオ∼帰ってきた特撮博物館∼」はセ
体となっていた雰囲気が削がれてしまった
関係が企業とのコラボもし易く親和性が良
ットに入り込んだような感覚で自分を入れ
ような感覚もあり、この様に大きく成長し
い為なのだろう。
込んだ撮影が出来るとあってひっきりなし
たイベントの管理の難しさを痛感させる。
続いてホール 4 ∼ 6 なのであるが、この
に多く人が撮影に興じていた。
ともかく、今後は実参加の人々とネット
エリアの入り口に大型の LED パネルが据え
このホール 1 ∼ 8 までは一繋がりのホー
参加の人々の増減のバランスと行く先が非
られており、実質の入り口モニュメントの
ル構造である為に間には通路があるものの
常に気になるイベントである。
様になっていた。
一体感はある、ちなみにこの通路はコスプ
ここで記念写真を撮る参加者が多かった
レ推奨エリアとなっており多くのコスプレ
用に思う、このホール 4 ∼ 6 はニコニコの
イヤーが立っており格好の撮影場所となっ
人気コンテンツが中心となったエリアであ
ていた。
り、
「超・踊ってみた」や「超・演奏してみた」
、
このコスプレエ
「超・チャンネル生放送」などがあり、他に
リアを通り抜け上
も鉄道マニア向けの「超鉄道」や JAL のブ
層階に上がると飛
ースで VR(オキュラス ・ リフト)を使用
び地になっている
した体験コーナーまであった。
ホール 9 ∼ 11 へ
個人的に注目したのは「ドワンゴ超自由
移動が出来る形と
研究」である。このブースではドワンゴが
なっている。
行っている基礎研究が発表展示されており、
ある意味公道を
AI 関係や CG 関係の発表と討論会が行われ
仕切って会場の一
ており、無駄とも思える研究(褒め言葉)
部とする手法で繋
に多くのリソースを投入している姿が微笑
がれたホール 9 ∼
ましかった。
11 は、
「 超・ ま
更に奥に進んで行くとホール 7 ∼ 8 であ
るなげひろば」や
「超・VR アトラクションズ」などの手作り
Yoshishige Matsuno
VFX スーパーバイザー
新設、
リニューアルに関わらず
何でもご相談ください。
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