信用金庫の定期積金の動向 - 信金中金 地域・中小企業研究所

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(2016.9.1)
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信用金庫の定期積金の動向
と ね
刀禰
かずゆき
和之
ポイント
 信用金庫の平成 27 年度末の定期積金残高は、前期比 1.0%増加の4兆 9,893 億円となり、18 年ぶ
りの増加を示した。
 地区別の定期積金残高は、9地区で前期比増加し、2地区で前期を下回った。増加した地区では、
四国と東北が4%を超える伸びを示した。
 17 年度末から 27 年度末の都道府県別の定期積金残高と口数の増減関係をみると、2県で残高と
口数が増加している。
 27 年度末の定期積金残高の増減状況は、前期比増加が 171 金庫、前期比減少は 94 金庫となり、
3年連続で増加金庫が減少金庫を上回った。
 27 年度末の定期積金比率は、①2%未満が 24 金庫、②2%以上4%未満が 98 金庫、③4%以上
6%未満が 103 金庫、④6%以上は 40 金庫となる。
※本稿は、日本銀行「預金者別預金調査表」より作成している。
1.定期積金の状況
(1) 残高の推移
平成 27 年度末の定期積金残高は、前期比
1.0%、523 億円増加の4兆 9,893 億円となり、
18 年ぶりに増加に転じた(図表1)
。預金残高
に占める定期積金の割合(定期積金比率)は、
前期並みの 3.7%にとどまる。
17 年度末の残高と比較すると、22.9%、1兆
4,841 億円減少した。定期積金比率も 5.9%か
ら 3.7%に低下している。
(2)口数の推移
27 年度末の定期積金口数は、前期比 2.7%、
25 万口減少の 897 万口となった(図表2)。17
年度末と比較すると、33.0%、443 万口減少し
(図表1)定期積金の残高の推移
た。そのため1口あたり定期積金の残高は 48
万円から 55 万円まで増加している。
2.地区別の状況
27 年度末の地区別の定期積金残高は、9地区
で前期比増加し、2地区で前期を下回った(図
表3)。
増加率の高かった順に四国(前期比 4.7%増)、
東北(4.3%増)、近畿(3.9%増)となる。一
方、減少地区では東京の 6.9%減が目立つ。ま
た、地区別の定期積金比率は、北陸の 5.5%か
ら近畿の 2.8%まで差がみられた。
17 年度末と比較すると、四国(24.9%増)を
除く 10 地区で残高が2桁減となる。このうち
(図表2)定期積金口数の推移
(億円)
70,000
(%)
10
(%)
(万口)
1,600
10
1,400
60,000
8
50,000
6
40,000
8
1,200
1,000
6
800
30,000
4
預金に占める割合(右)
2
10,000
4
600
定積口数(左)
400
口数に占める割合(右)
定積残高(左)
20,000
2
200
0
0
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26 27
(年度末)
(備考)本稿では他業態との合併等は考慮していない。
0
17
18
19
20
21
22
23
24
25
0
26 27
(年度末)
中国が4割、東京が3割を超える減少を示した。
3.都道府県別の状況
27 年度末の都道府県別の定期積金残高は、前
期比増加が 31 道府県、前期比減少は 16 都府県
となった。定期積金比率は、2%未満が2府県、
6%以上は2県それぞれある。
17 年度末から 27 年度末の都道府県別の定期
積金残高と先数の関係は、①残高・口数ともに
増加が2県、②残高増・口数減が3県、残る 42
都道府県は、残高・口数ともに減少となった(図
表4)。この 10 年間をみると、渉外営業の効率
化の影響などから、残高・口数ともに減少する
都道府県が大半を占めた。
4.信用金庫別の状況
(1) 27 年度中の増減
27 年度末の信用金庫別の定期積金残高の増
減状況は、前期比増加が 171 金庫(構成比
64.5%)、前期比減少は 94 金庫(35.4%)とな
り、3年連続で増加金庫が減少金庫を上回った。
このうち前期比 20%以上残高が増加したの
は5金庫あった。5金庫の本店所在地区は、北
海道1金庫、東北1金庫、関東1金庫、近畿2
金庫となる。一方、前期比 10%超残高が減少し
たのは6金庫あったが、うち5金庫は預金量が
1兆円を超える規模となる。
(2) 定期積金比率
27 年度末の信用金庫別の定期積金比率は、
①2%未満が 24 金庫(構成比 9.0%)
、②2%
以上4%未満が 98 金庫(36.9%)
、③4%以上
6%未満が 103 金庫(38.8%)、④6%以上は
40 金庫(15.0%)となった(図表5)。
17 年度末の割合と比較すると、2%未満が
1.7%(5金庫)から 9.0%(24 金庫)に上昇
した一方で、6%以上は 56.1%(164 金庫)か
ら 15.0%(40 金庫)に低下している。
なお、27 年度末の定期積金比率が1%未満を
抽出すると7金庫あり、そのうち近畿に本店を
有する信用金庫が3金庫あった。
以 上
(図表3)地区別の定期積金残高
(単位:億円、%)
17年度末
地区
26年度末
預金に
占める割合
北海道
東 北
東 京
関 東
北 陸
東 海
近 畿
中 国
四 国
九州北部
南九州
合 計
2,595
2,685
15,158
10,422
2,497
14,923
9,995
3,039
780
1,035
1,556
64,734
4.4
6.6
7.3
4.9
7.4
6.8
4.6
5.9
3.9
5.4
6.4
5.9
27年度末
預金に
占める割合
2,228
2,178
10,277
8,104
1,996
12,257
7,524
1,749
930
868
1,199
49,369
3.2
4.2
4.3
3.2
5.4
4.4
2.7
3.0
3.4
3.9
4.4
3.7
預金に
占める割合
2,311
2,273
9,642
8,253
2,058
12,670
7,819
1,728
974
892
1,206
49,893
3.3
4.3
4.0
3.2
5.5
4.4
2.8
2.9
3.6
4.0
4.4
3.7
構成比
4.6
4.5
19.3
16.5
4.1
25.3
15.6
3.4
1.9
1.7
2.4
100.0
17年度末比
増減率
増減額
△ 10.9 △
283
△ 15.3 △
412
△ 36.3 △ 5,515
△ 20.8 △ 2,169
△ 17.5 △
438
△ 15.0 △ 2,252
△ 21.7 △ 2,176
△ 43.1 △ 1,310
24.9
194
△ 13.7 △
142
△ 22.4 △
349
△ 22.9 △14,841
26年度末比
増減率
増減額
3.7
83
4.3
94
△ 6.1
△ 634
1.8
149
3.1
62
3.3
412
3.9
295
△ 1.2
△ 21
4.7
44
2.7
24
0.5
6
1.0
523
(備考)沖縄県は合計に含む。
(図表4)都道府県別の定期積金残高と
先数の関係(17 年度末→27 年度末)
(図表5)信用金庫別の定期積金比率
口数増減率(%) 80
60
6%以上
40
5%以上6%未満
20
4%以上5%未満
3%以上4%未満
0
△ 100
0
△ 50
△ 20
50
100
150
2%以上3%未満
残高増減率(%)
1%以上2%未満
△ 40
△ 60
△ 80
△ 100
1%未満
全国
△22.9、△33.0
17
26
27
(年度末)
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