2016 年 8 月 31 日 Shodex®、分析用カラム 4 製品を発売 -SEC・HILIC 用カラムのラインナップを拡充- 昭和電工株式会社(社長:市川 秀夫)は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)用の分 離・分析カラム「Shodex®」において、SEC*用充てんカラム「GPC HK」 「PROTEIN LW」、 HILIC**用充てんカラム「HILICpak® VC-50」「HILICpak® VN-50」の計 4 製品の販売 を 9 月より開始します。 今回発売する「GPC HK」は、従来にない迅速分析を実現すると同時に有機溶媒の使用 量を大幅に削減した環境対応型の GPC***用充てんカラムで、ポリマーの分子量分析にお ける作業負荷を低減します。また、「PROTEIN LW」および「HILICpak® VC-50」は近 年注目される抗体医薬・脳内物質などの医薬分野、「HILICpak® VN-50」はバイオエネル ギー分野における高感度分析を可能としました。 分析カラムに求められるニーズは時代とともに変化し、その用途は多様化・高度化して います。当社は今後も、お客さまのご要望に応えるべく、医薬やエネルギー分野など、産 業の発展に寄与する高機能製品のラインナップを拡充します。 なお、今回発表の 4 製品は、9 月 7-9 日に幕張メッセで開催される「JASIS 2016」に て紹介します。 1.超迅速 GPC カラム「GPC HK」シリーズ GPC(有機溶媒系 SEC)法はポリマーの分子量分析において最も普及している分析方法 ですが、一方で GPC カラムは溶離液に各種有機溶媒を使用するため、環境への配慮から、 当社では溶離液の使用量低減と分析の迅速化に取り組んでまいりました。 今回発売する「GPC HK」シリーズは、充てん剤の粒径を小さく均一に制御したことで、 同範囲の分子量分析ができる既存カラム(KF-804L)に比べ分析時間を 6 分の 1 に短縮し、 有機溶媒の使用量も 6 分の 1 に削減しました。また、溶媒置換性が高いため、GPC カラ ムでありながら、溶媒毎に専用カラムを使い分ける必要もありません。 加えて、充てん剤粒径の均一化により高流速下でも圧力を低く抑えられるため、迅速分 析でありながら、超高速液体クロマトグラフィ(UHPLC)用の分析装置も不要です。 <既存カラム(KF-804L)との分析速度の比較> フェノキシ樹脂を当社の既存カラム「KF-804L」と同条件で測定したところ、HK-404L は 2 分、 KF-804L は 12 分で分析を完了しました。 A) Shodex GPC HK-404L (4.6mmI.D.×150mm) B) Shodex GPC KF-804L (8.0 mmI.D.×300mm) 【分析条件】 試料 溶離液 溶離液流量 検出器 カラム温度 : 0.2% Phenoxy resin 10μL : THF : 1.0mL/min : RI(セミミクロ仕様) : 40℃ 1 2.抗体医薬品分析用 GFC****カラム「PROTEIN LW」シリーズ 当社の GFC カラム「PROTEIN」シリーズは、シリカ系充てん剤を用いたタンパク質・ 酵素分析用のカラムです。今回発売する「PROTEIN LW」シリーズは、近年注目される 抗体医薬品において、主成分である抗体の分離に高い機能を発揮します。 抗体とはタンパク質の一種で、特定の異物が体内に侵入すると異物を認識し、その抗原 (目印)と結合して体内から排除する働きをします。一方で、抗体医薬に利用されている モノクローナル抗体は、抗体同士で結合しやすく、結合により生成する二量体や凝集体は 働きが変化し副作用の原因にもなりうることから、抗体医薬品の品質管理において原薬内 の多量体解析が重要となっています。 本製品は、インシュリン分析などで好評いただいている既存カラム(KW-800 シリーズ) を改良したもので、当社独自の充てん剤の表面修飾技術により、凝集体、特に単量体と二 量体の分離度を向上させました。 <抗体(IgG)の分離能比較> 当社の既存カラム「KW-803」および他社の SEC カラムと同条件で測定したところ、LW-803 は、 単量体と二量体の分離において最も高い分離能を示しました。 A) Shodex PROTEIN LW-803 1 2 3 Rs(M/D)※=2.2 B) Shodex PROTEIN KW-803 Rs(M/D)=1.6 C) 他社水系 SEC カラム 【分析条件】 試料 : IgG(免疫グロブリン G) 1. aggregate(凝集体) 2. dimer(二量体) 3. monomer(単量体) 注入量 : 5μL 溶離液 : 50mM Sodium Phosphate Buffer +0.3M NaCl(pH7.0) 溶離液流量 : 1.0mL/min 検出器 : UV(280nm) カラム温度 : 25℃ ※Rs(M/D)…単量体と二量体の分離度 Rs(M/D)=1.9 min 3.HILICpak® 2 製品 当社の「HILICpak®」シリーズは、親水性化合物の高感度分析が可能な HILIC 用カラ ムです。2014 年に発売した第一弾の「HILICpak® VG-50」ではアミノカラムでありなが ら還元糖の回収率を向上させ、昨年発表した「HILICpak® VT-50」では、リン酸基が付い た糖類(リン酸化糖)や有機酸、各種薬物などのアニオン性試料の高感度分析を可能にし ました。今回、カチオン性生体化合物の高感度分析を可能とした「HILICpak® VC-50」、 オリゴ糖の高感度分析に適した「HILICpak® VN-50」の 2 製品が加わり、「HILICpak®」 シリーズにおいて、より広範囲の親水性化合物の分析が可能となりました。 2 ① 神経伝達物質の分析が可能な「HILICpak® VC-50」 今回新たに開発した「HILICpak® VC-50」は、充てん剤にカルボキシル基を導入し、ア ミン系神経伝達物質やコリン・アセチルコリン、アミノ酸などのカチオン性官能基を有す る試料の高感度分析を可能にしました。微量の試料から複数の脳内物質を同時に分析でき ることから、神経疾患など、脳科学分野における研究に適しています。 <コリン・アセチルコリンおよび各種アミン系神経伝達物質の LC/MS 一斉分析> 5 種のアミン系神経伝達物質とコリン、アセチルコリンを LC/MS*****(液体クロマトグラフィ質量分析 計)で分離・分析したところ、15 分以内にすべての化合物を分離・検出しました。 【分析条件】 試料 : 10nM each(in water),20μL カラム : Shodex HILICpak VC-50 2D 溶離液 : 50mM Formic Acid aq./Acetonitrile =60/40 溶離液流量 : 0.25mL/min 検出器 : ESI-MS(MRM) カラム温度 : 30℃ 1. Noradrenaline 2. Adrenaline 3. Dopamine 4. Tyramine 5. Serotonin Noradrenaline 6. Choline 7. Acetylcholine 0 5 10 Dopamine 15 NH2 HO MW153 NH2 OH HO NH2 HO HO MW169 HO Choline NH2 NH MW183 Acetylcholine O HO MW137 HO min Serotonin Tyramine HO Adrenaline OH + + N N H MW176 OH MW104 N O MW146 ② オリゴ糖分析が可能な「HILICpak® VN-50」 「HILICpak® VN-50」は、オリゴ糖の高感度分析に適した HILIC 用カラムです。高度 に親水化した充てん剤が優れた HILIC モードを発現し、従来の SEC モードでは困難だっ た LC/MS 分析を可能としました。オリゴ糖は機能性食品の他、バイオエタノールの原料 として知られており、バイオ燃料の糖化工程で生成されるオリゴ糖の分析は、アルコール 生成の効率向上において重要な役割を担っています。今回、LC/MS 分析によって、糖化工 程における複数種のオリゴ糖を十分に分離することが可能となりました。 <オリゴセルロースの LC/MS 一斉分析> 1. Glucose 2. Cellobiose 3. Cellotriose 4. Cellotetraose 5. Cellopentaose 0 5 【分析条件】 試料 : 100μg/mL、1μL カラム : Shodex HILICpak VN-50 2D 溶離液 : 100mM Ammonium Formate aq./ Acetonitrile=30/70 溶離液流量 : 0.2mL/min 検出器 : ESI-MS(SIM) カラム温度 : 40℃ 10 min 3 * SEC(Size Exclusion Chromatography、サイズ排除クロマトグラフィ)…充てん剤の細孔を用い、タン パク質や合成高分子等の試料成分を分子の大きさ(分子量)に基づいて分離・分析する方法。 ** HILIC(Hydrophilic Interaction Chromatography、親水性相互作用クロマトグラフィ)…順相クロマ トグラフィの一種で、カラムに注入された試料成分を親水性の低い化合物から溶出させる方法。 *** GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィ)…溶離液に有機溶媒(テトラヒ ドロフラン、クロロホルムなど)を用いる SEC 分析方法。 ****GFC(Gel Filtration Chromatography、ゲルろ過クロマトグラフィ)…溶離液に水溶液を用いる SEC 分析方法。 *****LC/MS(Liquid Chromatography Mass Spectrometry、液体クロマトグラフィ質量分析法)…試料 成分の高感度定量や構造解析に用いられる分析方法。試料を液体クロマトグラフィ(LC)で成分毎に分 離したのち、質量分析計(MS)で分離された成分を検出する。 以上 ◆お問い合わせ先 広報室 03‐5470‐3235 4
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