2016年欧州心臓病学会(ESC)学術集会

バイエル薬品株式会社
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News Release
本資料は8月29日にドイツ・バイエル社が発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、報道関係者各位へ
参考資料として提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語を
優先します。原文は www.press.bayer.com をご参照ください。
2016 年欧州心臓病学会(ESC)学術集会:
バイエルのイグザレルト® 複数の国で得られたリアルワールド(実臨床)データ
から日常診療における良好なベネフィットとリスクのプロファイルを引き続き再確認
•
日本の非弁膜症性心房細動(AF)患者を対象とする XAPASS(市販後特定使用成績調査)の最新
データにより、日常診療でイグザレルトを使用した場合の脳卒中および重大な出血事象の発現率は
いずれも低く、第Ⅲ相臨床試験 J-ROCKET AF と一貫していることを再確認 1
•
スウェーデンの患者登録を用いて現在進行中の市販後安全性試験では、イグザレルトによる頭蓋内
出血の発現率はワルファリンと比べて有意に低く、ROCKET AF 試験と一致していることを確認 2
•
非弁膜症性 AF 患者を対象にリバーロキサバン、アピキサバン、ダビガトランをそれぞれワルファリン
と比較した REVISIT-US 試験から得られたリアルワールド(実臨床)データも発表 3
•
イグザレルトのリアルワールド(実臨床)データは、第Ⅲ相臨床試験の域を超えた新たな知見をもたら
すとともに、日常診療で治療を受けているさまざまな患者集団の実態をより正しく反映
ドイツ・ベルリン、2016 年 8 月 29 日 ― ドイツ・バイエル社は、自社の経口第 Xa 因子阻害剤イグザレルト®
( リ バー ロキ サ バ ン )を 非 弁 膜症 性心 房細 動(AF ) 患 者 に使 用し た複数 の 国か ら 得 られ た 新た な
リアルワールド(実臨床)データが、2016 年欧州心臓病学会(ESC)学術集会で公表されたことを本日発表
しました。市販後の前向き観察研究 XAPASS(市販後特定使用成績調査)には日本の患者 11,000 人
以上が登録され、日常診療で新たにリバーロキサバンの服用を開始した非弁膜症性 AF 患者において、
脳卒中および重大な出血事象の発現率がいずれも低いことが確認されました 1 。本結果は、無作為化
第Ⅲ相臨床試験 J-ROCKET AF とおおむね一貫していました。また、合計 57,498 人の患者が登録されて
いるスウェーデンの国内登録からもリアルワールド(実臨床)の知見が得られており、重大な出血事象の
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発現率はリバーロキサバンとワルファリンで同様でしたが、頭蓋内出血の発現率はリバーロキサバンが
有意に低いことが示されました 2。
XAPASS からこれまでに得られたデータは、第Ⅲ相臨床試験 ROCKET AF および J-ROCKET AF で
初めて証明された良好なベネフィットとリスクのプロファイルを再確認するものです 4、5 。J-ROCKET AF
試験では、リバーロキサバンによる脳卒中および非中枢神経系塞栓症のリスクがワルファリンよりも 51%
低いことが示されました(統計学的有意差なし)。全体的な出血事象の発現率は、J-ROCKET AF 試験に
おいて両群間に有意差は認められませんでしたが、リバーロキサバンはワルファリンに比べて重大な
出血事象の発現率が有意ではないものの低く、重大ではないが臨床的に問題となる出血事象の発現率
はわずかにワルファリンを上回っていました 4。J-ROCKET AF 試験に登録された患者のリスクプロファイル
は中程度から高度で、CHADS2 スコア平均値が 3.25 であったのに対し、XAPASS の対象患者は脳卒中
の平均リスクがこれよりも低く、CHADS2 スコア平均値は 2.2 でした
1、4
。XAPASS において、出血事象の
発生率は 100 患者・年当たり 4.84 件で、このうち重大な出血事象の発現率は 100 患者・年当たり 1.02 件、
頭蓋内出血の発現率は 100 患者・年当たり 0.43 件でした。また、脳卒中、非中枢神経系塞栓症および
心筋梗塞の複合からなる主要評価項目の発現率は 100 患者・年当たり 1.35 件で、虚血性脳卒中の
発現率は 100 患者・年当たり 0.90 件でした 1。これらの結果は、J-ROCKET AF 試験の結果とおおむね
一貫していました 4。
スウェーデンの国内登録からは、非弁膜症性 AF 患者を対象にリバーロキサバンとワルファリンによる重大
な出血事象の発現率を比較したリアルワールド(実臨床)の知見が得られています 2。この比較の結果、
重大な出血事象の発現率はリバーロキサバンとワルファリンで同様でした(それぞれ 100 患者・年当たり
3.40 件、3.32 件;ハザード比 0.89;95%信頼区間 0.73-1.10)。ただし、頭蓋内出血の発現率は、
リバーロキサバンがワルファリンを有意に下回りました(それぞれ 100 患者・年あたり 0.62 件、0.88 件;
ハザード比 0.63;95%信頼区間 0.40-0.99)2。
2016 年の ESC 学術集会では、米国の保険請求データベース MarketScan を用いた後ろ向き解析
REVISIT-US 試験の最新データも発表されました 3。本試験は、リバーロキサバン、アピキサバンまたは
ダビガトランの服用を新たに開始した非弁膜症性 AF 患者を対象とし、それぞれの薬剤のリアルワールド
(実臨床)での有効性と安全性をワルファリンと比較評価しました。REVISIT-US 試験の結果は、2016 年
の 欧 州 心 臓 不 整 脈 学 会 ( ECAS ) 学 術 集 会 で 初 発 表 さ れ 、 リ ア ル ワ ー ル ド ( 実 臨 床 ) に お い て
リバーロキサバンはワルファリンと比べて虚血性脳卒中の発現率が有意ではないものの 29%低く、
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頭蓋内出血の発現率は 47%有意に低かったことが示されました。REVISIT-US 試験における頭蓋内出血
お よ び 虚血 性 脳卒 中 の複 合 か ら なる 評価 項 目の 結 果を み ると 、 リバ ーロ キ サ バ ンで の 発現率は
ワルファリンを 39%有意に下回りました 6 。
米国コネチカット大学医療薬学教授のクレイグ・コールマン氏は次のように述べています。「リアルワールド
(実臨床)エビデンスは、日々接する患者さんに薬剤がどのように作用するかを明らかにするうえで重要な
意味を持っていますが、市販後に行われるすべての臨床研究が同じようにデザインされているわけではな
いため、その結果は慎重に解釈する必要があります。そのため、日常診療で非弁膜症性 AF 患者に
リバーロキサバンを使用したときにベネフィットとリスクのバランスが良好であることが、市販後に行われる
さまざまな種類の臨床研究で一貫して再確認されていることは頼もしい限りです」
ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門メディカルアフェアーズ&ファーマコビジランス責任者で、バイエル
社チーフ・メディカル・オフィサーのマイケル・デヴォイは次のように述べています。「バイエルは、無作為化
臨床試験の域を超えた新たな知見をもたらす市販後の臨床研究に積極的に投資しており、実際、
リバーロキサバンの臨床試験プログラムの半分は市販後の臨床研究です。リバーロキサバンの豊富な
リアルワールド(実臨床)エビデンスがさらに集積されることで、リアルワールド(実臨床)からの最新の知見
によって無作為化臨床試験の結果をより詳しく解釈することが可能となり、医師は今後も自信を持って
日々の診療でリバーロキサバンを使用できるでしょう」
XAPASS について 1
リアルワールド(実臨床)での前向き観察研究 XAPASS は、日本の規制当局の定めにより日常診療に
おけるリバーロキサバンの安全性および有効性を評価する市販後特定使用成績調査としてバイエル社が
デザインしました。本試験には、日本全国 1,415 施設でリバーロキサバンの服用を新たに開始した
非弁膜症性 AF 患者が登録されました。用量用法は担当医師が決定し、すべての有害事象(AE)は AE
または重篤な AE として記録されました。
スウェーデンの国内登録を用いた市販後安全性試験について 2
ス ウ ェー デ ンで 現在 進行 中 の市 販 後安 全性 試験 で は 、 成人 非弁 膜症性 AF 患者 計 57,498 人
(リバーロキサバン 7,273 人、ワルファリン 50,225 人)のうち経口抗凝固剤未治療患者を対象に、
リバーロキサバンとワルファリンの重大な出血事象の発現率が比較されました。本試験は、スウェーデンの
国内登録[処方薬登録、患者登録、死因登録および医療保険と労働市場調査のための個人統合データ
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ベース (LISA)登録]を用いて、2012 年 10 月 3 日から 2014 年 12 月 31 日に、AF とほかの併存疾患と
診断されリバーロキサバンまたはワルファリンが処方された患者さんの特性を明らかにしました。
リアルワールド(実臨床)エビデンスについて
リアルワールド(実臨床)エビデンスとは、コントロールされた無作為化臨床試験(RCT)とは異なる実生活
における薬剤の使用に関する情報のことです。リアルワールド(実臨床)エビデンスは、(RCT での検討の
域を超えた)新たな知見をもたらすことにより RCT を補強するとともに、日々の診療で治療を受けている
さまざまな患者集団の実態ををより正しく反映しています。
イグザレルト®(リバーロキサバン)について
リバーロキサバンは最も幅広い適応症を持つ非ビタミン K 拮抗経口抗凝固剤(NOAC)で、海外では
製品名「Xarelto®」として販売されています(日本販売名「イグザレルト ® 」)。リバーロキサバンは海外で
7 つの適応症が承認されており、ほかの NOAC より幅広い静脈と動脈の血栓塞栓症について発症を抑制
しています(* 日本未承認)。
•
1 つ以上のリスク因子を持つ成人非弁膜症性心房細動患者における脳卒中・全身性塞栓症の
発症抑制
•
成人における肺塞栓症(PE)の治療
•
成人における深部静脈血栓症(DVT)の治療
•
成人における DVT と PE の再発抑制
•
待機的股関節置換術施行成人患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の発症抑制 *
•
待機的膝関節置換術施行成人患者における VTE の発症抑制 *
•
心臓バイオマーカーの上昇を示す急性冠症候群(ACS)発症後で、脳卒中や一過性脳虚血
発作の既往がない成人患者におけるアテローム血栓性イベント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)
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の抑制(アセチルサリチル酸単独、または、アセチルサリチル酸とクロピドグレルまたは
チクロピジンとの併用による)*
リバーロキサバンの承認状況は国によって異なる場合もありますが、これらの適応症のいずれかが 130
カ国以上で承認されています。
リバーロキサバンは、バイエル社により創製され、ヤンセン リサーチ&ディベロップメント社と共同開発して
います。Xarelto は、米国以外ではバイエル社が、また米国ではヤンセン ファーマシューティカルズ社が
販売しています(ヤンセン リサーチ&ディベロップメント社とヤンセン ファーマシューティカルズ社は、
ジョンソン&ジョンソン社ヤンセン ファーマシューティカル カンパニーの一員です)。
抗凝固剤は、重篤な疾患や生命にかかわる可能性がある病態の予防や治療に使われる有力な治療薬で
す。抗凝固剤による治療を始める前に、医師は個々の患者さんに対するベネフィットとリスクを慎重に評価
しなくてはなりません。
Xarelto の適正使用は、バイエル社にとって優先度が大変高いことから、最良の治療をサポートするため
に、医師向けの適正使用ガイドや患者向けのリバーロキサバン患者カードを作成しました。
詳細な情報を必要とされる方は、https://prescribe.xarelto.com をご覧ください。
血栓症について詳細な情報を必要とされる方は、www.thrombosisadviser.com をご覧ください。
Xarelto®について詳細な情報を必要とされる方は、www.xarelto.com(日本での情報は http://xarelto.jp/)
をご覧ください。
バイエルについて
Bayer: Science For A Better Life
バイエルは、ヘルスケアと農業関連のライフサイエンス領域を中核事業とするグローバル企業です。「Science For A Better Life」と
いうミッションのもと、バイエルはその製品とサービスを通じて、人々のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に貢献すると同時に、
技術革新、成長、およびより高い収益力を通して企業価値を創造することも目指しています。また、バイエルは、持続可能な発展
に対して、そして良き企業市民として社会と倫理の双方で責任を果たすために、これからも努力を続けます。グループ全体の売
上高は 463 億ユーロ、従業員数は 116,800 名(2015 年)。設備投資額は 26 億ユーロ、研究開発費は 43 億ユーロです。この数字
は、コベストロ社として株式市場に 2015 年 10 月 6 日に上場した高機能ポリマー材料の事業を含んでいます。詳細は
www.bayer.com.をご参照ください。
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バイエル薬品株式会社
2016 年 8 月 29 日
将来予想に関する記述 (Forward-Looking Statements)
このニュースリリースには、バイエルの経営陣による現在の試算および予測に基づく将来予想に関する記述 (Forward-Looking
Statements) が含まれています。さまざまな既知・未知のリスク、不確実性、その他の要因により、将来の実績、財務状況、企業の
動向または業績と、当文書における予測との間に大きな相違が生じることがあります。これらの要因には、当社の Web サイト上
(www.bayer.com)に公開されている報告書に説明されているものが含まれます。当社は、これらの将来予想に関する記述を更新
し、将来の出来事または情勢に適合させる責任を負いません。
------------------------------------Ikeda T et al. XAPASS: Evidence of Safety and Effectiveness in Japanese Patients Treated with Rivaroxaban for
Stroke Prevention in Atrial Fibrillation under Real-World Clinical Practice. Oral Presentation at ESC Congress 2016.
2 Leif Friberg. Major Bleeding among Patients with Atrial Fibrillation treated with Rivaroxaban or Warfarin in Sweden.
Poster Presentation at ESC Congress 2016.
3 Coleman C et al. Real-world evidence of stroke prevention in patients with non-valvular atrial fibrillation in the United
States: the REVISIT-US study. Poster Presentation at ESC Congress 2016.
4 Hori M, Matsumoto M, Tanahashi N, et al. Rivaroxaban vs. Warfarin in Japanese Patients with Atrial Fibrillation – The
J-ROCKET AF Study. Circulation 2012;76(9):2104-11.
5 Patel MR, Mahaffey KW, Garg J, et al. Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation NEJM
2011;365:883-91.
6 Coleman CI et al. Real-world EVIdence on Stroke prevention In patients with aTrial Fibrillation in the United States
(REVISIT-US) [Presentation at ECAS 2016] Available at: http://clinicaltrialresults.org/Slides/REVISIT_US_Slides.pptx.
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