日本:消費者物価指数(2016年7月)

日本:消費者物価指数(2016年7月)
MRI Daily Economic Points
― 原油安や円高の波及から下押し圧力強まる ―
August 26, 2016
評価ポイント
図表 消費者物価指数
4
(前年比%)
2016年7月の結果
3
生鮮食品を
食料(酒類
除く総合
を除く)及び

2016年7月の消費者物価指数(2015年基準、全国)は、生鮮食品を除く総
合が、前年比▲0.5%と5ヶ月連続のマイナスとなった(前月は同▲0.4%)。
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は、同+0.3%とプラスを維持
したものの、前月(同+0.5%)から伸びが鈍化。

生鮮食品を除く総合のマイナス幅拡大の要因を品目別にみると、交通・通
信が前年比▲2.6%と前月(同▲2.1%)からマイナス幅が拡大し、全体を
▲0.07%p押下げた。携帯電話機が同▲0.8%と前月(同+4.7%)から下
落に転じた影響が大きいほか、ガソリンの下落幅も拡大した。教養娯楽は
同+0.8%と前月(同+1.3%)からプラス幅が縮小したが、振れの大きい宿
泊料の影響が大きいとみられる。

一方、電気代などが含まれる光熱・水道は、同▲7.7%とマイナス幅は依
然として大きいものの、前月(▲8.7%)からマイナス幅が縮小。全体を
+0.08%p押上げる要因となった。

なお、今回の2016年7月分より、消費者物価の基準年が2010年から2015
年に変更されたが、基準改定による影響は小さく(右下図参照)、物価の基
調判断に影響を与えるほどのものではない。
エネルギーを
2
除く総合
1
0
-1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7
2014
2015
2016
資料:総務省「消費者物価指数」
図表
10
品目別の物価指数
図表 基準改定による影響
(前年比%)
0.1
(前年比%)
2010年基準
0
5
2015年基準
-0.1
-0.2
0
基調判断と今後の流れ

消費者物価は下押し圧力が強まっている。原油安や円高による輸入物価
の下落が、エネルギー価格を中心に国内に波及している。食料及びエネ
ルギー除く総合でも伸びが鈍化傾向にある。

消費者物価の先行きは、原油価格が16年度末にかけて50ドル程度まで緩
やかに上昇することを前提としても、16年末まではエネルギー価格のマイ
ナス寄与が続き、生鮮食品を除く総合指数の前年比はマイナス圏の推移
を予想する。ただし、労働需給の逼迫による賃金上昇がサービス価格に
徐々に転嫁されていくとみられ、内生的な物価上昇圧力は少しずつ強まっ
ていくことから、17年入り後は緩やかに伸びを高めるであろう。
-0.3
-5
-10
生鮮食品除く食料
光熱・水道
交通・通信
教養娯楽
-0.4
-0.5
1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7
2014
2015
-0.6
2016
資料:総務省「消費者物価指数」
Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc.
※2015年12月以前は
前年比での改定なし
1
2
3
4
2016
5
6
7
担当: 政策・経済研究センター 森重彰浩
TEL 03-6705-6087