国内加工食品市場に関する調査を実施(2016 年)

2016 年 9 月 2 日
プレスリリース
国内加工食品市場に関する調査を実施(2016 年)
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の加工食品市場の調査を実施した。
1.調査期間:2016 年 5~7 月
2.調査対象:国内有力食品メーカー、食品卸、その他関連業界団体等
3.調査方法:当社専門研究員によるアンケート調査、及び文献調査その他データ収集を併用
<加工食品市場とは>
本調査における加工食品市場とは、「酒類」、「飲料」、「乳製品」、「食肉加工品」、「水産加工品」、「農産加工品」、
「パン・麺類」、「小麦粉類・粉製品」、「調味料類」、「油脂加工品」、「砂糖・甘味料類」、「冷凍食品」、「インスタント・レト
ルト食品他」、「菓子類」、「健康食品」の 15 カテゴリ 177 品目を対象とした。
市場規模には市販(家庭)用を中心として一部業務用途を含み、メーカー出荷金額ベースで算出した。
【調査結果サマリー】
◆ 2015 年度の国内加工食品市場は前年度比 100.5%の 29 兆 7,297 億円
2015 年度の国内加工食品市場規模(メーカー出荷金額ベース)を、前年度比 100.5%の 29 兆 7,297
億円と推計した。2014 年度は消費税増税前の駆け込み需要の反動の影響を受けたが、2015 年度は持
ち直した形となった。また、円安による輸入原材料の調達コスト上昇により、製品価格が値上げされ、値上
げによる市場規模の底上げもみられた。
また、15 カテゴリ別に過去 5 年間の平均成長率をみると、冷凍食品(平均成長率 102.6%)やインスタン
ト食品・レトルト食品他(同 101.7%)、パン・麺類(同 100.7%)など調理の簡便性が高いカテゴリや、健康
意識の高まりで健康食品(同 101.4%)が成長を続けている。
◆ 市場環境の変化によるニーズに適応したカテゴリの加工食品は、今後も堅調に推移と予測
カテゴリ別に加工食品市場をみると、内食化や調理の簡便化ニーズ、健康志向などを捉えた冷凍食品
やインスタント食品・レトルト食品他、健康食品、大人をターゲットとした新規需要の掘り起こしや訪日外国
人客によるインバウンド消費が追い風となっている菓子類などの市場カテゴリは拡大傾向にある。市場環
境の変化によるニーズに適応したカテゴリの加工食品は、今後も堅調に推移していくと予測する。
◆ 資料体裁
資料名:食品産業白書 2016 年版
発刊日:2016 年 8 月 5 日
体 裁 :A4 判 900 頁
定 価 :120,000 円(税別)
◆ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社HPからも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 9 月 2 日
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【調査結果の概要】
1.市場概況
2015 年度の国内加工食品市場規模(メーカー出荷金額ベース)を、前年度比 100.5%の 29 兆 7,297
億円と推計した。2014 年度は消費税増税前の駆け込み需要の反動の影響を受けたが、2015 年度は持
ち直した形となった。また、円安の影響により、輸入原材料の調達コストが上がり、さまざまな加工食品に
おいて製品価格の値上げが実施され、値上げによる市場規模の底上げもみられた。
図 1. 国内加工食品市場規模推移
(単位:億円)
300,000
298,090
297,646
297,630
295,705
297,297
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
2015年度
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
矢野経済研究所推計
注 1.メーカー出荷金額ベース
注 2.市販(家庭)用加工食品を中心として、一部業務用途を含む。
2.注目動向~加工食品 15 カテゴリ別の市場分析
表 1 に、2015 年度の国内加工食品の 15 カテゴリ別市場規模を掲載し、過去 5 年間の平均成長率を算
出した。 また、表 1 の市場規模と平均成長率を分布図にしたものが、図 2 となる。
表 1. 国内加工食品 15 カテゴリ別市場規模(2015 年度)と過去 5 年間の平均成長率
(単位:億円、%)
カテゴリ / 市場規模・成長率
冷凍食品
インスタント食品・レトルト食品他
健康食品
菓子類
乳製品
パン・麺類
食肉加工品
飲料
調味料類
小麦粉類・粉製品
農産加工品
油脂加工品
酒類
水産加工品
砂糖・甘味料類
その他
合計
2015年度
市場規模
過去5年間の
平均成長率
13,145
4,372
7,460
41,659
8,645
23,817
6,662
49,700
15,154
1,037
6,948
2,048
35,980
9,889
2,560
68,221
102.6
101.7
101.4
101.1
101.1
100.7
100.7
100.5
100.0
99.8
99.7
99.7
99.4
99.1
97.6
-
297,297
-
矢野経済研究所推計
注 3.メーカー出荷金額ベース
注 4.市販(家庭)用加工食品を中心として一部業務用途を含む。また、飲料カテゴリには、飲用牛乳・乳飲料を含む。
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2016 年 9 月 2 日
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2015 年度に最も市場規模が大きいカテゴリは飲料(4 兆 9,700 億円)となるが、過去 5 年間の平均成長
率は 100.5%でありほぼ横ばいで推移している。夏季の熱中症対策に対する意識の高まりや、健康志向
によるトクホ製品の消費、フレーバーウォーターが市場を賑わしており、市場は安定している。次に市場規
模が大きい菓子類(4 兆 1,659 億円、同 101.1%)は、チョコレートやナッツ類の健康効果に注目が集まり、
市場が拡大していることに加え、コンビニエンスストアやドラッグストアの店舗数増加、訪日外国人客によ
るインバウンド消費の増加など、さまざまな要因が複合的に影響し、市場拡大に至ったと考える。3 位の酒
類(3 兆 5,980 億円、同 99.4%)は苦戦が続いているが、少子高齢化や飲酒習慣を持たない若者の増加
など、様々な要因が挙げられており、市場の縮小傾向が見られる。
注目は、冷凍食品(平均成長率 102.6%)やインスタント食品・レトルト食品他(同 101.7%)、パン・麺類
(同 100.7%)など調理の簡便性が高いカテゴリと、健康意識の高まりで健康食品(同 101.4%)が成長を続
けている点である。そして、健康志向の高まりにより糖分を控える動きも見られ、砂糖・甘味料類の市場規
模(同 97.6%)が縮小傾向となっている。
また、食肉加工品(平均成長率 100.7%)が増加傾向にありながら、水産加工品(同 99.1%)は縮小傾
向にある。日本人の食生活が徐々にではあるが魚から肉へ移行しつつあることがうかがえる。
パンは、内食化や調理の簡便化ニーズなど日本人のライフスタイルの変化や、パン食で育ってきた高
齢者の増加などの拡大要因もあり、また、麺類は生麺風ノンフライ袋麺の市場が一巡したが、簡便性が高
いカップ麺を中心に堅調であり、パン・麺類市場(平均成長率 100.7%)は即食性が高いことから市場を拡
大していると考える。
図 2. 国内加工食品市場 15 カテゴリ別の動向(2015 年度)
(単位:%)
103.0
↑
市場拡大
冷凍食品
インスタント食品・
レトルト食品他
健康食品
乳製品
菓子類
パン・麺類
食肉加工品
飲料
小麦粉類・粉製品
100.0
調味料類
農産加工品
酒類
油脂加工品
水産加工品
市場縮小
市場規模大→ ↓
砂糖・甘味料類
←市場規模小
97.0
0
10,000
20,000
30,000
40,000
50,000
60,000
(単位:億円)
矢野経済研究所作成
注 5.X 軸は 2015 年度の各カテゴリ市場規模、Y 軸は各カテゴリの過去 5 年間の平均成長率
3.まとめ
本調査結果から、内食化や調理の簡便化ニーズ、健康志向などを捉えた冷凍食品やインスタント食
品・レトルト食品他、健康食品、大人をターゲットとした新規需要の掘り起こしや訪日外国人客によるイン
バウンド消費が追い風となっている菓子類などの市場カテゴリは拡大傾向にあることがわかる。
少子高齢化で日本国内の胃袋は縮小していくと見られるが、日本人のライフスタイルの変化や日本の
「観光先進国」への新たな国づくりなど、市場環境の変化によるニーズに適応したカテゴリの加工食品は
今後も堅調に推移していくと予測する。
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