全国47都道府県調査 「不眠症治療に関する意識と実態」

MSD株式会社
2016年8月30日
全国47都道府県調査
「不眠症治療に関する意識と実態」
― 40歳以上の不眠症治療薬服用者の約6割が3年以上治療薬を服用
不安を抱きながら治療を継続 ―
調査結果概要
約4割に受診が勧められる「不眠症」の疑い
不眠症治療薬は「やめられなくなる」と心配
P.3
 受診が勧められる「不眠症の疑いがある」に該当する人は全国で40.2%、「不眠症の疑いが少しある」人も
含めると59.4%という結果に
 不眠の疑いがあり不眠の悩みを持っているにもかかわらず、医師へ相談していない人は58.2%
 不眠症治療を行っていない人の59.3%は、病院で処方される不眠症治療薬に対して「飲み始めたらやめ
られない」という印象を持っていた
不眠症治療薬服用者の約6割で服用期間が3年以上と長期化
不安を抱きながら治療継続
P.5
 不眠症治療薬の服用者は全国で7.2%、そのうち服用期間が3年以上にわたる人は56.2%と判明
 治療薬を服用している人は、「服用をやめると、また眠れなくなる(68.9%)」「薬に依存してしまう(63.5%)」
と、服用中止による影響や治療薬依存に対する不安を抱いていた
不眠症治療薬の“減薬・休薬”について医師と話し合った患者は約3割
P.6
 不眠症治療の進め方や治療方針について、「いつ、どのような状況になったら服用をやめるか」など
“減薬・休薬”について医師と話し合った患者は、不眠症治療について医師に相談した患者の34.1%と
いう結果に
不眠症の疑いがある人が最も多いのは東京都、服用期間が長いのは石川県
都道府県で大きく異なる不眠症治療の実態
 不眠症の疑いがある人が最も多いのは東京都45.6%、次いで愛媛県43.6%、徳島県43.1%
 不眠症治療薬の服用率が高い地域は、鹿児島県9.5%、宮崎県9.4%、愛媛県9.0%
 不眠症治療薬の服用期間が長い人が多い県は、石川県70.0%、埼玉県・愛媛県68.0%
-1-
P.7
調査概要
◆ 調査目的:
40歳以上の不眠症治療に関する意識と実態の把握
◆ 調査対象:
(1次調査)
全国の40歳以上の男女45,811名
(2次調査)
各都道府県で、不眠症の疑いがある※、もしくは不眠症治療薬の
服用経験がある40歳以上の男女9,400名
(各都道府県、男性100名、女性100名、合計200名:総計9,400名)
※不眠症判定の国際基準である「アテネ不眠尺度」を用いて、
合計の点数が4点以上(「不眠症の疑いが少しある」とされる)
に該当する人
◆ 調査地域:
全国47都道府県
◆ 調査手法:
インターネット調査(調査会社:楽天リサーチ)
◆ 調査実施日: 2016年6月24日(金)~7月6日(水)
-2-
不眠症状と不眠の悩み
40歳以上の約4割に「不眠症の疑い」判定
不眠症を含む睡眠障害によって、遅刻・早退・欠勤、また勤務時間中の過度な眠気などによる作業効率の
低下がもたらされ、それによる経済損失は年間3兆円を超えると言われています※1。
※1
内山真, 日精協誌 第31巻第11号, 2011, 61-67
全国の40歳以上の男女を対象にした1次調査では、40.2%に「医師への相談が勧められる不眠症の疑いが
ある」という結果でした(「少し疑いあり」は19.2%)[図1] ※2 。
[図1]
不眠症の疑いの有無
※2
「アテネ不眠尺度」について
世界保健機関(WHO)が中心になって設立し
た「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が
作成した世界共通の不眠症判定法に基づい
たもので、自分の不眠の度合いをはかる目
安として世界共通で使われています。
詳しくは最終項をご覧ください。
◆ 1次調査全対象者(n=45,811)
不眠症の
疑いあり
40.2%
不眠症の疑い
なし
40.6%
不眠症の
疑い少し
あり
19.2%
不眠症状に悩みを抱く人は2人に1人以上
しかし約6割が医師へ相談せず
現在、不眠の症状(寝つきが悪い、夜間・早朝に目が覚める)について59.4%の人が悩みを抱えながら生活
を送っていることがわかりました[図2]。しかし、そのうち58.2%の人がそのような状態にありながら医師へ相
談していませんでした[図3]。
[図2]
不眠の症状での悩み
[図3]
不眠の症状の医師への相談経験
◆ 2次調査全対象者
(n=9,400)
◆ 不眠症状の悩みがある人
(n=5,586)
不眠症状の
悩みはない
40.6%
医師へ相
談したこ
とはない
58.2%
不眠症状
の悩みが
ある
59.4%
-3-
医師へ相談
したことが
ある
41.8%
不眠症治療薬に対するイメージ
「不眠症治療薬」に対するイメージ
約6割が「一度飲み始めるとやめられない」と依存性の印象を強く抱く
不眠の症状について医師に相談しておらず、不眠症治療薬を服用していない人を対象に、不眠症治療薬
に対するイメージを尋ねると、「服用期間が長くなると、効きめが悪くなる」が61.1%。さらに「一度薬を飲み始
めたらなかなかやめられない」と回答する人が59.3%にのぼり、治療薬を服用していない人が不眠症治療薬
は依存性が強いのではという印象を抱いている実態が分かりました[図4]。
[図4]
不眠症治療薬に抱くイメージ
◆ 不眠症状の相談をせず、不眠症治療薬を服用していない人
(n=2,942)
61.1%
服用期間が長くなると、効きめが悪くなる
59.3%
一度薬を飲み始めたらなかなかやめられない
56.0%
他の薬との飲み合わせが心配
48.6%
薬を飲まないと、不安でますます眠れなくなる
45.1%
翌日に眠気が残る
25.1%
服用していることを、周囲に知られたくない
-4-
不眠症治療薬服用者の実態
病院で処方される不眠症治療薬を1割弱が服用
うち約6割の服用期間が3年以上と長期化の傾向が見られる
1次調査対象者45,811名のうち、不眠症治療のために病院で処方される治療薬を服用している人は7.2%と
いう結果でした。2次調査対象者のうち、継続して治療薬を服用している人の中で、その期間が3年以上と長
期間にわたっている人は56.2%存在し、少なくない人が不眠症状を改善するために長い時間をかけて治療に
取り組んでいます[図5]。
[図5]
不眠症治療薬の服用期間
◆ 不眠症治療薬服用者(n=2,322)
わからない
1ヵ月未満
1ヵ月以上~3ヵ月未満 3ヵ月以上~6ヵ月未満
6ヵ月以上~1年未満
1年以上~3年未満
3年以上~5年未満
2.6%
18.3%
4.4%
5年以上
3.0%
4.7%
10.9%
11.2%
45.0%
不眠症治療薬服用者は「服用をやめると、また眠れなくなる」という不安を
抱えながら治療を継続
不眠症治療薬の服用者は、病院で処方される治療薬に対して、「薬の服用をやめると、また眠れなくなって
しまう(68.9%)」や「薬に依存してしまう(63.5%)」「薬の服用をやめると、日常生活に影響が出てしまう
(60.2%)」といった不安を持ちながら治療を続けていることが分かりました[図6]。
68.9%
63.5%
60.2%
56.0%
[図6]
不眠症治療薬服に対する不安
55.5%
◆ 不眠症治療薬服用者(n=2,322)
39.8%
32.5%
31.2%
27.9%
19.9%
薬を過剰摂取してしまう
効果が足りなくて、より強
い薬に移行してしまう
服用しても効果が出ている
かわからない
副作用が出てしまう
経済的な負担が大きくなっ
てしまう
体が薬に慣れて効果が薄れ
てしまう
薬をいつまで飲めばよいの
かわからない
薬の服用をやめると、日常
生活に影響が出てしまう
薬に依存してしまう
薬の服用をやめると、また
眠れなくなってしまう
-5-
治療薬服用に関する医師とのコミュニケーション
不眠症治療薬の“減薬・休薬”について担当する医師と相談したうえで
治療に臨んでいる人は約3割
不眠症の治療は、その症状の把握や睡眠に対する正しい知識の習得を行い、症状の改善具合にあわせて
“減薬・休薬”を目指した治療ゴールの設定を行うことが示されています※3。
不眠症状について医師に相談した人に、治療薬の服用に関して医師と話をしたことがあるか尋ねたところ、
「どのような状態になったら服用をやめるか」「いつ頃服用をやめるか」「どのような方法で服用をやめるか」の
いずれかを医師と話した人は34.1%という結果でした(それぞれの内訳は[図7])。
※3
三島 和夫 編 「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」
[図7]
不眠症治療薬のやめ方を医師に相談した経験
◆ 不眠症の悩みを医師に相談し、治療薬を服用している人
(n=1,725)
30.8%
どのような状態になったら不眠症治療薬の服用をやめるのか
いつ頃不眠症治療薬の服用をやめるのか
26.1%
どのような方法で不眠症治療薬の服用をやめるのか
26.0%
34.1%
3つのうちのいずれかを話したことがある
-6-
都道府県別の睡眠と不眠症治療の実態
◆ 不眠症の疑い(アテネ不眠尺度6点以上)
順位
疑いあり上位5
%
順位
疑いあり下位5
%
1
東京都
45.6
47
山口県
36.2
2
愛媛県
43.6
46
北海道
36.3
3
徳島県
43.1
45
青森県
36.6
4
神奈川県
43.1
44
山形県
36.8
5
愛知県
42.5
43
岐阜県
37.3
◆ 医師から処方された不眠症治療薬を服用しているか
順位
服用率上位5
%
順位
服用率下位5
%
1
鹿児島県
9.5
47
岩手県
5.4
2
宮崎県
9.4
46
栃木県
5.5
3
愛媛県
9.0
45
群馬県
5.7
4
兵庫県
8.8
44
富山県
5.7
5
福岡県
8.5
43
新潟県
5.8
◆ 不眠症治療薬の服用期間
順位
3年以上上位5
%
順位
3年以上下位5
%
1
石川県
70.0
47
富山県
38.3
2
埼玉県
68.0
46
長野県
42.0
2
愛媛県
68.0
43
宮崎県
44.0
4
栃木県
66.0
43
福井県
44.0
4
静岡県
66.0
43
千葉県
44.0
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参考:不眠症判定の国際基準 「アテネ不眠尺度」
「アテネ不眠尺度」(AIS)(Soldatos et al.: Journal of Psychosomatic Research 48:555-560, 2000))
世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法に基づいたもので、自分の不眠の
度合いをはかる目安として、世界共通で使われています。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、客観的に不民度を測定できます。
●回答方法: 過去1ヵ月間に、少なくとも週3回以上経験したものに当てはまるものにチェックします。
●判定: 合計点が 0~3点・・・不眠症の心配はありません 4~5点・・・不眠症の疑いが少しあります
6点以上・・・不眠症の疑いがあります、医師に相談することをお勧めします
●質問項目
Q.寝付きは(布団に入ってから眠るまでかかる時間)?
いつも寝つきは良い
0点
いつもより
少し時間がかかった
1点
いつもより
かなり時間がかかった
2点
いつもより非常に時間がかかったか
全く眠れなかった
3点
1点
かなり困っている
2点
深刻な常態か
全く眠れなかった
3点
Q.夜間、眠っている途中に目が覚めることは?
問題になるほど
ではなかった
0点
少し困ることがあった
Q.希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったことは?
そのようなことは
なかった
0点
少し早かった
1点
かなり早かった
2点
非常に早かったか
待ったく眠れなかった
3点
0点
少し足りない
1点
かなり足りない
2点
全くたりないか
全く眠れなかった
3点
0点
少し不満
1点
かなり不満
2点
非常に不満か
全く眠れなかった
3点
0点
少しめいった
1点
かなりめいった
2点
非常にめいった
3点
0点
少し低下
1点
かなり低下
2点
非常に低下
3点
0点
少しある
1点
かなりある
2点
激しい
3点
Q.総睡眠時間は?
十分である
Q.全体的な睡眠の質は?
満足している
Q.日中の気分は?
いつも通り
Q.日中の活動は(身体的及び精神的)?
いつも通り
Q.日中の眠気は?
全くない
<お問い合わせ先>
MSD株式会社 広報部門
〒102-8667 東京都千代田区九段北1-13-12 北の丸スクエア
TEL:03-6272-1001 FAX :03-6238-9136
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