ひと・こえ

9月
2016
No. 390 平成28年8月25日発行
“KATANA”
に
映り込むもの
一人一人違うはず。
初演を観た人の感動が 10 年後の今も語
り草になるほど迫真の舞台「KATANA」。
9 月の再演を前に、森山さんが作品に込め
る思いを伺いました。
■舞台へ向かう時に思うこと
いつも意識していることは、ボクの踊りを通
して観に来てくだった方を鼓舞激励する思いを
持って舞台に出ることです。
「 あなたのために全
身全霊で踊ります。恐れ多いですけど、私を観て
ください」という思いがいつも根底にあり、特に
“KATANA”という作品はその思いが強い作品で
す。舞台上では一人で踊っていますが、常にお客
様さんと対峙し、コミュニケーションをとってい
る感覚です。踊りながらお客様の反応もよく分か
ります。舞台に集中してくださっているなとか、
ボクと向かい合ってくださっているなと感じて
います。
■“KATANA”
再演への思い
再演にあたり、一人一人が“刀”を持つとしたら
それは何だろうということを考えました。例えば
生きる上での強い芯は、人それぞれ違うと思いま
す。刀は人を切るものでありながら、同時に大事
なものを守るもの。刀を持つことの強さと弱さ、
相反するもの、表裏一体の存在ってどういうこと
だろうと考えました。お客様の目を通して観ると
さん(もりやま・かいじ)
ダンサー
“KATANA”にはどんな世界が映り込むのか、ボ
クの踊りを通していろいろ発想し、感じとってい
1973 年生まれ。21 歳でダンスを始める。2005 年、ソロ作品『KATANA』で「驚異のダンサー」 ただけたらいいなと思います。
しょう へ い
森山 開次
(ニューヨークタイムズ紙)と評され、2007 年ヴェネチアビエンナーレ招 聘。12 年発表『曼
荼羅の宇宙』にて芸術選奨新人賞他 3 賞受賞。国内外で精力的に活動を展開するコンテンポラ
リーダンサー。NHK 教育『からだであそぼ』レギュラー、
『課外授業・ようこそ先輩』
『日曜美術
館』
『情熱大陸』などメディア出演多数。
ダンス
アステールプラザ芸術劇場シリーズ 森山開次ソロダンス [KATANA]
国内外に多くのファンを持つ森山開次。代表作の一つ「KATANA」の再演が
いよいよ実現します。
「命がけでみなさんのために踊ります」と言う白熱の
舞台をお見逃しなく !
時/ 10 月 15 日(土)18:00 ~
所/ JMS アステールプラザ 中ホール
¥/ 6,000 円(全席指定・税込)/学生シート 4,500 円
(学生シートは前売りのみ。当日座席指定&学生証提示)
問/ TSS 事業部 TEL.082-253-1010(平日 10:00 ~ 18:00)
WEB http://katana2016.wix.com/katana
■表現者を志す人へ
偉そうなことは言えないのですが…ボク自身
はそんなに自己表現が得意じゃないし、時には殻
を作ることもあります。でも表現するためにはい
ろんなヒト・モノ・コトと出会っていくことが
大事なのかなと思っています。どんな出会いをす
るかも大事ですが、人と出会うときっといろんな
事が変わっていきます。人の中に出ていくことが
しんどい時は心の中で「よいしょっ」と掛け声が
必要な時もあるでしょうが、その「よいしょっ」が
何かに向かう時の覚悟にもなります。ボクはソロ
で活動して初めていろんなことに出会えたので、
一人になることイコール出会うことだと思って
います。いろんな出会いがあったから、この舞台
もできる。一人で踊っているのではないです。