鳩が丘障害者福祉施設再整備事業 設計者選定プロポーザル 審査結果

鳩が丘障害者福祉施設再整備事業
設計者選定プロポーザル 審査結果報告書
平成28年8月
鳩が丘障害者福祉施設再整備事業
設計者選定審査委員会
はじめに
鳩が丘障害者福祉施設再整備事業では、「日立市鳩が丘障害者福祉施設再整備事業基
本計画」に基づき、新たな発想で、新たな“福祉のまち日立”を再発信するため、単な
る障害者福祉施設の枠を超え、地域と一体となった利活用を図るという考えのもと、独
創性と柔軟性に富んだ先進的な施設の実現を目指している。
鳩が丘障害者福祉施設再整備事業設計者選定審査委員会は、設計者からの提案書等を
基に公平かつ適正に審査、選考を行い、当該施設の実現に足りうる設計者として、十分
な経験、技術力そして柔軟な発想力を有する者を選定したので、審査に関する資料を添
えて、ここに報告する。
鳩が丘障害者福祉施設再整備事業設計者選定審査委員会
委員長
作 山
康
副委員長 山 田 あすか
委員
有 賀 絵 理
委員
秋 山 竹 彦
委員
畑 山 一 美
審査結果
1
鳩が丘障害者福祉施設再整備事業設計者選定プロポーザルにおいて、公募の結果、
参加表明のあった10者からの提案書について、1次審査において絞込みを行い、
2次審査では、提案者へのヒアリングを実施することで、公平かつ適正に審査を行
った結果、以下のとおり設計候補者を選定した。
なお、審査においては、提案者を匿名としている。
優先候補者
【 G 者
】
次点候補者
【 B 者
】
1
講評
2
日立市では、“福祉のまち日立”の発祥地として輝いていた「ひかりの郷鳩が丘」の“ひ
かり”を取り戻すべく、本再整備事業にあたって基本計画を策定している。この中で整備
する施設には、分散化していた旧施設配置を改め、効率的かつ効果的なサービスを行うた
め「複合施設」とすること、そして、新たに設ける「多用途機能」として地域生活支援拠
点や情報発信等の付加機能を求めている。
本委員会としては、本事業の設計者としてふさわしい資質において、これらの視点はも
ちろん、実現のための基礎的要件として、障害者に対する考え方や障害者福祉施設の安全
性や機能性などに関する知識と経験にポイントがあると判断した。
一方、障害者福祉施設の設計事例は、全国的に見ても豊富とは言えず、つまるところ、
設計者個々の実績としても心もとない状況にある。このため、設計者選定においては、
「プ
ロポーザル方式」により、市が求める課題に積極的かつ誠実に取り組み、前述の基礎的要
件を満たしつつ市民、利用者及び行政との対話により設計を進めることができる設計者を
選定するため、広く公募を行っている。公募の結果、10者から参加表明があり、この全
てから技術提案書の提出があった。
一次審査においては、同種・類似施設の設計実績や設計に必要な資格に加え、「これか
らの障害者福祉施設のあり方」、「敷地条件を活かす施設整備」そして「自由提案」の3
つのテーマに関する提案について、本プロポーザル要項の採点基準による各委員の評価点
を基に、審査を行った。この結果、提案された10者のうち、5者を一次審査通過者とし
て選定している。
二次審査では、この5者によるプレゼンテーションと、これに対する質疑応答を行って
いる。質疑では、提案者の考えを比較しやすくするため共通質問を設け、さらに、各提案
に応じた個別質問を行った。
審査については、障害者福祉施設に関する理解度を確認するとともに、プレゼンテーシ
ョンと質疑による各提案者の主張や取組意欲を踏まえ、改めて設計テーマに対する提案を
吟味し、かつ総合的な評価を行った。
次に具体的な審査講評についてまとめる。
優先候補者のG者については、障害者福祉施設の設計に関し十分な実績があり、これに
2
基づく技術力を有していることが確認でき、当該施設設計に関する理解度や考え方の点に
おいて、他者と比較し抜きん出ているものがあった。また、デメリットを認識しつつも、
建設コスト等の要件から、敢えてグループホームを合築したこと、さらに、複合施設化し
たことによる機能性、安全性、合理性などの課題について明確な解答が示されている点が
評価できる。加えて、市が定めた基本方針に沿った計画を立案している点も併せ、最も優
れた設計者として選定した。各委員による主だった評価内容は以下のとおりである。
・ ゾーニングと動線計画が非常に良くできている。
・ 障害者施設ならではのニーズをよく捉えている。
・ 利用者の具体的な生活のビジョンをイメージしている。
・ 災害発生時のことを良く考えている。
・ コスト、人的な管理面においても有効性が高い。
・ 多用途ホールでの地域との交流を考慮し、かつ屋外空間を積極的に活用している。
また、次点候補者のB者については、その提案においてG者と対照的に施設を分散配置
しており、“出会いの道”と称する中央通路と各施設の空間構成のイメージを重視したも
のであった。この意味において、実設計において提案の内容をうまく活かすことができれ
ば、魅力ある施設としての訴求効果が見込めるものとなる可能性を秘めている。しかし、
一方で、提案の具体性に乏しい部分もあり、構想の実現性の困難度や障害者福祉施設に対
する理解度の低さなどの点が評価を分けた結果となった。
そして、第2次審査で審議した他の3者は、提案内容について質は高く、種々の点にお
いて評価を得たものの、提案の全体的な構成や当該施設に対する理解度等の面で、優先交
渉者と次点優先交渉者に一歩及ばなかった。
なお、市の基本計画において事業の概算費用を提示しているが、昨今、建設工事費用が
上昇している傾向にあることから、より良い施設を実現するために適正な予算で事業にあ
たる必要があることを、本委員会として申し添えたい。
最後に、鳩が丘障害者福祉施設再整備事業設計者選定プロポーザルに参加され、貴重な
時間を費やして協力いただいた関係各位に心から感謝するとともに、本委員会で出された
意見等を参考に、行政と設計者それぞれが役割を全うし、市民、利用者が望む、「福祉の
まち日立」として“再はっしん”できる施設が実現されることを切に期待する。
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3
審査委員会の進行状況
(1) 第1回審査委員会(一次審査)
ア 開会宣言
イ 主催者代表あいさつ
ウ 自己紹介及び事務局メンバーの紹介
エ 審査委員会設置要領により委員長等の選出
オ 議事
(ア) 一次審査基準及び評価要領の説明と確認
(イ) 事前に各委員が行った一次審査の
採点結果確認
(ウ) 審議
各委員による採点結果、提案書等
に基づく審議
(エ) 自由討議
(オ) ヒアリング要請者の選定
(カ)ヒアリング実施の確認
(キ)二次審査基準及び評価要領の説明と確認
カ 審査委員会の今後のスケジュールの確認
キ 閉会宣言
(2) 第2回審査委員会(二次審査)
ア 開会宣言
イ 提案者へのヒアリングを実施
ウ 議事
(ア) 審議
各委員によるヒアリング結果や
技術提案書等に基づく審議
(イ) 審査
各委員による総合評価(採点)の
実施と選定結果の確認
(ウ)設計候補者の選定
(エ) 審査結果の講評
エ 閉会宣言
4
4
審査委員会の構成
区
5
分
氏名
所属等
委員長
学識者
(都市計画、景観)
作山 康
芝浦工業大学システム理工学部
環境システム学科教授
副委員長
学識者
(建築、福祉)
山田 あすか
東京電機大学未来科学部建築学科准教授
委員
基本計画策定委員
(委員長)
有賀 絵理
茨城大学非常勤講師
委員
基本計画策定委員
(市民代表)
秋山 竹彦
日立市助川学区コミュニティ推進会会長
委員
行政
畑山 一美
日立市保健福祉部長
プロポーザルの経緯
日
付
内
容
平成 28 年 5 月 30 日
プロポーザル実施の公告
平成 28 年 6 月 8 日
プロポーザル手続きに関する質問締切
平成 28 年 6 月 16 日
同質問への回答
平成 28 年 6 月 20 日
プロポーザル参加表明書提出締切(10 者提出)
平成 28 年 7 月 4 日
技術提案書提出締切(10 者提出)
平成 28 年 7 月 14 日
第 1 回審査委員会(一次審査)
(一次審査通過者 5 者)
平成 28 年 7 月 20 日
一次審査通過者へヒアリング参加要請
平成 28 年 8 月 4 日
第 2 回審査委員会(二次審査)
平成 28 年 8 月 18 日
市長への審査経過及び講評の報告
以
5
上