資料1-1 - 北海道開発局

北海道開発局i-Construction講習会
<日 時> 平成28年8月24日(水) 14:00~16:00
<場 所> 旭川会場(旭川勤労者福祉会館)
<次 第>
1 開会あいさつ
2 i-Constructionの概要
3 ICT活用工事の実施方針
4 ICT活用工事の流れ
5 質疑応答
6 閉会
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
資料 1
資料-1
i Constructionの概要
i-Constructionの概要
国土交通省 北海道開発局 事業振興部
機械課課長補佐 中山 克己
1
目 次
1.建設業の現状
2.⽣産性向上を図るための視点
3.トップランナー施策の推進
4.ICT の全⾯的な活⽤
的
(ICT ⼟⼯)
5 全体最適の導⼊
5.全体最適の導⼊
(コンクリート⼯の規格の標準化等)
6.施⼯時期の平準化
7.i-Construction の⽬指すべきもの
2
1(1).労働力過剰を背景とした生産性の低迷
○ バブル崩壊後の投資の減少局面では、建設投資が労働者の減少をさらに上回って、
ほぼ一貫して労働力過剰となり、省力化につながる建設現場の生産性向上が見送られ
てきた。
てきた
建設投資額および建設業就業者の増減
建
建設投資額
額がピーク
クである
平成
成4年を10
00とした場
場合の値
値
160 140 建設就業者数のピーク
685万人(9年平均)
120 建設就業者数
500万人(27年平均)
100 80
80 60 27%減
建設業就業者
建設投資のピーク
84.0兆円(4年度)
建設投資額
40 42%減
20 H1 3
5
7
9
建設投資
48.5兆円(27年度(見込み))
11 13 15 17 19 21 23 25 27
3
1(2).労働力過剰時代から労働力不足時代への変化
○ 技能労働者約340万人のうち、今後10年間で約110万人が高齢化等により離職の可
能性
○ 若年者の入職が少ない(29歳以下は全体の約1割)
2014年度 就業者年齢構成
60歳以上
55~59
55
59
50~54
45~49
40~44
35~39
30~34
25~29
20~24
15~19歳
0.0%
技能労働者
約110万人が
離職の可能性
10.0%
20.0%
出典:2015年(一社)日本建設業連合会「再生と進化に向けて」より作成
30.0%
4
1(2).労働力過剰時代から労働力不足時代への変化
建設業就業者の高齢化の進行
技能労働者等の推移
○建設業就業者
○建設業就業者: 685万人(H9) → 498万人(H22) → 505万人(H26)
○技術者
:
41万人(H9) →
31万人(H22) → 28万人(H26)
○技能労働者 : 455万人(H9) → 331万人(H22) → 341万人(H26)
(%)
(万人)
800
700
500
400
300
200
100
640
655 663
670 685 662 657
653
その他
販売従事者
管理的職業、事務従事者
技術者
技能労働者
632 618
24 24
604
25 24 29 31 24 23 20
26
588
584 568
29
31
32 34 22 19
27
25
559
26
25
33
19
552 537
32
24 22 27
17 14
34
517
131133
22
14
127128
35 34
498 502 503499 50
131128126
17 15
32
128
124116
127
31 31 14
8
114
118 127
29 13 7 8 9
604 619
600
○ 建設業就業者は
55歳以上が約34% 29歳以下が約11%と
建設業就業者は、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と
高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題。
※実数ベースでは、建設業就業者数のうち平成25年と比較して
55歳以上が約2万人増加、29歳以下が約3万人増加(平成26年)
41
113 107
29 32 30 29 30
43 43
107 103
43 42 42
42
42
103
39 37 36
36
100
29 33
94 98 98 96 98
34 32 31
31 30
455
442
32 31 31 32 27 28
434
438
433
432 432
420
408
415414
414
399
401
395
385
381
375370
358 342
341
338
335
334
331
37.0
35.0
建設業:約3割が55歳以上
33.1
32.2
33.0
30.2
29.0
全産業(55歳以上)
29.4
28.1
27.0
25.0
23.2
23.0
22.8
20.9
23.1
21.0
20.9
20.2
21.6
23.4
21.3
22.3
21.7
19.0
19.8
17.9
16.8
18.4
25.6
24 8
24.8 26.0
23.3 24.5 24.8
23.8
23.5
23.5
23.9
22.8 23.1
24.6
24.1 24.2
22.9 22.8
23.7
22.2
21.9
23.7 23.522.3 23.7
21.6
23.1 21.5
23.1 23.2
22.3
20.9
21.8
20.2
22
19.7
21.6
21.1
21.0
20 5
20.5
20 5
20.5
19.6
19.1
27.9
27.0
全産業(29歳以下)
18.3
17.7
16.1
建設業:29歳以下は約1割
19.4
18 6
18.6
15.5
17.3
9.0
4
5
6
7
8
16.7
16.616.4
約3万⼈増
13.8
13.0 12.8
11.6 11.8
H2 3
(※平成23年データは、東日本大震災の影響により推計値。)
17.8
17.5
15.0
11.0
出典:総務省「労働力調査」(暦年平均)を基に国土交通省で算出
28.528.6 28.728.628.9
23.6
15.0
13 0
13.0
26.5
28.2 28.4
0
H2年H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26
32.8
31 3
31.3
31.0
17.0
32.5
34.26
33.634.27
11.1 10.210.7
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26
(年)
出典:総務省「労働力調査」を基に国土交通省で算出
1(3).建設就業者の年齢構成推移(全国と北海道の比較)
45
○【全
国】 全産業平均に比べ建設業就業者の年齢構成比は高齢化が進んでいる。
全産業平均に比べ建設業就業者の年齢構成比は高齢化が進んでいる
○【北海道】 全国の建設業就業者数に比べ北海道は高齢化が顕著である。
全産業(55歳以上)全国
建設業(55歳以上)北海道
建設業(29歳以下)全国
40
0
40.9
建設業(55歳以上)全国
全産業(29歳以下)全国
建設業(29歳以下)北海道
36.4
34.8
35
33
33.3
3
30.8
年齢構成比(%)
30
28.6
29 0
29.0
26.7
25
20
24.8
24.2
23 5
23.5
22.8
20.5
23 7
23.7
23.1
21.5
22.3
24.6
20.9
20.2
19.6
17.7
16.7
16.1
15.2
27.0
26.5
27.9
全国
建設業
北海道
建設業
19.4
18.6
17.9
15.5
16.1
34.0
34.8
33.1
32.8
33.6
33.8
28.5
28.6
28.7
28.6
28.9
29.2
16.3
16.2
10.9
10.8
全産業
18.3
17.8
17.5
17 5
17.3
17 3
16.6
16.6
15.0
15.4
13.8
11.1
10
28.2
28.4
29.6
29 6
29 4
29.4
19.7
19.1
19.4
15
25.6
24.8
32.5
34.3
36.4
33
3
33.3
32.2
39.1
31.3
28.1
26.0
25.8
23.9
30.2
39.1
11.1
13.0
12.8
12.5
13.0
13.0
11 8
11.8
11.1
11.6
9.1
9.1
H23
H24
10.2
9.1
8.7
8.7
H25
H26
5
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
出典 : 総務省「労働力調査」をもとに北海道開発局で算出
H27
6
1(4).安定的な経営環境
○我が国の今年度の建設投資額の見通しは、前年度と同程度の約48兆円。
○これは、ピークだった平成4年度の約84兆円の約6割の水準。
建設投資のピーク
84兆円(H4)
(兆円)
90
80
民間投資額(兆円)
政府投資額(兆円)
48兆円(H27)
70
52
リーマンショック
60
50
40
28
30
20
32
10
20
0
51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27
(年度)
出典:2015年国土交通省建設投資見通し
注 投資額については平成24年度まで実績、25年度・26年度は見込み、27年度は見通し
7
1(5).生産性向上の絶好のチャンス(1)
 生産性向上が遅れている土工等の建設現場
建 業
建設業は対米国比で、8割程度。
割程度
縦軸:労働生産水準(米国=100)
(2003年から2006年の平均)
150
40
20
128.7
80
60
120.2
93.2
100
88.7
84.7
80 4
80.4
58.6
53.5
52.5
45.7
50
42.9
26.8
飲食・
宿泊
卸売・
小売
運輸・倉庫
その他製造業
電気・
ガス・
水道
電気機器
備考:製造業は赤、非製造業は青で色づけしている。
資料:EU KLEMSから作成。
建設
輸送用機器
金融・
保険
金属
化学
一般機械
0
(%)
横軸:付加価値シェア
(2003年から2006年の平均)
我が国の産業別の労働生産性水準(対米国比、米国=100)(出典:通商白書2013)
8
1(5).生産性向上の絶好のチャンス(2)
○ トンネルなどは、約50年間で生産性を最大10倍に向上。一方、土工やコンクリート工などは、改善
トンネルなどは 約50年間で生産性を最大10倍に向上
方 土工やコンクリ ト工などは 改善
の余地が残っている。(土工とコンクリート工で直轄工事の全技能労働者の約4割が占める)
■ トンネル工事
「機械土工・舗装関連」及び
「現場打ちコンクリート関連」
で全体の約40%
トンネル1mあたりに要する作業員数
58 (人日/m)
60
生産性 10倍
40
20
機械土工
・舗装関連
舗装関連
22%
6 0
東海道新幹線
(S30年代)
近年の新幹線
(H22年度)
矢板工法
矢板
法
NATM工法
その他, 30%
出典:日本建設業連合会 建設イノベーション
■ 土工
■ コンクリート工
100 3あたりに要する作業員数
100m
1000 2あたりに要する作業員数
1000m
生産性 横ばい
16 15 13
13 10 5
5 0 S59年度
H24年度
(人日/10
00m3)
(人日/10
000m2)
20 20 15 生産性 横ばい
12 地盤改良関連, 2%
橋梁架設関連, 3%
仮説関連, 3%
土砂等運搬関連, 5%
NATM関連,
NATM関連 7%
現場打ち
コンクリート
関連
16%
工場製作・運搬・据付
関連, 12%
11 10 H24国土交通省発注工事実績
5
5 0 S59年度
H24年度
標準歩掛より算出
9
1(6).建設業の現状のまとめ
(1)労働⼒過剰を背景とした⽣産性の低迷
(2)労働⼒過剰時代から労働⼒不⾜時代への変化
(3)安定的な経営環境
今こそ 産性向 を図る絶好のチャンス
今こそ⽣産性向上を図る絶好のチャンス
10
2(1).生産性向上を図るための視点①
建設現場の宿命
建設現場の特性
 一品受注生産
・異なる土地で、顧客の注文に基づき、一品毎生産
現
現地屋外生産
外 産
・様々な地理的、地形条件の下で、日々変化する気
象条件等に対処する必要がある
 労働集約型生産
・様々な材料、資機材、施工方法と専門工事会社を
・様々な材料
資機材 施工方法と専門工事会社を
含めた様々な技能を持った多数の作業員が作り出
す
製造業等で進められてきた「ライン生
産方式」、「セル生産方式」、「自動
化・ロボット化」などに取り組めないこ
とが建設現場の宿命とあきらめ
i Constructionを進めるための3つの視点
i-Constructionを進めるための3つの視点
建設現場を最先端の工場へ
建設 場 最 端
場
• 近年の衛星測位技術等の進展とICT化により、屋外の建設現場
においても、ロボットとデータを活用した生産管理が実現
IoT※ 建設現場へ最先端のサプライチェーンマ
ネジメントを導入
• 鉄筋のプレハブ化等による建設現場の生産工程等と一体化し
たサプライチェーンの管理の実現
建設現場の2つの「キセイ」の打破と継続
的な「カイゼン」
•イノベーションを阻害している書類による納品などの「規制」や年
度末に工期を設定するなどの「既成概念」の打破
度末に工期を設定するなどの
既成概念」の打破
※IoT(Internet of Things):自動車、家電、ロボット、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のやり取りをすることで、モ
ノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな付加価値を生み出す (出典:平成27年版 情報通信白書)
※IoTにより、「製造業のサービス業化」、「サービス提供のボーダーレス化・リアルタイム化」、「需要と供給のマッチング(最適化)」、「大
量生産からカスタマイズ生産へのシフト」が実現
11
2(1).生産性向上を図るための視点②
○ 建設現場の宿命打破のため、衛星測位技術や ICTによる建設生産プロセス全体の
シームレス化と、施工段階等における効率的なサプライチェーンマネージメントを導入
地質調査会社
測量会社
コンサルタント
建設会社
建設会社
建設会社
コンサルタント
調査・測量
設計
施工
検査
維持管理・
更新
手戻りの
発生
【建設生産プロセス上の課題】
• 設計と現地条件の不一致
設計と現地条件の不 致
• 施工性や管理の効率化等ま
で含めて設計の段階では配
慮されにくい
慮され
く
専門工事会社
組立等
(現場or工場)
部材(部品)
建材メーカー
生コン会社
(鉄筋、型枠、
生コン等)
原材料
材料メ カ
材料メーカー
(鋼材、木材、
セメント、骨材等)
骨材等)
建設現場の各生産段階(
例えば施工段
階において効率的な
サプライチェーンマネージメントを導入
発注者
メンテナンス
しづらい構造
【施工段階でのサプライチェーン上の
課題】
• 過去の需要などによる見込み生産
• 一品生産が基本であり、発注後、仕
様の確認、製作という順となり、納
期 時間がかかる
期に時間がかかる
待ち時間によるロス、
在庫のロス
サプライチェーンマネージメント:物流用語であり、製品の開発・部品調達・製造・配送・販売といった「サプライ(供給)チェーン(連鎖)」の
効率化を目標とし、経営成果を高めるマネージメント手法のこと。
12
2(2)①.建設現場を最先端の工場へ
○ 調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのあらゆる建設生産プロセスに
調査 測量から設計 施工 検査 維持管理 更新までのあらゆる建設生産プロセスに
おいて、3次元データ等を導入することで、ICT建機など新技術の活用が実現するととも
に、コンカレントエンジニアリング※1、フロントローディング※2の考え方を導入。
UAV
レーザースキャナ
ナローマルチビーム
ナロ
マルチヒ ム
3次元測量点群データの取得
航空レーザ測量による土工の監視
ICT建機による敷均し
地質調査会社
測量会社
コンサルタント
建設会社
発注者
建設会社
コンサルタント
調査・測量
設計
施工
検査
維持管理・
更新
最適ルート選定
配筋シミュレーション
GNSSローバー等
等
による現地検査
3次元モデル
3次元モデル
音響ビデオカメラによる
水中構造物の健全性確認
3次元CADによる設計
※1 コンカレントエンジニアリング
ジ
グ
※ フロントローディング
※2
ト
デ
グ
製品やシステムの開発において,設計技術者から製造技術者まですべての部門の人材
が集まり,諸問題を討議しながら協調して同時に作業にあたる生産方式。開発のある段
階が終わってから次の段階に移るのではなく,開発段階の最後のほうですでに次の段階
をオーバーラップしながら開始していく。(出典:大辞林)
システム開発や製品製造の分野で、初期の工程において後工程で生じそうな仕様の変更等を事前に
集中的に検討し品質の向上や工期の短縮化を図ること。CIM においては、設計段階でのRC 構造物の
鉄筋干渉のチェックや仮設工法の妥当性検討、施工手順のチェック等の施工サイドからの検討による手
戻りの防止、設計段階や施工段階における維持管理サイドから見た視点での検討による仕様の変更等
に効果が見込まれる。(出典:(一財)日本建設情報総合センター HP)
13
2(3)②.建設現場へ最先端のサプライチェーンマネジメントを導入
○ 原材料の調達、各部材の製作、運搬、部材の組立等の工場や現場における作業を最適
原材料の調達 各部材の製作 運搬 部材の組立等の工場や現場における作業を最適
に行う効率的なサプライチェーンマネジメントを実現
○ 効率的なサプライチェーンマネジメントを実現するため、設計段階に全体最適設計の考え
方を導入
現場
工場
建設会社
施工段階
専門工事会社
(現場or工場)
コンクリート打設
部材(部品)
建材メ カ
建材メーカー
生コン会社
(鉄筋、型枠、
生コン等)
生コン車
原材料
材料メーカー
セメント
建設現場の生産工程と一体化した
サプライチェーンマネージメントを導入
組立等
工場製品の組立
鉄筋の溶接
(鋼材、木材、
セメント、骨材等)
14
鋼材
2(4).留意すべき点 (1)
○ 全産業と比べて、2倍の死傷事故率(年間労働者の約0.5%(全産業約0.25%))
○ 事故要因としては、建設機械との接触による事故は、墜落に次いで多い
死傷事故率の比較
建設業における労働災害発生要因
千人率※
6.0 5.0 死傷事故率
2倍
電気 0.5%
爆発、火災等 0.5%
建設業
4.0 クレーン等の転倒、下
敷、接触、衝突等
敷
接触 衝突等 0.5%
0 5%
土砂崩壊 1.6%
3.0 落盤等 1.6%
建設機械等の
建設機械等
転倒、下敷、
接触、衝突等
15 1%
15.1%
取扱運搬等
扱 搬 2.7%
2.0 1.0 墜落
24.7%
その他 19.9%
全産業
自動車の転倒、下敷き、
接触、衝突等 3.2%
倒壊 5.9%
飛来、落下 9.1%
0.0 H26
工具等取り扱い 14.5%
※千人率=[(年死傷者数/年平均労働者数)×1,000]
15
2(4).留意すべき点 (2)
○ 建設生産システムにコンカレントエンジニアリング※1、フロントローディング※2の考え方を
導入するには、以下の検討が必要。
・調査・測量から設計 施工 検査 維持管理・更新までの各建設生産プロセスを担う企業等
・調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの各建設生産プロセスを担う企業等
のプロジェクトへの関与のあり方
・上記を可能とする入札契約方式
地質調査会社
測量会社
調査・測量
コンサルタント
設計
建設会社
施工
建設会社
建設会社
コンサルタント
検査
維持管理・
更新
発注者
※1コンカレントエンジニアリング
製品やシステムの開発において,設計技術者から製造技術者まですべての部門の人材が集まり,諸問題を討議しながら協調して同
時に作業にあたる生産方式。開発のある段階が終わってから次の段階に移るのではなく,開発段階の最後のほうですでに次の段階を
オーバーラップしながら開始していく。(出典:大辞林)
※2フロントローディング
システム開発や製品製造の分野で、初期の工程において後工程で生じそうな仕様の変更等を事前に集中的に検討し品質の向上
や工期の短縮化を図ること CIM においては、設計段階でのRC
や工期の短縮化を図ること。CIM
においては 設計段階でのRC 構造物の鉄筋干渉のチェックや仮設工法の妥当性検討、施工手順
構造物の鉄筋干渉のチェックや仮設工法の妥当性検討 施工手順
のチェック等の施工サイドからの検討による手戻りの防止、設計段階や施工段階における維持管理サイドから見た視点での検討に
よる仕様の変更等に効果が見込まれる。(出典:(一財)日本建設情報総合センター HP)
16
3.i-Constructionについて
今こそ生産性向上のチャンス
 労働力過剰を背景とした生産性の低迷
 生産性向上が遅れている土工等の建設現場
• バブル崩壊後、建設投資が労働者の減少を上回って、ほぼ一貫して労
働力過剰となり、省力化につながる建設現場の生産性向上が見送られ
てきた。
• トンネルなどは、約50年間で生産性を最大10倍に向上。一方、土工や
コンクリート工などは、改善の余地が残っている。(土工とコンクリート工
コンクリ
ト工などは、改善の余地が残っている。(土工とコンクリ ト工
で直轄工事の全技能労働者の約4割が占める)(生産性は、対米比で
約8割)
 依然として多い建設現場の労働災害
 予想される労働力不足
• 全産業と比べて、2倍の死傷事故率(年間労働者の約0.5%(全産業約
0.25%))
• 技能労働者約340万人のうち、約110万人の高齢者が10年間で離職の
予想
• 労働力過剰時代から労働力不足時代への変化が起こりつつある。
• 建設業界の世間からの評価が回復および安定的な経営環境が実現し始めている今こそ、抜本的な生産性向上に取り組
建設業界の世間からの評価が回復および安定的な経営環境が実現し始めている今こそ 抜本的な生産性向上に取り組
む大きなチャンス
プロセス全体の最適化(トップランナー施策)
■ICTの全面的な活用
■全体最適の導入
■施工時期の平準化
• 調査・設計から施工・検査、さらには維持管理・
更新までの全てのプロセスにおいてICT技術を
導入
(コンクリートの規格の標準化)
• 寸法等の規格の標準化された部材の
拡大
•2ヶ年国債の適正な設定等に
より 年間を通じた工事件数
より、年間を通じた工事件数
の平準化
i-Constructionの目指すもの
一人一人の生産性を向上させ、企業の経営環境を改善
建設現場に携わる人の賃金の水準の向上を図るなど魅力ある建設現場に
建設現場 携わる人 賃金 水準 向上を図るなど魅力ある建設現場
死亡事故ゼロを目指し、安全性が飛躍的に向上
17
3(1)①.トップランナー施策(ICTの全面的な活用(ICT土工))
①ドロ ン等による3次元測量
①ドローン等による3次元測量
②3次元測量データによる
②3次元測量デ
タによる
設計・施工計画
3次元測量データ
(現況地形)と設計図
面との差分から、施
工量(切り土、盛り土
量)を自動算出。
③ICT建設機械による
施工
④検査の省力化
3次元設計データ等により、
ICT建設機械を自動制御し、
(※)を実施。
建設現場
建設現場のIoT
を実施
ドローン等による3次元測
量を活用した検査等によ
り、出来形の書類が不要と
なり 検査項目が半減
なり、検査項目が半減。
OK
ドローン等による写真測量等によ
り、短時間で面的(高密度)な3次
元測量を実施。
3次元設計データ等
を通信
※IoT(Internet
※I
T(I t
t off Things)とは、様々なモノにセ
Thi
)とは 様々なモノにセ
ンサーなどが付され、ネットワークにつながる
状態のこと。
i-Construction
(ICTの全面的な活用)
設計・
施工計画
測量
発注者
施工
検査
③
これまでの情報化施工
の部分的試行
従来方法
②
①
設計・
施工計画
測量
平面図
・重機の日当たり
施工量約1.5倍
・作業員 約1/3
2次元
データ作成
施工
④
検査
縦断図
横断図
測量の実施
3次元
データ作成
設計図から施工
土量を算出
設計図に合わ
せ丁張り設置
丁張りに合わせ
て施工
検測と施工を繰
り返して整形
書類による検査
18
3(1)②.トップランナー施策(全体最適の導入)
コンクリート工の規格の標準化等
規格 標準化等
○ 現場毎の一品生産、部分別最適設計であり、工期や品質の面で優位な技術を採用することが困難。
○ 設計、発注、材料の調達、加工、組立等の一連の生産工程や、維持管理を含めたプロセス全体の最適化
が図られるよう、全体最適の考え方を導入し、サプライチェーンの効率化、生産性向上を目指す。
○ 部材の規格(サイズ等)の標準化により、プレキャスト製品やプレハブ鉄筋などの工場製作化を進め、コス
ト削減、生産性の向上を目指す。
(例)鉄筋をプレハブ化、型枠をプレキャスト化することにより、型枠設置作業等をなくし施工
クレーンで設置
中詰めコン打設
現場打ちの効率化
©三井住友建設
鉄筋、型枠の
鉄筋
型枠の
高所作業なし
脱型不要
従来方法
鉄筋組立
型枠設置
生コン打設
脱型
(例)各部材の規格(サイズ)を標準化し、定型部材を組み合わせて施工
プレキャストの進化
ラーメン構造の高架橋の例
©大林組
19
3(1)③.トップランナー施策(施工時期の平準化)
○ 公共工事は第1四半期(4~6月)に工事量が少なく、偏りが激しい。
○ 限られた人材を効率的に活用するため、施工時期を平準化し、年間を通して工事量を
安定化する。
安定化する
(億円)
建設総合統計 出来高
出来高ベース(全国)
ス(全国)
30,000
25,000
,
20,000
15,000
10 000
10,000
5,000
民
間
公
共
4月
6月
8月
10月
12月
2月
4月
6月
8月
10月
12月
2月
4月
6月
8月
10月
12月
2月
4月
6月
8月
10月
12月
2月
0
H24年度
H25年度
H26年度
H27年度
出典:建設総合統計より算出
19
3(2).トップランナー施策から全ての建設現場へ
○建設現場の生産性向上を実現するため、i-Constructionトップラン
ナー施策を先行的に進め、得られた知見等を踏まえて他の施策へ
の展開を図り、全ての建設現場にi-Constructionの取組を浸透
● ICTの全面的な活用(ICT土工)
⇒
舗装工や浚渫工等への拡大
● 全体最適の導入
⇒
(コンクリート工の規格の標準化等)
他の工種へ
● 施工時期の平準化
書類の簡素化など、他のキセイ
のカイゼンへ
⇒
20
4(1).ICTの全面的な活用に関する新基準の導入(1)
○ 調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新のあらゆる建設生産プロセスにおいて
ICTを全面的に導入するため、3次元データを一貫して使用できるよう、15の新基準を整
備。
調査・
測量
施工
施
設計
測量成果
発注のための施工量の算出
※UAVを用いた測量マニュアルの策定
※土木工事数量算出要領(案)の改訂
(従来)
維持管理・
更新
検査方法
※監督・検査要領(土工編)(案)等の策定
(従来)
(2次元の平面図)
(改訂後)
形
線
心
中
L
(
断
面
間
距
離
)
(従来) 平均断面法により施工土量を算出
検査
V=(A1+A2)÷2×L
(改訂後)
施工延長200mにつき1ヶ所検査
(改訂後)
3次元測量点群データ(現況
次 測 点群
タ(現況
地形)と設計図面との差分か
ら、施工量(切り土、盛り土量)
を自動算出。
GNSSローバー
(3次元測量点群データ)
現地検査はTSやGNSSローバーを活用
22
4(1). ICTの全面的な活用に関する新基準の導入(2)
UAVを用いて撮影した空中写真から3次元点群デ タを作成するための標準的な手法を
UAVを用いて撮影した空中写真から3次元点群データを作成するための標準的な手法を
定めた測量マニュアルを作成
①UAVを用いた写真測量を公共測量へ導入
狭い範囲の図面向け
UAVを⽤いた写真測量
従来の測量機器やGNSS
を利⽤した現地測量
広い範囲の図面向け
有⼈航空機を利⽤した
空中写真測量
UAVの安全な飛行を確保するための安全基準(案)の
公表もあわせて実施
表もあわ
実施
※レーザ測量等に加え、ドローンによる3次元測量も可能に
②公共測量の成果にUAV写真による3次元点群データを追加
従来の2次元図面
詳細な3次元点群データ
導入効果:小回りがきくUAVや3次元化の自動ソフトの導入により、短時間で効率的に3次元点群データが作成可能 23
4(1). ICTの全面的な活用に関する新基準の導入(3)
3次元計測により計測された3次元点群データによる効率的な出来形管理を導入
従来
既存の出来形管理基準では、代表管理断面において高さ、幅、長さを測定し評価
<例:道路土工(盛土工)>
測定基準:測定・評価は施工延長40m毎
規格値 :基準高(H):±5cm
法長 (ℓ):-10cm
幅
(w):-10cm
H
i-Construction
UAVの写真測量等で得られる3次元点群データからなる面的な竣工形状で評価
平場
点群データ
法面
小段
法面
1m2に1点以上
<例:道路土工(盛土工)>
測定基準:測定密度は1点/m2以上、評価は平均値と全測点
規格値 :設計面との標高較差(設計面との離れ)
平場 平均値:±5cm 全測点:±15cm
法面 平均値:±8cm
平均値 ±8
全測点 ±19
全測点:±19cm
※法面には小段含む
従来と同等の出来形品質を確保できる面的な測定基準・規格値を設定
24
4(1). ICTの全面的な活用に関する新基準の導入(4)
名称
調査・
測量、設計
施
工
検
査
新規
改訂
本文参照先(URL)
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/in
dex.html
1
UAVを用いた公共測量マニュアル(案)
○
2
電子納品要領(工事及び設計)
3
3次元設計データ交換標準(同運用ガイドラインを含む)
○
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bunya/cals/de
s.html
4
ICTの全面的な活用の実施方針
○
http://www.mlit.go.jp/common/001124407.pdf
p
g jp
p
5
土木工事施工管理基準(案)(出来形管理基準及び規格値)
6
土木工事数量算出要領(案)(施工履歴データによる土工の出来高算出要領(案)を含む)
○
7
土木工事共通仕様書 施工管理関係書類(帳票:出来形合否判定総括表)
○
http://www.nilim.go.jp/japanese/standard/form
/index.html
8
空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)
○
http://www.mlit.go.jp/common/001124402.pdf
9
レーザースキャナーを用いた出来形管理要領(土工編)(案)
○
http://www.mlit.go.jp/common/001124404.pdf
○
http://www.cals-ed.go.jp/cri_point/
http://www.cals-ed.go.jp/cri_guideline/
○
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou/pdf/
280330kouji_sekoukanrikijun01.pdf
○
http://www.nilim.go.jp/lab/pbg/theme/theme2
/sr/suryo.htm
http://www.mlit.go.jp/common/001124406.pdf
10
地方整備局土木工事検査技術基準(案)
○
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou.html
11
既済部分検査技術基準(案)及び同解説
○
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou.html
12
部分払における出来高取扱方法(案)
○
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou.html
13
空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)
○
http://www.mlit.go.jp/common/001124403.pdf
14
レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領(土工編)(案)
○
http://www.mlit.go.jp/common/001124405.pdf
15
工事成績評定要領の運用について
積算基準
ICT活用工事積算要領
○
○
http://www.mlit.go.jp/tec/sekisan/sekou.html
25
http://www.mlit.go.jp/common/001124408.pdf
4(2)①.ICT土工に必要な企業の設備投資に関する支援
・ICT建機の普及に向け、ICT建機のリース料などに関する新たな積算基準を策定
・既存の施工パッケージ型の積算基準をICT活用工事用に係数等で補正する積算基準
※施工パッケージ型とは、直接工事費について施工単位ごとに機械経費、労務費、
材料費を含んだ施工パッケージ単価を設定し積算する方式です。
《新たな積算基準のポイント》
①対象工種
・土工(掘削、路体(築堤)盛土、路床盛土)
・法面整形工
路体(築堤)盛土(15,000m3)の場合の試算
機械経費
労務費・その他経費
(従来施工)
ICT建機の導入による増
②新たに追加等する項目
・ICT建機のリース料
(従来建機からの増分)
・ICT建機の初期導入経費
建機 初期導 経費
(導入指導等経費を当面追加)
省力化による減
(i-Construction
導入時)
従来施工の
1.1倍程度
ICT建機の投資に見合う
積算基準を導入
ICT建機の普及による減
③従来施工から変化する項目
・補助労務の省力化に伴う減
・効率化に伴う日当たり施工量の増
(将来)
※比較用の試算のため、盛土工のみで試算しています。実際の工事では、
ICT建機で行わない土砂の運搬工等の工種を追加して工事発注がなさ
れます。
26
4(2)②.ICT土工に対応できる技術者・技能労働者の拡大
概要
i-Constructionの周知・説明
4⽉〜6⽉にかけて札幌・函館・旭川・室蘭・帯
広において開発局職員及び地⽅建設業協会への
i-Constructionの概要説明
実地
出来形管理・検査講習会
研修 《⽇ 程》 平成28年6⽉7⽇(⽕)10:00〜11:50
《参加者》 ICT⼯事検査官
◇実施研修(ICT機器を⽤いた出来形計測
検査⽅法)
◇実施研修(ICT機器を⽤いた出来形計測・検査⽅法)
① GNSSローバー
② トータルステーション(TS)
③ レーザースキャナ、UAV測量
UAV測量実演
室蘭建設業協会
監督
検査
函館開発建設部
※今秋にも再度
実施を検討中
GNSSローバー実地研修
北海道開発局i-Construction説明会
《⽇ 程》 平成28年 6⽉6⽇(⽉)14:00〜16:00
《場 所》 職員研修室 2階講堂
《参加者》 技術系職員 71名、 建設業界126名(111社)、
⾃治体 17名(北海道 5名、札幌市12名)
5名 札幌市12名)
計 214名
◇説明者
本省 総合政策局 公共事業企画調整課 近藤補佐
◇説明内容
① i-Construction〜建設現場の⽣産性⾰命〜
② ICT活⽤⼯事の実施⽅針
③ ICT活⽤⼯事の流れ
〜空中写真測量(無⼈航空機)を⽤いた
出来形管理要領を中⼼に〜
※7/28帯広〜他全道4箇所で講習会を実施予定。
説明会開催状況
説明会開催状況
説明状況近藤補佐)
質疑応答
27