南カリフォルニア日系企業実態調査 2016 <要約> 調査結果のポイント 南カリフォルニアの日系企業は 700 社以上あり、雇用創出、給与支払及び医療保険 の提供などを通じて地域経済に貢献。 引き続き、業績の順調な企業、売上高及び営業利益が増加した企業の割合が増加傾 向。今後 1~2 年の営業利益についても半数以上の企業が増加の見通し。 カリフォルニアのビジネス上の魅力の上位 3 つは、「市場の大きさ」「日系社会の (表 1)地区別分布状況 大きさ」「物流拠点」。一方で、事業遂行上の障害・不満および州・自治体等への 要望項目の上位 3 つは、「雇用コスト」「税制」「環境規制の緩和」。 南カリフォルニアの日系企業の概要 地理的分布状況 南カリフォルニアに拠点を持つ日系企業 は、700 社以上あるとされ、世界有数の日系 企業の集積地域。カウンティー(郡)別で は、ロサンゼルス、オレンジ、サンディエゴ の 3 郡に大部分が立地している。これらの地 域は近年の設立件数も多い。 日 系 企 業 の 2001 年 以 降 立地分布状況 の設立件数 ロサンゼルス郡 オレンジ郡 サンディエゴ郡 その他 71.2% 20.4% 5.6% 2.8% 64 件 20 件 9件 7件 合計 100% 100 件 (グラフ1)業種別分布状況 業種別分布状況 業種別では、「製造」「サービス」(*)など で全体の半分以上を占める。 (*)「サービス」には情報システム、映画・出版、レジャー・観光 などや専門サービス(弁護士・会計事務所・コンサルティング)な どが含まれる。 金融 4.7% その他 0.9% 輸送 10.5% 建設・ 不動 産 2.9% 製造 29.4% 卸・小売 12.8% 商社・貿 易 14.3% サービス 24.5% n=343 1 地域社会への貢献 (グラフ 2)現地雇用の割合 雇用創出 日本から の駐在員 2.8% 回答企業 334 社の南カリフォルニアにおけ る雇用数の合計は 8 万 2,557 人となってお り、現地雇用の割合は 97.2%に達している。 日系企業は雇用面から地域社会に貢献して いるといえる。 現地雇用 97.2% n=82,557 給与支払 回答企業 222 社の南カリフォルニアにおける年間給与支払額(べネフイットを含む) の合計は 15 億 1,185 ドルとなった。 医療保険の提供状況 (グラフ 3)医療保険の提供状況 ほぼ全ての日系企業が従業員に医療保険を提 供しており、日系企業は医療面で従業員に手厚 い給付を実施している。 従業員 本人 のみ 20.7% その他 1.9% 従業員 とその 家族 77.3% n=309 2 投資・ビジネス環境 業績の評価 自社の現在の業績をカリフォルニア州への進出等の目的に照らして評価した結果、7 割近くの企業が肯定的に評価している。また、2015 年の売上高では、51.8%の企業が 「前年より増加」と回答し、前回調査結果を上回った。 (グラフ 4)カリフォルニア州での業績に対する評価 0% 10% 20% 30% 40% 2016 3.4% 66.0% 2014 4.9% 62.6% 2012 4.8% 50% 60% 70% 80% 4.6% 28.1% 25.6% 49.4% 予想以上に順調 100% 25.9% 60.6% 2010 5.0% 90% 33.2% 概ね順調 やや不満 4.4% 9.0% 12.5% 大いに不満 n=324 (グラフ 5)売上高の増減 0% 20% 60% 51.8% 2016 31.4% 46.5% 2012 25.4% 80% 32.2% 50.1% 2014 2010 40% 前年より増加 15.9% 18.4% 30.9% 22.9% 100% 22.7% 51.8% 横ばい 3 前年より減少 n=301 2015 年度の営業利益では、「前年より増加」と回答した企業の割合が前回調査 結果を上回り、「前年より減少」と回答した企業の割合が前回調査結果を下回った。 (グラフ 6)営業利益の増減 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 46.1% 2016 21.1% 25.2% 29.4% 前年より増加 100% 17.1% 38.0% 25.8% 2010 90% 36.1% 36.8% 2012 80% 36.8% 42.7% 2014 70% 44.8% 横ばい n=321 前年より減少 業績見通し 今後 1~2 年の営業利益の見通しについては、「増加」とした企業の割合が前 回調査結果と同様となり、「減少」とした企業の割合は前回調査結果を下回った。 (グラフ 7)今後1~2年の営業利益見通し 0% 20% 54.2% 2014 2010 60% 52.4% 2016 2012 40% 44.2% 39.1% 36.8% 36.8% 増加 横ばい 4 減少 80% 100% 39.3% 4.3% 4.0% 35.6% 7.4% 2.7% 11.2% 5.5% 16.9% 不明 9.5% n=404 カリフォルニア州の魅力 「市場の大きさ」がカリフォルニアでのビジネスの最大の魅力。 次いで、「日系社会の大きさ」、「物流拠点(港・空港)」。 (グラフ 8) カリフォルニアの魅力(複数回答) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 58.3% 59.3% 市場の大きさ 65.8% 33.8% 35.9% 36.0% 日系社会の大きさ 20.1% 物流拠点 19.8% 日本に近い 20.0% 38.1% 36.3% 25.1% 12.8% 気候 29.5% 2016 35.2% 2014 n=343 2012 今後の業務運営上の不安 「景気の動向」が最大の不安要因。次いで、「為替の影響」、「雇用コスト上昇」。 (グラフ 9) 今後の業務運営上の不安(複数回答) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 72.3% 75.9% 景気の動向 50.7% 45.0% 為替の影響 雇用コスト上昇 規制強化 テロ・戦争の影響 80% 90% 83.8% 60.4% 49.3% 47.4% 26.2% 18.4% 20.4% 17.8% 17.5% 13.0% 13.6% 2016 2014 事業遂行上の障害・不満 5 2012 n=343 「雇用コスト」が最大の障害・不満要因であり、引き続き割合が増加。次 いで「税制」。最低賃金の上昇や労働訴訟問題懸念、他州と比較して高い税 率が指摘されている。 (グラフ 10)事業遂行上の障害・不満(複数回答) 0% 20% 40% 60% 雇用コスト 80% 60.9% 税制 42.8% 46.5% 67.8% 100% 76.4% 55.0% 18.2% 14.0% 16.5% 環境規制の緩和 許認可手続き 15.7% 21.6% 16.8% 輸出入手続き 15.7% 19.5% 19.4% 2016 2014 2012 n=318 調査主体 JBA*(南カリフォルニア日系企業協会)と JETRO**ロサンゼルス事務所が共同して隔年で実施。今回で 12 回目。 *JBA は、南カリフォルニアで活動する約 450 社の日系企業で構成される非営利の組織。 **JETRO (日本貿易振興機構) は、日米の貿易及び投資の促進に向けて活動する日本の政府系機関。 調査対象・方法 調査対象の日系企業は、南カリフォルニアに拠点を持ち、①日本の企業が 10%以上出資(間接出資を含む)して いる現地法人、②日本に本社のある企業の支店・駐在員事務所、③日本人が設立し運営している日本人設立企 業、のいずれかに当てはまる企業をいう。 南カリフォルニアの範囲は、ロサンゼルス、オレンジ、ベンチュラ、サンタバーバラ、カーン、サンルイス・オビスポ、 サンバナディーノ、リバーサイド、サンディエゴ、インペリアルの 10 カウンティ(郡)とした。 南カリフォルニアに拠点を持つ日系企業は 700 社以上あるとされる。これら日系企業のうち、JBA 及び JETRO よ り 585 社にアンケートへの協力を依頼し、オンラインを通じて 345 社(回収率 59.0%)から回答を得た(調査時期: 2016 年 2 月)。 ****調査報告書は以下のウェブサイトでご覧になれます。***** JBA: www.jba.org/ JETRO Los Angeles: www.jetro.go.jp/ 6
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