更新日:2016/8/24 調査部:竹原 美佳 中国:天然ガス輸送価格(タリフ)に新たなガイドライン設定へ(短報) 2016 年8 月16 日、国家発展改革委員会は価格改革推進政策「中国共産党、国務院の価格メカニズム に関する意見」に基づき、天然ガスパイプライン輸送価格(試行)管理法および天然ガスパイプライン輸 送コスト(試行)審査法 iを公示した。8 月 16 日から 9 月 5 日まで意見を聴取する。 試行法制定の目的はパイプライン輸送費の低減と透明性向上ならびに天然ガス開発・利用、第三者 アクセスの促進にある。輸送価格はパイプライン毎、ユーザー毎に細かく設定されており、透明性も高く はなかったが、同試行法が施行された場合、マージンが原則 8%に固定されることや人件費等コストの内 訳が細かく規定され、政府当局の審査を経て確定するため、輸送費の低下や透明性の向上が見込まれ る。一方、最大のパイプライン輸送事業者である CNPC はパイプライン輸送事業について油田開発と同 様 12%のリターン目標を設定しており、政府の要請により 10%への低下には応じたが、それ以上下げるこ とには応じておらず本試行法の行方は不透明との見方もある ii。 天然ガスパイプライン輸送価格(試行)管理法のポイント ・パイプラインの輸送価格は政府が定め、政府の価格主管部門が調整する。 ・パイプライン輸送企業は基本的にその他の業務と分離する。生産・輸送・販売一体型で業務の分離が 当面不可能な企業は財務を独立させる。 ・パイプラインの輸送価格は承認を受けたコスト+適切なマージンに基づく ・承認を受けたコスト+適切なマージンに税収を考慮し年度総収入、輸送価格を確定する。コストは減価 償却費、操業維持費に基づき算出する。 ・操業維持費は輸送直接コスト・原料、燃料・メンテナンス、職員給与、輸送ロス等をさす。 ・適切なマージンとは有効な資産に承認されたマージンを乗じる。 ・有効な資産とは固定資産と無形資産のネットの価値(政府の無償投資、補助金、ガス貯蔵庫、LNG 受 –1– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 入基地資産ならびに多角経営等パイプライン輸送以外の業務に関する資産を除く)を審査評価により確 定、操業維持費は 20%に固定。マージンはパイプラインの稼働率が 75%以上の場合原則 8%とする。 参考:パイプライン・LNG 受入基地の開放について 2014 年 2 月、政府は「石油・天然ガスパイプライン網の公平な開放と監督管理弁法(試行)」に関する 通知 iiiを発表した。パイプライン事業者の設備に余剰能力がある場合、第三者(中国登記企業)に対しパ イプラインを公平に開放し、パイプライン設備に伴うサービスを提供するというもので、同法の試行期間 は 5 年間である(中国の石油産業改革 ~石油・天然ガスパイプラインの開放試行・天然ガス価格市場価 格化~)。政府は国有石油企業の寡占パイプラインの開放を促し、事業者が既存のパイプラインや地下 貯蔵を利用することで、遠隔地の市場向けに膨大なインフラ投資をせずに開発に着手することが可能と なり、国内の供給増加、輸入抑制につながると期待している。また、政府はパイプライン事業者に独立採 算制を求めるなど将来的にはパイプライン輸送部門の分離・自由化を目指している。 同法は LNG受入基地の開放については対象外であったが、その後LNG受入基地の開放も政策的に 進められ、2014 年から 2015 年にかけて PetroChina の江蘇・如東(受入能力 350 万トン/年)、河北・唐 山(受入能力 350 万トン/年)、遼寧・大連(受入能力 300 万トン/年)を利用し、上海市政府系の公益企 業申能(Shenergy)、新奥(ENN)、如東基地に 35%出資している太平洋油気(Pacific Oil & Gas)、親会社 北京控股は唐山基地に 29%出資している北京燃気(ガス)がスポット LNG を調達した。調達量は約 50 万 トンで 2015 年の LNG 輸入量の約 2.5%に相当にすぎない。受入基地の第三者アクセスは港湾や設備の 空き状況を確認し、船を手配すると少なくとも 2か月以上前もって準備する必要があるなど課題も多く、企 業は独自の基地建設を検討している(中国の天然ガス(LNG)需給動向)。 i关于向社会公开征求对《天然气管道运输价格管理办法(试行)》和《天然气管道运输定价成本监审办法(试 行)》意见的公告 国家発展改革委員会 2016 年 8 月 16 日 http://www.ndrc.gov.cn/yjzx/yjzx_add.jsp?SiteId=113 ii International Oil Dairy 2016/8/18 iii国家能源局关于印发《油气管网设施公平开放监管办法(试行)》的通知 国家能源局 2014 年 2 月 13 日 http://zfxxgk.nea.gov.cn/auto92/201402/t20140224_1768.htm –2– Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
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