抗酸菌感染症を疑うこと

2016/8/22
Take home message
抗酸菌感染症を疑うこと
呼吸器内科
加 藤 高 英
肺炎の患者をみたら・・・
必ず1回は喀痰抗酸菌検査を!
※微生物検査室スタッフへの感謝を忘れない!
抗酸菌症のイメージ
・誤嚥性肺炎なら沢山診たけど・・・
・ガフキー8号なんて聞いたらパニック
・とにかく,うつされたくない
・治療薬のことだけは国試で勉強した
・呼吸器科には進まないから関係ない
etc...
抗酸菌っぽい?
抗酸菌っぽい?
背景・症状・既往歴
検査
・痩せ,体重減少,よく分からない微熱
・インターフェロンγ遊離試験(IGRA)
・2週間以上続く咳,血痰,喀血
①クォンティフェロンTBゴールド(QFT-3G)
・高齢者(「肋膜炎」「肺病」も主にTBのこと)
②T-スポット.TB(T-SPOT)
・肺結核既往(特に未治療群),家族歴
・慢性肺疾患,担癌,DM,透析,HIV 等
・免疫抑制療法(ステロイド,生物学的製剤 等)
※既往感染でも陽性になるが,BCGは問題なし
・MAC抗体
診断基準には含まれていないため,参考所見
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2016/8/22
抗酸菌っぽい?
検査
・喀痰抗酸菌検査(TBを強く疑う時は3連検)
塗抹陽性が出たら微生物室から連絡あり.
⇒塗抹だけではTB/NTM,生菌/死菌の区別不可
⇒核酸増幅検査(当院ではTRC法)オーダー
⇒TBの否定ができるまでは空気感染対策を!
喀痰3連検(3連痰)
TBの診断における喀痰抗酸菌塗抹陽性率
1回:80%前後
⇒
3回:90%以上
(World Health Organization,2004,p46-50.)
※どうしても痰が出ない時
①3%NaClのネブライザー吸入
(例えば 10%NaCl 2ml+生食4ml)
②気管支鏡下での吸痰
③胃液採取(痰を飲み込んでいる,と仮定)
咳嗽誘発によるエアロゾル拡散に注意!!
肺炎の患者が入院した!
抗酸菌っぽい?
画像
・小葉中心性粒状影 ”tree-in-bud“
<TB>
・典型的にはS1/2/6の空洞影・散布像
・高齢者では誤嚥性肺炎との区別難!
・陳旧病変では石灰化を伴うことも
<NTM>
・典型的には中葉/舌区に多い
・大きく分けると以下の2パターン
①結節・気管支拡張型(NBE)
②線維空洞型(FC)
Take home message
・喀痰抗酸菌検査も忘れず
⇒塗抹陽性ならひとまず個室隔離を
肺炎の患者をみたら・・・
・なるべくキノロン系は使用しない!
⇒中途半端に効いてしまい発見が遅れる,
或いは薬剤耐性化を引き起こすリスク
・忘れがちな呼吸数の測定も
必ず1回は喀痰抗酸菌検査を!
※微生物検査室スタッフへの感謝を忘れない!
⇒qSOFA,旧SIRS項目にもある重要所見
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