〜 産学パートナーシップの拡大に向けて 〜 フードサイエンスの異分野融合研究による 健康長寿社会の推進 G7農相会合の会場となった 新潟市の朱鷺メッセ 2016年 8月25日 国立大学法人 新潟大学 理事(研究・社会連携担当)/ 副学長 高橋 均 2016/8/25 1 新潟大学の概要 ● 旧制六医科大学の一角を占める、新潟医科大学を母体とする国立大学 ● 本州日本海側最大規模の総合大学 ● 学生数は 12478人(学部生 10317人、大学院生 2161人)、教員数は 1209人。 ● 以下の9学部のほか、脳研究所、災害・復興科学研究所等の研究機関を持つ。 人文学部、教育学部、法学部、経済学部、理学部、医学部、歯学部、工学部、農学部 ● キャンパスは、医歯系学部のある旭町キャンパスと、その他の学部と本部の ある五十嵐キャンパスの2つ。 五十嵐キャンパス 2016/8/25 旭町キャンパス 2 産学パートナーシップ拡大に向けての新潟大学のシステム改革 (1) 「地域創生推進機構」の設置 ① 企業との共同研究の拡大と外部資金獲得 【産学連携部門】 → 重点研究テーマの外部資金獲得の推進 地域創生推進機構 → 首都圏企業への研究シーズ発信の強化 ② 異なる業種間のオープンイノベーション推進 【社会連携部門】 → 地域連携プラットフォーム(産学官金による共創場)の形成 ③ 知財の創出と活用 【知的財産部門】 → 共同研究の発展支援と技術移転の促進 (2) 企業との共同研究を促進する施策の実施 ① 共同研究契約に基づく講座の設置 → お互いの立場・権利の明確化と信頼関係の向上 ② 包括連携協定に基づく契約締結プロセスの簡素化 → 共同研究を開始するまでの時間を短縮 2016/8/25 3 新潟大学の中期目標 〜 「新潟大学の中期目標」 の前文(大学の基本的な目標)より 〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 新潟大学は、人文社会科学、自然科学、生命科学全般にわたる教育研究を行う大規模 総合大学として、多様な価値観を共有できる有為な人材の育成と特色のある研究、融 合的研究の推進に全力を尽くす。そして、日本海側ラインの中心新潟にあるという本学 の特色を活かし、新潟からアジア、世界に発信するネットワークを構築し、国際的な広 がりを持った地域創生に寄与する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 研究面では、脳研究など世界トップレベルにある分野をはじめ、強み特色のある研究を 推進することによって、大学全体の研究力を高める。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 新潟大学は、新潟県・近隣諸県、農業など地域の特色ある産業との連携プラットフォー ムを構築して、地域課題の解決に向けてのグローバルな取組を展開し、地域活性化を 牽引する。そして、質の高い健康長寿社会の形成を目指し、高齢社会が直面する様々 な問題の解決に資する研究に力を尽くす。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 参照用URL: http://www.niigata-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/03/dai3kityukimokuhyo.pdf 2016/8/25 4 地域連携フードサイエンスセンター : 設立目的 ● 学部横断型のバーチャル組織として、2002年に自主的に結成 ● 食品関連産業界のニーズに対し、新潟大学として組織的に対応 ● 食品の品質向上、機能性食材の開発、介護食や非常食の課題に対応 食 教 育 地域貢献 異分野融合 ● 異分野間の技術者交流 食品関連分野の ● 企業ニーズの把握 を通して 「技術革新」 と を目指す ● 大学からのシーズ提供 「社会貢献」 2016/8/25 5 地域連携フードサイエンスセンター : 組織体制 新潟大学及び学外の研究者により、従来は見られない分野間の組織連携を実現! 3名 2名 新潟県立大 新潟薬科大 3名 人文社会 教育学系 18名 1名 北海道医療大 2名 長岡工業高専 新潟リハビリテーション 大 8名 歯学系 工学系 4名 新潟医療福祉大 3名 医学系 農学系 7名 2名 3名 新潟工科大 新潟大学 ほか学外 2研究機関 総研究者数: 63名(2016年 4月現在) 2016/8/25 6 地域連携フードサイエンスセンター : 産学官金連携 伊藤ハム 文部科学省 ブルボン 亀田製菓 佐藤食品 (大学等) 新潟大学 地域連携フードサイエンスセンター 農林水産省 新潟県 新潟市 研究 助成 (産業振興団体) 新潟薬科大学 にいがた産業創造機構 食ネット 新潟市産業振興財団 食の新潟国際賞財団 健康ビジネス協議会 上越ものづくり振興センター 産 学 官 新潟大学 新潟県立大学 新潟工科大学 金 長岡工業高等専門学校 新潟医療福祉大学 新潟リハビリテーション 大学 北海道医療大学 新潟県食品関連研究者ネットワーク(食ネット) 上越教育大学 新潟青陵大学 (大学等) 長岡技術科学大学 新潟国際情報大学 新潟農業・バイオ専門学校 地域連携プラットフォームを活用した 産学官金による共創場の形成 2016/8/25 包括 連携 協定 食ネット 築野食品 越後製菓 岩塚製菓 (金融機関) 第四銀行 (公的研究機関) 農研機構 北陸研究センター 新潟県農業総合研究所 新潟県水産海洋研究所 新潟県森林研究所 食ネット 伊藤忠 飼料 新潟県醸造試験場 新潟市農業活性化研究センター 新潟バイオリサーチパーク 新潟アグリパーク 地域連携 プラットフォーム 7 地域連携フードサイエンスセンター : 先端的技術シーズ群 米タンパク質の 機能性成分の 分析技術 米タンパク質の 機能性成分を活かした 新規食品素材の開発 高圧を利用した 米粉加工技術 高圧を利用した 食肉軟化技術 高圧を利用した 低アレルゲン化技術 高付加価値機能性 オリゴ糖の 大量製造技術 乳酸菌バクテリオシン を用いた清酒の 火落ち防止技術 酒粕を利用した 新規乳酸発酵食品 の開発 2016/8/25 8 地域連携フードサイエンスセンター : 主な学術受賞 (2010年以降) ● 飯島記念食品科学振興財団 大賞 ● 飯島記念食品科学振興財団 技術賞 ● 日本栄養・食糧学会賞 ● 日本畜産学会賞 ● 日本農芸化学会論文賞 ● 日本食品科学工学会 論文賞 ● 日本農業工学会フェロー称号授与 ● 日本情報学会 学術賞 ● 日本栄養・食糧学会奨励賞 ● 酵素応用シンポジウム研究奨励賞 ● FOOMA JAPAN AP賞 ● 新潟日報文化賞 ● 食の新潟国際賞希望賞 門脇基二 大坪研一 門脇基二 藤村 忍 谷口正之 谷口正之 中野和弘 中野和弘 久保田真敏 佐藤 努 井上 誠、西海理之 大坪研一、門脇基二 中井博之 (所属は全て新潟大学) 2016/8/25 9 地域連携フードサイエンスセンター : 産学連携活動 主な産学連携活動実績(公的資金を活用したもの) ● 食の高付加価値化に資する 基盤技術の開発 ● 米タンパク質機能性コンソーシアム 【JST 地域結集型研究開発プログラム】 (2008〜2013) 課題1: 高圧処理食品の開発 課題2: 高圧安全技術の確立 【農水省委託プロジェクト】 (2011〜2013) 課題1: 機能性成分の分析技術の開発 課題2: 機能性成分の生体調節機能の研究 課題3: 機能性成分を高含有する農産物の開発 共同研究企業: 新潟製粉、伊藤ハム、越後製菓、 ブルボン、亀田製菓、ほか 共同研究機関: 新潟県立大、九州大、信州大、等 共同研究企業: 亀田製菓、築野食品工業 ● 新規米加工品の開発および 冷凍流通技術の開発 ● 食後血糖上昇を抑制する 高アミロース米と加工食品の開発 【にいがた産業創造機構市場開拓技術構築事業】 (2009〜2012) 【農水省委託プロジェクト】 (2013〜2015) 課題1: 米飯の食味改善と栽培技術の開発 課題2: 米粉・加工食品の開発とヒト試験 共同研究機関: 新潟県農業総合研究所 共同研究企業: 伊藤忠食糧、佐藤食品工業、 岩塚製菓、新潟製粉、小国製麺、 まつや、東洋製パン、セイヒョウ、 前川製作所、ケン・リッチ、ほか 2016/8/25 共同研究機関: 農研機構、慈恵医大、等 共同研究企業: エコ・ライス新潟、ブルボン、ほか 10 『産学パートナーシップ創造展』 の展示内容 災害食 介護食 〜健康二次被害を防ぐ理想の食を求めて〜 〜超高齢社会の進展に備える食の研究〜 高圧加工食品 米粉製品 〜高圧利用による食の高付加価値化〜 〜米由来の多彩な食品を支える米粉加工技術〜 さかすけ (ビデオ展示) 「新潟と食」、「G7農相会合開催記念」 〜酒粕の機能性に着目した酒粕発酵食品〜 2016/8/25 11 非常食から災害食へ : 災害時の食研究の展開 食づくり地域:新潟からの出発 ● 我が国を代表する穀倉地帯 ● 1000社を超える食品関連企業 【日本災害食学会】 2013 「日本災害食学会」 設立 会長: 門脇基二 (新潟大学) 2015 「日本災害食」 認証制度開始 法人会員: 38 (2016/3 現在) 認証マーク 被災 ▲ 中越地震 ▲ 中越沖地震 (M6.8、2004) (M6.8、2007) 食品研究者が災害時の食の課題を認識 【地域連携フードサイエンスセンター】 食料供給、食品加工 食品工学、発酵 ▲ 非常食のみでは対応できない (例: 乾パンは高齢者や乳幼児に向かない) 摂食・嚥下機能 ▲ 高齢者、乳幼児、アレルギー等に 対応する食品が備蓄されていない ▲ 被災生活中の犠牲者が多数発生 食育、調理科学 生活習慣病予防 (例: 誤嚥性肺炎、栄養欠乏、アレルギー) 2016/8/25 12 歯学部からの食研究の取り組み 地域連携フードサイエンスセンターによる連携構築と推進 歯学部 食品物性と生体応答の関係解明 医学部 嚥下障害に対する臨床推進 高齢者・障害者の食を支える活動 農学部 災害時の食支援の在り方の研究 工学部 新たな食品開発 食育を支える人材育成 2016/8/25 教育学部 13 食研究に関する人材育成の取り組み(1): 教育と啓蒙 1) 医食に関わるエキスパート養成を目指す密着型大学院教育 ・ 文部科学省概算要求 採択:「高齢社会に対応した食品開発プロジェクト による地域実務家養成教育プログラムの開発」(平成19〜21年度) ・ 平成20年度以降、31名の博士課程修了者を輩出 ・ 国際学術雑誌への掲載 21編 2) 国際性豊かな専門家を養成する若手研究者育成事業 (平成25年度 「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」 採択) ・ シカゴ大、ジョンズ・ホプキンス大、マンチェスター大との学術交流 ・ 国際学術雑誌への掲載 10編 3) 大学生のための食育セミナー ・ 「新潟の食」 をはじめとする地域に根ざしたテーマを設定 ・ 講演後、食品企業・農業生産者・大学生協等の協力を得た実食と解説 4) 市民向け公開講座(食に関わるもの) ・ 平成25年〜: 新潟大学公開講座 『食べること・飲むこと』、 『食と健康』 ・ 平成26年〜: 新潟 「食と健康」 フォーラム 『いつまでも元気でおいしく食べるために』 2016/8/25 14 食研究に関する人材育成の取り組み (2): 企業との交流 ◆ 文部科学省 「組織的な大学院教育改革推進プログラム」 (平成20年度採択) 食づくり実践型 『農と食のスペシャリスト養成プログラム』 での取り組み 食がわかる 「農のスペシャリスト」 ・ 農がわかる 「食のスペシャリスト」 を認定 1) 新潟食づくりプロジェクト ・ 新潟らしい食品を素材に、販売戦略から生産、加工まで一貫した実習を行う。 ① 日本酒プロジェクト ② せんべい・米菓プロジェクト ③ ル・レクチェプロジェクト ④ ミルクプロジェクト ⇔ ⇔ ⇔ ⇔ 塩川酒造(株) 越後製菓(株) 新潟県農業総合研究所 ル・レクチェ 塚田牛乳(株)、(有)ヤスダヨーグルト 2) インターンシップ ・ 受入先との交渉も自ら行い、国内・海外での農や食の現状を理解する ① 企画実践型インターンシップ ⇔ 協和発酵バイオ(株)、食品総合研究所(つくば) ほか ② 食づくり国際インターンシップ⇔ アメリカ、タイ、ベトナム、中国、マレーシア 3) 食の安全・安心論、マーケティング等の講義 2016/8/25 15 新潟地域の食品産業クラスター化推進活動 1) 新潟ニューフードバレープロジェクト 【新潟市】 ・ 新潟市は 「大規模農業の改革拠点」 として国家戦略特区に指定 (2014年)。 ・ 「食産業 No.1 都市」 を目指し、6つの戦略で取り組みを推進。 ◆ 農商工連携と6次産業化の推進 ◆ フードデザインの普及・実践 ◆ 新潟ブランドの構築・情報発信 ◆ 食品リサイクルの推進 ◆ 高度な技術研究と人材の育成 ◆︎ ︎食産業の集積と創業支援 2) ライスバレープロジェクト 【新潟県】 ・ 世界トップの米加工技術に基づく、海外展開を視野に入れた取組み ・ 東日本大震災とタイの大洪水を契機に、米輸出世界一のタイとの交流開始。 ・ 米生産地での不測の事態発生時の相互支援の枠組み作り(お互いプロジェクト)。 ・ 「新潟県新たなコメ産業創出技術研究会」 が 2014年に発足(会長:門脇基二)。 2016/8/25 16 地域連携フードサイエンスセンター : 今後の展開 1)食と健康に関する異分野融合研究の取り組みを強化する。 ● 超高齢社会における食の問題 ● 将来の世代を育む食育の問題 2)産学間の人材交流を促進する。 ● 食品関連企業からの社会人学生の受け入れ 3)新潟県外の企業との共同研究を推進する。 4)日本、さらには東アジアの食品研究の拠点を目指す。 2016/8/25 17 産学パートナーシップ拡大に向けての新潟大学の中期ビジョン 第3期中期目標の実現に向けて、大学改革を加速 「地域の活性化」 と 「特色ある研究領域の重点支援」 に注力 大学全体の研究力向上のため、異分野融合研究を推進 学部・大学院の組織改革を進め、時代の要請に応える人材を育成 産学連携研究は、個別契約よりも企業との包括連携契約を志向 日本海側の総合大学として、「環東アジア研究拠点構想」 を実現 〔第1段階〕 ・ 新潟の地域産業課題の解決 ・ 成功事例は県外企業に横展開 〔第2段階〕 ・ 新潟発地域産業パッケージの 環東アジア地域への展開 環東アジア 経済圏 ● 特色ある研究・異分野融合研究の成果を産業化 ● 新潟発地域産業パッケージで新規雇用を創出 2016/8/25 ● ロシア、モンゴル、中国、韓国、東南アジア諸国 等に展開し、環東アジア経済圏の発展に貢献 18
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