東京都住宅政策審議会答申素案 本文(PDF:720KB)

東京都住宅政策審議会 答申素案
~ 豊 か な 住 生活 の 実 現 と 持続 に 向 け て ~
平成 28 年8月
(目
次)
は じ め に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅰ
人 口 減 少 社 会 を 見 据 え た 住 宅 政 策 の 基 本 的 考 え 方 ・・・・・・・・・・・・・3
1
2
3
Ⅱ
居 住 の 場 と し て も 魅 力 的 な 東 京 を 目 指 し て ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
住 宅 政 策 を め ぐ る 現 状 と 目 指 す べ き 方 向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
今 後 の 住 宅 政 策 の 基 本 方 針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・5
目 指 す べ き 「 8 つ の 目 標 」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
1
2
Ⅲ
生 涯 に わ た る 都 民 の 豊 か な 住 生 活 の 実 現 に 向 け た 目 標 ・・・・・・・・・・・・・・6
ま ち の 活 力 ・ 住 環 境 の 向 上 と 持 続 に 向 け た 目 標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
目 標 実 現 に 向 け た 「3 つ の 着 眼 点 」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
1
2
3
Ⅳ
既 存 ス ト ッ ク の 有 効 活 用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
多 様 な 主 体 ・ 分 野 と の 連 携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
地 域 特 性 に 応 じ た 施 策 の 展 開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
具 体 的 な 施 策 の 方 向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
1
2
3
4
5
6
7
8
Ⅴ
目標1
目標2
目標3
目標4
目標5
目標6
目標7
目標8
住 ま い に お け る 子 育 て 環 境 の 向 上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
高 齢 者 の 居 住 の 安 定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
住 宅 確 保 に 配 慮 を 要 す る 都 民 の 居 住 の 安 定 ・・・・・・・・・・・・・・・・17
良 質 な 住 宅 を 安 心 し て 選 択 で き る 市 場 環 境 の 実 現 ・・・・・・・・・・21
安 全 で 良 質 な マ ン シ ョ ン ス ト ッ ク の 形 成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
都 市 づ く り と 一 体 と な っ た 団 地 の 再 生 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
災 害 時 に お け る 安 全 な 居 住 の 持 続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
活 力 あ る 持 続 可 能 な 住 宅 市 街 地 の 実 現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
立 地 に 応 じ た 施 策 の 在 り 方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
1
2
3
住 宅 ・ 住 宅 市 街 地 の 状 況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
地 域 別 将 来 イ メ ー ジ と 住 宅 施 策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
施 策 展 開 の 在 り 方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
参 考 資 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・41
都が自ら実施すべき施策の一覧
諮問文
委員名簿(東京都住宅政策審議会委員、企画部会委員・専門委員)
審議経過(東京都住宅政策審議会、企画部会)
はじめに
東 京 都 住 宅 政 策 審 議 会 は 、平 成 26(2014)年 7 月 9 日 、東 京 都 知 事 か ら「 人
口 減 少 社 会 に 向 か う 中 、豊 か な 住 生 活 実 現 の た め の 住 宅 政 策 の 新 た な 展 開 に
ついて」の諮問を受けた。
こ れ を 受 け 、当 審 議 会 は 、企 画 部 会 に お い て 専 門 的 か つ 集 中 的 に 調 査 審 議
を 行 い 、そ の 検 討 状 況 等 に つ い て 延 べ 4 回 に わ た り 報 告 を 受 け つ つ 、審 議 を
進めてきた。
こ の 間 、国 に お い て は 、住 生 活 基 本 計 画( 全 国 計 画 )の 改 定 を 平 成 28(2016)
年 3 月 18 日 に 閣 議 決 定 し た 。
ま た 、 東 京 都 都 市 計 画 審 議 会 で は 、 2040 年 代 の 東 京 の 都 市 像 と そ の 実 現
に 向 け た 道 筋 に つ い て 審 議 が 進 め ら れ 、 平 成 28(2016)年 8 月 に は 、 同 審 議
会の都市づくり調査特別委員会による答申案が公表された。
こ う し た 関 連 す る 動 き も 踏 ま え 、人 口 減 少 社 会 に 向 か う 中 で の 住 宅 政 策 の
新たな展開について、このたび、答申の素案を取りまとめた。
こ の 答 申 素 案 で は 、都 の 住 宅 政 策 の 基 本 方 針 を「 豊 か な 住 生 活 の 実 現 と 持
続 」と し 、目 指 す べ き 目 標 、施 策 展 開 に 当 た っ て の 着 眼 点 、具 体 的 な 施 策 の
方向などについて提言案を示している。
今 後 、当 審 議 会 で は 、本 素 案 に つ い て 、都 民 や 関 係 者 の 意 見 を 幅 広 く 聴 く
と と も に 、頂 い た 意 見 等 を 十 分 に 踏 ま え な が ら 、更 に 検 討 を 加 え 、答 申 を 取
りまとめていく予定である。
な お 、マ ン シ ョ ン に 関 す る 施 策 に つ い て は 、新 た に 設 置 し た マ ン シ ョ ン 部
会 に お け る 専 門 的 か つ 集 中 的 な 調 査 審 議 を 踏 ま え 、今 回 の 答 申 素 案 の 取 り ま
と め に 先 立 っ て 、 平 成 27(2015)年 9 月 3 日 に 当 審 議 会 か ら 「 東 京 に お け る
マンション施策の新たな展開について」と題する第一次答申を行っており、
今 回 の 答 申 素 案 と 併 せ た 全 体 を も っ て 、諮 問 に 対 す る 答 申 と す る も の で あ る 。
1
本答申素案において使用する用語の定義は、それぞれ以下のとおりとする。
○住宅
特に限定して用いる場合を除き、戸建住宅・共同住宅、持家・借家など、建て
方や所有関係を問わず、全ての住宅のこと。
○住宅市街地
住宅のみが立地する市街地を意味するのではなく、地域の商店街などを含めた
市街地のこと。
○公共住宅
都営住宅及び東京都住宅供給公社が提供する一般賃貸住宅のこと(※東京都住
宅 基 本 条 例 第 2 条 第 1 号 の 定 義 と は 異 な る 。)。
○公共住宅等
公 共 住 宅 及 び 独 立 行 政 法 人 都 市 再 生 機 構 が 提 供 す る UR 賃 貸 住 宅 の こ と 。
○マンション
特に限定して用いる場合を除き、マンションの管理の適正化の推進に関する法
律第2条第1号に定めるマンション(いわゆる分譲マンション)のこと。
○自主的な住宅市街地のマネジメント活動
地 域 住 民 等 が 協 力 し て 行 う 景 観 づ く り 、防 犯・防 災 活 動 、共 用 施 設 管 理 、清 掃 ・
ごみ出しルールなどのこと。
2
Ⅰ
人口減少社会を見据えた住宅政策の基本的考え方
1
居住の場としても魅力的な東京を目指して
住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素であ
る。住宅の在りようは、都民生活の質はもとより、都市の活力や景観、地
域社会の維持形成とも密接に関連している。
東 京 2020 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 競 技 大 会 の 開 催 さ れ る 平 成
32(2020)年 を 境 に 、 東 京 の 人 口 は 減 少 に 転 じ る と 見 込 ま れ る 中 、 経 済 的 活
力 や 文 化 的 魅 力 と あ い ま っ て 、居 住 の 場 と し て の 魅 力 を 高 め て い く こ と が 、
都市社会に活力と安定をもたらし、東京の持続的な発展に寄与するもの と
考えられる。
そのためには、海外からのビジネスパーソンなども含め、東京に暮らす
全ての方々の豊かな住生活の実現が不可欠である。
豊かな住生活とは、安全・安心、利便、快適などの観点から評価される
ものであり、具体的には、
①
世 帯 の 人 数 と 構 成 、居 住 者 の 身 体 機 能 等 に 応 じ た 適 切 な 規 模・ 性 能 を
備え、災害に対する安全性が確保された住まいが得られていること 。
②
日 常 的 な 生 活 関 連 サ ー ビ ス や 、医 療・ 介 護 サ ー ビ ス が 十 分 に 確 保 さ れ
るとともに、通勤・通学の利便性を享受できること。
③
地域における良好な人間関係と快適な住環境の中で安心して暮らす
ことができること。
と考えられる。
居 住 の 場 と し て も 魅 力 的 な 東 京 の 実 現 を 目 指 し て 、都 と し て 、具 体 的 な 目
標設定の下、総合的・計画的に施策を展開していくことが求められる。
3
2
住宅政策をめぐる現状と目指すべき方向
(1)生涯にわたる都民の豊かな住生活の実現
東 京 に お い て は 、既 に 住 宅 総 数 は 世 帯 数 を 大 き く 上 回 る と と も に 、1 人
当 た り の 住 宅 床 面 積 が 増 加 す る な ど 、量 の 面 に お い て 住 宅 は 十 分 に 確 保 さ
れている。また、公共交通網の充実や、都内の拠点開発に 伴うマンション
の供給などにより、職住近接も進んできた。
一 方 、少 子 高 齢 化 や 単 身 世 帯 の 増 加 な ど に 伴 う 都 民 の ラ イ フ ス タ イ ル の
変化により、住宅に対するニーズの多様化が加速しているとともに、就
職・結婚・子育て・リタイアといったライフステージに応じて必要とする
住宅の規模・性能が変化する 中で、それぞれの都民のニーズに応じた住宅
の確保が重要である。
ま た 、社 会 経 済 状 況 と 就 労 環 境 の 変 化 な ど に 備 え 、安 定 し た 生 活 の 基 盤
である住宅の確保が重要な課題となっている。
こ の た め 、子 供 か ら 高 齢 者 ま で 、そ れ ぞ れ の ラ イ フ ス タ イ ル や ラ イ フ ス
テージに応じて、また、社会や経済の状況が変化したときにも、都民が生
涯にわたって豊かな住生活を実現できる社会を目指すべきである。
(2)まちの活力・住環境の向上と持続
東 京 の 人 口 は 平 成 32(2020)年 を 境 に 減 少 に 転 じ 、平 成 37(2025)年 に は 、
団 塊 世 代 が 75 歳 以 上 と な る と と も に 都 民 に 占 め る 65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 割
合 が 25% に 達 す る と 見 込 ま れ る 。
高 齢 化 と 人 口 減 少 が 進 む に つ れ 、空 き 家 の 増 加 に よ る 生 活 環 境 の 悪 化 や 、
地域社会の衰退が懸念される。また、高度経済成長期に開発され老朽化が
進 む 大 規 模 団 地 や マ ン シ ョ ン の 更 新 が 課 題 と な っ て い る 。 さ ら に 、切 迫 す
る首都直下地震などへの備え、とりわけ、木造住宅密集地域における住
宅・住宅市街地の安全性の向上が必要とされている。
都 市 計 画 区 域 マ ス タ ー プ ラ ン に お い て は 、今 後 の 人 口 減 少 を 見 据 え 、既
成 市 街 地 に お け る 拠 点 な ど を 中 心 に 都 市 づ く り を 積 極 的 に 展 開 し て 、居 住
の 集 積 を 進 め つ つ 、こ れ に 必 要 な 都 市 機 能 を 集 約 的 に 立 地 さ せ る こ と と し
ている。
こ の た め 、 特 に 、 本 格 的 な 人 口 減 少 を 迎 え る ま で の 今 後 10 年 間 に お い
て は 、将 来 の 都 市 像 を 見 据 え た 都 市 づ く り 政 策 と も 連 携 し 、 各 地 域 の 活 力
と住環境を一層向上させるとともに、その活力・住環境が持続できる社会
を目指すべきである。
4
3
今後の住宅政策の基本方針
上 記 の と お り 、こ れ か ら の 東 京 の 住 宅 政 策 は 、社 会 情 勢 の 変 化 や 人 口 減
少 に よ る 地 域 の 衰 退 な ど が 懸 念 さ れ る 中 、居 住 の 安 定 確 保 の た め の 基 盤 を
強 化 す る な ど 、 都 民 の 住 生 活 を よ り 安 定 さ せ 、生 涯 に わ た る 豊 か な 住 生 活
の実現と、まちの活力・住環境の向上と持続、すなわち、都民の豊かな住
生活の「実現」のみならず、豊かさの「持続」を目指すべきである。
このため、人口減少社会に向かう中での東京の住宅政策の基本方針を、
「豊かな住生活の実現と持続」とする。
5
Ⅱ
目指すべき「8つの目標」
1
生涯にわたる都民の豊かな住生活の実現に向けた目標
少 子 高 齢 化 と い う 大 き な 課 題 を 踏 ま え 、生 涯 に わ た る 都 民 の 豊 か な 住 生
活 の 実 現 に 向 け て 、次 の 目 標 を 設 定 し 、そ れ ぞ れ に 示 す 将 来 イ メ ー ジ の 実
現を目指すべきである。
目標1
●
住まいにおける子育て環境の向上
子 育 て に 適 し た 住 宅 が 普 及 し 、子 育 て 世 帯 が 、職 住 近 接 を 実 現 し つ つ 、
世帯の人数や構成などに応じた規模や性能をもつ住宅に居住している。
●
子育て支援施設の整備や近居・多世代同居が進むなど、子育てしや
すい生活環境が整っている。
目標2
●
高齢者の居住の安定
バリアフリー化など高齢者に適した住宅が普及するとともに、福祉
や医療等の連携により高齢者向けの施設やサービスが充実した地域包
括ケアシステムが構築され、高齢者が住み慣れた地域で安心して住み
続けることができる。
●
家族構成や身体機能の変化などに応じて、高齢者向け住宅などの住
まいを自由に選択できる。
●
近居・多世代同居の実現や地域コミュニティとの連携などにより、
在宅高齢者の家族が、就労や生活上の大きな負担なく支援や介護がで
きる。
目標3
●
住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定
公共住宅等や民間賃貸住宅への入居の円滑化が一層進むなど重層
的 な 住 宅 セ ー フ テ ィ ネ ッ ト 機 能 が 強 化 さ れ 、住 宅 確 保 に 配 慮 を 要 す る
都 民 が 、世 帯 の 人 数 や 構 成 な ど に 応 じ た 規 模 や 性 能 を 持 っ た 住 宅 に 居
住している。
●
高 齢 者 、障 害 者 、ひ と り 親 世 帯 な ど 住 宅 確 保 に 特 に 配 慮 を 要 す る 都
民が、必要な支援を受け、地域で安定した住生活を送っている。
目標4
●
良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現
環境に配慮した住宅など都民のニーズに応じた多様で良質な住宅
が、新築住宅、既存住宅、賃貸住宅の各市場に供給されている。
●
既 存 住 宅 を 含 め た 住 宅 の 選 択 や リ フ ォ ー ム の 際 に 、住 宅 の 性 能 や 質 、
6
事業者等に関する情報が得られる。
●
都 民 の 住 宅 の 性 能 や 質 、維 持 管 理 等 に 関 す る 知 識 や 意 識 が 向 上 し て
いる。
2
まちの活力・住環境の向上と持続に向けた目標
本 格 的 な 人 口 減 少 が 目 前 に 迫 る 中 、ま ち の 活 力・住 環 境 の 向 上 と 持 続
に 向 け て 、次 の 目 標 を 設 定 し 、そ れ ぞ れ に 示 す 将 来 イ メ ー ジ の 実 現 を 目
指すべきである。
目標5
●
安全で良質なマンションストックの形成
マ ン シ ョ ン の 管 理 組 合 が 、専 門 家 な ど の 支 援 を 受 け な が ら 、適 正 な
維 持 管 理 や 必 要 な 改 修 工 事 、建 替 え 等 の 再 生 に 自 主 的 に 取 り 組 み 、マ
ンションストック全体の良質化・長寿命化が進んでいる。
●
消 費 者 の マ ン シ ョ ン 管 理 に 対 す る 意 識 や 関 心 が 高 ま る と と も に 、管
理 に 関 す る 情 報 の 開 示 が 進 み 、管 理 が 良 好 な マ ン シ ョ ン が 市 場 で 高 く
評価されている。
目標6
●
都市づくりと一体となった団地の再生
建 替 え や 改 修 に よ り 耐 震 化 や バ リ ア フ リ ー 化 が 進 む と と も に 、地 域
に 必 要 な 生 活 支 援 施 設 が 立 地 す る な ど 、利 便 性 が 高 く 生 活 し や す い 環
境が整備されている。
●
団 地 に 多 様 な 世 代 が 居 住 し 、地 域 の コ ミ ュ ニ テ ィ が 活 性 化 し て い る 。
●
立 地 等 に よ っ て は 、東 京 の 活 力 向 上 に 資 す る 高 度 な 都 市 機 能 の 集 約
し た 拠 点 や 、地 域 に お け る 拠 点 と な る な ど 、都 市 づ く り に 活 用 さ れ て
いる。
目標7
●
災害時における安全な居住の持続
住 宅 の 耐 震 化 や 木 造 住 宅 密 集 地 域 の 不 燃 化 が 進 み 、ハ ー ド・ソ フ ト
両面において、災害に強い住宅・住宅市街地が形成されている。
●
地 域 や マ ン シ ョ ン に お け る 防 災 対 策 が 進 む な ど 、災 害 時 に お い て も 、
都民が地域や自宅で生活を継続することができる。
●
応急危険度判定や応急仮設住宅の供給が速やかに実施できるなど、
被災後の都民の居住確保に向けた体制が強化されている。
目標8
●
活力ある持続可能な住宅市街地の実現
空 き 家 を 含 め た 既 存 ス ト ッ ク や そ の 敷 地 が 、地 域 の ニ ー ズ や 所 有 者
7
の 意 向 を 踏 ま え た 様 々 な 用 途 に 活 用 さ れ 、地 域 の 活 力 が 保 た れ て い る 。
●
再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 利 用 や 創 エ ネ・蓄 エ ネ 機 器 の 設 置 な ど が 進 み 、
環境に配慮した住宅市街地が形成されている。
●
地域住民等による自主的な住宅市街地のマネジメント活動などに
より、緑や景観などの良好な住環境が保全・向上されている。
8
Ⅲ
目標実現に向けた「3つの着眼点」
「 8 つ の 目 標 」を 実 現 す る た め の 具 体 的 な 施 策 に つ い て は 、下 記 の 点 に
着目し、総合的・計画的に展開する必要がある。
1
既存ストックの有効活用
都内の住宅ストックは量的に充足するとともに、住戸面積も相当程度改
善されてきており、耐震補強やバリアフリー化、省エネ化など を行うこと
で、新築・建替えよりも安く、高い住宅性能を実現することが可能となっ
て き て い る 。都 内 に あ る 約 82 万 戸 の 空 き 家 に つ い て も 、広 さ や 設 備 状 況 、
老 朽 度 合 な ど か ら 活 用 が 困 難 な も の も あ る も の の 、全 体 的 に は リ フ ォ ー ム
等により一定の質を確保できる住宅が多数あると考えられる。このため、
環境や資源の問題などが深刻化する中で、これまでのように「住宅をつく
っては壊す」のではなく、世代を超えた承継や流通・住み替えなどにより
「質の良い住宅を長く大切に使う」ことが重要である。
住宅市街地についても、木造住宅密集地域等を除けば、道路等の基盤施
設 が 一 定 の 水 準 で 整 備 さ れ た 市 街 地 が 大 半 を 占 め て お り 、既 存 ス ト ッ ク を
有効に活用することで、新たな 住宅市街地開発に伴う公共施設の整備・維
持コストの抑制が期待できる。また、市街地を集約型の地域構造へと再編
す る こ と に よ り 、誰 も が 集 積 の メ リ ッ ト を 享 受 で き る 暮 ら し や す い 市 街 地
を形成することが可能となる。
このため、自然環境や資源の保護、低炭素型社会の実現などの環境面の
持続性の観点も踏まえ、今後は、市街地の拡大による住宅の新規供給を重
視した施策ではなく、既存住宅のリフォームや流通促進、団地やマンショ
ンの再生、空き家の利活用など、既成市街地における良質な住宅ストック
の形成と、既存ストックの再生・有効活用を重視した施策を展開すること
が必要である。さらに、本格的な人口減少社会においては、市場において
必 要 と さ れ る 住 宅 ス ト ッ ク の 総 数 が 減 少 す る こ と を 踏 ま え 、将 来 的 に 住 宅
政策としてどのように対応すべきかの議論が求められる。
2
多様な主体・分野との連携
東京の住宅の9割以上は民間により市場を通じて供給されており、豊か
な住生活の実現と持続のためには、居住者である都民自らはもちろん、住
宅 供 給 事 業 者 、流 通 等 を 担 う 不 動 産 事 業 者 、住 宅 の 情 報 提 供 を 担 う 事 業 者 、
居住支援や保育・介護・医療などを担う各種団体・NPOなど、多様な主
体の役割が重要である。
行政は、都民の自助努力を原則としつつ、良質な住宅ストックと良好な
9
住環境の形成、市場の環境整備、住宅に困窮する都民の居住の安定確保な
どに向けた総合的な住宅政策を実施することが求められる。
その際、多様化する都民のニーズや地域ごとに異なる課題等にきめ細か
く対応するためには、防災・福祉・雇用・経済・都市づくり・建築などの
関係行政分野や、関連する団体等と連携して取り組むことが重要である。
また、その前提として、各分野の政策立案過程における総合的・横断的な
検討が必要である。
このため、居住支援協議会での取組をはじめ、多様な主体・分野が目標
を共有しつつ連携して取り組む施策を重視すべきである。
3
地域特性に応じた施策の展開
東 京 に は 全 国 の 1 割 に 当 た る 約 1,300 万 人 の 都 民 が 定 住 し 、そ の 区 域 は 、
日 本 の 政 治 ・ 経 済 の 中 枢 を 担 う 都 心 部 を 含 む 23 特 別 区 か ら 、 最 先 端 産 業
や 大 学・ 研 究 機 関 が 集 積 す る と と も に 豊 か な 自 然 環 境 に 恵 ま れ た 多 摩 地 域 、
さらには貴重な観光・海洋資源を持つ島しょ地域まで広範囲に及んでいる。
また、交通結節点などの広域拠点や生活拠点、身近な地域の生活中心地、
戸 建 住 宅 や 中 高 層 住 宅 団 地 が 立 地 す る 地 域 、農 地 と 住 宅 が 混 在 す る 地 域 な
ど、住宅・住宅市街地の状況や課題、活用可能な既存ストックの状況は地
域により多様である。
このため、地域の特性に応じて、豊かな住生活の実現と持続を目指すた
めには、住民一人一人がそれぞれの地域に関心を 持ち、生活環境の向上に
努めることが重要であり、防災、高齢者福祉、子育て支援などについての
地域コミュニティによる取組が期待される。
ま た 、空 き 家 等 の 適 正 管 理 と 利 活 用 の 促 進 や 、高 齢 者 福 祉 、子 育 て 支 援 、
木造住宅密集地域の防災性の向上をはじめとする地域のまちづくりなど
住 宅 政 策 と の 密 接 な 連 携 が 求 め ら れ る 行 政 分 野 は 、一 義 的 に は 基 礎 的 自 治
体である区市町村が担っている。一方、東京における住宅市場は 各区市町
村の区域(さらには都の区域)を大きく超えて市場が形成されており、市
場の環境整備や誘導等については、国及び都の役割が重要である。
このため、地域の実態を的確に把握し、ハード・ソフト両面での総合的
な 施 策 展 開 が 必 要 で あ り 、そ の た め に は 、 地 域 住 民 や 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ の
役 割 と 、地 域 の 福 祉 や ま ち づ く り の 担 い 手 で あ る 区 市 町 村 の 役 割 が 重 要 で
ある。
都は、国に対して必要な施策と財源の措置とを積極的に要請していくと
ともに、広域的自治体として、市場の環境整備や、区市町村の取組への支
援などに重点的に取り組むべきである。
10
具体的な施策の展開に当たっては、人口減少社会に向かう中、地域ごと
の住宅事情等を踏まえた地域間バランスに配慮しつつ、都市構造全体の中
で の 立 地 や 地 域 の 抱 え る 課 題 な ど を 踏 ま え て 、施 策 分 野 や 地 域 ご と に メ リ
ハリのある対応を行うことが重要である。
11
Ⅳ
具体的な施策の方向
「 8 つ の 目 標 」ご と に 、考 慮 す べ き 現 状・課 題 等 と 、上 記 の「 3 つ の 着 眼 点 」
を 踏 ま え た 施 策 展 開 の 基 本 的 な 考 え 方 及 び 具 体 的 施 策 の 方 向 に つ い て 、こ れ ま
で の 取 組 に 加 え て 、都 と し て 新 た に 取 り 組 む べ き 事 項 や 充 実 す べ き 事 項 を 中 心
に整理した。
な お 、 東 京 都 都 市 計 画 審 議 会 で は 、 「 2040 年 代 の 東 京 の 都 市 像 と そ の 実 現
に向けた道筋について」の諮問を受け、都市づくり調査特別委員会において、
そ の 検 討 を 進 め て お り 、平 成 28( 2016)年 8 月 に 、答 申 案 が 公 表 さ れ て い る 。
こ の 中 で は 、目 指 す べ き 東 京 の 都 市 像 と そ の 実 現 に 向 け た 取 組 の 方 向 性 等 が 示
されている(下記参照)。
目指すべき東京の都市像とその実現に向けた取組の方向性等
東 京 都 都 市 計 画 審 議 会 都 市 づ く り 調 査 特 別 委 員 会 平 成 28(2016)年 8 月 公 表
2040 年 代 の 東 京 の 都 市 像 と そ の 実 現 に 向 け た 道 筋 に つ い て 答 申 案 【 骨 子 】 か ら 抜 粋
第 3 章 2040 年 代 に 目 指 す べ き 東 京 の 都 市 像
1 目指すべき都市の理念
○ 高 度 な 都 市 機 能 の 集 積 と グ ロ ー バ ル な 人・モ ノ・情 報 の 交 流 に よ り 、世 界 中 の 人 々
から新たな価値を生み続ける場として選択される都市
○個性 ある多 様な 地域・拠点 にお いて 、あら ゆる人 々が挑 戦、活躍 でき、質の 高い
住まい方・働き方・憩い方を選択できる都市
2 都市づくりの目標
(1)経済活力の向上のための拠点づくり
(2)人・モノ・情報の自由自在な交流の実現
(3)災害リスクと環境問題に立ち向かう都市の構築
(4)ライフスタイルに応じて選択できる場の提供
(5)生活を支える拠点への集約化と多様なコミュニティの創出
(6)四季折々の美しい緑と水を編み込んだ都市の構築
(7)芸術・文化・スポーツによる都市の新たな魅力の創出
3 目指すべき都市構造のイメージ
○環状メガロポリス構造を発展させ、より広域的に「交流・連携・挑戦」を促進す
る都市構造へ転換
○「国内外の人・モノ・情報の自由自在な移動と交流」を実現し、経済活力を向上
させ、多様なライフスタイルやコミュニティを創出
4 地域像(地域別のイメージ)
○都市機能の集積や地域特性、インフラの整備状況、今後の社会変化の動向など、
将来を見据えた新しい4つの地域区分へ再編
○ 重 ね て 、日 本 と 東 京 圏 の 持 続 的 な 成 長 と 活 力 を リ ー ド す る エ ン ジ ン と し て の 役 割
が期待される2つのゾーンを設定
第4章 都市像の実現に向けて
( 共 通 に 留 意 す べ き 視 点 と 、都 市 づ く り の 目 標( 7 項 目 )ご と の 取 組 の 方 向 性 を 記 述 。
ここでは、特に住宅政策と密接に関連する3項目を示す。)
12
(3)災害リスクと環境問題に立ち向かう都市の構築
○防災・減災や事前復興の視点を組み込んだ都市づくり
○長期的な災害対策の取組
○CO2フリー社会と循環型都市の実現に向けた都市づくり
(4)ライフスタイルに応じて選択できる場の提供
○ライフスタイルに対応する多様な空間
○地域包括ケアシステムなどの仕組みとの連動
○少子化に歯止めをかける都市づくり
(5)生活を支える拠点への集約化と多様なコミュニティの創出
○駅と一体となったまちづくり
○区部中心部における質を重視した居住への転換
○空き家・空き地・公的不動産等を活用したコミュニティづくり
○商店街の活性化に向けた都市づくり
○集約型地域構造への再編
ここで示す住宅政策の具体的施策の方向等は、この答申案で示された東京
の都市像とその実現に向けた取組の方向性等も踏まえたものである。
1
目標1 住まいにおける子育て環境の向上
(1)子育て世帯の状況
都 に お け る 合 計 特 殊 出 生 率 は 、 平 成 17(2005) 年 の 1.00 を 底 に 平 成
27(2015)年 に は 1.17 へ と 微 増 し て い る が 、 全 国 最 低 と な っ て い る 。
国 立 社 会 保 障 ・ 人 口 問 題 研 究 所 の 「 第 14 回 出 生 動 向 基 本 調 査 」 ( 平 成
22(2010)年 ) に よ る と 、 理 想 の 子 供 数 が 2.42 人 で あ る の に 対 し 、 実 際 の
子 供 数 は 1.71 人 と な っ て お り 、 理 想 の 子 供 数 を 持 た な い 理 由 と し て 約 1
割が「家が狭いから」と回答している。また、年齢が若いほど「家が狭い
から」を理由に挙げる割合が高くなっている。
総 務 省 の 「 平 成 25(2013)年 住 宅 ・ 土 地 統 計 調 査 」 に よ る と 、 夫 婦 と 18
歳 未 満 の 者 か ら な る 世 帯 の 約 44%( 持 家 で は 約 23% 、借 家 等 で は 約 76% )
が 70 ㎡ 未 満 の 住 宅 に 住 ん で い る 。 ま た 、 子 育 て 世 帯 の 約 27% が 民 間 賃 貸
住 宅 に 住 ん で い る が 、都 内 の 民 営 借 家 の 居 住 面 積 は 、49 ㎡ 未 満 の も の が 約
8割を占めており、十分な面積の確保が難しい状況にある。
平 成 24(2012)年 度 東 京 都 福 祉 保 健 基 礎 調 査「 東 京 の 子 供 と 家 庭 」に よ る
と、両親のいる世帯の共働き率は5割を超えており、共働き世帯が就業中
に 子 供 を 預 け る こ と の で き る 場 所 が 近 く に あ る こ と は 、子 育 て の し や す さ
につながるものと考えられる。
厚 生 労 働 省 の「 平 成 26(2014)年 人 口 動 態 統 計 」に よ る と 、乳 幼 児 の 不 慮
の 事 故 死 の う ち 家 庭 内 事 故 死 が 過 半 数 を 占 め て お り 、子 育 て に 配 慮 し た 設
13
備など住宅内での安全性の確保が求められている。
(2)施策の方向性
平 成 27(2015)年 10 月 に 都 が 策 定 し た 「 『 東 京 と 地 方 が 共 に 栄 え る 、 真
の地方創生』の実現を目指して~東京都総合戦略~」において、「東京の
将 来 人 口 の 推 計 期 間( 2060 年 ま で )中 に 、ま ず は 、都 民 の 希 望 出 生 率( 1.76)
を実現させることを将来的な展望とし、結婚・出産・子育ての希望を叶え
る こ と を 目 標 と し な が ら 、安 心 し て 子 供 を 産 み 育 て ら れ る 環 境 の 充 実 に 向
けた様々な施策を展開していく」こととしている。
住 宅 分 野 に お い て も 、子 育 て に 適 し た 民 間 住 宅 の 供 給 促 進 、都 営 住 宅 に
おけるファミリー向け住戸の整備や建替え等に当たっての子育て支援施
設の整備促進、近居・多世代同居の促進などにより、多様な世代によるコ
ミ ュ ニ テ ィ の 中 で 、子 供 を 産 み 育 て よ う と 思 え る よ う な 子 育 て し や す い 環
境を充実していく。
①
子育て世帯向け住宅の供給促進
・ 子 育 て に 適 し た 広 さ や 安 全 性 等 を 備 え 、子 育 て 支 援 サ ー ビ ス と の 連 携
に も 配 慮 し た 住 宅 の 整 備 に つ い て 都 が ま と め た「 子 育 て に 配 慮 し た 住
宅 の ガ イ ド ラ イ ン 」 ( 平 成 28(2016)年 2 月 ) を 、 住 宅 の 供 給 、 仲 介 、
建 設 、改 修 、管 理 な ど の 事 業 者 や 業 界 団 体 に 広 く 周 知 を 図 り 、子 育 て
世帯向けの優良な住宅の供給を促進すべきである。
・ 区 市 町 村 を 通 じ た 改 修 費 補 助 な ど に よ り 、空 き 家 の 有 効 活 用 を 促 進 し 、
子育て世帯の人数や構成に応じた規模等の住宅に住み替えられるよ
うにすべきである。
・ 都 営 住 宅 に つ い て は 、同 居 親 族 の い る 世 帯 を 主 な 対 象 と し て 整 備 さ れ
て き た こ と か ら 、単 身 者 向 け が 多 い 民 間 賃 貸 住 宅 に 比 べ て フ ァ ミ リ ー
向 け の 住 戸 が 多 い 。建 替 え に 当 た っ て も 、現 在 の 居 住 者 の 状 況 を 勘 案
し な が ら 、フ ァ ミ リ ー 向 け 住 戸 の 整 備 を 進 め る な ど 、若 年 夫 婦・ 子 育
て世帯に対する支援拡大を図るべきである。
②
子育て支援住宅や支援施設の整備促進
・ 居 住 者 の 安 全 性 や 家 事 の し や す さ な ど に 配 慮 さ れ た 住 宅 で 、か つ 、子
育 て を 支 援 す る 施 設 や サ ー ビ ス の 提 供 な ど 、子 育 て し や す い 環 境 づ く
り の た め の 取 組 を 行 っ て い る 優 良 な 住 宅 を 都 が 認 定 す る「 東 京 都 子 育
て 支 援 住 宅 認 定 制 度 」( 平 成 28(2016)年 2 月 開 始 )に つ い て 、財 政 支
援などにより、認定住宅の普及促進を図るべきである。
14
・ 区 市 町 村 等 と 連 携 し 、子 育 て 世 帯 が い き い き と 暮 ら す こ と が で き る 地
域特性に応じた魅力ある住環境を整備すべきである。
・ 公 共 住 宅 に つ い て は 、建 替 え 等 の 機 会 を 捉 え て 、地 域 の 状 況 を 踏 ま え
て、保育所などの子育て支援施設の整備を進めるべきである。
③
近居・多世代同居の促進
・ 世 代 間 で 助 け 合 い な が ら 子 供 を 育 て る こ と が で き る よ う に 、意 向 に 応
じ て 、親 世 帯 と の 近 居 や 多 世 代 同 居 が 可 能 と な る よ う な 環 境 整 備 を 検
討すべきである。
2
目標2 高齢者の居住の安定
(1)高齢者の状況
65 歳 以 上 の 高 齢 者 の 人 口 割 合 は 、 平 成 22(2010) 年 の 20 % か ら 平 成
37(2025)年 に 25% へ と 上 昇 し 、そ の 後 も 上 昇 を 続 け る 見 込 み で あ る 。平 成
37(2025)年 に は 、 単 身 世 帯 数 は 全 世 帯 の 約 47% を 占 め 、 そ の う ち 65 歳 以
上 の 単 身 世 帯 の 割 合 が 28% を 超 え 、そ の 後 も 上 昇 を 続 け る と 推 定 さ れ て い
る 。後 期 高 齢 者 は 、平 成 27(2015)年 に 都 内 総 人 口 の 1 割 を 超 え て 約 147 万
人 と な り 、今 後 は 、後 期 高 齢 者 が 大 幅 に 増 加 し 、平 成 32(2020)年 に は 前 期
高齢者の数を上回ることが見込まれている。要介護、要支援の認定者数は
毎 年 増 加 し て お り 、 後 期 高 齢 者 の 要 介 護 認 定 率 は 、 前 期 高 齢 者 の 約 6.9 倍
と な っ て い る 。高 齢 期 を 迎 え 支 援 が 必 要 に な っ て も 住 み 慣 れ た 地 域 で 生 活
できるよう、適切な医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体的に提供
さ れ る 地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム を 、地 域 の 実 情 に 応 じ て 構 築 す る こ と が 必 要
となっている。
「 平 成 25(2013)年 住 宅・土 地 統 計 調 査 」に よ る と 、共 同 住 宅 の 共 用 部 分
の バ リ ア フ リ ー 化 率 は 約 21% 、高 齢 者 の 居 住 す る 住 宅 の バ リ ア フ リ ー 化 率
は 約 43% に と ど ま っ て い る 。ま た 、都 内 に お い て 住 宅 に 居 住 し て い る 世 帯
約 647 万 世 帯 の う ち 、65 歳 以 上 の 世 帯 員 の い る 世 帯( 約 205 万 世 帯( 32% ))
で は 、 持 家 は 約 7 割 、 借 家 は 約 3 割 と な っ て お り 、 そ の 他 の 世 帯 (持 家 は
約 4 割 、 借 家 は 約 6 割 )に 比 べ 持 家 の 比 率 が 高 く な っ て い る 。 こ の う ち 、
65 歳 以 上 の 単 身 及 び 高 齢 夫 婦 の 持 家 世 帯 の 約 33% が 100 ㎡ 以 上 の 住 宅 に
住んでいる。
65 歳 以 上 の 在 宅 の 高 齢 者 が 希 望 す る 高 齢 期 の 住 ま い に つ い て は 、「 在 宅
で 暮 ら し た い 」 人 の 割 合 が 最 も 高 く 、 59% と な っ て い る 。 高 齢 期 に 住 み 替
え を 考 え て い る 世 帯 の「 高 齢 期 に お け る 住 み 替 え 先 と し て 望 ま し い 居 住 形
15
態 」は 、
「 サ ー ビ ス 付 き の 高 齢 者 向 け 住 宅 」が 23% と 最 も 高 く な っ て い る 。
サ ー ビ ス 付 き 高 齢 者 向 け 住 宅 に つ い て 、国 や 都 は 建 設 費 へ の 補 助 等 に よ
り 民 間 事 業 者 の 積 極 的 な 参 入 を 後 押 し し て お り 、登 録 戸 数 は 平 成 28(2016)
年3月末現在で約1万1千戸と順調に増加している。しかし、周辺区で供
給 が 多 い 一 方 で 、地 価 等 の 地 域 的 事 情 に よ り 整 備 が な さ れ て い な い 区 市 町
村もあるなど、立地に偏りがある。
ま た 、健 康 状 況 の 変 化 な ど の ニ ー ズ に 応 じ た 、サ ー ビ ス 付 き 高 齢 者 向 け
住宅や施設等への転居は、経済的負担が大きいといった課題もある。
(2)施策の方向性
高 齢 者 が 、住 み 慣 れ た 地 域 に お い て 多 様 な 世 代 に よ る コ ミ ュ ニ テ ィ の 中
で 安 心 し て 住 み 続 け る こ と が で き る よ う 、地 域 包 括 ケ ア シ ス テ ム の 構 築 に
向け、バリアフリー化 され生活支援サービスを備える など高齢者 のニーズ
に応じた住宅の供給を促進する必要がある。また、公共住宅の建替え等に
当たっての高齢者施設の整備促進、高齢者向け住宅等への円滑な転居や 、
近居・多世代同居を容易にする環境整備などを進める必要がある。
①
高齢者の資産を活用した居住の安定
・ 身 体 の 状 況 や ニ ー ズ 等 に 応 じ て 、高 齢 者 向 け 住 宅 等 へ の 転 居 が 可 能 と
な る よ う に 、高 齢 者 の 持 家 の 資 産 と し て の 活 用 や 、既 存 住 宅 が 円 滑 に
流通できる市場環境の整備を促進すべきである。
・ 一 般 社 団 法 人 移 住・住 み か え 支 援 機 構 が 行 う マ イ ホ ー ム 借 上 げ 制 度 や 、
住み替え支援ローン等についての普及促進策を検討すべきである。
②
サービス付き高齢者向け住宅等の供給促進
・ 平 成 37(2025)年 度 末 ま で に サ ー ビ ス 付 き 高 齢 者 向 け 住 宅 等 を 2 万 8
千 戸 整 備 す る と い う 目 標 に 向 け 、都 か ら 事 業 者 へ の 補 助 等 に よ り 、地
域包括ケアの考え方を踏まえた地域密着型サービス事業所との連携
や 、高 齢 者 が 様 々 な 居 住 者 と 触 れ 合 う こ と の で き る 一 般 住 宅 と の 併 設 、
空 き 家 を 活 用 し た 分 散 型 供 給 な ど 、多 様 な サ ー ビ ス 付 き 高 齢 者 向 け 住
宅等の供給を促進すべきである。
・ 供 給 に 当 た っ て は 、区 市 町 村 が 行 政 計 画 等 に お い て サ ー ビ ス 付 き 高 齢
者 向 け 住 宅 等 の 供 給 方 針 を 明 示 し 、そ の 方 針 に 即 し た 供 給 に 対 し 都 も
支 援 を 行 う な ど 、都 と 区 市 町 村 が 連 携 し て 、地 域 の ニ ー ズ や 実 情 を 踏
まえて取り組むべきである。
16
③
住宅のバリアフリー化や生活支援施設の整備等の促進
・ 高 齢 者 が 安 心 し て 生 活 で き る 住 宅 の 確 保 に 向 け て 、住 宅 の バ リ ア フ リ
ー 化 を 促 進 す べ き で あ る 。特 に 、量 的 に 住 宅 ス ト ッ ク が 充 足 し て い る
中 、共 同 住 宅 の 共 用 部 分 の バ リ ア フ リ ー 改 修 や 、エ レ ベ ー タ ー 設 置 等
を 促 進 す る な ど 、既 存 ス ト ッ ク の 性 能 向 上 へ の 取 組 を 推 進 す べ き で あ
る。
・ 省 エ ネ ル ギ ー ・ 省 C O ₂の 観 点 の み な ら ず 、 ヒ ー ト シ ョ ッ ク 対 策 な ど
高 齢 者 の 健 康 、長 寿 実 現 の 観 点 か ら 、住 宅 の 断 熱 性 の 向 上 を 図 る た め 、
そ の 重 要 性 の 都 民 へ の 周 知 や 、空 き 家 を 含 め た 既 存 ス ト ッ ク の 断 熱 改
修の促進等を進めるべきである。
・ 公 共 住 宅 に つ い て は 、建 替 え 等 の 機 会 を 捉 え て 、地 域 の 状 況 を 踏 ま え
て 、見 守 り や 在 宅 介 護 の た め の 拠 点 な ど の 高 齢 者 の 生 活 支 援 施 設 の 整
備を進めるべきである。
・ 区 市 町 村 等 と 連 携 し 、日 常 生 活 圏 の 生 活 環 境 の 改 善 や 、生 き が い を 持
っ て 活 動 で き る 場 の 創 出 な ど 、地 域 特 性 に 応 じ た 魅 力 あ る 住 環 境 を 整
備すべきである。
④
近居・多世代同居の促進
・ 世 代 間 で 助 け 合 い な が ら 、安 心 し て 生 活 で き る よ う に 、意 向 に 応 じ て 、
子世帯との近居や多世代同居が可能となるような環境整備を検討す
べきである。
3
目標3 住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定
(1)住宅確保に配慮を要する都民の住まいの状況
豊 か な 住 生 活 の 実 現 の た め に は 、世 帯 の ニ ー ズ に 応 じ た 良 質 な 住 宅 の 確
保が不可欠である。生活の基盤である住宅は、都民が市場において自力で
確保することが基本であるが、①低所得・低資産であるなど経済力が低い
こと、②世帯の特性に適した住宅が市場で十分に取引されていないこと、
③ 社 会 関 係 力 が 弱 い な ど の 属 性 等 に よ り 入 居 制 限 を 受 け や す い こ と や 、自
力 で は 的 確 な 選 択 が 困 難 な こ と な ど か ら 、市 場 で 適 正 な 水 準 の 住 宅 を 円 滑
に確保することが難しい場合がある。
具 体 的 に は 、低 所 得 者 等 は 、経 済 的 理 由 か ら 自 力 で 適 正 な 水 準 の 住 宅 を
確 保 す る こ と が 困 難 で あ り 、産 業 構 造 や 雇 用 形 態 の 変 化 に よ り 就 労 が 不 安
定な単身世帯なども住宅の確保に不安を抱えている。ひとり親世帯は、経
済的に困窮していることも多く、就労や子育てに不安を抱え、住宅確保に
17
苦慮している場合がある。高齢者については、バリアフリー化された住宅
が 市 場 で 十 分 に 取 引 さ れ て い な い こ と や 、死 亡 事 故 や 認 知 症 等 に よ る ト ラ
ブ ル に 対 す る 不 安 等 か ら 、賃 貸 住 宅 の 貸 主 側 か ら 入 居 を 拒 ま れ や す い と い
っ た 状 況 が あ る 。 障 害 者 に つ い て は 、 施 設 入 所 ・入 院 か ら 地 域 で の 自 立 し
た 生 活 へ の 移 行 促 進 が 求 め ら れ て い る が 、バ リ ア フ リ ー や 必 要 な 仕 様 を 有
す る 住 宅 が 市 場 で 十 分 に 取 引 さ れ て お ら ず 、事 故 や ト ラ ブ ル に 対 す る 不 安
等により、貸主側から入居を拒まれやすい。
こ う し た 住 宅 の 確 保 に 配 慮 を 要 す る 都 民 に つ い て は 、社 会 経 済 状 況 や 就
労環境の変化、少子高齢化の進行、後期高齢者・単身高齢者の増加、 障害
者の自立促進などの実情を踏まえ、就労支援、育児支援、生活支援、地域
包 括 ケ ア シ ス テ ム の 構 築 や 、自 立 支 援 な ど の 福 祉 サ ー ビ ス や 雇 用 施 策 と 連
携した居住支援が求められている。
(2)施策の方向性
公 共 住 宅 等 に お け る 取 組 や 、民 間 賃 貸 住 宅 に お け る 居 住 支 援 協 議 会 を 通
じた施策等を実施することにより、
①
既 存 ス ト ッ ク の 活 用 や 市 場 機 能 の 円 滑 化 等 に よ る 、世 帯 の 状 況 や ニ
ーズに応じた広さ、性能、サービスを備えた住まいの確保
②
入 居 機 会 の 拡 大 や 入 居 支 援 に よ る 、ニ ー ズ に 応 じ た 住 宅 へ の 円 滑 な
入居の促進
③
就労・子育て・自立・生活支援や福祉サービスなどの提供の促進
を図るとともに、
④
最 後 の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト で あ る 生 活 保 護 制 度( 住 宅 扶 助 )や 、第 二
の セ ー フ テ ィ ネ ッ ト で あ る 生 活 困 窮 者 自 立 支 援 法 等 の 生 活・就 労 支 援
制度との連携
により、重層的住宅セーフティネットを 強化し、住宅の確保に配慮を要す
る都民の安定した居住の確保を図ることが必要である。
そ の 際 、区 市 町 村 に よ る 居 住 支 援 協 議 会 の 設 立 を 促 進 し 、空 き 家 の 有 効
活用策や家主のリスク軽減策、福祉サービス等、関連する各種施策と連携
し た 協 議 会 の 取 組 を 強 化 す る こ と な ど に よ り 、民 間 賃 貸 住 宅 の 活 用 を 進 め
ることが重要である。公共住宅等については、既存ストックを有効に活用
す る 観 点 か ら 、少 子 高 齢 化 な ど の 社 会 情 勢 の 変 化 を 的 確 に 踏 ま え た 施 策 が
求められている。
①
より困窮度の高い都民への都営住宅の的確な供給
・ 住 宅 ス ト ッ ク 全 体 が 量 的 に 充 足 し て い る 中 で 、今 後 、人 口 が 減 少 す る
18
見 込 み で あ る こ と か ら 、都 営 住 宅 は 現 在 の ス ト ッ ク を 最 大 限 に 活 用 し 、
住宅セーフティネットの中核としての機能を果たしていくべきであ
る。
・ 期 限 付 入 居 制 度 や 使 用 承 継 制 度 、高 額 所 得 者 制 度 な ど の 現 行 制 度 を 適
切 に 運 用 す る と と も に 、公 営 住 宅 の 入 居 時 に お け る 預 貯 金 な ど の 資 産
の 保 有 状 況 に 関 す る 調 査 権 限 の 付 与 を 国 に 要 請 す る な ど 、住 宅 に 困 窮
する都民に公平かつ的確に供給すべきである。
・ 次 代 を 担 う 子 供 を 育 て る 若 年 フ ァ ミ リ ー 世 帯 に 対 し て 、利 便 性 の 高 い
場 所 な ど 、ニ ー ズ に 応 じ た 地 域 に 所 在 す る 都 営 住 宅 へ の 入 居 促 進 を 一
層図るべきである。
・ 少 人 数 世 帯 が 規 模 の 大 き な 住 戸 か ら 自 発 的 に 移 転 す る よ う 、家 賃 算 定
方 法 の 変 更 を 国 に 要 請 す る な ど 、世 帯 人 数 の 変 化 に 伴 う 適 切 な 規 模 の
住宅への住み替えを促進すべきである。
②
公共住宅の有効活用
・ 既 存 ス ト ッ ク の 有 効 活 用 を 図 る た め 、修 繕 な ど に よ る 維 持 管 理 を 適 切
に 実 施 す る と と も に 、耐 震 改 修 の 実 施 や 、老 朽 化 し た 住 宅 の 計 画 的 な
建替えを進めていくべきである。
・ 入 居 優 遇 制 度 に つ い て は 、生 活 保 護 制 度 な ど の 低 所 得 者 に 対 す る 福 祉
施 策 と の 連 携 を 踏 ま え る と と も に 、少 子 高 齢 化 な ど 社 会 情 勢 の 変 化 に
的確に対応した取組を更に推進すべきである。
・ 都 民 に 対 し て 、入 居 制 度 の 周 知 を 図 り 、支 援 が 必 要 な 都 民 に 公 共 住 宅
に 関 す る 情 報 が 到 達 す る よ う に 、福 祉 分 野 と の 連 携 を 強 化 す べ き で あ
る。
・建替えによる創出用地の福祉インフラ整備等への活用を進めるとと
も に 、空 き 店 舗 等 を 地 域 の ニ ー ズ に 応 じ た 生 活 支 援 施 設 等 と し て 活 用
すべきである。
③
空き家の有効活用
・ 活 用 可 能 な 空 き 家 の 掘 り 起 こ し 、所 有 者 へ の 活 用 の 働 き 掛 け や 、区 市
町 村 を 通 じ た バ リ ア フ リ ー 化 な ど の 改 修 費 補 助 な ど に よ り 、空 き 家 の
住宅確保要配慮者向けの住宅としての活用を促進すべきである。
・ 生 活 支 援 の た め の 施 設 や 、地 域 住 民 の 集 会 ・ 交 流 の 場 な ど 、空 き 家 を
公的な活動拠点や地域活性化に資する施設として活用することを促
進すべきである。
19
④
住宅のバリアフリー化等の促進
・障 害 者 や 高 齢 者 、子 育 て 世 帯 が 安 心 し て 生 活 で き る 住 宅 の 確 保 に 向 け
て 、住 宅 の バ リ ア フ リ ー 化 を 促 進 す べ き で あ る 。特 に 、量 的 に 住 宅 ス
ト ッ ク が 充 足 し て い る 中 、共 同 住 宅 の 共 用 部 分 の バ リ ア フ リ ー 改 修 や 、
エ レ ベ ー タ ー 設 置 等 を 促 進 す る な ど 、既 存 ス ト ッ ク の 性 能 向 上 へ の 取
組を推進すべきである。
・ 省 エ ネ ル ギ ー ・ 省 C O ₂の 観 点 の み な ら ず 、 ヒ ー ト シ ョ ッ ク 対 策 な ど
高 齢 者 を は じ め と す る 都 民 の 健 康 、長 寿 実 現 の 観 点 か ら 、住 宅 の 断 熱
性 の 向 上 を 図 る た め 、そ の 重 要 性 の 都 民 へ の 周 知 や 、空 き 家 を 含 め た
既存ストックの断熱改修の促進等を進めるべきである。
⑤
民間賃貸住宅への入居支援等
・ 区 市 町 村 の 居 住 支 援 協 議 会 は 平 成 28(2016)年 3 月 末 現 在 、都 内 で は 3
区 2 市 で 設 立 さ れ て い る が 、活 動 に 対 す る 財 政 支 援 等 に よ り 、区 市 町
村 の 協 議 会 の 設 立 を 一 層 促 進 す る と と も に 、入 居 可 能 な 賃 貸 住 宅 の 情
報提供、マッチングなどの活動の実施を促すべきである。
・ 高 齢 者 の ほ か 、子 育 て 世 帯 、障 害 者 世 帯 、低 額 所 得 者 等 の 住 宅 確 保 要
配 慮 者 の 入 居 を 拒 ま な い 住 宅 を 登 録 し 、公 表 す る 制 度 の 整 備 を 検 討 す
べきである。
・ 民 間 賃 貸 住 宅 の 居 住 者 へ の 家 賃 補 助 に つ い て は 、生 活 保 護 と の 関 係 や 、
補 助 実 施 に よ る 財 政 負 担 、賃 貸 住 宅 の 市 場 で の 家 賃 の 底 上 げ な ど 、整
理すべき課題が多いことから慎重な議論が必要である。
⑥
賃貸住宅の家主のリスク軽減等
・ 住 宅 確 保 要 配 慮 者 は 、高 齢 者 の 孤 独 死 や 低 所 得 者 の 家 賃 滞 納 等 へ の 不
安 か ら 入 居 を 拒 ま れ や す い こ と を 踏 ま え 、原 状 回 復 や 残 置 物 処 理 費 用 、
家 賃 不 払 い に 対 す る 保 険 に つ い て 、不 動 産 等 関 係 団 体 と 連 携 し て 、認
知度の向上策と普及策を検討すべきである。
・ 保 険 に よ る 家 主 の 金 銭 的 な リ ス ク 軽 減 に 加 え て 、見 守 り サ ー ビ ス や 日
常 生 活 の サ ポ ー ト な ど 、民 間 管 理 業 者 や N P O 等 に よ る 地 域 で の 取 組
の普及促進策を検討すべきである。
⑦
福祉サービス等と連携した居住支援の促進
・ 区 市 町 村 の 福 祉 や 雇 用 、就 労 政 策 と い っ た 、住 宅 政 策 に 関 係 す る 分 野
と の 役 割 分 担 を 考 慮 し 、都 と 区 市 町 村 、公 的 団 体 と の 連 携 を 強 化 す べ
きである。
20
・ 必 要 な 都 民 へ 確 実 に 支 援 が 届 く よ う に 、区 市 町 村 の 福 祉 分 野 等 の 相 談
員などに対する住宅政策に関する情報提供の方策などを検討すべき
である。
4
目標4 良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現
(1)住宅市場の状況
住宅は、都民が住宅市場において、自力で確保することが基本であり、
そのためには、住宅市場が十分に機能することが重要である。
す な わ ち 、都 民 の ニ ー ズ に 応 じ た 多 様 で 良 質 な 住 宅 が 新 築 住 宅 、既 存 住
宅、賃貸住宅の各市場に供給されて、住宅の選択やリフォームの際に、住
宅の性能や質、事業者等に関する情報が得られるとともに、住宅の性能や
質 、維 持 管 理 等 に 関 す る 都 民 の 知 識 や 意 識 が 向 上 し て い る こ と が 求 め ら れ
ている。
良 質 な 住 宅 と は 、耐 震 性 が 確 保 さ れ る こ と は も と よ り 、耐 久 性 や 省 エ ネ
ルギー性能が高いこと、維持管理や更新がしやすいこと、シックハウス対
策 や 高 断 熱 な ど 健 康 面 に 配 慮 さ れ て い る こ と や 、周 辺 地 域 と 調 和 さ れ た デ
ザインであることなど、様々な要素に配慮がなされ、世帯人数に応じた広
さや必要な設備を有するものと考えられる。
都 民 の 豊 か な 住 生 活 の 実 現 に は 、住 宅 の 質 の 向 上 は 欠 か す こ と が で き ず 、
長期優良住宅をはじめとする質の高い住宅の普及が望まれる。
都 内 の 戸 建 住 宅 の 年 間 着 工 戸 数 は 、お お む ね 3 万 戸 か ら 4 万 戸 ま で の 間
であり、分譲住宅が過半を占め、構造別に 見ると約9割が木造となってい
る。住宅着工数全体に対する、長期優良住宅認定戸数の割合は、戸建住宅
に つ い て は 上 昇 傾 向 に あ っ た が 、平 成 26(2014)年 度 は 前 年 度 に 比 べ や や 減
少 し 、 平 成 27(2015)年 度 に は 持 ち 直 し 、 約 18% と な っ て い る 。 中 小 事 業
者は、戸建住宅建設において大きなシェアを占めているが、大手に比べ長
期 優 良 住 宅 へ の 取 組 が 進 ん で お ら ず 、小 規 模 な 事 業 者 ほ ど 長 期 優 良 住 宅 を
建設したことがないという傾向があり、また、注文住宅に比べ、建売住宅
において長期優良住宅が普及していない。
既 存 住 宅 流 通 に 関 し て は 、既 存 住 宅 の 成 約 件 数 に つ い て 、マ ン シ ョ ン は
増加傾向で推移している一方、戸建住宅はおおむね横ばいとなっている。
既存住宅を購入する場合、新築 住宅と比べ、「建物構造、設備の隠れた不
具合、欠陥」や「物件価格が妥当かどうか」などについて不安を感じる人
が多い。
住 宅 リ フ ォ ー ム 市 場 に お い て は 、地 域 工 務 店 が 大 き な シ ェ ア を 占 め る 中 、
21
今後、中小工務店・大工業の多くがリフォームの受注増加を目指すとして
いる。
住 宅 市 場 を 担 う 人 材 に 関 し て は 、昭 和 55(1980)年 以 降 、大 工 就 業 者 数 は
減少傾向にあり、また職人の高齢化が進行し、住宅建設を担う人材の育成
も重要になっている。
民 間 賃 貸 住 宅 に つ い て 、平 成 22(2010)年 以 降 、着 工 戸 数 は 増 加 し て い る
が 、 平 均 床 面 積 は 40 ㎡ 程 度 と 大 き な 変 化 は な い 。
都に寄せられた不動産取引に関する相談では、「原状回復」、「契約」
に関することが多く、賃貸住宅に関するトラブル防止も重要である。
(2)施策の方向性
これまでの「住宅をつくっては壊す」社会から、「いい住宅をつくり、
きちんと手入れして、長く大切に使う」社会への移行、すなわち、循環型
の住宅市場の形成に向けて、住宅ストックの質の向上と流通促進、住宅に
係る取引の安全・安心の確保を図るための市場環境整備に取り 組む必要が
ある。
そ の 際 、市 場 環 境 は 国 の 法 制 ・ 税 制 に 大 き く 依 存 す る こ と か ら 、都 と し
ては、国における施策展開を注視しつつ必要な事項を要請するとともに、
国 の 各 種 施 策 の 都 内 で の 普 及 や 地 域 工 務 店 等 と の 連 携 な ど 、地 域 に 根 差 し
た施策を展開すべきである。
①
良質な家づくりの推進
(地域工務店等の良質な家づくりの取組や連携の促進)
・ 断 熱・省 エ ネ ル ギ ー 、耐 久 性 能 等 に 優 れ た 長 期 優 良 住 宅 等 の 質 の 高 い
住宅の一層の普及を進めるべきである。
・ 住 宅 の 建 設 、維 持 管 理 サ ー ビ ス 、リ フ ォ ー ム 等 に 関 わ る 地 域 工 務 店 等
の事業者が事業活動において行うことが望ましい事項について指針
等 を 策 定 し 、中 小 事 業 者 に よ る 、長 期 優 良 住 宅 の 供 給 や 適 切 な 維 持 管
理サービス、リフォーム等を促進すべきである。
・ 上 記 の 各 事 業 者 間 の 連 携 に 関 す る 事 項 に つ い て の 指 針 等 の 策 定 や 、そ
れに則った取組を行う事業者の団体についての消費者への情報提供
等 、必 要 な 支 援 を 検 討 し 、消 費 者 や 住 宅 所 有 者 の ニ ー ズ に 総 合 的 に 対
応していくべきである。
(建設技術者の育成)
・ 大 工 等 建 設 業 就 業 者 の 実 態 及 び 課 題 を 把 握 し 、育 成 の 在 り 方 を 検 討 す
22
べきである。
(既存共同住宅の質の向上)
・ 既 存 住 宅 ス ト ッ ク の 有 効 活 用 を 図 る 観 点 か ら 、既 存 共 同 住 宅 の 共 用 部
分のバリアフリー化などの改修工事に対する支援の在り方を検討す
べきである。
(環境に配慮した住宅の普及促進)
・ 既 存 住 宅 に お い て は 、省 エ ネ 改 修 な ど 、環 境 負 荷 の 小 さ い 快 適 な 住 ま
い の リ フ ォ ー ム の た め の 設 計 手 法 、工 法 や 事 例 を 集 め た「 住 宅 の 省 エ
ネ リ フ ォ ー ム ガ イ ド ブ ッ ク 」を 活 用 し 、都 民 へ の 情 報 提 供 を 行 う と と
も に 、高 断 熱 の 建 材 等 を 利 用 し た 省 エ ネ 改 修 へ の 助 成 を 検 討 す べ き で
ある。
・ 新 築 戸 建 等 住 宅 に お け る 住 宅 へ の 省 エ ネ 基 準 適 合 義 務 化 を 見 据 え 、省
エネ高水準住宅(ZEH(注)等)に関する情報提供を進めるべきであ
る。
(注)外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギ
ーにより年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅
( Net Zero Energy House)
・住宅購入時において環境性能を考慮した住宅が高く評価される市場
の整備を進めるべきである。
・ 東 京 都 地 域 住 宅 生 産 者 協 議 会 等 と 連 携 し 、中 小 住 宅 生 産 者 に 対 し て 省
エネルギー化などの技術の普及を図るべきである。
・ 地 球 温 暖 化 防 止 に つ な が る 森 林 の 循 環( 伐 採 ・ 利 用 ・ 植 栽 ・ 保 育 )を
図 り 、森 林 の 持 つ 多 様 な 機 能 を 発 揮 さ せ る た め 、業 界 団 体 と 連 携 し て 、
多摩産材の活用を促進すべきである。
②
既存住宅を安心して売買等ができる市場の整備
か
し
(建物状況調査、瑕疵保険、住宅履歴情報の蓄積・活用の促進)
か
し
・ 既 存 住 宅 売 買 時 の 建 物 状 況 調 査( イ ン ス ペ ク シ ョ ン )、 瑕 疵 保 険 、住
宅 履 歴 情 報 の 活 用 等 に つ い て 、宅 地 建 物 取 引 業 者 と 関 連 事 業 者 が 連 携
して行うことが望ましい事項についての指針の策定等を検討すべき
である。
・ 上 記 指 針 に 則 っ た 取 組 へ の 支 援 な ど に よ り 、建 物 状 況 調 査( イ ン ス ペ
か
し
ク シ ョ ン )、瑕 疵 保 険 、住 宅 履 歴 情 報 の 蓄 積 や 活 用 等 を 促 進 す べ き で
ある。
23
(既存マンションの取引時における管理情報の開示と価格査定への反
映)
・重要事項説明の際に、マンションの管理情報が購入希望者に対し的確
に提供されるよう、マンション管理ガイドラインに情報開示に関する
売主の責任や管理規約の整備等について記載し、管理組合等の理解を
求めながら、その普及を図るべきである。あわせて、管理情報を適切
に蓄積していくことも重要であり、設計図書の保管等もガイドライン
に具体的に示し、普及啓発を図るべきである。
・ マ ン シ ョ ン の 販 売 広 告 に お け る 管 理 情 報 の 表 示 内 容 の 充 実 に 向 け 、業
界団体への働き掛けを行うべきである。
・ 公 益 財 団 法 人 不 動 産 流 通 推 進 セ ン タ ー が 作 成 し て い る「 価 格 査 定 マ ニ
ュアル」について、維持管理に関する査定条件の充実等を図るよう、
同センターや国に要請すべきである。
・ マ ン シ ョ ン の 管 理 情 報 の 価 格 査 定 へ の 反 映 の 方 法 等 に つ い て 、査 定 を
行 う 宅 地 建 物 取 引 業 者 に 対 し 、関 係 団 体 と 連 携 し て 研 修 を 実 施 す る な
ど、周知を図るべきである。
(賃貸住宅のトラブル防止等)
・ 東 京 に お け る 住 宅 の 賃 貸 借 に 係 る 紛 争 の 防 止 に 関 す る 条 例 や「 賃 貸 住
宅 ト ラ ブ ル 防 止 ガ イ ド ラ イ ン 」の 普 及 に よ っ て 、賃 貸 借 に 関 す る 紛 争
の未然防止を図るべきである。
・ 今 後 、実 施 が 予 定 さ れ て い る 民 法 改 正 等 の 内 容 を 踏 ま え 、賃 貸 住 宅 ト
ラブル防止ガイドライン等の改定を検討すべきである。
・民間賃貸住宅の計画的な維持管理の促進を図るべきである 。
③
消費者や住宅所有者に対する普及啓発
・既存住宅への適切な価値評価や戸建住宅の維持管理のノウハウ等を
取 り ま と め た ガ イ ド ブ ッ ク を 作 成 す る な ど 、消 費 者 や 住 宅 所 有 者 へ の
住宅に関する情報提供や相談体制の充実を図るべきである。
・ 関 係 機 関 と 連 携 し 、既 存 の 相 談 窓 口 を 拡 充 す る な ど 、住 宅 の 建 築 、維
持 保 全 、リ フ ォ ー ム 、売 買 等 に 関 す る 相 談 に 対 応 で き る よ う に し て い
くべきである。
24
5
目標5 安全で良質なマンションストックの形成
(1)マンションをめぐる状況
都 の 推 計 に よ る と 、平 成 27(2015)年 末 時 点 に お け る 都 内 の マ ン シ ョ ン の
総 戸 数 は 、 総 世 帯 数 の 約 4 分 の 1 に 当 た る 約 173 万 戸 で あ る 。 マ ン シ ョ ン
は 都 民 の 主 要 な 居 住 形 態 と し て 広 く 普 及 し て お り 、都 民 に と っ て 不 可 欠 な
生 活 基 盤 で あ る と 同 時 に 、都 市 や 地 域 社 会 を 構 成 す る 重 要 な 要 素 と も な っ
て い る 。 一 方 で 、 都 内 の マ ン シ ョ ン ス ト ッ ク の 約 2 割 は 、 昭 和 56(1981)
年以前の旧耐震基準で建築されており、それらについては耐震性不足が懸
念される。
今 後 、高 度 経 済 成 長 期 以 降 に 供 給 さ れ た 大 量 の マ ン シ ョ ン ス ト ッ ク が 高
経年化し、居住者の高齢化と併せて、マンションにおける「二つの老い」
が 進 ん で い く 。都 全 体 で も 、平 成 32(2020)年 を ピ ー ク に 人 口 減 少 局 面 を 迎
えるとともに、高齢化も一層進む見込みである。
ま た 、マ ン シ ョ ン は 、多 様 な 価 値 観 を 持 っ た 人 々 が 区 分 し て 所 有 す る た
め、区分所有者間の合意形成の難しさがある。
こ う し た 状 況 に 伴 い 、マ ン シ ョ ン の 管 理 に 無 関 心 な 居 住 者 が 増 え 、役 員
の な り 手 が 不 足 す る な ど 、管 理 上 の 問 題 が 多 く な る 傾 向 が 見 ら れ 、さ ら に 、
管 理 組 合 の 機 能 低 下 に よ っ て 管 理 不 全 に 陥 り 、ス ラ ム 化 を 引 き 起 こ す 可 能
性も指摘されている。
ま た 、今 後 、超 高 層 マ ン シ ョ ン の 管 理 、居 住 以 外 の 目 的 で の マ ン シ ョ ン
の 所 有・利 用 や 、空 き 住 戸 の 発 生 な ど が 問 題 と な る こ と が 懸 念 さ れ て い る 。
(2)施策の方向性
・ マ ン シ ョ ン は 私 有 財 産 で あ り 、そ の 管 理 や 再 生 は 、区 分 所 有 者 等 で 構
成される管理組合が自らの責任と自助努力で行うことが基本である。
一 方 で 、マ ン シ ョ ン は 、個 人 の 私 的 生 活 の 場 と し て 捉 え る だ け で な く 、
市 街 地 の 構 成 要 素 と し て 、ま ち の 活 力 や 魅 力 、防 災 力 の 形 成 と も 密 接
に 関 連 し て い る な ど 、地 域 の ま ち づ く り や コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 に と っ て
重 要 な 存 在 と な っ て い る 。し た が っ て 、マ ン シ ョ ン の 適 正 な 管 理 や 再
生を促していくことは、公共性・公益性の観点からも重要である。
・ 平 成 27(2015)年 9 月 の 当 審 議 会 か ら の 第 一 次 答 申 を 踏 ま え て 都 が 策
定 し た「 良 質 な マ ン シ ョ ン ス ト ッ ク の 形 成 促 進 計 画 」( 平 成 28(2016)
年 3 月 )に 基 づ き な が ら 、マ ン シ ョ ン の 適 正 な 管 理 の 促 進 と 老 朽 マ ン
ション等の再生の促進に向けて総合的に施策を推進していくべきで
ある。
25
・超高層マンションや、居住以外の目的でのマンションの所有・利用、
マ ン シ ョ ン に お け る 空 き 住 戸 な ど の 状 況 に つ い て 、実 態 や 管 理 に 関 す
る課題を把握し、実情に応じ、対応策を検討すべきである。
6
目標6 都市づくりと一体となった団地の再生
(1)住宅団地の状況
高 度 経 済 成 長 期 に お け る 大 都 市 圏 へ の 人 口 集 中 に 対 応 す る た め 、都 内 に
は、公共住宅等の事業者や民間事業者により開発された住宅団地が、数多
く 存 在 し て い る 。 こ う し た 住 宅 団 地 の 多 く は 、 入 居 開 始 か ら 40 年 以 上 が
経過し、建物の老朽化が進むととともに、同時期に大量に入居した世代が
一斉に高齢化している。
中 で も 、大 規 模 な 住 宅 団 地 で は 、建 物 の 老 朽 化 や 入 居 者 の 高 齢 化 等 の 問
題 が 、地 域 の ま ち づ く り に 大 き な 影 響 を 与 え る 。 立 地 特 性 な ど か ら 住 宅 需
要が低いと、今後、人口減少が加速し、維持管理・コミュニティ機能、住
民 や 地 域 に よ る 見 守 り や 生 活 支 援 機 能 が 弱 体 化 す る お そ れ が あ る 。戸 建 住
宅団地では、住宅の管理が個々の戸建住宅所有者に委ねられており、中長
期的な視点に立った地域の活性化等について主体的に検討・活動する組織
が 存 在 し な い た め 、空 き 家 の 発 生 等 に よ る 住 環 境 の 悪 化 や 高 齢 化 等 に よ る
地域の活力低下を招くおそれがある。
一 方 で 、大 規 模 住 宅 団 地 は 、計 画 的 に 整 備 さ れ た 道 路 な ど 質 の 高 い 都 市
インフラや、緑、オープンスペースなどの優れた環境を有しているものが
多く、居住者のみならず、地域の貴重な資源となっている。
こ う し た 大 規 模 住 宅 団 地 は 、地 域 の 資 源 と し て 将 来 世 代 に 継 承 し て い く
ことが重要であり、団地の立地や、地域のニーズを踏まえた建替えや改修
等を進め、都市づくりと一体となって団地を再生していく必要がある。
(2)施策の方向性
公共住宅をはじめとする住宅団地を地域の活性化等のための貴重な資
源と捉え、区市町村や各管理者が連携し、民間の活力も いかしながら、利
便 性 が 高 く 生 活 し や す い 環 境 を 整 え る と と も に 、都 市 づ く り に 活 用 し て い
くことが必要である。
耐 震 化 や バ リ ア フ リ ー 化 、生 活 支 援 施 設 や 広 域 的 な 拠 点 機 能 の 整 備 、多
様な世代の居住によるコミュニティの活性化など、ハード・ソフト両面か
らの取組が必要である。
26
①
安全・安心に暮らせる団地再生
・ 公 共 住 宅 等 を 良 質 な ス ト ッ ク と し て 維 持・更 新 し て い く た め 、計 画
的な建替え、耐震化、バリアフリー化を推進すべきである。
・民間共同住宅の共用部分のバリアフリー化等に対する支援の在り
方を検討すべきである。
・ マ ン シ ョ ン の 管 理 組 合 が 、主 体 的 に 維 持 管 理 、改 修 な ど に 取 り 組 む
こ と が で き る よ う に 、管 理 組 合 に 対 し 適 切 な 支 援 を 行 う べ き で あ る 。
②
地域の拠点形成等まちづくりへの貢献
・ 公 共 住 宅 の 建 替 え 等 に よ り 創 出 し た 用 地 に つ い て は 、民 間 の 活 力 も
い か し な が ら 、子 育 て 世 帯 や 高 齢 者 な ど の た め の 生 活 支 援 等 の 施 設
や 住 宅 の 整 備 、駅 前 拠 点 や 生 活 中 心 地 の 形 成 、木 造 住 宅 密 集 地 域 に
お け る 道 路 等 の 公 共 施 設 の 整 備 、旧 緑 地 地 域 等 に お け る 緑 の 創 出 な
ど 、都 の 政 策 目 的 の 実 現 や 、地 域 経 済 の 活 性 化 、地 域 特 性 に 応 じ た
まちづくりなどに活用していくべきである。
③
良好な地域コミュニティの形成
・ 公 共 住 宅 に つ い て は 、期 限 付 入 居 制 度 等 に よ り 若 年 世 帯 の 入 居 を 促
進 す る こ と に よ り 、多 世 代 に よ る コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 を 促 進 す べ き で
ある。
・高齢者や若年世帯の住み替えを進めるための仕組みづくりを検討
すべきである。
・ 住 宅 団 地 を 地 域 の 大 学 の 学 生 寮 と し て 活 用 す る な ど 、多 様 な 世 代 の
居住による地域の活性化等に向けた様々な活用策について検討す
べきである。
・ 大 規 模 住 宅 団 地 に お い て 、各 団 地 の 管 理 者 等 が 連 携 し た 、エ リ ア 全
体でのマネジメントの在り方を検討すべきである。
④
計画的な住宅団地再生
・ 大 規 模 住 宅 団 地 に つ い て は 、立 地 な ど に 応 じ 、地 域 の 課 題 や 将 来 像
を 見 据 え た 上 で 再 生 し て い く こ と が 重 要 で あ る こ と か ら 、区 市 町 村
による大規模住宅団地の再生を含めたまちづくりの方針策定への
支援を実施すべきである。
・団地再生の先進事例や都市再開発法の改正等を踏まえた新たな動
き な ど に つ い て 情 報 を 収 集 し 、区 市 町 村 に 提 供 す る と と も に 、技 術
的支援を実施すべきである。
27
・団地再生に当たって支障となっている一団地認定の廃止要件の緩
和 、部 分 的・段 階 的 建 替 え を 円 滑 に す る た め の 制 度 改 正 、団 地 周 辺
の地域を含めた再生促進などについて、国に要請すべきである。
・ 都 営 住 宅 の 円 滑 な 建 替 え や 、創 出 用 地 を 活 用 し た ま ち づ く り を 推 進
す る た め 、非 現 地 に お け る 建 替 事 業 に つ い て も 居 住 者 へ の 明 渡 し 請
求が可能となるよう、制度の拡充を国に要請すべきである。
・ 戸 建 住 宅 団 地 に つ い て は 、地 域 住 民 に よ る 自 主 的 な 住 宅 市 街 地 の マ
ネジメント活動の促進策を検討すべきである。
7
目標7 災害時における安全な居住の持続
(1)自然災害の発生予測等の状況
平 成 28(2016)年 4 月 14 日 か ら 発 生 し た 熊 本 地 震 で は 、 マ グ ニ チ ュ ー ド
7.3 の 本 震 を 含 め 、 最 大 震 度 7 の 地 震 が 短 期 間 の う ち に 複 数 回 発 生 し 、 こ
れまでにない被害状況が見られると言われている。
南 関 東 に お い て も 、 今 後 30 年 以 内 に マ グ ニ チ ュ ー ド 7 ク ラ ス の 大 地 震
が 70% の 確 率 で 発 生 す る と 予 測 さ れ て い る 。ま た 、首 都 直 下 地 震 で は 、都
内 で 死 者 最 大 約 9,700 人 の 人 的 被 害 が 生 じ 、こ の う ち 、 揺 れ に よ る 建 物 倒
壊 に よ る 死 者 は 約 5,400 人 、地 震 火 災 に よ る 死 者 は 約 4,100 人 と 想 定 さ れ
る ほ か 、 約 30 万 棟 の 建 物 被 害 、 約 18% の 停 電 率 な ど ラ イ フ ラ イ ン 被 害 が
発生するとされている。
平 成 26(2014)年 度 末 時 点 の 住 宅 の 耐 震 化 率 ( 戸 数 ベ ー ス ) は 、 約 84%
( 木 造 戸 建 住 宅 で は 約 78% 、マ ン シ ョ ン 等 の 非 木 造 共 同 住 宅 で は 約 88% )
と 見 込 ま れ る 。区 市 町 村 営 住 宅 及 び 公 共 住 宅 等 に つ い て は 約 84% が 耐 震 性
を 満 た し て い る と 見 込 ま れ る( 都 営 住 宅 で は 約 83% 、公 社 住 宅 で は 約 95% )。
特定緊急輸送道路沿道の耐震診断が義務付けられているマンション(約
1,200 棟 ) に つ い て は 、 平 成 28(2016)年 4 月 末 現 在 、 耐 震 診 断 実 施 率 が 約
98% 、 耐 震 化 率 ( 耐 震 診 断 の 結 果 、 耐 震 性 が 確 認 さ れ た も の を 含 む 。 ) が
約 26% と な っ て い る 。
木 造 住 宅 密 集 地 域( 約 13,000ha)の う ち 、地 域 危 険 度 が 高 く 、か つ 、老
朽 化 し た 木 造 建 築 物 が 集 積 す る な ど 、震 災 時 に 特 に 甚 大 な 被 害 が 想 定 さ れ
る 整 備 地 域 ( 約 6,900ha) に つ い て 、 市 街 地 の 燃 え に く さ を 表 す 不 燃 領 域
率 は 、 平 成 26(2014)年 時 点 で 約 61% ( 参 考 値 ) と な っ て い る 。
ま た 、台 風 や 集 中 豪 雨 に よ る 水 害 や 土 砂 災 害 の ほ か 、近 年 、河 川 や 下 水
道 に 大 量 の 雨 水 が 一 気 に 流 れ 込 む こ と か ら 生 ず る 、河 川 の 氾 濫 や 下 水 道 管
か ら の 雨 水 の 吹 き 出 し な ど 、い わ ゆ る 都 市 型 水 害 が 都 内 で 度 々 発 生 し て い
28
る。
さ ら に 、地 震 に 伴 う 液 状 化 や 、沿 岸 部 や 区 部 東 部 の 低 地 帯 、島 し ょ 地 域
における、津波や堤防等の決壊による被害が懸念されている。また、東日
本 大 震 災 を 契 機 と し て 、マ ン シ ョ ン に お け る 防 災 対 策 へ の 関 心 が 高 ま っ て
いる。
(2)施策の方向性
災 害 時 に お い て も 都 民 の 安 全 な 居 住 を 持 続 す る た め に は 、「 自 助 」及 び
「共助」の理念に立つ都民と「公助」の役割を果たす行政とが、それぞれ
の 責 任 と 役 割 を 明 ら か に し た 上 で 、連 携 を 図 っ て い く こ と が 不 可 欠 で あ る 。
こ の た め 、ハ ー ド ・ ソ フ ト 両 面 に お い て 、公 民 が 一 体 と な っ て 災 害 に 強
い住宅・住宅市街地を形成するなど、被害の軽減に向けた取組を更に推進
するとともに、災害時における居住の継続や早急な復旧・復興への備えを
進める必要がある。
①
地震に対する住宅の安全性の向上
・ 「 東 京 都 耐 震 改 修 促 進 計 画 」 ( 平 成 28(2016)年 3 月 改 定 ) に 基 づ き 、
普及啓発に力を入れるとともに、相談体制や情報提供の充実を図り、
耐震化率の向上につなげていくべきである。
・ マ ン シ ョ ン に つ い て は 、「 マ ン シ ョ ン 啓 発 隊 」の 活 動 を 、区 市 町 村 や
管 理 業 者 、マ ン シ ョ ン 管 理 士・建 築 士 等 の 専 門 家 と 連 携 し て 継 続 的 に
フ ォ ロ ー ア ッ プ す る と と も に 、マ ン シ ョ ン 耐 震 化 へ の 助 成 制 度 の な い
市 へ の 働 き 掛 け や 、設 計 図 書 の 復 元 費 用 に 対 す る 支 援 な ど に よ り 、マ
ンション耐震化を促進すべきである。
・ 緊 急 輸 送 道 路 沿 道 建 築 物 な ど 、公 共 性 、公 益 性 の 観 点 か ら 耐 震 性 の 確
保 が 特 に 必 要 と 考 え ら れ る マ ン シ ョ ン に つ い て は 、優 先 的 、重 点 的 に
耐震化を促進すべきである。
・ 公 共 住 宅 で は 、整 備 プ ロ グ ラ ム に 基 づ き 計 画 的 に 耐 震 化 を 実 施 す べ き
である。
・家具類の転倒防止や感震ブレーカーの設置等の防災対策の重要性に
つ い て 啓 発 を 強 化 し 、地 震 時 の 住 宅 内 で の 安 全 性 の 確 保 を 促 進 す べ き
である。
・ 熊 本 地 震 に よ る 住 宅 の 被 害 状 況 等 を 検 証 し 、首 都 直 下 地 震 な ど へ の 対
応策にいかしていくべきである。
29
②
木造住宅密集地域の改善
・ 「 木 密 地 域 不 燃 化 10 年 プ ロ ジ ェ ク ト 」 に お け る 不 燃 化 特 区 の 特 別 な
支援による不燃化や特定整備路線の整備を引き続き積極的に進める
ことにより、木造住宅密集地域の改善を加速させていくべきである。
・延焼遮断帯に囲まれた木造住宅密集地域の不燃化を更に加速するた
め、緊急車両の通行や円滑な避難を可能とする道路(防災生活道路)
の 計 画 に 基 づ き 、狭 あ い な 道 路 の 拡 幅 を 計 画 的 に 進 め る と と も に 、沿
道 の 不 燃 化 建 替 え を 財 政 的 に 支 援 す る な ど 、新 た な 取 組 に つ い て も 区
と連携して着実に進めるべきである。
・ 都 営 住 宅 の 建 替 え に よ り 創 出 し た 用 地 を 活 用 し 、密 集 市 街 地 に お け る
駅前広場や道路の整備、住宅の共同化などを促進すべきである。
③
災害に強いまちづくりの推進
・ 地 域 の 状 況 に 応 じ た 安 全 な 避 難 経 路 や 避 難 場 所 の 確 保 、避 難 方 法 等 に
つ い て の 普 及 啓 発 、公 共 住 宅 や 民 間 住 宅 の 活 用 な ど 官 民 連 携 に よ る 緊
急避難先の確保などにより、津波・高潮対策を進めるべきである。
・ 地 域 の 状 況 に 合 わ せ 、河 川 や 下 水 道 の 整 備 、浸 透 ま す の 設 置 な ど の 流
域 対 策 や ま ち づ く り な ど に よ り 、水 害 対 策 を 着 実 に 推 進 す べ き で あ る 。
・ 土 砂 災 害 警 戒 区 域 等 の 調 査・指 定 の 早 期 実 施 と 、調 査 結 果 の 周 知 、区
市 町 村 と 連 携 し た 警 戒 避 難 体 制 の 確 立 、土 砂 災 害 警 戒 区 域 等 の 既 存 不
適 格 住 宅 の 移 転 や 安 全 性 確 保 へ の 支 援 な ど に よ り 、土 砂 災 害 へ の 対 策
を進めるべきである。
・ 「 液 状 化 に よ る 建 物 被 害 に 備 え る た め の 手 引 き 」や「 液 状 化 対 策 ポ ー
タ ル サ イ ト 」を 活 用 し 、建 築 物 の 液 状 化 対 策 に 関 す る 普 及 啓 発 を 更 に
進 め る べ き で あ る 。ま た 、都 内 の 地 盤 デ ー タ に つ い て 、公 共 施 設 の ほ
か 、民 間 建 築 物 の 地 盤 デ ー タ に つ い て も 収 集 、公 表 を 検 討 す べ き で あ
る。
・ 地 域 住 民 の 共 助 の 取 組 な ど 、地 域 の 防 災 力 の 向 上 の た め の 意 識 啓 発 を
図るべきである。
④
災害時に住み続けられる住宅の普及
・ 食 料 な ど 各 住 宅 で の 備 蓄 の 必 要 性 に つ い て 、都 民 に 対 す る 普 及 啓 発 を
進めるべきである。
・ 建 物 の 耐 震 化 は も と よ り 、P 波 感 知 型 地 震 時 管 制 運 転 装 置 の 設 置 や 主
要機器の耐震補強などによるエレベーターの耐震性の確保を促進す
べきである。
30
・近年の技術開発の動向や市場における防災性の高いマンションの動
向等を踏まえ、「東京都LCP住宅登録・閲覧制度」(注)について、
区市町村による防災マンション認定制度等との整合性も含めた見直
し と 制 度 の 普 及 を 図 る な ど 、ラ イ フ ラ イ ン 停 止 後 も 一 定 期 間 は エ ネ ル
ギーを自給できる住宅の普及を進めるべきである。
( 注 )停 電 時 で も 水 の 供 給 や エ レ ベ ー タ ー の 運 転 に 必 要 な 最 小 限 の 電 源 を 確 保 す
る こ と で 、 自 宅 で 生 活 を 継 続 で き る 性 能 ( Life Continuity Performance ) を 備
えた集合住宅について、その住宅情報を登録・公開する制度
⑤
マンションにおける防災対策の促進
・ マ ン シ ョ ン 管 理 ガ イ ド ラ イ ン の 改 定 に 当 た り 、管 理 組 合 が 防 災 マ ニ ュ
ア ル の 作 成 や 防 災 組 織 の 結 成 、物 資 の 備 蓄 な ど の 防 災 対 策 に 主 体 的 に
取り組めるように、防災対策に関する内容の充実を図るべきである。
・ マ ン シ ョ ン に お け る コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 は 、円 滑 な 管 理 組 合 の 運 営 の み
な ら ず 、防 災 の 観 点 か ら も 重 要 で あ る こ と か ら 、マ ン シ ョ ン 管 理 ガ イ
ド ラ イ ン の 改 定 に 当 た り 、コ ミ ュ ニ テ ィ 形 成 に 関 す る 記 載 内 容 の 充 実
を図るべきである。
・区市が取り組む管理組合への支援や防災マンションの認定制度等の
情報提供を行うべきである。
・先進的な防災対策に取り組んでいる管理組合の活動についての情報
提 供 に よ り 、防 災 意 識 の 醸 成 を 図 る な ど 、普 及 啓 発 を 進 め る べ き で あ
る。
⑥
被災後の都民の居住確保
・ 災 害 に よ る 被 害 状 況 を 迅 速 に 把 握 す る た め 、「( 仮 称 )災 害 時 都 民 台
帳 シ ス テ ム 」を 効 果 的 に 活 用 し 、応 急 仮 設 住 宅 や 災 害 公 営 住 宅 等 の 必
要数の迅速な把握を図るべきである。
・ 首 都 直 下 地 震 等 の 被 害 想 定 を 踏 ま え て 、道 府 県 か ら の 受 け 入 れ を 含 め
必 要 な 応 急 危 険 度 判 定 員 の 確 保 や 、判 定 業 務 を 円 滑 に 実 施 す る た め の
体制の構築に向けて検討を進めるべきである。
・ 被 災 時 に 、都 外 へ の 避 難 者 に 対 す る 道 府 県 で の 応 急 仮 設 住 宅 等 の 迅 速
な供給に向けた体制を整備すべきである。
・ 被 災 し た 高 齢 者 、障 害 者 等 の 要 配 慮 者 に 対 応 す る た め 福 祉 仮 設 住 宅 の
供 給 や 、見 守 り 等 の 生 活 支 援 サ ー ビ ス 、恒 久 住 宅 へ の 円 滑 な 移 行 方 策
などを検討すべきである。
・住 宅 確 保 の た め の 被 災 者 の 経 済 的 負 担 を 軽 減 す る た め 、地 震 保 険 へ の
31
加入を促進すべきである。
・東日本大震災における公共住宅供給の円滑化に向けた工法や発注方
法 な ど の 工 夫 を 検 証 し 、首 都 直 下 地 震 な ど へ の 対 応 策 に い か し て い く
べきである。
・ 災 害 救 助 法 に 基 づ く 住 宅 の 応 急 修 理 の 対 象 と し て 、マ ン シ ョ ン の 共 用
部 分 を 加 え 、管 理 組 合 が 必 要 な 役 割 を 担 え る よ う 、国 に 要 請 す べ き で
ある。
8
目標8 活力ある持続可能な住宅市街地の実現
(1)住環境をめぐる状況
平 成 25(2013)年 に お け る 都 内 の 空 き 家 率 は 約 11% で あ り 、平 成 10(1998)
年からほぼ横ばいとなっているが、空き家の戸数は、5年前に比べて約7
万 戸 増 加 し 、 約 82 万 戸 に な っ て い る 。 こ の う ち 、 活 用 が 難 し い 「 腐 朽 ・
破 損 あ り 」 の 空 き 家 は 約 2 割 ( 約 16 万 戸 ) を 占 め て い る 。 一 方 で 、 活 用
可 能 と 考 え ら れ る 「 腐 朽 ・ 破 損 な し 」 の 空 き 家 は 約 66 万 戸 存 在 し 、 こ の
う ち 、賃 貸 用 の 空 き 家 は 約 49 万 戸 、 持 家 で 長 期 不 在 等 の 空 き 家 は 約 11 万
戸 と な っ て い る 。ま た 、高 齢 単 身 又 は 高 齢 夫 婦 の み が 居 住 す る「 持 家 」は 、
都 内 に 約 80 万 戸 あ り 、 将 来 、 こ れ ら の 持 家 が 空 き 家 に な る こ と が 危 惧 さ
れる。
空 き 家 は 、見 方 を 変 え れ ば 地 域 の 資 源 で あ り 、そ の 利 活 用 を 促 進 す べ き
であるが、多くの空き家の所有者は「空き家をそのままにしておく」との
意向であり、空き家が管理されずに放置される懸念がある。
エ レ ベ ー タ ー の 設 置 さ れ て い な い 中 層 (5 階 建 て 以 下 )の 賃 貸 住 宅 で は 、
4・5階部分の空き家率が高いなど、市場ニーズに合わない住宅が空き家
化 し て い る 状 況 が あ る が 、個 別 の 空 き 家 の 状 況 や 所 有 者 の 意 向 な ど の 実 態
把握が十分には進んでいない。
平 成 27(2015)年 5 月 に は 、空 家 等 対 策 の 推 進 に 関 す る 特 別 措 置 法 が 全 面
施行された。国は、空き家等に関する施策の基本指針を策定し、区市町村
は、空き家の実態調査、「空家等対策計画」の作成、空き家の適正管理・
除却・活用等を促進するとされ、都道府県は、区市町村に対して技術的・
財政的な支援を実施することが規定された。
東 日 本 大 震 災 及 び そ の 後 の 電 力 不 足 の 経 験 か ら 、過 剰 に 電 力 を 消 費 す る
生活様式の見直しやエネルギー源の多様化・分散化、地域での自立的なエ
ネルギー供給や創エネルギー機器の導入促進についての重要性が改めて
32
認識された。
都 市 機 能 が 高 度 に 集 積 し 、首 都 機 能 を 担 う 都 は 、災 害 時 で あ っ て も 都 市
機能を動かし続けるため、エネルギー源の多様化、自立化、分散化した災
害 に 強 い ま ち づ く り を 早 急 に 進 め る べ き で あ る 。 こ れ ら の 取 組 は 、住 宅 単
体 で の 対 策 に 加 え て 、市 街 地 レ ベ ル で の ネ ッ ト ワ ー ク を 考 慮 し て 進 め る こ
とが重要である。地球温暖化の問題に対処するため、「低炭素社会」の実
現 が 世 界 的 に 求 め ら れ て お り 、住 宅 に お け る 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 導 入 や
省エネルギー化、省資源化、長寿命化など、環境に配慮した住まいの実現
に取り組む必要性が一層高まっている。
ま た 、良 好 な 景 観 や 環 境 に 配 慮 し た 緑 豊 か な 住 宅 市 街 地 は 、都 市 と し て
の魅力を高め、その土地の価値を向上させていく。こうした良好な景観や
環境は、個人や家庭の努力のみならず、地域住民など様々な主体が連携し
ながら形成に向けて取り組む必要がある。
(2)施策の方向性
空 き 家 を 使 用 す る か 否 か は 所 有 者 が 判 断 す べ き こ と で あ り 、維 持 管 理 は
所有者責任が原則である。しかし、空き家が増加し、適正に維持管理され
ないと、地域の活力・コミュニティの衰退、行政サービスの効率低下、防
災・治安・衛生・景観等の地域の生活環境の悪化などが生じることから、
① 利 用 可 能 な 空 き 家 の 有 効 活 用 、② 市 場 動 向 等 を 踏 ま え た 空 き 家 の 発 生 抑
制 、 ③ 老 朽 化 等 に よ り 利 用 困 難 な 空 き 家 の 除 却 を 含 め た 適 正 管 理 、④ 空 き
家所有者等への意識啓発・相談体制の充実について、区市町村の取組を積
極的に支援する必要がある。
環 境 に 配 慮 し た 住 宅 市 街 地 の 形 成 や 、緑 や 景 観 な ど の 良 好 な 住 環 境 の 保
全・向上に向けて、都の事業におけるモデルの提示や、民間事業者・地域
住民等による取組の促進が必要である。
①
空き家対策の推進による地域の活性化
(既存ストックの活用促進)
・ 空 き 家 等 の 既 存 ス ト ッ ク に つ い て 、区 市 町 村 を 通 じ た 改 修 費 補 助 な ど
に よ り 、子 育 て 世 帯 や 高 齢 者 等 の 住 宅 確 保 要 配 慮 者 向 け 住 宅 と し て の
活用を促進すべきである。
・ 区 市 町 村 へ の 財 政 支 援 な ど に よ り 、地 域 住 民 が 交 流・集 会 を す る コ ミ
ュ ニ テ ィ 施 設 、地 域 文 化 な ど の 体 験 施 設 な ど 地 域 の 活 性 化 に 資 す る 施
設としての活用を促進すべきである。
・ 空 き 家 等 の 既 存 ス ト ッ ク が 円 滑 に 利 活 用 さ れ る よ う 、修 繕・リ フ ォ ー
33
ム等への再投資を促す方策を検討すべきである。
・ ま ち づ く り や 福 祉 等 の 様 々 な 分 野 に お い て 、建 物 の 安 全 性 等 を 踏 ま え
た 上 で 、新 規 建 設 に よ ら ず に 、空 き 家 等 の 既 存 ス ト ッ ク を 活 用 し た 手
法の導入を進めていくべきである。
・ 空 き 家 を 住 宅 以 外 の 用 途 と し て 活 用 す る 際 に 、各 種 法 令 等 に よ り 求 め
ら れ る 基 準 や 手 続 き に つ い て 、空 き 家 の 所 有 者 等 に 分 か り や す く 情 報
提 供 す る と と も に 、各 々 の 規 制 の 趣 旨 を 踏 ま え つ つ 、用 途 変 更 に 当 た
って課題となる事項がないか検証すべきである。
(空き家の発生抑制)
・ 住 宅 市 場 の 動 向 や マ ン シ ョ ン の 空 き 室 状 況 、相 続 等 に 伴 う 空 き 家 発 生
の 事 例 等 の 調 査 を 実 施 し 、所 有 者 等 の 抱 え る 課 題 や 空 き 家 発 生 の メ カ
ニ ズ ム を 分 析 す る と と も に 、所 有 者 等 へ の 支 援 を 含 め た 様 々 な 抑 制 策
を検討すべきである。
・ 発 生 抑 制 の 観 点 か ら も 、目 標 4 に 掲 げ る 既 存 住 宅 を 安 心 し て 売 買 等 が
できる市場の整備に取り組むべきである。
(空き家の適正管理の促進)
・ 区 市 町 村 へ の 財 政 支 援 な ど に よ り 、区 市 町 村 が 、空 き 家 の 実 態 調 査 と 、
こ れ を 踏 ま え た「 空 家 等 対 策 計 画 」を 作 成 し 、所 有 者 や 管 理 者 へ の 適
正 管 理 や 修 繕・除 却 の 指 導 等 を 的 確 に 実 施 す る よ う 促 し て い く べ き で
ある。
・ 木 造 住 宅 密 集 地 域 整 備 事 業 及 び 不 燃 化 特 区 の 区 域 内 で 、区 に 対 す る 助
成 制 度 の 活 用 な ど に よ り 、空 き 家 を 含 め た 老 朽 建 築 物 の 除 却 を 一 層 進
めるべきである。
・ 区 市 町 村 へ の 財 政 支 援 な ど に よ り 、跡 地 を 防 災 や コ ミ ュ ニ テ ィ 活 性 化
など、公的に活用する場合の老朽空き家の除却を促進すべきである。
・ 都 は 広 域 的 自 治 体 と し て 、区 市 町 村 に 対 し 実 態 調 査 の 調 査 事 項 の 提 示
な ど の 技 術 支 援 や 、各 自 治 体 の 空 き 家 対 策 の 取 組 事 例 の 情 報 共 有 、実
施 に 当 た っ て の 課 題・問 題 点 に つ い て の 区 市 町 村 と の 共 同 検 討 な ど を
行 う と と も に 、こ れ ら を 踏 ま え て 、特 別 措 置 法 の 見 直 し や 財 政 支 援 の
充実等について、国に要請すべきである。
(空き家所有者等への相談体制の整備)
・ 空 き 家 の 利 活 用 や 適 切 な 維 持 管 理 を 促 す た め 、区 市 町 村 や 不 動 産 等 の
関 係 団 体 と 連 携 し て 、建 物 の 利 活 用 や 適 正 管 理 等 に 関 す る リ ー フ レ ッ
34
ト を 作 成 し 、ホ ー ム ペ ー ジ で 公 表 す る な ど 、広 く 都 民 に 空 き 家 に 関 す
る意識啓発や情報発信を実施すべきである。
・ 空 き 家 所 有 者 等 の 抱 え る 課 題 は 、相 続 や 管 理 、売 買 や 賃 貸 な ど 多 岐 に
わ た る こ と か ら 、不 動 産 や 建 築 、法 律 等 の 専 門 家 と 区 市 町 村 が 連 携 し
た 相 談 窓 口 の 設 置 な ど 、所 有 者 へ の 相 談 体 制 の 整 備 を 促 進 す る こ と が
有 効 で あ る 。都 が 締 結 し た 専 門 家 団 体 等 と の 協 定( 平 成 28(2016)年 3
月 及 び 6 月 締 結 )を 基 に 、区 市 町 村 と 専 門 家 団 体 と が 連 携 し た 相 談 体
制の整備を促進すべきである。
・ 相 続 を 契 機 に 空 き 家 と な る 例 も 多 く 見 ら れ る こ と か ら 、こ う し た 空 き
家 の 建 替 え や 賃 貸 な ど に よ る 活 用 、売 却 等 の 財 産 処 分 な ど の 事 例 を 収
集・分析し、都民に広く情報提供すべきである。
・ 上 記 の 意 識 啓 発 、情 報 発 信 、相 談 体 制 整 備 、事 例 収 集 ・ 分 析 等 を 効 果
的 に 行 う た め 、行 政 の 様 々 な 関 連 部 局 や 、民 間 の 各 専 門 分 野 が 、相 互
に連携して取り組むべきである。
②
環境に配慮した住宅市街地の形成
・ 太 陽 光 や 太 陽 熱 な ど の 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 利 用 や 、創 エ ネ・蓄 エ ネ
機 器 の 設 置 促 進 、ま た 、電 力 使 用 状 況 の 見 え る 化 と 需 給 の 最 適 制 御 を
行 う エ ネ ル ギ ー マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム( H E M S 、M E M S )等 の 導
入を促進すべきである。
・地 域 の エ ネ ル ギ ー 特 性 に 応 じ 、都 市 開 発 諸 制 度 な ど の 都 市 づ く り 手 法
を 活 用 し な が ら 、地 区・街 区 単 位 で エ ネ ル ギ ー 利 用 の 効 率 化 を 促 進 す
るなど、環境性能の高い都市づくりを進めるべきである。
・ 公 共 住 宅 に お い て は 、費 用 対 効 果 な ど に 配 慮 し つ つ 、太 陽 光 発 電 設 備
の 設 置 、緑 化 な ど を 実 施 し 、環 境 負 荷 に 配 慮 し た 住 宅 団 地 づ く り を 進
めるべきである。
③
緑・景観など良好な住環境の保全と向上
・地域住民等による自主的な住宅市街地のマネジメント活動の取組を
促進し、良好な住環境の保全・向上を図るべきである。
・旧緑地地域など緑の創出を図るべき地域における大規模都営住宅団
地 の 建 替 え と 創 出 用 地 の 活 用 に 当 た っ て は 、積 極 的 に 緑 化 を 行 い 、豊
かな緑環境の形成を図るべきである。
・ 地 区 計 画 、建 築 協 定 、景 観 協 定 等 の 活 用 や 関 係 機 関 等 と の 連 携 な ど に
よ り 、地 域 の 緑 化 等 を 促 進 し 、住 宅 市 街 地 に お け る 緑 の 創 出 に 取 り 組
むべきである。
35
④
持続可能な環境先進都市のモデルの提示
・ 東 京 2020 オ リ ン ピ ッ ク ・ パ ラ リ ン ピ ッ ク 競 技 大 会 後 の 選 手 村 に つ い
て は 、「 多 様 な 人 々 が 交 流 し 、快 適 に 暮 ら せ る ま ち 」、「 水 と 緑 に 親
し み 、憩 い と 安 ら ぎ が 感 じ ら れ る ま ち 」、「 新 技 術 の 活 用 に よ り 、環
境 に 配 慮 し 持 続 可 能 性 を 備 え た ま ち 」の ま ち づ く り の コ ン セ プ ト の 下 、
活 力 あ る 持 続 可 能 な 住 宅 市 街 地 の モ デ ル と し て 、先 進 的 な 取 組 を 実 施
していくべきである。
36
V
立地に応じた施策の在り方
1
住宅・住宅市街地の状況
都 内 で は 、戦 後 の 復 興 期 か ら 高 度 経 済 成 長 期 に お け る 大 量 の 人 口 流 入 に
伴 い 、人 口 集 中 地 区 が 急 速 に 拡 大 し た 。 都 市 基 盤 施 設 が 十 分 整 備 さ れ な い
まま市街化及び高密度化が進行することで木造住宅密集地域が広範に形
成され、また、郊外部では大規模な住宅団地の開発が進むとともに、民間
によるマンションの建設が本格化した。
バ ブ ル 期 に か け て は 、地 価 高 騰 に よ り 都 心 か ら 郊 外 部 な ど に 人 口 が 流 出
し た が 、バ ブ ル 経 済 崩 壊 後 の 地 価 の 下 落 と 企 業 所 有 地 の 放 出 等 に よ り ま と
ま っ た 規 模 の 土 地 の 供 給 が 進 ん だ こ と や 、都 心 居 住 の 推 進 を 目 的 と し た 住
宅 に 対 す る 建 築 規 制 の 緩 和 な ど に よ り 、平 成 以 降 都 心 部 や 臨 海 部 を 中 心 に 、
超 高 層 マ ン シ ョ ン 等 の 供 給 が 活 発 化 し 都 心 部 の 人 口 回 帰 が 進 ん で き た 。一
方 で 、 既 に 住 宅 は 量 的 に 充 足 し 、 都 内 の 空 き 家 数 が 約 82 万 戸 に 上 り 、 将
来的には人口・世帯数とも減少に向かう中にあって、今後の住宅供給の 在
り方が問われている。
ま た 、少 子 高 齢 社 会 の 到 来 や ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 に よ る 都 民 の 価 値 観
の 多 様 化 に 対 応 す る た め 、子 育 て 世 帯 や 高 齢 者 向 け の 住 宅 供 給 や 、住 宅 の
質の向上に加えて、緑や景観などの良好な居住環境の実現など、良質な住
宅・住 宅 市 街 地 の 形 成 が 求 め ら れ て い る 。し か し 、木 造 住 宅 密 集 地 域 で は 、
都市基盤施設が十分整備されていないことや権利関係が複雑なことなど
により、建替えが進みにくいなど、防災上の課題を抱えており、また、大
規模な住宅団地や高経年マンションにおいては、住宅・施設の老朽化と居
住 者 の 高 齢 化 が 進 行 し て い る 。さ ら に 、空 き 家 の 増 加 に よ る 、ま ち の 活 力 、
防 犯 ・防 災 面 へ の 悪 影 響 が 懸 念 さ れ て い る 。
さ ら に 、本 格 的 な 人 口 減 少 社 会 に お い て は 、交 通 利 便 性 の 低 い 地 域 な ど
で、通勤・通学を前提とした従来型の住宅需要が著しく低下する可能性が
あ る 。こ の よ う な 地 域 で は 、 空 き 家 等 を 活 用 し た 二 地 域 居 住 な ど 新 た な 需
要 を 掘 り 起 こ し 、こ れ に 応 え ら れ る 魅 力 あ る ま ち づ く り を 早 急 に 進 め な け
れば、地域のコミュニティが衰退の危機に直面することも危惧される。
2
地域別将来イメージと住宅施策
今 後 の 人 口 減 少 社 会 を 見 据 え た 目 指 す べ き 都 市 像 と し て 、都 市 計 画 法 に
基づく都市計画の基本的な方針である「都市計画区域の整備、開発及び保
全 の 方 針 ( 都 市 計 画 区 域 マ ス タ ー プ ラ ン 、 平 成 26(2014)年 12 月 ) 」 に お
いて、広域的には、東京圏全体の視点に立った都市構造を目指しつつ、身
37
近な圏域では、交通結節点などを中心に、居住の集積を進めつつ、これに
必要な都市機能を集約的に立地(再配置)させることにより、市街地を集
約型の地域構造へ再編するとしている。
また、東京都都市計画審議会の都市づくり調査特別委員会が平成
28(2016)年 8 月 に 公 表 し た「 2040 年 代 の 東 京 の 都 市 像 と そ の 実 現 に 向 け た
道筋」についての答申案においては、「地域の特色を生かし、東京の魅力
を発展させていくためには、将来の地域別のイメージを描き、地域の可能
性を引き出していくべき」とし、その 基本となる地域区分として、次の4
つの地域区分(いずれも仮称)と、地域像として各地域の将来イメージを
示している(下記参照)。
地域区分と各地域の将来イメージ
東 京 都 都 市 計 画 審 議 会 都 市 づ く り 調 査 特 別 委 員 会 平 成 28(2016)年 8 月 公 表
2040 年 代 の 東 京 の 都 市 像 と そ の 実 現 に 向 け た 道 筋 に つ い て 答 申 案 一 部 要 旨
<地域区分(いずれも仮称)と各地域の将来イメージ>
① 中枢広域拠点域
・おおむね環状7号線までの区域
・国際的なビジネス・交流の拠点や芸術・文化など個性ある多様な拠点、複合的な
中高密度の市街地が形成
② 都市環境共生域
・おおむね環状7号線から、西側は武蔵野線まで、東側は都県境まで
・緑と水に囲まれたゆとりある市街地や駅周辺に機能集約された拠点を形成
③ 多摩広域拠点域
・おおむね武蔵野線から圏央道まで
・リ ニ ア 中 央 新 幹 線 や 圏 央 道 な ど の イ ン フ ラ を 活 用 し 、広 域 的 な 交 流 が 活 発 に 行 わ
れ、研究・学術・ものづくりなどの拠点を形成
④ 自然環境共生域
・おおむね圏央道の外側及び島しょ部
・ 人 々 を ひ き つ け る 豊 か な 自 然 環 境 や 地 域 資 源 を 活 用 し 、二 地 域 居 住 や サ テ ラ イ ト
オフィス、環境教育、 スポーツなどの多様な機能を付加することで、地域の魅
力を向上
住 宅 は 都 市 を 形 づ く る 基 本 的 な 要 素 で あ り 、 住 宅 政 策 に つ い て も 、こ の
ような地域ごとの将来イメージを踏まえ、中長期的観点から、立地に応じ
た施策展開の基本的な考え方を定めることが必要である。
38
3
施策展開の在り方
(1)都内全域で展開すべき施策
東 京 に お け る 住 宅 市 場 は 、各 区 市 町 村 の 区 域( さ ら に は 都 の 区 域 )を 大
き く 超 え て 市 場 が 形 成 さ れ て い る こ と か ら 、既 存 ス ト ッ ク 活 用 型 の 市 場 構
造への転換、マンションの適正な管理など、市場全体に関わる施策につい
て、国の施策とも連携しつつ、都内全域を対象に展開することが必要であ
る。
(2)メリハリのある施策展開に移行すべき施策
人 口 減 少 社 会 に 向 か う 中 、子 育 て 世 帯 や 高 齢 者 な ど 幅 広 い 世 代 が 交 流 し
生き生きと暮らせるよう 、住宅・住宅市街地の抱 える課題や将来の都市像
を 見 据 え て 、立 地 に 応 じ た メ リ ハ リ の あ る 施 策 展 開 に 移 行 し て い く こ と が
必要である。具体的には次の3点を考慮すべきである。
①
木造住宅密集地域の改善や土砂災害警戒区域等の既存不適格住宅
の 移 転 、老 朽 化 し た マ ン シ ョ ン 等 の 集 積 す る 地 域 の 再 生 、大 規 模 住 宅
団 地 の 再 生 、緊 急 輸 送 道 路 沿 道 建 築 物 の 耐 震 化 な ど 、地 域 特 性 に 応 じ
て 、面 的 又 は 一 体 的 に 解 決 す べ き 課 題 に 対 す る 取 組 を 、ま ち づ く り と
連携して、重点的に進めること。
②
鉄 道 駅 周 辺 等 の 拠 点 に お け る 住 宅 を 含 む 都 市 機 能 の 集 積・強 化 を 図
る と と も に 、大 規 模 住 宅 団 地 の 再 生 に 伴 う 新 た な 拠 点 の 形 成 を 図 る こ
と。
③
子 育 て 世 帯 や 高 齢 者 向 け 住 宅 の 供 給 、老 朽 化 し た 既 存 ス ト ッ ク の 更
新、空き家をはじめとする既存ストックの活用促進などについては、
拠 点 と そ の 徒 歩 圏 の 既 成 市 街 地 な ど 、対 象 地 域 を 明 確 化 し た 上 で 重 点
化を図ること。
こ れ ら の 取 組 に つ い て は 、広 域 的 な 都 市 像 を 踏 ま え て 、都 と し て 、重 点
的に支援を講じる地域を示すことを検討すべきである。
地 域 を 示 す に 当 た っ て は 、ま ず は 、東 京 都 都 市 計 画 審 議 会 で 検 討 さ れ て
い る「 2040 年 代 に 目 指 す べ き 東 京 の 都 市 像 」や「 都 市 づ く り の 取 組 の 方 向
性」も踏まえて、また、公共交通や、福祉・医療・防災等の地域計画との
整 合 の 下 、区 市 町 村 が ま ち づ く り の 方 針 等 に 位 置 付 け る こ と が 必 要 で あ る 。
そ の 上 で 、現 行 の「 重 点 供 給 地 域 」を 見 直 し 、「 住 宅・住 宅 市 街 地 の 更 新 ・
再生等を重点的に図るべき地域」として指定することが考えられる。
区市町村がまちづくりの方針等に重点地域を適切に位置付けられるよ
39
う、都として、施策の重点化の必要性を十分に周知するとともに、地域設
定の基本的な考え方等を示すべきである。
なお、例えば、前述の答申案で示された(仮称)自然環境共生域におい
て は 、そ の 地 域 特 性 を い か し て 、 居 住 機 能 も 併 せ 持 つ サ テ ラ イ ト オ フ ィ ス
や 二 地 域 居 住 の 促 進 等 に よ る 地 域 活 性 化 が 求 め ら れ る な ど 、地 域 ご と に 解
決 す べ き 住 宅 政 策 上 の 課 題 は 異 な る 。こ う し た 地 域 ご と の 様 々 な 課 題 の 解
決 に 当 た っ て は 、 上 記 の よ う な 集 約 型 地 域 構 造 の 考 え 方 に 加 え て 、暮 ら し
方 や 働 き 方 の 変 化 に も 対 応 し 、住 宅 分 野 と 関 連 分 野 が 連 携 し た 施 策 展 開 に
ついて、これまで以上に配慮する必要があり、区市町村のまちづくりの方
針などを踏まえて、適切な支援を行うことが求められる。
(3)今後の在り方を検討すべき施策
住 宅 全 体 の 9 割 以 上 を 占 め る 民 間 住 宅 は 、市 場 に お け る 需 給 構 造 に 応 じ
た事業者の経営判断に基づき供給されるものであるが、例えば、都心居住
の 推 進 を 目 的 と し た 住 宅 に 対 す る 建 築 規 制 の 緩 和 な ど に よ っ て 、都 と し て
一定の誘導を図ってきた。
一 方 で 、 人 口 減 少 社 会 に 向 か う 中 で 、 前 述 の 答 申 案 に お い て は 、「 区 部
中 心 部 に お け る 質 を 重 視 し た 居 住 へ の 転 換 」 と し て 、「 今 後 は 、 住 宅 の 整
備に合わせて、介護・保育機能や外国人向けの生活関連機能が充実するな
ど 、家 族 構 成 や ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 を 考 慮 し た 良 好 な 居 住 環 境 を 確 保 で
きる「質の充実」に転換し、多様で豊かなコミュニティを創出していくべ
き」とされている。
このようなことを踏まえると、新たに大量の住宅を生み出し、都市の景
観や地域の生活環境にも大きな影響を与える超高層マンションなど の新規
開発については、都市づくりの観点も含め、規制や誘導の 在り方等につい
て検討を進めることが必要である。
40
参
考
資
41
料
都が自ら実施すべき施策の一覧
本素案の「Ⅳ 具体的な施策の方向」では、都が事業主体等として自ら実施する施策(都
営住宅、住宅市場の環境整備、国への要請等)と、区市町村への支援等を通じて間接的に行
う施策などについて、目指すべき目標ごとに提言しており、都が主体的に取り組むべき事項
が様々な箇所に記載されている。
このため、都の担うべき役割を明確化するため、都が自ら実施すべき主要な施策を一覧表
として再掲する。
1
都営住宅などの公共住宅に関する施策
ページ
14
15
17
18~19
19
項目
施策の方向
目標1(2) ・都営住宅については、同居親族のいる世帯を主な対象として整備されてき
①
たことから、単身者向けが多い民間賃貸住宅に比べて家族向けの住宅が多
い。建替えに当たっても、現在の居住者の状況を勘案しながら、ファミリ
ー向け住戸の整備を進めるなど、若年夫婦・子育て世帯に対する支援拡大
を図るべきである。
目標1(2) ・公共住宅については、建替え等の機会を捉えて、地域の状況を踏まえて、
②
保育所などの子育て支援施設の整備を進めるべきである。
目標2(2) ・公共住宅については、建替え等の機会を捉えて、地域の状況を踏まえて、
③
見守りや在宅介護のための拠点などの高齢者の生活支援施設の整備を進め
るべきである。
目標3(2) ・住宅ストック全体が量的に充足している中で、今後、人口が減少する見込
①
みであることから、都営住宅は現在のストックを最大限に活用し、住宅セ
ーフティネットの中核としての機能を果たしていくべきである。
・期限付入居制度や使用承継制度、高額所得者制度などの現行制度を適切に
運用するとともに、公営住宅の入居時における預貯金などの資産の保有状
況に関する調査権限の付与を国に要請するなど、住宅に困窮する都民に公
平かつ的確に供給すべきである。
・次代を担う子供を育てる若年ファミリー世帯に対して、利便性の高い場所
など、ニーズに応じた地域に所在する都営住宅への入居促進を一層図るべ
きである。
・少人数世帯が規模の大きな住戸から自発的に移転するよう、家賃算定方法
の変更を国に要請するなど、世帯人数の変化に伴う適切な規模の住宅への
住み替えを促進すべきである。
目標3(2) ・既存ストックの有効活用を図るため、修繕などによる維持管理を適切に実
②
施するとともに、耐震改修の実施や、老朽化した住宅の計画的な建替えを
進めていくべきである。
・入居優遇制度については、生活保護制度などの低所得者に対する福祉施策
との連携を踏まえるとともに、少子高齢化など社会情勢の変化に的確に対
応した取組を更に推進すべきである。
・都民に対して、入居制度の周知を図り、支援が必要な都民に公共住宅に関
する情報が到達するように、福祉分野との連携を強化すべきである。
・建替えによる創出用地の福祉インフラ整備等への活用を進めるとともに、
42
(19)
27
27
27
29
30
35
35
2
(目標3(2)
空き店舗等を地域のニーズに応じた生活支援施設等として活用すべきであ
②)
る。
目標6(2) ・公共住宅等を良質なストックとして維持・更新していくため、計画的な建
①
替え、耐震化、バリアフリー化を推進すべきである。
目標6(2) ・公共住宅の建替え等により創出した用地については、民間の活力もいかし
②
ながら、子育て世帯や高齢者などのための生活支援等の施設や住宅の整備、
駅前拠点や生活中心地の形成、木造住宅密集地域における道路等の公共施
設の整備、旧緑地地域等における緑の創出など、都の政策目的の実現や、
地域経済の活性化、地域特性に応じたまちづくりなどに活用していくべき
である。
目標6(2) ・公共住宅については、期限付入居制度等により若年世帯の入居を促進する
③
ことにより、多世代によるコミュニティ形成を促進すべきである。
目標7(2) ・公共住宅では、整備プログラムに基づき計画的に耐震化を実施すべきであ
①
る。
目標7(2) ・都営住宅の建替えにより創出した用地を活用し、密集市街地における駅前
②
広場や道路の整備、住宅の共同化などを促進すべきである。
目標8(2) ・公共住宅においては、費用対効果などに配慮しつつ、太陽光発電設備の設
②
置、緑化などを実施し、環境負荷に配慮した住宅団地づくりを進めるべき
である。
目標8(2) ・旧緑地地域など緑の創出を図るべき地域における大規模都営住宅団地の建
③
替えと創出用地の活用に当たっては、積極的に緑化を行い、豊かな緑環境
の形成を図るべきである。
住宅市場の環境整備などに関する施策
ページ
14
14
16
22
項目
施策の方向
目標1(2) ・子育てに適した広さや安全性等を備え、子育て支援サービスとの連携にも
①
配慮した住宅の整備について都がまとめた、
「子育てに配慮した住宅のガイ
ドライン」
(平成 28(2016)年2月)を、住宅の供給、仲介、建設、改修、
管理などの事業者や業界団体に広く周知を図り、子育て世帯向けの優良な
住宅の供給を促進すべきである。
目標1(2) ・居住者の安全性や家事のしやすさなどに配慮された住宅で、かつ、子育て
②
を支援する施設やサービスの提供など、子育てしやすい環境づくりのため
の取組を行っている優良な住宅を都が認定する「東京都子育て支援住宅認
定制度」
(平成 28(2016)年2月開始)について、財政支援などにより、認
定住宅の普及促進を図るべきである。
目標2(2) ・平成 37(2025)年度末までにサービス付き高齢者向け住宅等を2万8千戸整
②
備するという目標に向け、都から事業者への補助等により、地域包括ケア
の考え方を踏まえた地域密着型サービス事業所との連携や、高齢者が様々
な居住者と触れ合うことのできる一般住宅との併設、空き家を活用した分
散型供給など、多様なサービス付き高齢者向け住宅等の供給を促進すべき
である。
目標4(2) ・住宅の建設、維持管理サービス、リフォーム等に関わる地域工務店等の事
①
業者が事業活動において行うことが望ましい事項について指針等を策定
し、中小事業者による、長期優良住宅の供給や適切な維持管理サービス・
リフォーム等を促進すべきである。
・上記の各事業者間の連携に関する事項についての指針等の策定や、それに
43
(22)
23
(目標4(2)
①)
則った取組を行う事業者の団体についての消費者への情報提供等、必要な
支援を検討し、消費者や住宅所有者のニーズに総合的に対応していくべき
である。
か し
目標4(2) ・既存住宅売買時の建物状況調査(インスペクション)
、瑕疵保険、住宅履歴
②
情報の活用等について、宅地建物取引業者と関連事業者が連携して行うこ
とが望ましい事項についての指針の策定等を検討すべきである。
・上記指針に則った取組への支援などにより、建物状況調査(インスペクシ
か し
ョン)
、瑕疵保険、住宅履歴情報の蓄積や活用等を促進すべきである。
24
31
31
36
3
目標4(2) ・既存住宅への適切な価値評価や戸建住宅の維持管理のノウハウ等を取りま
③
とめたガイドブックを作成するなど、消費者や住宅所有者への住宅に関す
る情報提供や相談体制の充実を図るべきである。
目標7(2) ・近年の技術開発の動向や市場における防災性の高いマンションの動向等を
④
踏まえ、「東京都LCP住宅登録・閲覧制度」(注)について、区市町村によ
る防災マンション認定制度等との整合性も含めた見直しと制度の普及を図
るなど、ライフライン停止後も一定期間はエネルギーを自給できる住宅の
普及を進めるべきである。
(注)停電時でも水の供給やエレベーターの運転に必要な最小限の電源を確
保 す る こ と で 、 自 宅 で 生 活 を 継 続 で き る 性 能 ( Life Continuity
Performance)を備えた集合住宅について、その住宅情報を登録・公開する
制度
目標7(2) ・マンション管理ガイドラインの改定に当たり、管理組合が防災マニュアル
⑤
の作成や防災組織の結成、物資の備蓄などの防災対策に主体的に取り組め
るように、防災対策に関する内容の充実を図るべきである。
・マンションにおけるコミュニティ形成は、円滑な管理組合運営のみならず、
防災の観点からも重要なことから、マンション管理ガイドラインの改定に
当たり、コミュニティ形成に関する記載内容の充実を図るべきである。
目標8(2) ・東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会後の選手村については、
④
「多様な人々が交流し、快適に暮らせるまち」、「水と緑に親しみ、憩いと
安らぎが感じられるまち」
、「新技術の活用により、環境に配慮し持続可能
3
性を備えたまち」のまちづくりのコンセプトの下、活力ある持続可能な住
宅市街地のモデルとして、先進的な取組を実施していくべきである。
国への要請
ページ
項目
施策の方向
19
目標3(2) ・期限付入居制度や使用承継制度、高額所得者制度などの現行制度を適切に
①
運用するとともに、公営住宅の入居時における預貯金などの資産の保有状
況に関する調査権限の付与を国に要請するなど、住宅に困窮する都民に公
平かつ的確に供給すべきである。
・少人数世帯が規模の大きな住戸から自発的に移転するよう、家賃算定方法
の変更を国に要請するなど、世帯人数の変化に伴う適切な規模の住宅への
住み替えを促進すべきである。
22
目標4(2)
市場環境は国の法制・税制に大きく依存することから、都としては、国に
おける施策展開を注視しつつ必要な事項を要請するとともに、国の各種施策
の都内での普及や、地域工務店等との連携など、地域に根差した施策を展開
すべきである。
44
24
28
32
34
目標4(2) ・公益財団法人不動産流通推進センターが作成している「価格査定マニュア
②
ル」について、維持管理に関する査定条件の充実等を図るよう、同センタ
ーや国に要請すべきである。
目標6(2) ・団地再生に当たって支障となっている一団地認定の廃止要件の緩和、部分
④
的・段階的建替えを円滑にするための制度改正、団地周辺の地域を含めた
再生促進などについて、国に要請すべきである。
3
・都営住宅の円滑な建替えや、創出用地を活用したまちづくりを推進するた
め、非現地における建替事業についても居住者への明渡し請求が可能とな
るよう、制度の拡充を国に要請すべきである。
目標7(2) ・災害救助法に基づく住宅の応急修理の対象として、マンションの共用部分
⑥
を加え、管理組合が必要な役割を担えるよう、国に要請すべきである。
目標8(2) ・都は広域的自治体として、区市町村に対し実態調査の調査事項の提示など
①
の技術支援や、各自治体の空き家対策の取組事例の情報共有、実施に当た
っての課題・問題点についての区市町村との共同検討などを行うとともに、
これらを踏まえて、特別措置法の見直しや財政支援の充実等について、国
に要請すべきである。
45
諮問文
平成 26 年7月9日 東京都知事から東京都住宅政策審議会への諮問
(26 都市住政第 261 号 諮問第 11 号)
東京都住宅基本条例(平成 18 年東京都条例第 165 号)第 20 条第1項の規定に基づき、
下記の事項について諮問する。
記
(諮問事項)
人口減少社会に向かう中、豊かな住生活実現のための住宅政策の新たな展開について
(諮問事由)
東京の人口は平成 32 年に、世帯数は平成 42 年にピークを迎え、その後減少に転じると
推計されている。
また、少子高齢化の急速な進行や単身世帯の割合の増加、ライフスタイルの多様化など、
住生活を取り巻く環境が大きく変化してきている。
都市づくりにおいては、こうした変化を踏まえて、快適な都市生活と機能的な都市活動
を確保した誰もが暮らしやすいまちを実現するために、市街地の集約型地域構造も視野に
入れた取組が必要となっている。
住宅については、新規供給が進む一方、空き家が増加しており、既存住宅の有効活用と
流通の活性化が必要となっている。
また、切迫性が指摘される首都直下地震への対応や低炭素社会の実現など、既存ストッ
クを含めた住宅の質の向上がますます重要となっている。特に、都民の主要な居住形態と
して広く普及している分譲マンションについては、老朽化したストックが今後急増する見
込みであり、管理の適正化や円滑な再生に向けた取組強化が必要である。
また、地域の状況に応じた住宅政策を更に進めていくために、都と区市町村との連携の
あり方が改めて問われている。
こうした状況を踏まえて、都民の豊かな住生活を実現するためには、良質な住宅ストッ
クと良好な住環境の形成、市場機能の充実、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティネ
ット機能の強化などについて、区市町村や関係団体、関連行政分野と連携した総合的な取
組が求められている。
このような認識の下、東京における住宅政策の新たな展開について、貴審議会の御意見
をお示し願いたい。
46
委員名簿
1
会
東京都住宅政策審議会委員名簿
長
会長代理
委
員
氏
名
現
職
小林
秀樹
千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻教授
園田 眞理子
明治大学理工学部建築学科教授
秋元
孝之
芝浦工業大学工学部建築工学科教授
有田
智一
筑波大学システム情報系社会工学域教授
井出 多加子
戎
正 晴
成蹊大学経済学部経済経営学科教授
明治学院大学大学院法務職研究科教授・弁護士(戎・太田法律
事務所)
大久保 恭子
株式会社風代表取締役
加藤
仁美
東海大学工学部建築学科教授
河合
敏男
弁護士(河合敏男法律事務所)
川口 有一郎
早稲田大学商学学術院教授
岸井
隆幸
日本大学理工学部土木工学科教授
齊藤
広子
横浜市立大学国際総合科学群教授
佐久間 直人
公益社団法人東京都宅地建物取引業協会副会長
定行 まり子
日本女子大学家政学部住居学科教授
篠原 みち子
弁護士(篠原法律事務所)
篠見
更生
東京都地域住宅生産者協議会会長
髙 橋
功
東京都中小企業団体中央会副会長
内 藤
勇
公益財団法人マンション管理センター参与
中川
雅之
日本大学経済学部教授
松村
秀一
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授
秋田
一郎
東京都議会議員
小宮 あんり
東京都議会議員
木村
基成
東京都議会議員
長橋
桂一
東京都議会議員
曽根 はじめ
東京都議会議員
宮瀬
英治
東京都議会議員
両角 みのる
東京都議会議員
47
委
員
氏
名
現
高野
之夫
豊島区長
近藤
弥生
足立区長
大坪
冬彦
日野市長
職
(審議中に退任した委員)
氏
名
役
職
在任期間
河野 ゆうき 東京都議会議員
平成 25 年8月 30 日~平成 26 年 11 月 10 日
北久保 眞道 東京都議会議員
平成 25 年8月 30 日~平成 26 年 11 月 10 日
石川
良一
東京都議会議員
平成 25 年8月 30 日~平成 26 年 11 月 10 日
菅野
弘一
東京都議会議員
平成 26 年 11 月 11 日~平成 27 年 11 月4日
舟坂 ちかお 東京都議会議員
平成 26 年 11 月 11 日~平成 27 年 11 月4日
大島 よしえ 東京都議会議員
平成 25 年8月 30 日~平成 27 年 11 月4日
おときた 駿 東京都議会議員
平成 26 年 11 月 11 日~平成 27 年 11 月4日
渡
部
尚 東村山市長
平成 25 年 10 月1日~平成 27 年9月 30 日
48
2
企画部会委員・専門委員名簿
氏
名
現
職
部会長
松村
秀一
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授
部会長
代 理
秋元
孝之
芝浦工業大学工学部建築工学科教授
委
有田
智一
筑波大学システム情報系社会工学域教授
員
専門委員
井出 多加子
成蹊大学経済学部経済経営学科教授
大久保 恭子
株式会社風代表取締役
齊藤
横浜市立大学国際総合科学群教授
広子
佐久間 直人
公益社団法人東京都宅地建物取引業協会副会長
篠原 みち子
弁護士(篠原法律事務所)
篠見
東京都地域住宅生産者協議会会長
更生
園田 眞理子
明治大学理工学部建築学科教授
髙 橋
功
東京都中小企業団体中央会副会長
内 藤
勇
公益財団法人マンション管理センター参与
荻原
武彦
公益社団法人全日本不動産協会東京都本部副本部長
小田
広昭
一般社団法人住宅生産団体連合会専務理事
鈴木
良宜
一般社団法人マンション管理業協会事務局長
原
靖
山﨑
雄介
一般社団法人不動産流通経営協会事務局長
一般社団法人新都市ハウジング協会
長期優良住宅等検討部会部会長
(審議中に退任した専門委員)
氏
中 北
名
均
役
職
在任期間
一般社団法人不動産流通経営協会
運営委員会委員長
49
平成 26 年5月2日~平成 27 年5月 13 日
審議経過
1
東京都住宅政策審議会の審議経過
区 分
平成
25 年度
第1回
開 催 期 日
平成 26 年1月 24 日
主
な
審
議
内
容
○東京の住宅事情と最近の主な取組状況につい
て
○第 11 号諮問「人口減少社会に向かう中、豊か
第1回
平成 26 年7月9日
平成
な住生活実現のための住宅政策の新たな展開に
ついて」
26 年度
第2回
平成 27 年2月9日
第1回
平成 27 年7月6日
○企画部会第一次報告
○マンション部会中間報告
○第一次答申(マンション関係)素案(案)に
ついて
○「東京におけるマンション施策の新たな展開
平成
第2回
平成 27 年9月3日
27 年度
について(答申)」について
○企画部会における検討状況について
○(仮称)東京都マンション施策推進計画素案
第3回
平成 28 年2月1日
(案)について
○企画部会における検討状況について
平成
第1回
平成 28 年5月 11 日
○企画部会第二次報告
第2回
平成 28 年7月 12 日
○答申素案(案)について
28 年度
50
2
企画部会の審議経過
区 分
開 催 期 日
主
な
審
議
内
容
第1回
平成 26 年5月 22 日
○東京の住宅政策の現状と課題について
第2回
平成 26 年6月 30 日
○東京の住宅政策の現状と課題について
○平成 25 年「住宅・土地統計調査」速報集計の
第3回
平成 26 年8月6日
結果
○住宅政策の検討課題と今後の方向性について
平成
26 年度
第4回
○団地再生事例の現地視察(千歳烏山団地)
平成 26 年 10 月 22 日
○住宅政策の基本方針等について
○検討課題と取組の方向性について
第5回
平成 26 年 12 月 24 日
第6回
平成 27 年1月 19 日
第1回
平成 27 年4月 28 日
第2回
平成 27 年6月3日
○住宅政策の基本方針等について
○検討課題と取組の方向性について
○独立行政法人都市再生機構からのヒアリング
○企画部会第一次報告(案)について
○住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定に
ついて
○住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定に
ついて
○住宅セーフティネットの基本的な考え方につ
第3回
平成 27 年8月6日
○空き家対策について
平成
27 年度
いて
第4回
平成 27 年 10 月 27 日
○空き家対策について
○住宅市場の環境整備について
○空き家対策の基本的な考え方について
第5回
平成 27 年 12 月 16 日
○住宅市場の環境整備について
○災害時における安全な居住の持続について
平成
28 年度
○住宅団地の再生について
第6回
平成 28 年 1 月 25 日
第7回
平成 28 年3月 30 日
○企画部会第二次報告(案)について
第1回
平成 28 年6月2日
○答申素案(検討案)について
○立地に応じた住宅施策の在り方について
51