決算レビューと財務・投資戦略

決算レビューと財務・投資戦略
2016 年 3月期の業績に関するレビュー
2016 年 3月期の連結決算は、売上高、営業利益、経常利益、
の損失処理を行いました。また、単体の将来業績予想を勘案し、
親会社株主に帰属する当期純利益ともに前期を下回る結果となり
繰延税金資産 110 億円の取り崩しを行うなど、合計▲ 1,137 億
ました。原油価格の急激な下落などを受け、事業価値を保守的に
円の特殊要因が発生した結果、親会社株主に帰属する当期純利
見直したことにより資源案件で▲ 635 億円、出資先の資産や事
益は▲ 437 億円と2000 年 3月期以来の赤字となりました。
業の再評価を実施したことにより資源以外の案件で▲ 392 億円
■ 連結業績(単位:億円)
■ 当期純利益
(当社株主帰属)
に含まれる特殊要因(単位:億円)
項目
▲6%
▲17%
▲18%
売上高
案件
資源案件
▲ 150
豪州ガス
▲ 451
経常利益
▲437
675
1,562
1,402
営業利益
▲ 34
インドレアアース
—%
(▲281 億円)
通期
(実績)
カナダガス
(▲1,112 億円)
1,694
81,702
86,634
(▲291 億円)
1,280
(▲4,932 億円)
■ 15/3期実績
■ 16/3期実績
資源以外案件
小計
▲ 635
欧州スクラップ
▲ 112
▲ 56
海外上場株式評価損
親会社株主に帰属する
当期純利益
税効果
関係会社処理損他
▲ 224
小計
▲ 392
小計
▲ 110
合計
▲ 1,137
豊田通商の財務戦略のポイント
豊田通商グループは、健全な財務体質を維持した安定成長を
基本動作を徹底したことで、営業キャッシュ・フローが前期の1,691
目指し、株主資本コストと相関性の高いROE、財務状態の安定
億円から3,083億円と大きく改善した結果、フリーキャッシュ・フロー
性を示すネットDER、資金の動きを示すキャッシュ・フローを重点的
は+1,375 億円と2012 年 3月期以来のプラスとなりました。
に意識した経営を行っています。
今後もフリーキャッシュ・フローをプラスにすることで、有利子負債
2016 年 3月期は、在庫の適正化、債権の確実な回収といった
■ バランスシートの状況(単位:億円)
■ キャッシュ・フロー(単位:億円)
2015/3 末
流動資産
27,692
2016/3 末
2016/3 期
営業キャッシュ・フロー 1,691
20,617
流動資産
24,258
流動負債
17,371
1,691
税前利益+償却費
運転資金
税金支払
3,083
2,649
▲ 513
▲ 717
営業キャッシュ・フロー 3,083
税前利益+償却費
運転資金
税金支払
固定負債
11,674
17,644
2015/3 期
流動負債
固定負債
固定資産
を圧縮し、リーンな財務体質を目指します。
純資産
固定資産
13,044
15,262
1,640
1,061
▲ 616
1,375
11,591
純資産
10,557
▲304
総資産
自己資本
自己資本比率
ネット有利子負債
ROE
ネットDER
流動比率
14
2015/3 末
2016/3 末
45,336
11,255
25%
12,335
6.4%
1.1 倍
134%
39,521
8,886
22%
11,027
▲ 4.3%
1.2 倍
140%
TOYOTA TSUSHO CORPORATION
増減
▲ 5,815
▲ 2,369
▲ 3%
▲ 1,308
▲ 10.7%
0.1 倍
6%
▲1,708
▲1,995
投資キャッシュ・フロー ▲1,995
自動車関連
電力事業
資源事業
エレクトロニクス事業
営業キャッシュ・フロー ▲ 619
▲ 600
▲ 150
▲ 100
投資キャッシュ・フロー 投資キャッシュ・フロー ▲1,708
自動車関連
電力事業
穀物事業
アフリカ事業
フリーキャッシュ・フロー
▲ 615
▲ 400
▲ 275
▲ 100
投資に対する考え方
豊田通商グループは、長期的な戦略に基づき基盤事業のさ
当社の強みを生かした案件に厳選して投資するとともに、定量基
らなる成長と「次の柱」の構築に向けた投資を継続しています。
準の厳格運用により投資リターンの向上を図ります。また、投資
2016 年 3月期は、自動車分野で615 億円、自動車以外の分野
実行後も毎年定期的に事業のモニタリング管理を行い、撤退ルー
で1,233 億円の合計 1,848 億円の投資を実行しました。
ルを厳格に運用しながら、効率的な資産の入れ替えも促進してい
今後も当社の強みを生かし成長分野・高収益事業への投資を
きます。
継続します。投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内を目処とし、
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事業投資サイクルマネジメント
■ 2016 年 3月期投資実績(単位:億円)
2016 年 3月期投資実績
主な内訳
金額
自動車
・ディーラー網整備
(CFAO 社他)
・北米自動車生産関連設備
計
615
自動車以外
・太陽光・風力発電事業
(ユーラス)
・NovaAgri 社買収
・ファーマ・リテール事業
(CFAO 社)
計
1,233
合計
1,848
株主還元方針
当社は、
「のれん償却前当期純利益に対する連結配当性向
2017 年 3月期は、62 円配当、のれん償却前当期純利益に対
25%を目指し、安定的・継続的な株主還元を実施」することを配
する連結配当性向 24%とする計画であり、株主の皆さまに対し
当方針としています。2016 年 3月期の親会社株主に帰属する
て安定的・継続的な還元を実施していきたいと考えています。
当期純利益は▲ 437 億円と赤字となりましたが、一過性の特殊
要因による損失が大半であるため、当初計画通り1 株当たりの
年間配当額は前期比 6 円増の62 円といたしました。
配当方針
■ 配当額(単位:円/株)
662
のれん償却前当期純利益に対する連結配当性向 25%を目指し
安定的・継続的な株主還元を実施
674
730
700
(計画)
675
471
273
16
(21%)
62
62
56
(—%) (31%)
50
(29%)
44
42
(24%)
(22%) (23%)
28
(19%) (—%) (24%)
(21%)
▲437
10/3
11/3
12/3
13/3
14/3
15/3
16/3
17/3
■ 親会社株主に帰属する当期純利益(億円) 配当額(配当性向) のれん償却前当期純利益ベース
INTEGRATED REPORT 2016
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