2017年度私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算概算要求

交通政策ニュース
2016.8.23
総合政策局
私鉄総連は8月 22 日、各省庁が 2016 年度予算概算要求を編成するにあた
り、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー産業の健全な発展や、地域公共交通の活
性化、生活路線維持、東日本大震災からの復興対策強化、安全輸送の確立に向
けて、復興庁、国土交通省、総務省、厚生労働省、環境省、に対して拡充要請
を行った。要請は、民主党私鉄交通政策議員懇談会から事務局長で私鉄総連準
組織内議員の辻元清美衆議院議員が同行し、田野辺委員長、清水副委員長、池
之谷交通政策局長、久松ハイタク協議会事務局長でおこなった。
1.復興庁要請
復興庁要請では、橘慶一郎副大臣に
対して要請書を手渡した。
要請で田野辺委員長は、「復興支援
の想いを込めて定期大会を福島で開
催し、被災地視察をおこなったが、復
興はいまだ道半ばと実感した。私鉄総
連としても復興支援に全力で取り組
んで行くので、被災地復興に向けた予
算の拡充に全力で取り組んでいただ
きたい」と述べた。また。池之谷交通
政策局長からは「被害の大きかった沿
岸部と被害の少なかった山間地で支援対応が変わってきているが、公共交通は沿
岸部と山間部を繋いで、はじめて機能する。公共交通は一体として捉えていただ
きたい」と求めた。
これに対し、橘副大臣は「8月5日就任以降、被災各県を訪れ、現地を視察し
てきた。私も同じ思いだ。予算確保に全力で取り組みたい。引き続き被災地復興
に向けた私鉄総連の支援をお願いしたい」とした。
- 1 -
2.国土交通省要請
国土交通省では、藤田耕三総合政策局
長、田村明比古観光庁長官、藤井直樹自動
車局長、奥田哲也鉄道局長に対して、2017
年度私鉄・バス・ハイタク関係予算概算要
求の拡充を要請した。
要請にあたり田野辺委員長は「私鉄総連
は、日々、安全輸送の確保を第一に、利用
者に利便性に富む公共交通サービスを提供
することをめざして取り組んでいる。地域の公共交通の維持・活性化に向けて
鉄軌、バス、ハイタクに関わる予算の拡充をお願いしたい」と挨拶し、続いて
池之谷交通政策局長より、①地域公共交通確保維持改善事業の拡充、②鉄道・
自動車関係予算の拡充と安全輸送対策強化、③要員不足対策の強化、④第三者
暴力行為撲滅に向けた防犯対策の強化、⑤訪日旅行者の急増に対する対応強
化、⑥税制改正要望など、国土交通省に関わる 29 項目の要請趣旨を説明した。
これに対して藤田総合政策局
長は、
「関係予算の確保に最大限
努力するが、状況は年々厳しく
なっている。今後もどのような
支援策が有効なのか、関係各所
と意見交換しながら検討した
い。また、池之谷局長より、
「2016
年度予算で地域公共交通確保維
持改善事業の予算が減額となっ
たことにより、一部自治体では
欠損補助の減額に繋がると受け
取られ、混乱を招いた」と指摘した。これに対し、藤田局長は「一部自治体と補
助制度の解釈で行き違いがあったのは事実であり、今後このようなことがないよ
うにしたい」とした。
田村観光庁長官からは、「訪日旅行者の急増で、予算も確保しやすい状況にあ
り、地域公共交通の訪日旅行者の受け入れ環境の整備に力を入れたい。ランドオ
ペレーターの適正化については、現在、法案を準備中である」とした。
藤井自動車局長からは「要員不足については、乗合バスがしっかりと利益を上
げられるようして、それが運転士の処遇改善につながることが一番だと考えてい
る。地域公共交通確保維持改善事業に対する地域の要望に答えられるよう拡充に
努力したい。脳・心疾患などのスクリーニング検査については、超党派の議員連
盟で法案提出も検討されている。こうした状況も踏まえて検討したい」とした。
これらの回答に対し、久松ハイタク協議会事務局長からは、「改正タクシー特別
措置法の実効性を上げる予算措置と、ライドシェア問題については、引き続き『安
- 2 -
全輸送第一』で対応を」と強く求めた。
奥田鉄道局長からは「ホームドアは安全上有効であるが、いきなり全ての駅で
整備することは難しい、技術面も含めて支援を拡充していきたい。地域鉄道が厳
しい状況に置かれていることは承知している。新幹線整備だけでなく、地域鉄道
の支援にも目を向けていきたいと考えている。交通系 IC カードのメンテナンス
費用の負担問題については、初めて認識した。課題を調べてみたい」とした。
3.総務省要請
総務省要請では、①生活交
通路線対策を講じる自治体
への地方財政措置の強化、②
地域公共交通確保維持改善
事業を自治体が積極活用で
きよう地方財政措置の強化、
③災害復旧事業費補助の拡
充、④自動車関連諸税の負担
軽減・簡素化、⑤原油価格高
騰時の暫定税率の撤廃・簡素
化、について要請した。
公共交通に対する地方財政措置についての要請に対して、池田憲治大臣官房審
議官からは、「地域交通の確保は、高齢化が進むなかで、今後ますます重要な課
題となる、努力していきたい」とした。
自動車関連諸税や消費税対応について、林﨑理税務局長からは、「税制改正要
望については、国土交通省とも連携して対応していたい。自動車関連諸税の簡素
化については、地方にとっても貴重な財源でもあり、公共交通維持にも活用され
ていることをご理解いただきたい」などとした。
4.厚生労働省要請
厚生労働省要請では、①「改
善基準告示」における現行の
労働実態を調査・検証と、改正
に向けた審議会等の設置に向
けた予算の確保、②国土交通
省と連携した監督業務の強化
とさらなる体制強化、③女性
が働きやすい職場環境改善に
向けて事業者の設備投資を促す助成制度の創設、④鉄軌道・バス運転士の養成費
用の「実践型人材養成システム」適用とキャリア形成助成金の拡充、事業者のお
こなう免許取得支援制度に対する国の支援の創設、⑤「観光立国実現に向けた多
言語対応の改善・強化のためのガイドライン」に従い、多言語教育を職業訓練と
- 3 -
位置づけ、支援強化、⑥自動車運転者の脳、心臓疾患等へのスクリーニング検査
への支援の創設などを求めた。
厚労省要請では各担当官から回答があり、特徴的な回答としては、①監督業務
について、従来から国土交通省との相互通報により連携して取り組んでいるが、
自動車運転者の健康確保のため国土交通省との連携を強化した旨を8月8日に
プレスリリースした、②4月に女性活躍推進法が施行されたことを受け、女性活
躍加速化助成金制度をスタートした。女性の少ない職種などで、女性を採用する
ための設備整備や研修費用として 30 万円助成し、目標数値を達成すれば、更に
30 万円助成することとしている。是非活用していただきたい、などであった。同
行した辻元議員からは、「要員不足が深刻な業界である。その意味でも、もっと
女性が進出することが期待されている職種である。女性から見て、魅力ある職場
となるよう、厚生労働省の支援をお願いしたい」と強く求めた。
5.環境省要請
環境省要請では、「エコレールラ
インプロジェクト事業」の継続と拡
充を要請した。要請に対し、松澤裕
地球環境局地球温暖化対策課長から
は、「私鉄各社は当該事業を積極的
に活用していただき、さらに、照明
の LED 化や省エネ車両の導入でも積
極的に環境対策に取り組んでいただ
いていることにも感謝申し上げる。
環境省としても要請の『エコレール
ラインプロジェクト事業』を 2017 年度まで延長することとしている。年末まで
予算確保に全力で取り組む。予算獲得に向け、私鉄総連のご支援をお願いしたい」
との回答があった。
以
- 4 -
上
※今回要請した要請書は以下のとおり。
私総外発 83-第1号
2016 年8月 22 日
復興大臣
今
村 雅
弘
殿
民進党私鉄交通政策議員懇談会
会
長
横
路
孝
弘
中央執行委員長
田野辺
東日本大震災から公共交通の早期復興に向けた
耕
一
日本私鉄労働組合総連合会
2017 年度予算概算要求の拡充に関する要請書
貴職のご精励に敬意を表します。
私鉄総連は、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー事業において日々の安全運行確保と利用者利
便の向上を最優先に、公共交通の維持・活性化に全力で取り組んでいます。
つきましては、2017 年度予算概算要求にあたり被災した地域の早期復旧・復興に対する積
極的な予算措置が講じられるよう、下記の項目に特段のご配慮をお願いしたく、ここに要請い
たします。
記
1.東日本大震災からの復興予算について、特に災害公営住宅・まちづくり関係の復興状況が
遅いことから、復興の迅速化がはかられるよう編成されたい。
2.被災した各都市の復旧と復興にあたり、改正都市再生特措法と地域公共交通活性化再生法
の趣旨に沿う公共交通優先の都市計画を策定するとともに、その実現が可能な復興予算を編成
されたい。
3.東日本大震災被災地域に係る「地域公共交通確保維持改善事業」の対応について
(1)毎年度指定されることになっている対象地域について、これまで指定されている対象地域
を引き続き指定されたい。
(2)2016 年度まで特例措置の期間が延長された「地域間輸送」「地域内輸送」について、被災
地域住民の通勤・通学、通院、買い物など生活のための移動手段確保の観点から、引き続き継
続すると共に予算の拡充をはかられたい。
以
- 5 -
上
私総外発 83-第1号
2016 年8月 22 日
国土交通大臣
石
井 啓
一
殿
民進党私鉄交通政策議員懇談会
会
長
横
路
孝
弘
田野辺
耕
一
日本私鉄労働組合総連合会
中央執行委員長
2017 年度私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算
概算要求の拡充に関する要請書
貴職のご精励に敬意を表します。
私鉄総連は、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー事業において、日々の安全運行確保と利用者
利便の向上を最優先に、公共交通の維持・活性化に全力で取り組んでいます。
つきましては、2017 年度予算概算要求にあたり、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算
について積極的な予算措置が講じられるよう、下記の項目に特段のご配慮をお願いしたく、こ
こに要請いたします。
記
1.総合政策局関係について
(1)交通政策基本計画に掲げる目標達成に向けて、各関連項目に必要な予算を最大限確保され
たい。また、基本計画の実現には、各事業者の負担が増えることも想定されることから、事業
者負担に対する支援を強化されたい。
(2)地域公共交通確保維持改善事業について、国民の生活に必要不可欠な交通手段の確保のた
めに、関連するバス、乗合タクシー、デマンドタクシーなど生活交通維持対策について、これ
までの算定方式の変更の趣旨を踏まえて所要額を確保されたい。
(3)地域公共交通網形成計画に基づき、地域公共交通再編実施計画を実施するにあたっては、
公共交通事業者に対する必要な財政上の支援措置を講じるとともに、公共交通に従事するもの
の確保と再編に伴う雇用対策を踏まえたものとされたい。
(4)地域公共交通網形成計画と立地適正化計画が真に連携できうる仕組みを構築し、これらの
計画に基づき、LRT・BRTの整備、交通結節点の整備、バス・タクシー乗り場の整備等を
図るために必要な財政上の支援措置を確保されたい。
(5)熊本地震で被災した地域の交通インフラの早期復旧に向けた所要額について確保された
い。
2.鉄道局関係について
(1)安全・安心な鉄軌道を構築するために、引き続き鉄道施設総合安全対策事業費等補助金、
都市鉄道整備事業費補助金、鉄道防災事業費補助や鉄道技術開発費補助金、鉄道整備等基礎調
査、踏切保安設備整備費補助金などの予算を確保し、要件や補助率の拡充をされたい。特に、
改正踏切道改良促進法に基づき全国で 58 箇所の指定された改良すべき踏切道について、道路
局とも連携して、早期に改善がはかられるよう予算を確保されたい。また、関連する社会資本
整備総合交付金による連続立体交差事業、都市・地域交通戦略推進事業についても拡充をはか
られたい。
- 6 -
(2)地域鉄道は、大きな被害が発生すると自力のみで復旧費用の工面が困難であるため、鉄道
軌道整備法による災害復旧事業費補助制度の対象要件を見直し、補助率(現行 25%)を拡充
されたい。また、将来予測される東海・南海トラフ地震に備えるための耐震基準の引き上げで
は、過去の耐震補強費用の原価償却期間中に、新たな耐震基準への対応をせざるを得ず、苦慮
している事業者もあることから、支援を拡充されたい。あわせて、鉄道軌道安全輸送設備等整
備事業による老朽化対策や踏切道等の改善による安全対策強化に向けて、予算の拡充と補助率
の引上げをはかられたい。
(3)第三者暴力行為の防止の観点から貴省と警察庁との連携した啓発活動を強化するととも
に、抑止効果を高めるため、鉄道駅における改札・ホーム等の防犯カメラ設置促進に向けた予
算を要求されたい。
(4)ホームドア・可動式ホーム柵などバリアフリー諸施設の設置は、引き続き地域公共交通バ
リア解消促進等事業で支援されたい。バリアフリー施設の増加は、維持・更新など保有コスト
の増となり、鉄道事業経営への圧迫が懸念される。三位一体(国・地方自治体もしくは沿線商
店街・鉄道事業者)で、予算・税制を活かす連携への働きかけをされたい。
(5)都市鉄道では相互直通運転区間の延伸により、些細なトラブルが大規模な輸送障害に繋が
る事例が多く見られることから、大規模な輸送障害対策のための事業費を要求されたい。
(6)中小私鉄・バス事業者に対して交通系 IC カードの導入促進が政策として打ち出されてい
るが、中小私鉄・バス事業者にとって、その導入費用、メンテナンス費用の負担は、事業規模
に比して過重なものがあることから、導入支援策を拡充されたい。さらに、メンテナンス費用
の軽減策についても創設されたい。
(7)2013 年度から環境省と連携し、鉄軌道事業者における省電力・低炭素化に資する設備の
導入を支援する、エコレールラインプロジェクト事業への予算を、引き続き確保されたい。
(8)鉄軌道関係税制改正要望について
①新規製造車両に係る特例措置の期限の 2 年延長(固定資産税)
②都市鉄道利便増進事業により取得した施設に係る特例措置の期限の 2 年延長(固定資産税・
都市計画税)
③首都直下地震・南海トラフ地震に備えた耐震補強工事により取得した鉄道施設に係る特例措
置の期限の 2 年延長(固定資産税)
④地方鉄道事業者が補助を受けて取得した安全性向上設備に係る特例措置の 2 年延長(固定資
産税)
⑤低床型車両の取得に係る特例措置の期限の2年延長(固定資産税)
⑥鉄道事業に供される軽油に係る地球温暖化対策のための税の還付措置の期限の3年延長(地
球温暖化対策のための税)
3.自動車局関係について
(1)貸切バスの安全確保に向けて、軽井沢スキーバス事故対策検討会でまとめられた各種安全
対策の適切な実施に向け、監査体制強化と貸切バス業界適正化に向けた支援拡充のための予算
を確保されたい。
(2)バス運転士の確保・育成に向けた検討会でとりまとめられた施策について、最終年度を迎
えたが、現状は何も改善されていない。2017 年度には、バス運転士の確保・育成に向けて、新
たな実効性ある対策を検討するために、必要な予算を確保されたい。また、貸切バスの新運賃
- 7 -
・料金制度では、運転士の賃金水準について考慮された制度設計がなされた。中長期的な視点
に立ち、日常生活等に必要な公共交通を担保するために、乗合バスの運賃制度についても同様
の観点を加味した運賃・料金制度を確立されたい。
(3)「地域公共交通確保維持改善事業」におけるバス車両の更新対策である「公有民営による
補助制度」の継続を図るとともに、より充実した施策とするための予算を要求されたい。
(4)「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を踏まえ、監査体制の充実・強化のための予
算措置を図るとともに、悪質事業者への集中的監査や厳格な処分を図られたい。また、デジタ
ル式運行記録計をタクシーを含めて装着を義務化して、監査に活用されるよう、予算を要求さ
れたい。
(5)貸切バス事業者の安全性等評価・認定制度が利用者・旅行事業者・関係機関に周知徹底が
図られるよう支援されたい。また、認定を受けた事業者に対する優遇制度を創設されたい。
(6) 事故防止対策支援推進事業について、バス車両、タクシー車両に対して ASV 装置の導入
促進に向けて、ふらつき注意喚起装置、車線逸脱警報装置、車線維持支援制御装置の支援措置
を拡充されたい。また、衝突被害軽減ブレーキと車両横滑り時制動力・駆動力制御装置の導入
に対する支援措置にタクシー車両を追加されたい。
(7)福祉車両の購入などについては、「地域公共交通バリア解消促進等事業」において、購入
費及び改造費について補助対象となっているが、社会的要請も高まっていることから、補助率
の増率や運行などに係る助成措置を講じるとともに、税制等の減免措置等の財政支援措置を引
き続き講じられたい。また、標準仕様ユニバーサルデザインタクシー認定制度や公共交通移動
等円滑化基準に適合するタクシーの開発について、支援措置を講じられたい。
(8)改正道路運送法の施行による各都道府県タクシー協会における旅客自動車運送適正化事
業の実施にあたって、法令遵守の促進と悪質事業者の排除に資するよう、必要となる体制の整
備等に関する支援措置を講じられたい。
(9)タクシー事業の活性化をより一層推進することと、利用者利便を向上させるため、多言語
翻訳システム及びスマートフォンの配車アプリなど、先進的な機器・システムの導入と、観光
タクシー、妊婦応援タクシー及び育児支援タクシーなどの取組に対する総合的な支援措置を講
じられたい。
(10)バス、タクシーのデジタル式運行記録計については、GPS と連動させることで、営業
区域外における違法営業の把握や運賃不正の抑止とともに、詳細な走行データが得られる。そ
のデータを活用し、過労運転防止などの適切な運行管理をすることで利用者の安全にもつなが
る。また、監査にも有効活用できることから、全地域での装着を義務化するとともに必要な財
政補助のための予算を措置されたい
(11)自動車運転者については、体調急変に伴う事故が増加傾向にあるため、脳疾患や心疾
患、睡眠時無呼吸症候群などの主要な疾患について、脳MRI検査を含むスクリーニング検査
の受診に対する助成措置を創設し、そのための予算を要求されたい。
(12)自動車局関係税制改正要望について
1)自動車関係諸税、燃料税の負担軽減
①平成 28 年度税制改正大綱で「自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、
必要な措置を講ずる」こととされていることから、現在過重な負担となっている自動車関係諸
税(自動車税、自動車重量税、軽油引取税等)について、大幅に軽減されたい。
- 8 -
②バス事業は、過疎化の進展等により厳しい経営状況にあることから、一般財源化により本来
見直されるべき軽油引取税の当分の間の税率(旧暫定税率 1 ㍑当たり 17.1 円)を速やかに撤
廃されたい。
③LPGハイブリッド自動車について、自動車重量税及び自動車税の特例措置の対象とされたい。
2)営業用バス・タクシーの優遇措置の堅持(営自格差の堅持)について
営業用バス・タクシーは厳しい経営状況の中で地域住民の身近な足として活躍している。ま
た、環境にもやさしい交通手段であります。このようなバス・タクシーの公共性に配慮し、引
き続き自動車税、自動車重量税について講じられている軽減措置を堅持されたい。
3)バス関係
①自動車税のグリーン化における11年以上の乗合バス車両への特例措置(10%重課の免除)
の継続(自動車税)
②環境性能に優れた新車への代替を促進するため、エコカー減税制度の延長(自動車重量税)
③消費税増税延期に伴い自動車取得税の廃止が延期されるのであれば、①都道府県の条例に定
める路線を運行する乗合バス車両の取得に係る取得税の非課税措置②バリアフリー対応車(ノ
ンステップバス・リフトバス等)への取得税の減免措置③エコカー減税制度(取得税)④衝突
被害軽減ブレーキ等を搭載したバスへの取得税の特例措置の延長・拡充(自動車取得税)
④軽井沢スキーバス事故を受けての安全対策として、衝突被害軽減ブレーキ装備車等への代替
促進が重要課題になっていることから、トラック車両同様、バス車両も中小企業投資促進税制
の適用対象に加えるとともに、制度を延長されたい。
4)タクシー関係
バリアフリー車両に対する自動車重量税及び自動車税(環境性能割り)の減税措置の拡充につ
いて、近年、デマンド型乗合タクシーの運行が増加しているが、バリアフリー対応乗合タクシ
ーに対する減税措置は、路線定期運行のために使用する車両に限られている。
バリアフリー推進という減税措置の趣旨に鑑み、路線定期運行に限らずデマンド型など他の運
行形態においても減税措置の対象とされたい。
4.観光庁関係について
(1)貸切バスの安全確保に向けて、軽井沢スキーバス事故対策検討会でまとめられた各種安全
対策の適切な実施に向け、観光庁としても各種法令が遵守されるよう、旅行業者等に対する指
導とそのための体制を確立するための予算を確保されたい。あわせて、貸切バスの新運賃・料
金制度が施行されたことに伴い、旅行業者による安全阻害行為が疑われる場合、旅行業法に基
づく立入検査等の対応をすべく、予算を要求されたい。また、近年、ランドオペレーターの介
在が新たなダンピングの原因となっていると、現場からの指摘があることから、ランドオペレ
ーターの適正化に向けて、その対策を講じられたい。
(2)日本国内の世界遺産登録や東京オリンピック・パラリンピック開催などと相まって、訪日
外国人観光客が利用しやすい公共交通利用促進に向けた鉄道、バス(乗合・貸切)、ハイヤー
・タクシーにおける外国語の案内表示および外国語での車内放送などの設備に十二分に対応
できるよう観光庁関係予算について、首都圏のみならず全国を対象として積極的に概算要求額
を増額されたい。
(3)中小私鉄・バス事業者に対して交通系 IC カードの導入促進が政策として打ち出されてい
るが、中小私鉄・バス事業者にとって、その導入費用、メンテナンス費用の負担は、事業規模
- 9 -
に比して過重なものがあることから、導入支援策を拡充されたい。さらに、メンテナンス費用
の軽減策についても創設されたい。
(4)訪日外国人の増加に伴い、繁華街、観光施設などでの貸切バス、タクシーの乗降場所の確
保が問題となっている。観光立国としてさらに高みをめざす上で、旅行者が安全に旅行できる
よう貸切バスやタクシーの乗降場所を整備されたい。
以
上
私総外発 83-第1号
- 10 -
2016 年8月 22 日
総務大臣
高
市 早
苗
殿
民進党私鉄交通政策議員懇談会
会
長
横
路
孝
弘
田野辺
耕
一
日本私鉄労働組合総連合会
中央執行委員長
2017 年度私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算
概算要求の拡充に関する要請書
貴職のご精励に敬意を表します。
私鉄総連は、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー事業において日々の安全運行確保と利用者利
便の向上を最優先に、公共交通の維持・活性化に全力で取り組んでいます。
つきましては、2017 年度予算概算要求にあたり私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算に
ついて積極的な予算措置が講じられるよう、下記の項目に特段のご配慮をお願いしたく、ここ
に要請いたします。
記
1.定住自立圏共生ビジョンや、生活交通路線対策を講じる地方公共団体に対する地方財政措
置の拡充をされたい。
2.国土交通省所管の「地域公共交通確保維持改善事業」について、地方公共団体が同事業を
積極的に活用できるよう、地方財政措置を強化されたい。
3.地方自治体(国と同額)による災害復旧事業費補助を拡充されたい。
4.国土交通省が要望している、安全対策や環境対策、バリアフリー化対策、利用者利便に資
する施策で鉄道関係や自動車運送事業に関する税制改正について、積極的に措置されたい。特
に自動車関連諸税の負担軽減・簡素化をはかられたい。
5.原油価格の高水準により、電気料金や燃料油脂費の値上げが、全国の民営公共交通機関の
経営を圧迫している。①今後もこのような状態が継続することが予想されるため、自動車関連
諸税の暫定税率の撤廃と税体系の簡素化などを含む負担軽減をはかられたい。あわせて、震災
対策として凍結されたトリガー条項については、復興税として財源が確保されていることから
早急に凍結解除されたい、②公共交通は環境にやさしい交通手段であることから、地球温暖化
対策税の減免を含む軽減措置、を講じられたい。また、地球温暖化対策税の減免措置が困難な
場合、現在、バス事業に対してエネルギー対策特別会計で実施されている「低炭素型自動車普
及促進事業費補助金」について、補助を拡充されたい。
以
上
私総外発 83-第1号
- 11 -
2016 年8月 22 日
厚生労働大臣
塩
崎 恭
久
殿
民進党私鉄交通政策議員懇談会
会
長
横
路
孝
弘
田野辺
耕
一
日本私鉄労働組合総連合会
中央執行委員長
2017 年度私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算
概算要求の拡充に関する要請書
貴職のご精励に敬意を表します。
私鉄総連は、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー事業において日々の安全運行確保と利用者利
便の向上を最優先に、公共交通の維持・活性化に全力で取り組んでいます。
つきましては、2017 年度予算概算要求にあたり私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算に
ついて積極的な予算措置が講じられるよう、下記の項目に特段のご配慮をお願いしたく、ここ
に要請いたします。
記
1.自動車運転者の労働時間管理を目的とする「改善基準告示」における現行の労働実態を調
査・検証するための予算を要求されたい。さらに改善基準告示改正(休息期間の延長や連続運
転時間の短縮)に向けた協議を行う審議会等の設置に向けた予算を要求されたい。
2.労働基準関係法令、改善基準告示の違反事業場が依然として多いことは労働者の健康を損
なうばかりか、安全運行を脅かすことから、国土交通省と連携した監督の徹底と、さらなる体
制強化のために概算要求額を増額されたい。
3.女性が働きやすく魅力ある職場へ改善していくため、事業者による雇用環境施設・
設備改善への投資を促す助成制度を創設されたい。
4.鉄軌道およびバス運転士の養成に係る費用は、その事業規模に比較して過大な負担となっ
ている。現在、厚生労働省が支援している職業能力開発等の支援制度、認定職業訓練は、各都
道府県単位での支援となっている。特に、地方鉄道においては、自社での運転士養成ができな
いため、大手鉄道会社等に運転士教習を委託している。このため、都道府県単位の認定職業訓
練では認定と適用を受けることができない。したがって、鉄軌道運転士の養成に係る費用につ
いて「実践型人材養成システム」として認定し、その概算要求額を拡充されたい。
5.大型二種免許取得補助及びバス事業者による免許取得支援制度の促進について、バス運転
士の人材確保の観点から、国による大型二種免許取得支援に向けたキャリア形成助成金制度の
更なる拡充をされたい。また、バス事業者のおこなう免許取得支援制度に対して国として支援
するための予算を確保されたい。
6.公共交通機関等における多言語対応で、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化
のためのガイドライン」に従い、全国各地で多言語対応を改善・強化するため多言語教育を職
業訓練と位置づけ、支援を強化されたい。
- 12 -
7.自動車運転者については、脳・心臓疾患による労災認定件数が上位にある業種であり、体
調急変に伴う事故が増加傾向にあるため、脳疾患や心疾患、睡眠時無呼吸症候群などの主要な
疾患について、脳MRI検査を含むスクリーニング検査の受診に対する助成措置を創設し、そ
のための予算を要求されたい。
以
上
私総外発 83-第1号
- 13 -
2016 年8月 22 日
環境大臣
山
本 公
一
殿
民進党私鉄交通政策議員懇談会
会
長
横 路
孝
弘
耕
一
日本私鉄労働組合総連合会
中央執行委員長
田野辺
2017 年度私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算
概算要求の拡充に関する要請書
貴職のご精励に敬意を表します。
私鉄総連は、私鉄・バス・ハイヤー・タクシー事業において日々の安全運行確保と利用者利
便の向上を最優先に、公共交通の維持・活性化に全力で取り組んでいます。
つきましては、2017 年度予算概算要求にあたり私鉄・バス・ハイヤー・タクシー関係予算に
ついて積極的な予算措置が講じられるよう、下記の項目に特段のご配慮をお願いしたく、ここ
に要請いたします。
記
1.2013 年度から国土交通省と連携し、鉄軌道事業者における省電力・低炭素化に資する設
備の導入を支援している「エコレールラインプロジェクト事業」について、2017 年度も引き
続き予算を確保されたい。
以
- 14 -
上