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2016/
原油価格週間動向
8/22
投資情報部
シニアコモディティアナリスト
津賀田 真紀子
非公式会合への期待に翻弄(ろう)される原油相場
先週、WTI 原油先物相場は約 1 ヵ月半ぶりの高値を回復した。9 月末に OPEC と非 OPEC の主要産油国
が非公式会合を行うと発表されたことで、世界的な供給過剰に歯止めがかかるとの期待が高まってお
り、非商業筋のショートカバーが活発化しているためだ。ただし、4 月のドーハ会合が物別れに終わったこ
とを考えると、今回も合意が形成されるかどうかは不透明との見方が強い。特に、今年 1 月以降、現在も
国交を断絶しているサウジアラビアとイランの動向には要注目だ。1 バレル=50 ドル以上のコールオプショ
ンの建玉がほとんど増えていないことから、ここから先の上昇は限定される可能性が高いとみている。
今月 8 日に石油輸出国機構(OPEC)の議長国であるカタールのサダ・エネルギー産
原油相場はV字回
復。1ヵ月半ぶりの
高値に
業相が 9 月 26~28 日にアルジェリアで開催される国際エネルギーフォーラム(IEF)
に合わせ、非公式会合を行うことを明らかにして以降、原油価格が急反発している。
国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物相場は先週 7
営業日続伸となり、一時 1 バレル=48.75 ドルとおよそ 1 ヵ月半ぶりの高値を回復した。
会合では原油価格の上昇に向け、増産の凍結や生産目標の設定等の対応策を
協議するものとみられており、世界的な供給過剰に歯止めがかかるとの期待が高
まっている。また、これまで増産凍結に対して否定的な姿勢をみせていたロシアの
ノバク・エネルギー相が、今月 15 日に突然態度を変えてきたことも市場にとって好
材料と受け止められている。ただし、4 月のドーハ会合が物別れに終わったことを考
えると、今回も合意が形成されるかどうかは不透明との見方が強い。特に、今年 1 月
以降、現在も国交を断絶しているサウジアラビアとイランの動向には要注目だろう。協
議がまとまらなければ、再び失望売りに押される展開となることが予想される。
原油価格動向
W T I原油先物価格とドルインデックス
2016/8/8
~
~
2016/8/15
期間
WTI
北海
ブレント
(1バレル=ドル)
(週次:2014/1/3~2016/8/19)
120
前週比
76
110
WTI原油先物(左目盛)
78
ドルインデックス(右逆目盛)
80
2016/8/19
2016/8/12
始値
44.74
41.99
2.75
100
高値
48.75
44.78
3.97
90
84
86
82
安値
44.38
41.10
3.28
80
終値
48.52
44.49
4.03
70
始値
47.14
44.34
2.80
60
92
94
高値
51.22
47.25
3.97
50
安値
46.84
43.46
3.38
40
終値
50.88
46.97
3.91
30
88
90
96
98
100
20
(注)価格は 1 バレル=ドル
14/1
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
14/7
15/1
15/7
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
16/1
102
16/7 (年/月)
2016/8/22
原油価格週間動向
限界に近づきつつ
ある余剰生産能力
一方、主要産油国の余剰生産能力(生産能力-生産量)は上限に近づきつつある。
最も多いサウジアラビアですら日量 100 万バレル程度しかない。財政赤字の拡大によ
り、新規油田開発にかける投資資金が減少しつつあるなかで、ここから先も過去最高
の生産高を更新し続けることは難しい。仮に 9 月の非公式会合で交渉が決裂したとし
ても、次回 11/30 に開催が予定されている OPEC 定時総会では、増産凍結に向けた
何らかの動きが出てくるのではないかと思われる。
非商業筋のショー
トポジションの買い
戻しが活発に
なお、ここへきて非商業筋はショートポジションの買い戻しを急いでいる。米商品先物
取引委員会(CFTC)の報告によると、8/16 現在の非商業筋のネットロングは前週比
+49,250 枚の 307,500 枚と 6 月末時点の水準にまで急増する結果となった。
しかし、コールオプションの建玉はそれほど増えていない。むしろ 1 バレル=45 ドルの
プットオプションが先週から大幅に増加している。非公式会合でどのような判断が下さ
れるかによって今後の方向性が変わることになるが、現時点のファンダメンタルズを考
えると積極的には買いにくいとみる市場参加者が多いのだろう。当面の上値余地は 1
バレル=50 ドル前後になるのではないかとみている。
OPEC 加盟国余剰生産能力
産油国外貨準備高
(2014/11 → 2016/7)
(月次:2014/11~2016/7)
(2014/11=100)
110
インドネシア
エクアドル
100
アルジェ リア
イラク
クウェ ート
2014年11月
アンゴラ
2016年7月
90
80
カタール
UAE
ベネズエラ
70
イラン
60
ナイジェ リア
アルジェ リア
リビア
カタール
サウジアラビア
リビア
50
ナイジェ リア
サウジアラビア
▲ 500
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
40
3,500
14/11
15/3
15/7
15/11
16/3
16/7
(年/月)
(千バレル/日)
(注)リビアは 11 月まで、サウジとアルジェリアは 4 月まで、カタールは 5 月まで
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
W T I原油先物オプション権利行使価格分布
(枚)
80,000
70,000
C FT C非商業筋建玉とWTI原油先物価格
(2016年8月19日時点)
(週次:2014/7/1~2016/8/19)
(万枚)
(1バレル=ドル)
50
110
プット(9・10・11月限合計)
コール(9・10・11月限合計)
買残-売残(左目盛)
45
WTI原油先物(右目盛)
60,000
40
100
90
80
50,000
35
70
30,000
30
60
20,000
25
40,000
50
40
10,000
20
30
0
10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80
(1バレル=ドル)
15
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
16/4
20
16/7 (年/月)
(注)CFTC 非商業部門建玉は 8/16 現在
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/8/22
原油価格週間動向
■ エネルギー関連統計
日付
国・地域
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ稼働数
期間
前回
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 19 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
▲2,508
▲724
▲2,724
1,939
1.3%
17,148
10,216.4
4,754
491
83
406
■ 今週の経済指標
日付
国・地域
8 月 22 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 23 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 24 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 25 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
8 月 26 日
米国
欧州
欧州
欧州
米国
米国
欧州
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
中国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
欧州
米国
米国
米国
米国
米国
米国
中国
イベント
シカゴ連銀全米活動指数
マークイット ユーロ圏製造業 PMI
マークイット ユーロ圏サービス業 PMI
マークイット ユーロ圏コンポジット PMI
マークイット米国製造業 PMI
リッチモンド連銀製造業指数
消費者信頼感
新築住宅販売件数
新築住宅販売件数(前月比)
MBA 住宅ローン申請指数
住宅価格(購入)指数(前期比)
FHFA 住宅価格指数(前月比)
中古住宅販売件数
中古住宅販売件数(前月比)
SWIFT グローバル支払 CNY
耐久財受注(前月比)
新規失業保険申請件数
耐久財受注(除輸送用機器)
失業保険継続受給者数
製造業受注-資本財(非国防/除航空機)
製造業出荷-資本財(非国防/除航空機)
マークイット米国サービス業 PMI
マークイット米国コンポジット PMI
カンザスシティ連銀製造業活動
マネーサプライ M3(前年比)
前渡商品貿易収支
GDP(年率/前期比)
個人消費
GDP 価格指数
コア PCE(前期比)
ミシガン大学消費者マインド
一般企業総利益(前年比)
期間
7月
8 月 速報
8 月 速報
8 月 速報
8 月 速報
8月
8 月 1 次速報
7月
7月
8 月 19 日
4-6 月期
6月
7月
7月
7月
7 月 速報
8 月 20 日
7 月 速報
8 月 13 日
7 月 速報
7 月 速報
8 月 速報
8 月 速報
8月
7月
7月
4-6 月期 2 次
4-6 月期 2 次
4-6 月期 2 次
4-6 月期 2 次
8 月 確報
7月
前回
0.16
52.0
52.9
53.2
52.9
10
▲7.9
592,000
3.5%
▲4.0%
1.3%
0.2%
5,570,000
1.1%
1.72%
▲3.9%
262,000
▲0.4%
2,175,000
0.4%
▲0.2%
51.4
51.8
▲6
5.0%
▲63,300,000,000
1.2%
4.2%
2.2%
1.7%
90.4
5.1%
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2016/8/22
金融商品取引法に係る重要事項
原油価格週間動向
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投
資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負担いただ
きます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手
数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
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の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込むことがあり、損失を被るこ
とがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与えることがあ
ります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が当該証券の
高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売却してお客さ
まの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市場があっても当該証券の
流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生しても本邦投資家が取り扱いできないこ
とがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商品取引法に基
づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および諸費用の額
は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。詳細は当社の担当者まで
お問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金に対して最大 1.08%+2,700 円(税込
み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対
して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別途手数料お
よび諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料をご負
担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を
委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券取引口座管理
料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決定した為替
レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書またはお客さま向け
資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160822-25
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