全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 2016/8/22 望ましい集団づくりの要件1 「安心(安全・安定)」という枠をつくる 全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 高知大学 鹿嶋 真弓 参考理論:マズローの欲求階層説 1 望ましい集団づくりの要件2 ふれあいのある人間関係をつくる → ホンネの交流、リレーション M.Kashima 自己確立を促す「ふれあい」 ○ ふれあい 元気を育む • アイデンティティの獲得 • 人の中で人は育つ • 自分という枠を広げる → ジョハリの窓 × なれあい 元気を奪う 「ふれあい」によって 1 全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 2016/8/22 構成的グループ・エンカウンター 自己開示とフィードバック 自分が知って いる自分 他 い者 るが 自知 分っ て 他 知者 らが な い 自 分 開かれた窓 隠された窓 自分が 知らない自分 気づかない窓 暗黒の窓 (Structured Group Encounter:略称SGE) 自分が知っている自分 他 者 が 知 っ て い る 自 分 自己開示 エンカウンター 出会い:他者との出会い・自分の知らない自分との出会い フ ィ ー ド バ ッ ク 〔ジョハリの窓〕 グループ・ 集団体験を通して、本音と本音の交流を行うこと エンカウンター 構成的 リーダーが用意したプログラムで作業や討議をする方法で グループ・ エンカウンターをすること エンカウンター 2 5 構成的グループ・エンカウンターとは 構成的グループ・エンカウンターの原理 目的 : 集団学習体験を通した行動の変容と人間的な自己成長 人間的成長をめざした集団体験学習 エンカウンター:出会い ・他者との出会い ・自分の知らない自分との出会い (1)構成する:条件設定すること、枠を与えること ・人数 ・時間 ・ルール ・エクササイズ 気(心)を許す、腹を割って話すなどの状態 : ○人組で : ○分で : 守秘義務 : 課題 (2)エクササイズの目的 本音と本音の交流のできる親密な人間関係を通して こそありのままの自分が出せる ①自己理解 ④自己主張 ②他者理解 ⑤信頼体験 ③感受性 ⑥役割遂行 7 M.Kashima 2 全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 2016/8/22 自己開示 「今ここでの気持ちを語る」(Here and Now) ・自分に関する事実を話す ・自分の感情を話す (私はどう思ったか) ・自分の価値観を話す → Ⅰメッセージ: ルール ① ② ③ ④ 守秘義務を遂行する 非難したり批判的、評価的発言をしない 沈黙の自由を守るため発言を強制しない パスする自由 (どうしても参加したくないときは参加しなくてもよい) 「あなた」を主語にすると非難のメッセージとなる。 「わたし」を主語として自分の気持ちを述べると、 相手が受け止めやすくなる。 進め方 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ M.Kashima インストラクション : ルールの設定・方法の説明 ウォーミングアップ デモンストレーション: モデリング エクササイズ : 課題 介入 シェアリング : わかちあい → 自己開示・Ⅰメッセージ 学校で実施する際の留意点 ① 集団の状況に合わせたエクササイズのアレンジとプログラム 集団のルールとリレーションの状態のアセスメント ②エクササイズにうまく参加できない生徒への対応 無理にさせない→助手にする(記録係、時計係など) 目的・意義の明確化 抵抗(回避反応)の起因は何かを探る 3 全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 学校で実施する際の留意点 ③ グループを画一化しない → 自己開示しにくくなる ④ 教師自身がSGE体験をしておく ⑤ 背景にあるSGEの哲学(実存主義哲学)や理論の基礎知識を 学習する 2016/8/22 年間指導計画作成の骨子 1学期 : リレーション(学級内の人間関係を深める) お互いよく知り、認め合うようなエクササイズにより、望ましく 新しい人間関係を築く。 2学期 : 自己理解(自己探求を深め、新たな自分に気づく) 1学期に形成された人間関係をもとに、自他を多角的に見ら れるようなエクササイズを実施し、自己理解をより深める。 3学期 : 能力の開発(欠点や弱点の克服、長所の伸張) 信頼しあえる関係を生かし、社会的スキルをトレーニングする ようなエクササイズを実施。 自分の欠点・弱点の克服をはかる。 めざす学級像 固定化された人間関係をなくし 互いのいいところを理解できるクラス シミュレーションシートの活用 具体的な行動 「○○さんて、いがいと~な(いいところ・す ごいところ)があるんだぁ~」といったような 言葉がでる アプローチ 意外な一面を発見しやすい活動 ・なるほどなぁ~(説得) ・こうやればいいんだ (体験的気づき→納得) 現在地(●課題/○リソース) ・やってみよう!(楽しい活動) ●固定化された人間関係であまり話さない (男子5名・女子2名) ●この人はこんな人と決めつけている ・私にもできた(達成感) ○いじめや仲間はずれなどはしない ○言われたことはやろうとする M.Kashima 4 全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 2016/8/22 1 あなたならどっちになりたい? 社長 副社長 2 願いがかなうならどっちの人生を選ぶ? 天才 努力家 3 おとなになって住むならどっち? 田舎 都会 4 今、あなたが欲しいのはどっち? 時間 お金 5 学級集団づくりゼロ段階 教師がつながる、教師がつなげる ① 緊張を下げる ② 他者に興味を持つ ③ 互いに『すごい』と思える関係づくり 18 互いに高め合う関係 みんなって「すごい」 自分も「すごい」 互いに「すごい」と思える関係 20 M.Kashima 5 全ての子どもの居場所と絆がある学級づくり ― 人の中で人は育つ ― 2016/8/22 シェアリング ①ランダムに読み上げる ②記入後、班で回し読みする (提出前に書き足しOK) ふりかえり用紙 ③記入したことを読み上げる ④記入後、自分の言葉で話す • 今の自分の気持ちは? • どんなことを感じたの? • どんなことに気づいた? ⑤そのままシェアリングする 読み 班で 自分で あげる 回し読み 読む 読まずに 話す 22 21 〈引用・参考文献〉 • 『プロフェッショナル仕事の流儀 中学教師 鹿嶋真弓の仕事 人の中で 人は育つ』(DVD) • 『構成的グループ・エンカウンター』 (國分康孝著・誠信書房) • 『エンカウンターで学級が変わる』シリーズ (國分康孝監修・図書文化) • 『構成的グループ・エンカウンターの原理と進め方 (國分康孝・片野智治著・誠信書房) • 『学級崩壊 予防回復マニュアル』 M.Kashima (河村茂雄著・図書文化) 6
© Copyright 2024 ExpyDoc