超音波エコー画像の鮮明化技術 新潟大学 地域共同研究センター 教授 尾田 雅文 1 研究背景 エコー画像装置への要求 医療産業用途 病巣が小さい場合は判断が困難 正確な診断を行うためには熟練が必 要 健康産業用途 メタボリック症候群対応のエコー画像 装置需要等 みるキューブ グローバルヘルス社製 2 エコー画像装置への要求 従来のエコー画像 音響インピーダンスの変化に応じた濃 淡画像 ノイズが多く適確な情報抽出には経 験が必要 画像を誰もが正確に判断で きる必要性 画像のノイズを軽減し,かつ組織境界 部を明確化可能な画像処理法が求め られる 3 新技術の基となる研究成果・技術 -Waveletによる画像の多重解像度解析LL3 HL3 Daubechies関数 LH3 HH3 HL2 HL1 ϕ ( x) = ∑ qkφ (2 x − k ) LH2 HH2 k [φ(x):スケーリング関数] 縦方向,横方向それぞれ漸 近的に分解 f ( x) = ∑ c0,kφ ( x − k ) k LH1 オリジナル画像 HH1 多重解像度解析 フーリエ変換で決定 c j −1,k = ∑ al −2 k c j ,l ( j ≤ 0) d j −1,k = ∑ bl −2 k c j ,l ( j ≤ 0) l l 1 1 pk , bk = qk , pk = 2hk , qk = (−1) k pl − k 2 2 hk = {0.026670057901, 0.188176800078, ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅ ⋅} ak = 4 多重解像度解析による画像処理 LL3 HL3 LH3 HH3 HL2 HL1 LH2 HH2 LH1 オリジナル画像 HH1 符号化後 原画像 (LL0) 復号化後 LL1 LL2 ・ ・ LL 3・ HL1 HL2 HL3 LH1 LH2 LH3 HH1 HH2 HH3 LL(横:低周波 縦:低周波) HL (横:高周波 縦:低周波) LH (横:低周波 縦:高周波) HH (横:高周波 縦:高周波) 5 時間軸を考慮した多重解像度解析と画像鮮明化 Frame X T Y 6 従来技術とその問題点 オリジナル画像 空間コンパウンドスキャン法 http://www.aloka.co.jp 問題点 • ノイズは目立たなくなるが,除去されていない • 組織像の輪郭が曖昧 7 新技術の特徴・従来技術との比較 組織輪郭の抽出を妨げない ノイズ除去方法 • 時間軸を考慮することによりノイズを 的確に抽出 • Wavelet解析を利用した多重解像度 解析を適用 8 実施例 オリジナル動画 ノイズ (a)オリジナル画像 (b)多重解像度解析結果 縦軸:縦方向 横軸:時間軸 について表示 図(a)拡大 (c)ノイズ除去後の画像 図(b)拡大 9 想定される用途 エコー波形にWavelet解析を適用 すると組織境界を的確に抽出可能 Wavelet解析の一手法である多重 解像度解析(MRA)をエコー画像に 適用 エッジ強調とノイズ除去(低減)の双方 を,同時に行える 10 想定される業界 その1 • 利用対象 医療用超音波診断装置 • 市場規模 矢野経済研究所(YDB)調査では、上記の市場規模 であり、2004年では、約500億円の市場である。 11 想定される業界 その2 • 利用者・対象 産業用超音波診断装置 • 市場規模 非破壊検査装置市場(YDB)調査 2,380億円(2005年)市場 超音波関連装置が約50%(約1,000億円市場) 12 実用化に向けた課題 • 現在、皮下から30mm程度の組織,ファント ムを観察対象として着手。 • 今後、内蔵組織等の深部領域への対応を図 る。 – 使用した超音波エコー装置は、健康産業用との ため、出力小 13 企業への期待 (1)超音波を用いた医療技術 – 医療用途としては、超音波画像診断装置以外にも、一 部の臓器の観察システムや血管観察システムへの Wavelet解析によるSN比改善技術展開が考えられる。 (2)産業用途超音波関係技術 – 非破壊検査技術以外に、魚群探知機、速度感知装置 など、SN比改善による測定精度向上が考えられる。 (3)超音波技術以外の分野応用 – PET、MRIなど放射線利用診断装置にも、SN比改善 による測定精度向上展開が考えられる。 14 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 – 3次元ウェーブレット解析を利用した超音波 画像の鮮明化手法 • 出願番号 • 出願人 • 発明者 :特願2009-204635 :新潟大学 :尾田雅文,武田知己 15 本技術に関連する知的財産権 • 発明の名称 – 3次元形状の計測装置およびその計 測データによる義肢のソケット形状設 計装置 • 特許番号 :4304341 • 出願人 :新潟大学 • 発明者 :尾田雅文,花房昭彦 16 産学連携の経歴 • 2004/04 - 現在 モバイル関連機器部品製造企業と共同研究 • 2005/08 - 2006/03 – 経済産業省「中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち実用化研 究開発事業(補助金)」採択(モバイル関連機器部品製造企業と 連携) • 2006/07 - 2007/01 – JSTサテライト新潟・研究成果実用化検討(FS)課題採択 • • • • 2006/04 - 2007/03 2007/07 - 2008/03 2008/07 - 2009/03 2009/07 - 2010/03 機器設計企業と共同研究 JSTシーズ発掘試験採択 JSTつなぐしくみ採択 JSTシーズ発掘試験研究採択 17 お問い合わせ先 新潟大学 地域共同研究センター 産学官連携コーディネーター 長濱,後藤,定塚 TEL 025-262-7554 FAX 025-262-7550 E-mail kenkyu@ccr.niigata-u.ac.jp 18
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