1つのコンバータICで、12Vから140Vに簡単に昇圧

1 つのコンバータ IC で、12V から 140V に簡単に昇圧
デザインノート1033
Victor Khasiev
LTC3788 では、1 番目の昇圧段がその同期整流の
メリットを利用するように構成できます。これにより、
従来の 1 段昇圧トポロジでは、非常に低い電圧から
効率を最大化し、電力損失を減らし、熱的要件を緩
高い電圧を生成するためには、多くの課題がありまし
和します。同期整流を使用する場合、このコントロー
た。 例えば、昇圧コントローラの最大デューティ・サ
ラの最大出力電圧は 60V です。60V より高い電圧
イクル制限によって、必要な昇圧比が得られないこと
が必要な場合、2 番目の段を非同期で実行するよう
があります。もし、必要な昇圧比が得られたとしても、
設計できます。これについて、次のセクションで述べ
通常、デューティ・サイクルが高くなると、効率が著
ます。
しく低下します。デューティ・サイクルは、不連続動
作モードを選択すると短くできますが、
そうすると、
ピー 2 段昇圧による 12V から 140V への変換
ク入力電流が大きくなり、損失が増加し、EMI の問
図 1 のブロック図に、2 段昇圧構成の LTC3788 を
題が生じます。
示します。このブロック図から、この設計で注意すべ
シングル昇圧コンバータの代わりに、2 段昇圧コン き、次のようないくつかの点も明らかになります。
バータを使用することができます。1 段目で中間電
nn 第 1 段の出力
(Q1、
CINT)が第 2 段の入力(RS2、
圧を生成し、2 段目で最終的な高電圧まで昇圧する
L2)に接続されています。 第 1 段の出力は 40V
®
のです。2 段コンバータは、LTC 3788 など のシ
を超えてはなりません。 なぜなら、SENSE ピン
ングル・コントローラ IC で構成することができます。
の絶対最大定格が 40V だからです。
LTC3788 は、高性能 2 フェーズ・デュアル出力同
n
n
ロジック・レベル MOSFET には 5V のゲート駆動
期整流式昇圧コントローラで、全ての N チャネル・パ
電圧が最適ですが、標準ゲート電圧が 7V ~ 12V
ワー MOSFET を駆動します。
の高電圧規格の MOSFET では、そうではありま
せん。この図に示すように、BG2 信号で制御さ
40V ABS MAX
CINT
れる外付けのゲート・ドライバ DR を使用して、高
Q1
L1
RS1
U1
電圧規格の MOSFET を駆動できます。
V
TG1
SW1
PGOOD1
SS1
ILIM
FB1
ITH1
SENSE1+
はじめに
GND
BOOST1
FREQ
BG1
PHASMD
VBIAS
CLKOUT
EXTVCC
SGND
INTVCC 5V
TG2
SW2
PGOOD2
SS2
ITH2
BOOST2
FB2
BG2
RUN2
SENSE2+
RUN1
SENSE2–
VOUT
COUT
PGND
LTC3788
PLLIN/MODE
GND
IN
Q2
SENSE1–
D1
L2
DR
GND
RS2
Q3
GND
7V TO 10V
MOSFET
DRIVER
DN1033 F01
図 1.LTC3788 を使用した 2 段昇圧コンバータの
ブロック図
09/15/dn1033f
nn
60V の上限を超える出力電圧を生成するには、
同期整流式 MOSFET をシングル・ダイオード D1
に置き換えます。
このソリューション全体を図 2 に示します。1 段目は
トランジスタ Q1、Q2 およびインダクタ L1 で構成さ
れ、
38V の中間バス電圧が生成されます。1 段目では、
効率を最大化するため、同期整流が採用されていま
す。1 段目の出力は、2 段目の入力として接続され
ています。2 段目は、Q3、D1、L2 で構成されます。
2 段目の出力は、140V/1A です。
L、LT、LTC、LTM、Linear Technology および Linear のロゴは、
リニアテクノロジー社の登録商標です。その他すべての商標の所有権は、
それぞれの所有者に帰属します。
12.1k
SGND
INTVCC
RUN1
BG2
12.1k
4.7μF
8.2V
SNS2+
SNS2–
100pF
2.7k
6.98k
2x0.47μF/450V
C4532X7T2W474M
Q4
MMBTA42LT1G
+
VOUT
22μF/200V
EEVEB2D220SQ
GND
D1
SBR10U200P5130
0.1μF
15nF
VOUT 140V AT 1.0A
DRIVER BIAS
CIRCUIT
VIN
82μF/50V
50HVH82M
GND
V_INT
1μF
+
Q2
BSC028N06LS3G
5.1k
TG2
SW2
PGOOD2
SS2
ITH2
FB2
GND
309k
VIN 3V TO 36V
4x4.7μF
BOOST2
RUN2
SENSE2+
V_INT
EXTVCC
SENSE2–
2.21k
SENSE1– SENSE1+
L1, 6.8μF
SER2915H682 RS1, 0.002Ω
0.1μF
PGND
LTC3788EUH
PLLIN/MODE
82μF/50V
50HVH82M
Q1
BSC067N06LS3G
VBIAS
VBIAS
CLKOUT
VBIAS
BAS140W
BG1
PHASMD
+
4x4.7μF
0.1μF
BOOST1
FREQ
42.2k
TG1
SW1
PGOOD1
SS1
FB1
ITH1
SENSE1+
SENSE1–
U1
INTERMEDIATE BUS
15nF
SNS1–
V_INT
0.1μF
ILIM
8.66k
SNS1+
100pF
374k
U2
L2, 100μH
PCV210405L
VBIAS
LTC4440
BST
VCC
GND
TG
IN
TS
SENSE2–
SENSE2+
RS2, 0.01Ω
Q3
BSC320N20NS3
806k
DN1033 F02
図 2.2 段 140V 出力 1A 昇圧コンバータの全体回路図
このソリューションの入力電圧範囲は 3V ~ 36V、標
準値は 12V です。コンポーネントの熱的ストレスを
削減するには、入力電圧が 10V を下回ったときに出
力電流を減少させる必要があります。 図 3 は、測定
された効率、図 4 は、起動時の波形を示します。入
力電圧 24V、出力電圧 140V、0.4A ~ 1A の負荷
で 93% の効率が得られることが分かります。このコ
ンバータは、エアフローなしで全負荷で動作できます。
94
92
EFFICIENCY (%)
トランジスタ Q3 は、LTC4440 で駆動される標準レ
ベルの MOSFETです。ここで、
トランジスタQ4 をベー
スとする LDO でゲート・ドライバにバイアス電圧を印
加しますが、全体的な効率をさらに向上させるため、
スイッチング・レギュレータ(LTC3536 をベースとす
るものなど)をその代わりに採用することができます。
90
88
86
84
24V
12V
8V
0
0.2
0.6
0.4
LOAD CURRENT (A)
0.8
1
DN1033 F03
図 3.図 2 の 2 段コンバータの効率
[VIN 8V ~ 24V、VOUT 140V]
まとめ
LTC3788 は、高電力、高電圧アプリケーションに最
適な高性能 2 フェーズ・デュアル出力同期整流式昇
圧コントローラです。デュアル出力をタンデム接続で
使用して、高電圧への極めて高い昇圧比を実現でき
ます。
DN1033 F04
図 4. 起動時の波形
[VIN 12V ~ VOUT 140V、1A 時 ]
データシートのダウンロード
www.linear-tech.co.jp/LTC3788
リニアテクノロジー株式会社
102-0094 東京都千代田区紀尾井町 3-6 紀尾井町パークビル 8F
TEL(03)5226-7291 FAX(03)5226-0268
http://www.linear-tech.co.jp
dn1033f LT 0915 • PRINTED IN JAPAN
© LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 2015