みずほ日本経済情報 - みずほ総合研究所

みずほ日本経済情報
2016年8月号
◆ トピック
経済対策の効果と課題
事業規模28兆円余りの経済対策は、GDPを累計で1%強
押し上げる計算。もっとも、建設業の人手確保、給付措置
の効率性などには課題も
◆ 景気判断
現状は踊り場。先行きは緩やかに持ち直し
輸出・生産は横ばい圏で推移している。雇用・所得情勢は
引き続き堅調だが、個人消費は依然として弱含んでいる。
この間、消費者物価は前年割れが続いている
1.総
括
日本経済の現状と先行
き
日本経済は踊り場にある。輸出・生産は横ばい圏で推移しているほか、個
人消費は弱含みが続いている。経済の活動水準は潜在生産量(物価変動に対
して中立的とみられる生産量)を引き続き下回っている。
先行きの日本経済は、円高が重石となるものの、公共投資の進捗などを支
えに、緩やかに持ち直すとみられる。ただし、経済活動の水準は、潜在生産
量を下回る状態が続く見込みである。
民需の低迷が続くなか、政府は今月 2 日、
「未来への投資を実現する経済対
トピック
「経済対策の効果と課
策」を閣議決定した。事業規模は総額 28.1 兆円と大きく膨らんだが、そのう
ち財政措置が 13.5 兆円、財政投融資を除いた真水部分は 7.5 兆円(うち地方
題」
の歳出分 1.3 兆円)となる。今回の対策は、公共投資を中心に、GDPを累
計で 1.1%程度押し上げると試算される(図表 1)
。ただし、公共投資につい
ては、2016 年入り後に建設業における人手不足が再び顕在化していることか
ら(詳細は政府部門の項を参照)
、進捗には一定の期間を要し、毎年の成長率
への影響は 0.1~0.3%程度とみている。なお財政投融資による事業は本格的
な実施が 2020 年代以降とみられ、当面の景気への影響は限られるだろう。
家計関連では、子育て・介護分野の環境整備などのほか、低所得者に対す
る給付(
「簡素な給付措置」の一括支給)が盛り込まれた。一般的に低所得世
帯ほど消費性向が高いため、給付措置は消費底上げに寄与することが期待さ
れる。一方、低所得でも十分な流動資産を保有していれば、消費性向が低く
なることを指摘する研究もある。低所得世帯の貯蓄分布をみると、無貯蓄が 3
割弱を占める一方、1,000 万円以上の貯蓄を有する世帯も 2 割程度あり(図表
2)
、給付措置が効率的な消費の増加につながらない可能性がある。家計支援
策は所得で線引きされることが多いが、消費増加の効率性、また支援策の公
平性の観点から、貯蓄分布にも目を向ける必要があろう。
図表 1 経済対策の押し上げ効果(試算)
公共工事
GDP押し上げ効果
約3兆円
0.75%
所得階級別の貯蓄分布
100%
備考
90%
80%
貯蓄額
70%
2016年度
補正予算
給付金
約0.35兆円
0.02%
約1.25兆円
0.22%
雇用保険料の軽減 約1.0兆円
0.10%
その他
2017年度
当初予算
国費
図表 2
合計
2017年度夏に給付予定
2000万~
60%
1000~2000万
50%
500~1000万
40%
2017年度から実施予定
~500万
30%
なし
20%
その他
約0.6兆円
0.04%
約6.2兆円
1.12%
10%
0%
低所得世帯
(注) 低所得者に対する給付金については、昨年度の給付金実施時と同程
度の事務費がかかると想定。GDP押し上げ効果には、地方の歳出
部分を含む。8 月 9 日時点で入手できた資料に基づく。
(資料)みずほ総合研究所作成
1
中所得世帯
高所得世帯
(注)2013 年の大規模調査の値。所得階級第 1・2 分位を低所得、第 3・4
分位を中所得、第 5 分位を高所得世帯とした。貯蓄額不詳を除く。
(資料) 厚生労働省「平成 25 年国民生活基礎調査」より、
みずほ総合研究所作成
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
図表 3
景気判断
7月
8月
(現状判断)
(現状判断)
(先行き判断)
総括
対
外
部
門
企
業
部
門
家
計
部
門
経済活動の方向性
踊り場にある
踊り場にある
緩やかに持ち直す
経済活動の水準
潜在生産量を下回っている
潜在生産量を下回っている
潜在生産量を下回る状態が続く
海外経済
緩やかに回復しているものの、力強さを欠いている
緩やかに回復しているものの、力強さを欠いている
緩やかな回復を維持するものの、
当面力強さに欠ける状況が続く
対外交易環境
前年に比べて大幅な改善を続けている
前年に比べて大幅な改善を続けているが、
改善幅は徐々に縮小している
改善幅が徐々に縮小する
輸出
横ばい圏で推移している
横ばい圏で推移している
横ばい圏で推移する
輸入
上向きつつある
上向きつつある
緩やかに増加する
生産・サービス活動
横ばいで推移している
横ばいで推移している
緩やかに回復する
企業マインド
弱含んでいる
弱含んでいる
横ばいで推移する
設備投資
足踏みしている
足踏みしている
緩やかに回復する
緩やかな回復が続く
雇用者所得
回復傾向にある
回復傾向にある
消費者マインド
弱含みが続いている
横ばいで推移している
徐々に持ち直す
個人消費
弱含んでいる
弱含んでいる
当面は力強さに欠ける
住宅着工
増加している
増加基調にある
徐々に弱含む
公的需要
上向きつつある
上向いている
緩やかな増加が続く
税収
増勢に鈍化がみられる
増勢に鈍化がみられる
横ばい程度で推移する
国内企業物価
前年比大幅なマイナスが続いている
前年比大幅なマイナスが続いているものの、
持ち直しの兆しをみせている
前年比マイナス幅は緩やかに縮小する
消費者物価
前年比マイナスで推移している
前年比マイナスで推移している
前年比マイナスが続く
金融政策
金融緩和を進めている
金融緩和を進めている
2016年内にもう一段の金融緩和を実施する
政
府
物
価
(注) 1.矢印の向きは景気の方向性を示している。上向きが拡大局面、横向きが横這い局面、下向きが後退局面を意味する。
2.矢印の色は生産の水準感を示している。白は潜在生産量を上回る、紺は潜在生産量を下回る、白紺の縦縞は潜在生産量程度
の生産量を意味する。
3.先行き判断は、3 カ月程度先の経済の動きに関する判断を示している。
(資料) みずほ総合研究所
図表 4
景気動向指数
CI 先行指数
CI 一致指数
CI 遅行指数
DI 先行指数
DI 一致指数
DI 遅行指数
全産業活動指数 全産業
鉱工業
第3次産業
建設業
国民経済計算 実質GDP
前期差、Pt
前期差、Pt
前期差、Pt
%
%
%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比年率、%
民需
公需
外需
名目GDP
寄与度、%Pt
寄与度、%Pt
寄与度、%Pt
年率、兆円
前期比、%
GDPデフレーター
内需デフレーター
前年比、%
前年比、%
景気の全体観を示す主要統計
FY2014 FY2015
▲ 1.1
0.9
▲ 0.5
▲ 1.0
▲ 1.1
1.4
▲ 3.5
1.2
▲ 0.9
0.8
▲ 1.5
0.6
▲ 0.1
0.2
0.6
0.1
489.6
500.4
1.5
2.2
2.4
1.4
2.1
▲ 0.2
2016Q1 2016Q2 2016Q3
0.1
0.3
n.a.
▲ 1.0
0.0
n.a.
0.3
0.2
n.a.
0.6
1.6
n.a.
0.5
n.a.
n.a.
1.9
n.a.
n.a.
0.2
n.a.
n.a.
0.1
n.a.
n.a.
0.2
n.a.
n.a.
503.2
n.a.
n.a.
0.6
n.a.
n.a.
0.9
n.a.
n.a.
▲ 0.5
n.a.
n.a.
2016/03 2016/04 2016/05 2016/06 2016/07
0.0
0.9
▲ 0.3
0.0
n.a.
0.8
1.8
▲ 2.6
1.3
n.a.
0.4
1.0
▲ 2.4
0.5
n.a.
31.8
50.0
60.0
83.3
n.a.
40.0
44.4
55.6
50.0
n.a.
66.7
62.5
37.5
40.0
n.a.
0.4
0.8
▲ 1.0
n.a.
n.a.
3.8
0.5
▲ 2.6
1.9
n.a.
▲ 0.2
0.8
▲ 1.2
0.8
n.a.
▲ 1.6
2.0
1.5
n.a.
n.a.
-
(注) 1.全産業活動指数の産業別内訳のうち、鉱工業は鉱工業指数、第 3 次産業は第 3 次産業活動指数の値。
2.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
3.2016 年 6 月の値が発表されていない指標の 2016 年 4~6 月期の前期比・前期差は、4・5 月の 1~3 月期に対する変化率。
(資料)内閣府「景気動向指数」、「四半期別GDP速報」、経済産業省「全産業活動指数」、「鉱工業指数」、「第 3 次産業活動指数」
2
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
2.対外部門
海外経済
海外経済は緩やかに回復しているものの、力強さを欠いている。米国では 7
月の製造業ISMが前月からやや低下したが(図表 1)
、基調としては上昇傾
向を維持しているほか、
非農業部門雇用者数も前月差+25.5 万人と続伸した。
ユーロ圏のPMIは横ばい圏の動きが続いている。
中国についてはPMIが 5
カ月ぶりに 50 割れとなるなど、回復力の弱い状態が続いている。
今後の海外経済は、緩やかな回復を維持するものの、当面力強さに欠ける
状況が続く見込みである。米国は、個人消費が景気を下支えするだろう。一
方、ユーロ圏については、Brexit 決定に伴う先行き不透明感の高まりが設備
投資などの下押し要因となるため、回復は緩やかなものにとどまりそうだ。
中国経済は財政出動による下支えが期待されるものの、資本ストック調整が
重石となり、減速が続くだろう。
対外交易環境
対外交易環境は、前年に比べて大幅な改善を続けているが、改善幅は徐々
に縮小している。7 月は原油価格の持ち直しから輸入物価のマイナス幅が縮小
し、交易条件の改善幅は先月からやや低下(6 月同+11.5%⇒7 月同+9.8%)
した。
輸入物価のマイナス幅は今後も縮小するとみられ、前年比でみた対外交易
条件は改善幅が徐々に縮小する見通しである。
輸出
輸出は横ばい圏で推移している。6 月の輸出数量指数(※)は前月比+1.3%
(5 月同+2.7%)と 2 カ月連続で上昇した(図表 2)
。欧州向けが 2 カ月連続
の大幅減から反発したほか、米国向けも一般機械を中心に回復した。ただし、
4~6 月期でみれば前期比▲0.1%と横ばい圏の動きとなっている。
米国の製造業PMI新規受注などの先行指標が回復する一方、年初以降米
国では日本からの輸入車の販売台数が低迷している(図表 3)
。円高による下
押し圧力も残存する中、輸出は当面横ばい圏で推移するだろう。
輸入
輸入は上向きつつある。6 月の輸入数量指数(※)は前月比+1.0%(5 月
同+3.2%)と 2 カ連続で上昇した(図表 4)
。輸送用機械や鉱物性燃料が減少
した一方、半導体や通信機を中心に電気機器が全体を押し上げた。
先行きについては、国内の生産活動の持ち直しに伴い、緩やかに増加する
見通しである。
(※)みずほ総合研究所の季節調整値
経常収支
経常収支(季節調整値)は、高めの黒字が続いている。輸出金額の増加を
受けて貿易収支が改善したため、6 月の経常黒字は 19.8 兆円(年率、5 月 17.0
兆円)と増加した。ただし、4~6 月期(18.8 兆円の黒字)でみれば、為替の
影響もあって第一次所得収支が落ち込んだことから、1~3 月期(19.9 兆円の
黒字)対比でみた黒字額は減少している。
貿易収支は、国内経済の持ち直しに伴う輸入数量の増加が見込まれるもの
の、原油価格の水準が低位にとどまることから、当面黒字が続くとみている。
一方、第一次所得収支の黒字幅は、円高の影響から縮小するだろう。その結
果、経常収支の黒字幅は、高水準ながらも徐々に縮小する見通しである。
3
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
図表 1
米欧中の業況感(製造業)の推移
図表 2
60
輸出数量指数の推移
(2010年=100)
115
米ISM指数
ユーロPMI指数
110
中国PMI指数
105
55
合計
米国
EU
アジア
100
95
50
90
85
80
45
15
14
16
75
2014/01
(年)
2014/07
2015/01
2015/07
2016/01
(年/月)
(注)指数が 50 超のとき業況拡大を示す。直近値は 2016 年 7 月。
(注) みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は 2016 年 6 月。
(資料)米サプライマネジメント協会、Markit、中国物流購買連合会より、
(資料) 財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成
みずほ総合研究所作成
図表 3
米国での日本からの輸入車販売台数
(2010年=100)
図表 4
(2010年=100)
米国への自動車輸出台数
160
輸入数量指数の推移
120
米国での日本からの輸入車販売台数
鉱物性燃料
電気機器
輸送用機器
総合
115
140
食料品
110
120
105
100
100
80
95
日本からの
輸入車販売は減速
60
40
90
85
20
2010
2012
2011
2013
2014
2015
2016
80
2014/01
(年)
2014/07
2015/01
2015/07
2016/01
(年/月)
(注)みずほ総合研究所による季節調整値。
(注)みずほ総合研究所による季節調整値。直近値は 2016 年 6 月。
(資料)一般社団法人日本自動車工業会「自動車輸出実績」
、
「自動車統計
(資料)財務省「貿易統計」より、みずほ総合研究所作成
月報」より、みずほ総合研究所作成
図表 5 対外部門の主要統計
海外経済
CPB生産指数
米国
2016/03 2016/04 2016/05 2016/06 2016/07
▲ 0.2
0.7
0.1
n.a.
n.a.
▲ 0.4
0.9
0.9
▲ 0.4
▲ 0.5
1.5
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 1.0
▲ 0.8
0.2
0.4
1.5
0.5
▲ 0.3
▲ 1.8
1.9
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
前年比、%
2.7
14.5
13.4
11.8
n.a.
51.8
51.6
50.2
14.2
50.8
51.7
50.1
12.6
51.3
51.5
50.1
11.3
53.2
52.8
50.0
11.5
52.6
52.0
49.9
9.8
輸出物価
輸入物価
前年比、%
2.9
▲ 1.5
▲ 8.0
▲ 11.8
n.a.
▲ 9.1
▲ 9.6
▲ 11.1
▲ 14.4
▲ 14.0
前年比、%
0.2
▲ 13.8
▲ 18.8
▲ 21.1
n.a.
▲ 20.4
▲ 19.8
▲ 20.1
▲ 23.3
▲ 21.7
実質実効為替レート
輸出数量
米国向け
前年比、%
▲ 4.9
1.3
▲ 3.1
▲ 2.7
7.2
▲ 0.3
n.a.
▲ 0.1
n.a.
n.a.
8.4
1.6
10.2
▲ 2.1
13.7
2.7
20.0
1.3
n.a.
n.a.
0.1
3.4
▲ 4.6
4.7
1.3
5.3
▲ 1.2
▲ 2.1
n.a.
n.a.
1.2
8.5
▲ 2.6
▲ 6.5
▲ 0.4
▲ 4.2
3.7
3.4
n.a.
n.a.
▲ 2.3
1.9
▲ 2.7
▲ 1.7
0.8
▲ 1.6
0.1
1.8
n.a.
n.a.
▲ 0.4
3.1
3.1
▲ 0.3
▲ 0.9
2.3
▲ 0.2
▲ 0.1
n.a.
n.a.
欧州向け
中国向け
対外収支
2016Q1 2016Q2 2016Q3
0.5
0.5
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
ユーロ圏(PMI)
中国(PMI)「国家統計局版」
対外交易環境 対外交易条件
輸入
FY2014 FY2015
2.5
n.a.
3.0
0.9
4.6
ユーロ圏
アジア
製造業の業況
米国(ISM)
輸出
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
DI
DI
DI
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
中国を除くアジア向け
実質輸出
前期比、%
2.8
0.7
▲ 0.1
1.1
n.a.
1.1
▲ 1.4
0.0
4.3
n.a.
輸入数量
前期比、%
実質輸入
経常収支
貿易・サービス収支
前期比、%
年率、兆円
▲ 1.9
▲ 0.8
8.7
▲ 9.3
▲ 2.2
1.2
18.0
▲ 0.6
0.0
0.9
19.9
3.3
0.2
▲ 1.4
18.8
3.4
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
1.3
▲ 2.0
22.8
4.4
▲ 3.1
▲ 3.8
19.5
4.5
3.2
5.0
17.0
2.8
1.0
0.3
19.8
3.0
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
年率、兆円
20.0
20.6
18.7
17.4
n.a.
19.8
17.0
16.8
18.3
n.a.
第一次所得収支
前期比、%
年率、兆円
(注) 1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2.2016 年 6 月の値が発表されていない指標の 2016 年 4~6 月期前期比は、4・5 月平均の 1~3 月期に対する変化率。
3.輸出数量及び輸入数量はみずほ総合研究所による季節調整値。中国を除くアジア向け輸出数量は 2010 年輸出金額ウェイトにより算出。
4.対外交易条件=輸出物価指数÷輸入物価指数。
(資料) 財務省「貿易統計」
、日本銀行「実質輸出入」
、
「国際収支統計」
、
「企業物価指数」
、
「外国為替相場」
、
CPB Netherlands Bureau for Economic Policy Analysis
4
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
3.企業部門
生産・サービス活動
生産・サービス活動は、横ばいで推移している。6 月の鉱工業生産は前月比
+1.9%と大幅に増加した(図表 1)
。前月減少した化学など多くの業種に反動
増がみられたことに加え、輸送機械で震災後の生産復旧の影響が出た模様で
ある。ただし、4~6 月期でみれば、前期比 0.0%と横ばいでの推移にとどま
っている。非製造業は、6 月の第 3 次産業活動指数が前月比+0.8%と 2 カ月
ぶりに上昇し、足元では一進一退で推移している。
先行きについては、緩やかに回復するとみている。鉱工業生産は、7・8 月
の予測指数が高めの伸びであり、日銀短観(2016 年 6 月調査、以下同)から
は海外での製商品需給に底入れ感がみられることから、底堅く推移するだろ
う。サービス活動は回復に向かうも、個人消費が力強さに欠けるため、緩や
かなペースにとどまるだろう。
企業収益・財務
企業収益は弱含んでいる。上場企業の 4~6 月期の四半期決算(8/10 時点で
集計可能な 2,001 社。一部 5 月決算等含む)をみると、経常利益は前年同期
比▲15.7%と、前年同期が好調だったとはいえ、落ち込み幅は拡大している
(図表 2)
。円高などを要因に、大手自動車メーカーの多くが減益となった。
先行きについても、当面弱含むだろう。日銀短観では、想定為替レートが
なお実勢レートよりも円安となっており、依然、業績の下振れリスクが残存
しているといえよう。
企業マインド
企業マインドは弱含んでいる。7 月の景気ウォッチャー調査では、現状判断
DI(企業動向関連)が 45.2(6 月:42.0)と 4 カ月ぶりに改善した(図表 3)
。
足元での受注、売上の回復を指摘するコメントが複数見られた。一方で、輸
出の先行きに対する懸念や企業間の優勝劣敗が明らかになっているという指
摘などもあり、マインドの改善は一部に留まっている模様だ。
今後の企業マインドは、横ばいで推移するだろう。景気ウォッチャー調査
の先行き判断DIは改善したが、これは 6 月に Brexit 問題から低下していた
マインドが、過度な懸念後退により 5 月の水準に戻したに過ぎない。収益の
下振れ懸念もあり、大きな改善までは期待できない状況である。
設備投資
設備投資は足踏みしている。6 月の資本財出荷(除く輸送機械)は前月比
+0.5%と 2 カ月ぶりに増加したものの、昨年夏ごろの水準を回復するには至
っていない。
先行指標である機械受注(船舶、電力除く民需)をみると、6 月は前月比
+8.3%と 3 カ月ぶりに増加した(図表 4)
。ただし、4~6 月期では前期比
▲9.2%と減少したほか、7~9 月期見通し(同+5.2%)もその落ち込みを取
り戻すには至っていない。一方、政策投資銀行の「全国設備投資計画調査」
では、調査対象である大企業の設備投資計画は 5 年連続の増加が見込まれて
いる。先行きは、収益の弱含みや、円高の進展等で設備投資を後ろ倒しにす
る企業も出るものと思われるが、これまで抑制してきた維持更新投資を中心
に、緩やかに回復するとみられる。
5
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
図表 1 鉱工業生産、第 3 次産業活動指数
(2010年=100)
図表 2 上場企業決算の経常利益
(2010年=100)
115
(兆円)
12
106
第3次産業活動指数(右目盛)
(前年同期比、%)
35
金額(水準)
110
105
10
104
8
103
6
102
4
101
2
30
前年同期比(右目盛)
25
20
105
15
10
5
100
95
14/1
14/7
15/7
15/1
16/1
▲ 10
0
100
13/7
▲5
▲ 15
鉱工業生産指数
90
2013/1
0
Ⅱ
Ⅲ
(年/月)
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅰ
2015
Ⅱ
2016
▲ 20
(期)
(年)
(注)上場全産業(除く金融)のうち、2016 年 4~6 月期に決算発表をして
いる 12 四半期連続で経常利益データが集計可能な 2,001 社が対象。
(資料)日経 NEEDS より、みずほ総合研究所作成
図表 3 景気ウォッチャー調査
図表 4 設備投資関連指標
(2010年=100)
135
企業動向・現状判断
65
Ⅰ
2014
(資料) 経済産業省「鉱工業指数」
、
「第 3 次産業活動指数」より、みずほ総合
総合研究所作成
(DI)
Ⅳ
機械受注(船舶、電力除く民需)
資本財出荷(輸送機器除く)
130
60
125
120
55
115
50
110
105
45
100
40
95
35
2012/1
90
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
16/7
2013/1
(年/月)
(資料)内閣府「景気ウォッチャー調査」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
活動
収益・財務
鉱工業出荷指数
鉱工業在庫指数
出荷・在庫バランス
製造工業設備稼働率指数
第3次産業活動指数
建設業活動指数
売上高
製造業
非製造業
経常利益
マインド
設備投資
2016Q1
▲ 1.0
▲ 1.0
前期比、%
▲ 1.2
6.1
▲ 7.3
0.6
▲ 1.1
▲ 3.5
1.4
▲ 0.7
2.4
5.9
5.9
6.3
5.6
▲ 10.5
0.8
▲ 6.7
4.4
3.6
▲ 1.2
1.8
▲ 3.0
▲ 2.6
1.4
1.2
▲ 1.3
▲ 0.7
▲ 1.5
4.9
n.a.
▲ 4.6
10.3
▲ 7.0
4.1
▲ 4.6
▲ 2.3
1.3
▲ 2.0
2.4
▲ 4.3
▲ 0.6
0.3
0.6
▲ 3.3
▲ 2.2
▲ 3.8
▲ 9.3
▲ 6.8
▲ 20.4
▲ 4.5
▲ 5.0
13
6
22
6.7
▲ 1.2
▲ 2.4
▲ 1.1
%Pt
前期比、%
前期比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前期比、%
製造業
非製造業
企業倒産件数
大企業業況判断DI
製造業
非製造業
中小企業景況判断指数
景気ウォッチャー調査DI(企業関連)
機械受注(船舶・電力除く民需)
建築物着工床面積(非居住用)
資本財出荷(除く輸送機械)
ソフトウェア受注額
FY2015
▲ 0.5
前期比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
%Pt
%Pt
%Pt
%Pt
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前年比、%
14/1
建設財出荷
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
企業部門の主要統計
前期比、%
前期比、%
13/7
(注) 季節調整値。機械受注は、後方 3 カ月移動平均。
(資料) 経済産業省「鉱工業指数」
、内閣府「機械受注統計調査報告」
、財務省
「法人企業統計」より、みずほ総合研究所作成
FY2014
生産・サービス 鉱工業生産指数
設備投資(法人企業統計、
ソフトウェア除く)
85
2016Q2
0.0
0.0
▲ 1.3
▲ 2.2
▲ 2.0
0.2
1.6
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 8.0
12
6
19
▲ 9.2
8.3
3.2
1.3
2016Q3
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2016/03
3.8
1.8
2.9
▲ 2.5
3.2
▲ 0.2
▲ 1.6
▲ 12.8
48.8
46.5
5.5
▲ 6.0
2.6
▲ 3.2
2016/04
0.5
1.6
▲ 1.7
▲ 3.5
▲ 1.0
0.8
2.0
▲ 12.1
47.8
45.0
▲ 11.0
▲ 14.0
5.2
4.3
2016/05
▲ 2.6
▲ 2.6
0.4
▲ 1.8
▲ 2.4
▲ 1.2
2.0
▲ 8.0
45.6
43.5
▲ 1.4
47.2
▲ 1.4
1.7
2016/06
1.9
1.2
0.0
▲ 2.2
n.a.
0.8
n.a.
▲ 4.1
46.5
42.0
8.3
▲ 17.1
0.5
▲ 0.5
2016/07
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 7.5
47.8
45.2
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
(注)1.実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2.2016 年 2Q の製造工業設備稼働率指数、建設業活動指数は、2016 年 1~3 月期と 4・5 月平均の比較。
(資料) 経済産業省「鉱工業指数」
、
「第 3 次産業活動指数」
、
「全産業活動指数」
、
「特定サービス産業動態統計調査」
、財務省「法人企業統計」
、日本銀行「全国企業
短期経済観測調査」
、帝国データバンク「全国企業倒産集計」
、商工組合中央金庫「中小企業月次景況観測」
、内閣府「景気ウォッチャー調査」
、
「機械受注
統計調査報告」
、国土交通省「建築着工統計調査報告」
6
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
4.家計部門
雇用者所得
雇用者所得は回復傾向にある。6 月の失業率は 3.1%と前月から 0.1%ポイ
ント改善し(図表 1)
、1995 年 7 月以来の低水準となった。就業者数が大幅に
増加したことが主因である。有効求人倍率は、求人数の増加と求職者数の減
少がともに寄与し、1.37 倍(5 月 1.36 倍)と前月から改善した。6 月の名目
賃金は、特別給与が押し上げ要因となり、前年比+1.3%と 3 カ月ぶりに増加
した。物価調整後の実質雇用者所得(常用雇用×実質賃金(※)
)は、同+3.1%
と堅調に推移している(図表 2)
。
今後も、雇用者所得は緩やかな回復が続くだろう。依然として、中小企業
を中心に非製造業の人手不足感が強いことから、雇用情勢は緩やかな改善が
続く見込みである。名目賃金も緩やかに増加するだろう。円高の影響などに
より企業収益は弱含むものの、タイトな労働需給を背景に、所定内給与は緩
やかな回復が続く見通しである。
(※)消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)を用いて実質化。
消費者マインド
消費者マインドは、横ばいで推移している。7 月の消費者態度指数は、英国
国民投票直後の金融市場の混乱を受けて前月から下落したものの、混乱が長
期化しなかったこともあり、下落幅は小幅にとどまった。今後、雇用者所得
の改善などから、消費者マインドは徐々に持ち直すとみられる。
個人消費
個人消費は弱含んでいる。6 月の消費関連指標は、実質消費支出(二人以上
の全世帯)
が前月比▲1.1%
(4 月同▲1.5%)
と 2 カ月連続の減少となる一方、
消費活動指数が前月比+0.2%と前月(5 月同+0.3%)から 2 カ月連続で増加
し、まだら模様の結果となった(図表 3)
。もっとも、4~6 月期でみれば、実
質消費支出、消費活動指数とも前期から小幅の減少(それぞれ前期比▲0.2%、
▲0.3%)となり、軟調な動きが続いた。オリンピック特需や天候要因などか
ら耐久消費財への支出は増加したとみられるものの、その他の支出は低調だ。
なお、7 月の大手百貨店売上高は、5 社中 3 社が増収となるなど前月から改善
した。もっとも、休日要因(前年より休日が 2 日多い)による押し上げ効果
もあるため、消費の増勢が強まったと判断するのは早計だろう。
先行きの個人消費は、天候要因により一時的に増加する可能性もあるもの
の、可処分所得の伸び悩みが見込まれることなどから、当面は力強さに欠け
ると予測する。
住宅着工
新設住宅着工戸数は増加基調にある。6 月の着工戸数(季調済み年率)は
100.4 万戸(5 月 101.7 万戸)と 6 カ月ぶりの減少となった。持家(前月比
+2.9%)は底堅く推移したが、貸家(同▲2.3%)と分譲住宅(同▲6.2%)
がそれぞれ減少した(図表 4)
。ただし、相続税対策による貸家の押し上げが
続いていることなどから、着工全体の水準は高い。
今後は消費増税延期により駆け込み需要が剥落するため、住宅着工は徐々
に弱含むだろう。
7
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
図表 1 失業率・有効求人倍率の推移
図表 2 実質雇用者所得
(前年比、%)
(倍)
(%)
3.6
1.40
失業率
3.5
5.0
1.35
有効求人倍率(右目盛)
1.30
3.4
物価要因
名目賃金要因
雇用者数要因
実質雇用者所得
2.5
1.25
3.3
1.20
0.0
1.15
3.2
1.10
3.1
▲ 2.5
1.05
3.0
1.00
14/09
14/12
15/03
15/06
15/09
15/12
16/03
▲ 5.0
16/06
15/03
15/09
16/03
(年/月)
(年/月)
(資料)総務省「労働力調査」
「一般職業紹介状況」よりみずほ総合研究所作成
図表 3
(資料)厚生労働省「毎月勤労統計」より、みずほ総合研究所作成
消費関連指標の推移
図表 4 利用関係別住宅着工の推移
(2013年=100)
104
(2013年=100)
103
(年率、万戸)
持家
貸家
分譲住宅
45
102
102
(年率、万戸)
100
消費活動指数(実質・右目盛)
100
16
35
98
99
96
98
94
97
13/03
実質消費支出
(家計調査・左目盛)
13/09
14/03
14/09
15/03
14
30
12
25
10
20
92
15/09
13
16/03
14
15
(年/期)
(資料)総務省「家計調査」
、日本銀行「消費活動指数」より、
みずほ総合研究所作成
14
15
16
(年)
FY2015
2016Q1
2016Q2
2016Q3
2016/03
2016/04
2016/05
2016/06
2016/07
3.5
3.3
3.2
3.2
n.a.
3.2
3.2
3.2
3.1
前期差、万人
38
28
29
9
n.a.
▲ 13
20
2
47
n.a.
倍
1.12
1.24
1.29
1.36
n.a.
1.30
1.34
1.36
1.37
n.a.
新規求人数
前期比、%
所定外労働時間
名目賃金
前期比、%
3.6
2.0
4.2
▲ 1.4
▲ 1.3
▲ 1.2
2.7
▲ 0.3
n.a.
n.a.
▲ 6.7
▲ 0.2
5.7
0.7
3.1
▲ 0.9
▲ 2.3
0.5
n.a.
n.a.
実質賃金
名目雇用者所得(雇用者数×名目賃金)
実質雇用者所得(雇用者数×実質賃金)
消費者態度指数
消費総合指数
前年比、%
0.5
▲ 2.9
1.3
▲ 2.2
▲ 2.5
0.2
▲ 0.2
n.a.
n.a.
0.0
0.7
0.6
2.3
2.2
0.7
0.5
1.0
2.1
2.6
0.4
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
1.5
1.6
2.7
2.8
41.7
▲ 0.0
0.0
0.4
1.8
2.2
40.8
0.1
▲ 0.1
0.4
1.6
2.0
40.9
0.3
1.3
1.8
2.6
3.1
41.8
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
41.3
n.a.
▲ 1.7
▲ 5.0
0.4
▲ 1.6
0.2
0.6
▲ 0.3
▲ 0.2
n.a.
n.a.
▲ 0.2
0.5
▲ 0.7
0.2
0.3
▲ 1.5
0.2
▲ 1.1
n.a.
n.a.
年率、万戸
▲ 4.6
401.0
88.0
27.8
35.8
0.5
443.9
92.1
28.4
38.4
▲ 1.2
395.6
94.7
29.3
38.8
▲ 0.1
414.2
100.5
29.8
42.8
n.a.
406.4
n.a.
n.a.
n.a.
2.3
392.9
99.3
30.7
38.9
▲ 0.3
423.6
99.5
29.3
43.0
▲ 0.1
411.7
101.7
29.6
43.2
▲ 0.8
407.4
100.4
30.5
42.3
n.a.
406.4
n.a.
n.a.
n.a.
年率、万戸
23.6
24.7
25.6
27.1
n.a.
28.9
27.1
28.0
26.2
n.a.
有効求人倍率
消費活動指数(実質)
実質消費支出(二人以上の全世帯)
実質小売業販売額
(注) 1.
2.
3.
4.
5.
(資料)
13
%
就業者数
住宅着工
8
家計部門の主要統計
FY2014
マインド
個人消費
16
(年)
(注)マンションおよび一戸建ては、みずほ総合研究所による季節調整値。
(資料)国土交通省「建築着工統計」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
雇用・所得 完全失業率
一戸建
18
40
101
マンション
20
新車販売台数(乗用車)
合計
持家
貸家
分譲住宅
前年比、%
前年比、%
前年比、%
%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
前期比、%
年率、万台
年率、万戸
年率、万戸
n.a.
実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
2016 年 6 月の値が発表されていない指標の 2016 年 4~6 月期の前期比・前期差は、4・5 月の 1~3 月期に対する変化・変化率。
消費総合指数は四半期系列、月次系列ごとに季節調整がかけられるため、月次平均と四半期値は一致しない。
実質小売業販売額は、みずほ総合研究所による計算値。
新車販売台数はみずほ総合研究所による季節調整値。
総務省「労働力調査」
「家計調査」
、厚生労働省「一般職業紹介状況」「毎月勤労統計」、内閣府「消費動向調査」「消費総合指数」、
経済産業省「商業動態統計」、国土交通省「建築着工統計」、日本銀行「消費活動指数」、日本自動車販売協会連合会等
8
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
5.政府部門
公的需要
公的需要は上向いている。公共投資の一致指数である公共工事出来高は、5
月が前月比+0.4%と 2 カ月連続で増加した(図表 1)
。今後も、公共投資は増
加していくと予想される。先行指標である 7 月の公共工事請負金額は、2015
年度補正予算に盛り込まれた工事の発注が一巡したとみられ、3 カ月連続で減
少した。ただし、年前半にかけて契約が行われた工事が進捗するため、公共
投資は増加基調を維持するだろう。政府消費は、社会保障給付の拡大により
増加傾向が続き、公的需要全体では緩やかな増加が続く見込みである。
税収
税収は増勢に鈍化がみられる。6 月の国税収入は前年比▲1.0%となった。
全体の進捗率は 5.1%と、前年度と同程度で推移している(図表 2)
。雇用者
所得の増加などが続く一方、円高による企業収益の悪化を受けて法人税収が
経済政策
減少するとみられ、今後の税収は横ばい程度で推移するだろう。
政府は 8 月 2 日、
事業規模 28.1 兆円の
「未来への投資を実現する経済対策」
を閣議決定した(図表 3)
。主な内容としては、子育て・介護の受け皿整備や
処遇の改善、外国人観光客 4,000 万人時代に向けたインフラ整備、熊本地震・
東日本大震災からの復旧・復興などが掲げられた。また個人消費の喚起策と
して、
低所得者に対する 15,000 円の給付や雇用保険料の引き下げなどが 2017
年度から実施される予定である。もっとも、事業規模の総額は、リニア中央
新幹線(名古屋~大阪)の整備前倒しなど長期的に実施される政策も含まれ
ており、短期的に国・地方が財政支出を行う金額(真水)は 7.5 兆円にとど
まる。各種報道によると、政府は秋の臨時国会において、約 4 兆円程度を補
正予算に計上し、財源として約 3 兆円の建設国債を発行する予定だ。
公共投資を中心に、経済対策は当面の景気を下支えするだろう。もっとも、
公共事業の実施については、再び人手不足感が高まりつつあることには注意
が必要だ。建設業の労働者不足率は、2014 年 1~3 月期をピークに改善して
いたが、2015 年 10~12 月期を底に再び上昇傾向にある(図表 4)
。建設業に
おける人手不足を背景に、対策に盛り込まれた工事の進捗が遅れる可能性が
ある。
オリンピックや外国人観光客向けのインフラ整備、老朽化した社会資本の
修繕などの建設需要が中長期的に見込まれる中、一定数の建設業就業者の確
保や生産性の向上といった供給制約の解消が必要不可欠といえる。ゼネコン
(総合建設会社)各社も人手不足対策を講じているが、安定的な就業者の確
保にむけ、社会保険制度への加入促進など労働環境の改善、建設業界全体で
各労働者の技能・就労履歴等の管理を行うための就労管理システムの早期活
用、ITやセンサー、ロボット技術を活用した効率化など、複合的な施策の
推進が求められる。
9
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
図表 1
(兆円)
2.0
公共工事出来高・請負金額の推移
図表 2
(兆円)
公共工事出来高
(%)
100.0
1.6
公共工事請負金額(右目盛)
90.0
1.5
1.9
5月
1.4
1.8
税収の進捗率の推移
80.0
2016年度
70.0
2015年度
60.0
50.0
1.3
40.0
1.7
1.2
1.6
30.0
20.0
1.1
10.0
4~6月平均
1.5
13/1
13/7
14/7
14/1
15/1
15/7
0.0
1.0
(年/月)
16/1
4月
7月
10月
1月
4月
(注) みずほ総合研究所による季節調整値。
(資料) 国土交通省「建設総合統計」
、保証事業会社 3 社「公共工事前払金保証統 (資料) 財務省より、みずほ総合研究所作成
計」より、みずほ総合研究所作成
図表 3
経済対策の主な内容
Ⅰ.一億総活躍社会の実現の加速
子育て・介護の受け皿整備
保育士・介護人材の処遇改善
雇用保険料の引き下げ(0.2%)
奨学金制度の見直し
年金受給資格期間の短縮(25年→10年)
低所得者に対する15,000円の給付金(対象者2,200万人)
図表 4
事業規模(兆円)
真水(兆円)
3.5
2.5
(過不足率、%)
3.0
建設技能労働者不足率
(8職種計)
2017年度から実施
2017年度から実施
2017年度から実施
2.0
2017年度から実施
2017年度夏給付予定
Ⅱ.21世紀型のインフラ整備
10.7
1.7
1.0
外国人観光客4000万人時代に向けたインフラ整備
農林水産物の輸出促進と農林水産業の競争力の強化
リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速
10.9
Ⅲ. 英国のEU離脱に伴う不安定性などのリスクへの対応並びに中小企業・ 小規模事業者及び地方の支援
0.6
0.0
中小企業・小規模事業者向けの資金繰り支援
地方創生の推進
Ⅳ.熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対応の強化
3.0
過
剰
2.7
熊本地震、東日本大震災からの復旧・復興
災害対応の強化・老朽化対策
▲ 1.0
12
28.1兆円
合計
図表 5
FY2014
13
14
15
7.5兆円
16
(年/四半期)
(注)過不足率の定義は以下の通り。
(確保できなった労働者数-過剰となった労働者数)/(確保している労働
者数+確保できなかった労働者数)×100
(資料)国土交通省「建設労働需給調査結果」より、みずほ総合研究所作成
(注)真水部分については、地方の歳出部分である 1.3 兆円を含む。
(資料)内閣府、各種報道より、みずほ総合研究所作成
公的需要
建設技能労働者過不足率の推移
政府部門の主要統計
FY2015
2016Q1
2016Q2
2016Q3
2016/03
2016/04
2016/05
2016/06
2016/07
公共工事出来高
前期比、%
5.0
▲ 2.0
▲ 1.5
1.1
n.a.
▲ 0.5
1.7
0.4
n.a.
n.a.
公共工事請負金額
前期比、%
▲ 0.3
▲ 3.8
5.8
6.3
▲ 14.9
0.2
16.8
▲ 14.6
▲ 0.6
▲ 9.7
兆円
▲ 23.3
▲ 19.7
▲ 2.2
0.0
n.a.
▲ 4.7
▲ 9.9
2.7
▲ 3.8
3.1
前年差、兆円
15.3
3.6
▲ 0.3
0.0
n.a.
0.2
▲ 0.4
1.8
n.a.
n.a.
財政フロー 財政資金対民間収支(一般+特別)
一般会計租税・印紙収入
進捗率
所得税収入
兆円
-
-
12.2
2.9
n.a.
2.7
5.5
7.7
2.1
n.a.
会計年度累計、兆円
54.0
56.3
43.1
2.9
n.a.
43.1
48.6
56.3
2.9
n.a.
n.a.
%
-
-
76.5
5.1
n.a.
76.5
86.3
100.0
5.1
前年度差、%
-
-
3.0
▲ 0.0
n.a.
3.0
3.3
0.0
▲ 0.0
n.a.
会計年度累計、前年差、兆円
1.3
1.0
0.8
0.1
n.a.
0.8
1.0
1.0
0.1
n.a.
法人税収入
会計年度累計、前年差、兆円
0.5
▲ 0.2
▲ 0.2
0.1
n.a.
▲ 0.2
▲ 0.2
▲ 0.2
0.1
n.a.
消費税収入
会計年度累計、前年差、兆円
5.2
1.5
2.9
▲ 0.2
n.a.
2.9
3.0
1.5
▲ 0.2
n.a.
n.a.
兆円
1,053.4
1,049.4
1,049.4
1,053.5
n.a.
1,049.4
1,056.4
1,063.9
1,053.5
前年差、兆円
28.4
▲ 4.0
▲ 4.0
▲ 3.8
n.a.
▲ 4.0
▲ 11.0
▲ 5.4
▲ 3.8
n.a.
兆円
843.7
874.6
874.6
882.7
n.a.
874.6
882.6
890.7
882.7
n.a.
国庫短期証券
兆円
154.7
119.9
119.9
118.0
n.a.
119.9
119.7
118.9
118.0
n.a.
借入金
兆円
55.0
54.8
54.8
32.2
n.a.
54.8
40.6
36.4
32.2
n.a.
10億ドル
1,245.3
1,262.1
1,262.1
1,265.4
n.a.
1,262.1
1,262.5
1,254.0
1,265.4
1,264.8
財政ストック 政府債務残高
内国債
外貨準備高
(注)1.公共工事出来高、公共工事請負金額はみずほ総合研究所による季節調整値。
2.公共工事請負金額の 7~9 月期前期比は、7 月の 4~6 月期に対する変化率。
3.税収に関する 2016 年 4,5 月の数値は、2015 年度出納整理期間中の出納分の数値。
(資料)日本銀行「金融経済統計月報」
、財務省「租税及び印紙収入、収入額調」
、
「財政資金対民間収支」
、経済産業省「全産業供給指数」
、国土交通省「建設総
合統計」
、保証事業会社「公共工事前払金保証統計」
10
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
6.物価
国内企業物価
国内企業物価は前年比大幅なマイナスが続いているものの、持ち直しの兆
しをみせている。7 月の国内企業物価指数は前年比▲3.9%(6 月同▲4.2%)
と 2 カ月連続で前月からマイナス幅が縮小した(図表 1)
。原油価格の持ち直
を受けた石油・石炭価格のマイナス幅縮小が寄与した。
先行きを展望すると、引き続き円高が下押し圧力となるものの、原油価格
の持ち直しが今後もエネルギー価格に反映されていくと想定されることから、
国内企業物価指数の前年比マイナス幅は緩やかに縮小していく見通しである。
消費者物価
消費者物価は前年比マイナスで推移している。
6 月の生鮮食品を除く総合指
数(コアCPI)は前年比▲0.5%(5 月同▲0.4%)と、前月から下落幅が拡
大した(図表 2)
。また食料(酒類除く)
・エネルギーを除く総合指数(米国基
準コアCPI)の伸びは同+0.4%(5 月同+0.6%)と前月から鈍化した。為
替の影響を受けやすいテレビなどの教養娯楽用耐久財がマイナスに転じたほ
か(5 月同+5.3%→6 月同▲2.8%)
、宿泊料(5 月同+6.6%→6 月同+4.0%)
の伸びが縮小したことが寄与した。7 月の東京都区部コアCPIは、前年比▲
0.4%(6 月同▲0.5%)と下落幅が縮小した。エネルギー価格の持ち直しを受
けて電気代やガス代のマイナス幅が縮小したことが寄与した。米国基準コア
CPIの伸びは同+0.3%(6 月同+0.4%)と 3 カ月連続で伸びが縮小した。
景気が力強さを欠くなか、円高に伴う輸入物価下落の影響もあり、米国基
準コアCPI上昇率は伸びが鈍化するだろう。今後のコアCPIは、前年比
マイナスが続く見通しである。
金融政策
日銀は 2016 年 1 月の金融政策決定会合において導入した「マイナス金利付
き量的・質的金融緩和」に即して金融緩和を進めている。7 月 28、29 日の金
融政策決定会合では、ETF買い入れ額の増額などの金融緩和の強化を決定
した。会合後の記者会見で黒田総裁は「9 月の会合でこれまでの政策の検証を
行い、検証結果に応じて必要ならば必要な措置をとる」とし、更なる追加緩
和を検討しているともとれる発言をした。
7 月 29 日に公表された「経済・物価情勢の展望」では、先行きの物価見通
しについて、物価の基調が着実に高まり、CPIの前年比伸び率は 2%に向け
て上昇していくとした。4 月時点の見通し対比では、2016 年度は下振れして
いるが、2017、2018 年度については概ね不変とした(図表 3)
。一方で下振れ
リスクとして、海外経済の先行き不透明感が企業の価格・賃金設定スタンス
に与える影響への不確実性が新たに指摘された。必要な場合には追加的な金
融緩和措置を講じるという従来からの文言は残された。
日銀が重視する生鮮食品及びエネルギーを除く総合CPIや刈込平均値は
低下トレンドにあり(図表 4)
、円高などを背景に今後も当面鈍化が続くと予
想される。日銀は 7 月に続き、2016 年内にもう一段の金融緩和を実施すると
予想する。
11
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
図表 1
国内企業物価指数
図表 2
コアCPIと米国基準コアCPI
(前年比、%)
(前年比、%)
3
2.0
2
コアCPI(全国)
1.5
米国基準コアCPI(全国)
1
1.0
0
▲1
0.5
▲2
0.0
▲3
▲4
▲5
13/1
他の加工業種
電子機器・他の機械
化学・非鉄金属
国内企業物価
14/1
13/7
他の素材業種
エネルギー
飲食料品
14/7
15/1
▲ 0.5
▲ 1.0
15/7
16/1
13/1
16/7
13/7
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
(注) 消費税率引き上げの影響を除くベース。
(資料) 日本銀行「企業物価指数」より、みずほ総合研究所作成
図表 3
日銀政策委員のコアCPI大勢見通し
今回見通し
(7月時点)
図表 4
1.5
前回見通し
(4月時点)
2016年度
0.0% ~ +0.3%
<+0.1%>
0.0% ~ +0.8%
<+0.5%>
2017年度
+0.8% ~ +1.8%
<+1.7%>
+0.8% ~ +2.0%
<+1.7%>
+1.0% ~ +2.0%
<+1.9%>
+1.0% ~ +2.1%
<+1.9%>
総合CPI(除く生鮮食品・エネルギー)
刈込平均値(上下10%控除)
0.5
0.0
▲ 0.5
▲ 1.0
商品市況
日本銀行国際商品指数
国内企業物価 総平均
(消費増税の影響を除く)
素原材料
中間財
最終財
企業向け
総平均
サービス価格 (消費増税の影響を除く)
国際運輸を除く
金融・保険
不動産
運輸
情報通信
広告
リース・レンタル
諸サービス
消費者物価 総合
生鮮食品を除く
金融政策
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
(消費増税の影響を除く※当社推計値)
酒類を除く食品・エネルギーを除く
前年比、%
(消費増税の影響を除く※当社推計値)
耐久消費財
半耐久消費財
非耐久消費財
一般サービス
公共サービス
無担保コール翌日物金利(末値)
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
前年比、%
%
13/7
13/1
14/1
14/7
15/1
15/7
16/1
(年/月)
(注) 1.消費税率引き上げの影響を除く前年比伸び率。
2.<>内は政策委員見通しの中央値。
(資料) 日本銀行「経済・物価情勢の展望」より、みずほ総合研究所作成
図表 5
基調的なインフレ率に関する指標
(前年比、%)
1.0
2018年度
(年/月)
(注) 消費税率引き上げの影響を除くベース。
(資料) 総務省「消費者物価指数」より、みずほ総合研究所作成
(資料) 日本銀行「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」より、
みずほ総合研究所作成
物価の主要統計
FY2014 FY2015
▲ 18.8
▲ 35.3
2.7
▲ 3.2
▲ 0.0
▲ 3.3
▲ 3.4
▲ 6.1
0.5
▲ 4.8
▲ 0.5
▲ 0.6
3.3
0.4
0.6
0.4
3.3
0.5
3.7
0.3
3.0
0.3
3.6
▲ 0.2
2.5
▲ 0.2
3.2
0.1
4.1
0.1
3.8
1.2
3.0
0.2
2.8
0.0
2016Q1 2016Q2 2016Q3
▲ 29.6
▲ 18.7
n.a.
▲ 3.4
▲ 4.3
n.a.
▲ 3.5
▲ 4.3
n.a.
▲ 4.1
▲ 1.3
n.a.
▲ 5.3
▲ 6.6
n.a.
▲ 0.5
▲ 1.2
n.a.
0.2
0.2
n.a.
0.2
0.2
n.a.
0.4
0.4
n.a.
0.0
▲ 0.4
n.a.
0.8
1.1
n.a.
▲ 0.8
▲ 1.2
n.a.
0.1
0.6
n.a.
0.6
1.2
n.a.
▲ 1.4
▲ 2.4
n.a.
1.0
0.9
n.a.
0.1
▲ 0.4
n.a.
▲ 0.1
▲ 0.4
n.a.
2016/03 2016/04 2016/05 2016/06 2016/07
▲ 24.4
▲ 21.9
▲ 18.7
▲ 15.3
▲ 15.0
▲ 3.8
▲ 4.2
▲ 4.3
▲ 4.2
▲ 3.9
▲ 3.8
▲ 4.2
▲ 4.4
▲ 4.3
▲ 3.9
▲ 3.3
▲ 1.3
▲ 0.1
▲ 2.4
▲ 2.6
▲ 5.8
▲ 6.4
▲ 6.7
▲ 6.5
▲ 5.7
▲ 0.8
▲ 1.1
▲ 1.3
▲ 1.2
▲ 1.2
0.2
0.3
0.2
0.2
n.a.
0.2
0.2
0.2
0.2
n.a.
0.4
0.4
0.4
0.4
n.a.
▲ 0.1
▲ 0.3
▲ 0.5
▲ 0.6
n.a.
0.7
1.0
1.4
1.3
n.a.
▲ 0.8
▲ 1.1
▲ 1.1
▲ 1.3
n.a.
0.2
0.7
0.6
0.6
n.a.
0.5
1.0
1.5
1.1
n.a.
▲ 1.7
▲ 1.5
▲ 2.7
▲ 2.8
n.a.
1.0
0.9
0.7
0.9
n.a.
▲ 0.1
▲ 0.3
▲ 0.4
▲ 0.4
n.a.
▲ 0.3
▲ 0.3
▲ 0.4
▲ 0.5
n.a.
0.8
2.1
0.7
0.7
0.6
n.a.
0.7
0.7
0.6
0.4
n.a.
0.4
3.0
3.3
4.4
1.3
3.1
0.02
2.2
1.8
▲ 0.6
0.4
0.8
▲ 0.00
2.7
2.0
▲ 1.2
0.4
0.3
▲ 0.00
0.8
1.8
▲ 2.2
0.5
0.8
▲ 0.06
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
2.3
2.0
▲ 1.4
0.4
0.3
▲ 0.00
1.7
1.9
▲ 2.1
0.5
0.7
▲ 0.06
1.3
1.8
▲ 2.5
0.5
0.7
▲ 0.05
▲ 0.6
1.5
▲ 2.1
0.4
0.7
▲ 0.06
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
▲ 0.05
(注) 実数データより変化率を計算しているため、公表値と一致しないことがある。
(資料) 日本銀行「企業物価指数」、「企業向けサービス価格指数」、「日本銀行国際商品指数」「金融経済統計月報」、総務省「消費者物価指数」
12
みずほ日本経済情報(2016 年 8 月号)
2 01 6年 8月 10 日
発行
[執筆担当]
市川雄介(総括)
03-3591-1289
yusuke.ichikawa@m iz uho-ri.co.jp
有田賢太郎(物価)
03-3591-1419
kentaro.arita@miz uh o-ri.co.jp
小西祐輔(企業)
03-3591-1294
yusuke.konishi@mi zu ho-ri.co.jp
宮嶋貴之(個人消費)
03-3591-1434
takayuki.miyajima @m izuho-ri.co.jp
松浦大将(外需)
03-3591-1435
hiromasa.matsuura @m izuho-ri.co.jp
上里 啓(雇用)
03-3591-1284
hiromu.uezato@miz uh o-ri.co.jp
高瀬美帆(住宅)
03-3591-1416
miho.takase@mizuh o- ri.co.jp
川口 亮(政府)
03-3591-1243
ryo.kawaguchi@miz uh o-ri.co.jp
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