<建機車両> ◇中国の油圧ショベル、2016 年6月実績は前年同月比 7.6%増 現地筋によると、中国のショベルメーカー主要 27 社の 2016 年6月販売実績は 4,461 台となり、前年同月 の 4,145 台から 7.6%増加した。1~6月累計(29 社ベース*)では、前年同期の3万 8,212 台から 2.05% 減の3万 7,467 台だった。(*2016 年3月:アトラス、4月:現代京城が統計から脱会) 6月の販売のうち 13 トン以下の小型機は構成比 49.1%、13~30 トンの中型機で 38.8%、30 トン以上の大 型機は 11.3%。またブランド別では中国国産 52%、日系 23%、欧米系 18%、韓国系7%の構成。メーカー 別販売台数は、①三一 781 台②CAT659 台③柳工 348 台④コマツ 290 台⑤山河智能 277 台---。うち、13 トン以下の小型機は①三一 371 台②山河智能 236 台③柳工 176 台--、30 トン以上の大型機は、①CAT140 台②三一 80 台③コマツ 54 台--の順。 1~6月(29 社ベース)販売台数は、3万 7,467 台(前年同期3万 8,212 台)で前年同期比 2.05%減だっ た。内訳は小型機2万 861 台、1万 3,055 台、大型機 3,551 台。 また、6月の輸出は 791 台(前年同月 594 台)で前年同月比 33.2%増加した。1~6月の輸出は 3,713 台 (前年同期 2,912 台)で前年同期比 27.5%増加した。 中国における油圧ショベルの販売は、2014 年3月から 16 年1月まで 23 カ月マイナスが続いた。今年に 入って2月と3月はプラスとなったものの、4月、5月ともマイナス。春節時期の違いもあるが、今年につ いては「Tier3 の中国版」という排ガス規制導入により、各社とも第1四半期(1~3月)に販売押し込ん だことの反動減が 中国ショベル販売シェア (16年6月推定) 出た形。コマツな ど外資系メーカー 各社は、新車需要 の回復には時間を 要するとの見立て 三一 17% その他 29% で、少なくとも CAT 15% 2016 年の回復は無 いとの見方が主 流。また、確実に 代金回収の見込み のある上客相手の 徐工 6% 日立 6% コベルコ 6% ビジネスに転換し ているようだ。 1 コマツ 7% 山河智能 6% 柳工 8% また、現地メーカー数社で 30~40 トン級の大型機が海外からスポット受注があり、油圧機器など部品の 受注・売上も回復、現地工場での稼働率も高まってきた。 中国では 2016 年4月1日より全てのオフロード車両機械の製造・販売においてディーゼルエンジンの排 出ガス規制(第3段階)を実行、旧型エンジン搭載の機械が販売できなくなったため、第1四半期に販売促 進を展開した。 ショベル需要は、 中国政府の鉄道、 水利など各種プロジェクトが打ち出されていることもあり KOMTRAX にみる機械稼働率は2月から5カ月連続プラス。ただ、依然として市中にある機械の在庫調整中とみられ、 新車需要の回復に至っていない。今後、買い換え需要も見込める中国市場は、稼働率が安定して継続すれば 更新需要に火がつく可能性もある。 ◇中国建機業界、下押し圧力解消せず、回復基盤は未だ地につかず -建機工会長と秘書長らがコメント、中国工業報より要訳- 中国建設機械(工程机械)工業会の祁俊会長は先 1-6月の年別比較 頃、「現在の建設機械市場情勢は依然として楽観を 140,000 許していない。2016 年1~3月の数値が前年同期 120,000 比で多少回復したけれども、4月に入ると、業界の 100,000 販売量などの指標は再び前年同月比下落となった。 80,000 これは、 中国建機業界の景気下げ止まり回復基盤が 60,000 依然として未だ地についておらず、業界はまだ引続 40,000 き谷底をしばらく歩むかもしれない」と現地紙のイ 20,000 ンタビューに答えている。同会長はさらに、「ハイ 0 10 エンド製品の需要が相対的にタイトで、しかもロー 11 12 13 14 15 16年 1-6月累計 エンド製品が生産能力過剰で、需給が著しくバラン スを失っていることが、現在業界全体が直面してい るハードルである」と述べた。---6月 29 日、中国工業報より要訳。 祁俊会長は、 「建機業界と企業は厳しい経営環境に直面しているが、このことで自信を失ってはならない。 わが国の建機業界はかつての高成長に再び戻ることはなく、 今後3~4年間は安定段階に入っていくことに なるが、グローバルでみた需要は依然として見るべきものがある。現在、米国、日本等先進国の建機産業は とっくに成熟期に入っているが、海外市場への拡張及び“価格発展モデル”で受益する中、企業は依然持続 的発展を維持しており、運営指標と品質はすべて現在の中国建機メーカーより高い。中国企業から見れば、 ピーク時にはピーク時の発展モデルがあり、安定期にもそれに相応すべきモデルがある。肝心なことは、中 2 国企業は出来るだけ早く観念(考え方)を変え、積極的に行動し、品質向上と利益の追及を最優先にしなけ ればならない」と述べている。 ■下落持続の圧力が増大 統計によると、今年5月分の全国主要ショベルメー クラス別構成比(16年1-6月) カ27 社の総販売台数は5,487 台で、 前年同月比3.97% 減少した。1~5月の主要パワーショベルメーカー29 社の合計販売台数は3万 3,006 台で、前年同期比 30t以上 9% 3.11%の減少である。うち、小型パワーショベル販売 台数は1万8,672 台、 中型パワーショベルは1万1,367 台、大型は 2,967 台である。パワーショベルは建機業 13ー30t 35% 界の風向計として、その販売台数データは業界内の人 13t以下 56% に最も注目されている。 中国建機工の統計が示すデータによると、前4カ 月、わが国の多くの種類の主要建機製品の販売台数は プラス成長を回復したが、販売台数1万台以上の製品別では、ローダを除いて、パワーショベル、産業車両 の販売台数はプラス成長を実現し、ブルドーザー、グレーダーとスプレーダの販売台数は前年比より伸びは 早く、伸び率は 10%近く或いは超えている。同時に、いくつかの種類の製品販売台数の減少幅も縮まって いる。 これに対し、中国建設機械工業会の蘇子孟常務副会長兼秘書長は、「苦境から抜け出すには、国際需要管 理と供給側の構造的改革とを結びつけ、構造転換とグレードアップを加速し、発展の基礎を突き固めなけれ ばならない。業界データに上向きの兆しがあるけれども、業界全体としては依然下向き途上にあり、直面し ているハードルは相変わらず厳しい」と指摘している。 蘇子孟常務副会長兼秘書長は、先日の北京における「第 14 回中国(北京)国際建機、建築機械と鉱山機 械展覧会及び技術交流会」での記者会見で、「当面の世界経済は正に深度調整時期に置かれており、世界経 済は依然として困難が山積みしている。 中国経済が安定し回復するのを制約する不利な要素は依然存在して おり、建機業界の有効需要不足、立ち遅れた生産能力の過剰、企業業績の下落状況は依然根本的解決が見ら れず、業界の深度調整は依然として続くであろう」と述べている。 1~4月統計では、 業界内企業収入と利益総額など多くの項目指標の前年対比は依然として減少態勢を示 しており、利益総額の前年対比は 149.2%の減少である。業界の輸出データから見ると、前4カ月の我が国 建機製品の輸出、輸入及び輸出入額の同比下げ幅に縮小の兆しが見られてはいるが、各項のデータは依然と してマイナス成長区間にある。 3 蘇子孟常務副会長兼秘書長は、「現在業界の減少圧力は依然取り除かれておらず、第1四半期のデータに 現れた積極的変化は、主に排出ガス基準によるグレードアップが製品のグレードアップをもたらし、プラス に転じたことによるものである。多くの不確定要素が国際建機市場の需要を持続して減速至らしめており、 一部の企業、 特に大中企業の業績下落局面は未だ変わっておらず、 業界の構造調整と供給側の構造的改革は、 予期した目標には遠く及んでいない」としている。 ■市場チャンスはまだある さらに、「中国経済の未来発展動向から見ると、経済発展が長期に良い方向にあるとするファンダメンタ ルズには変わりはなく、経済の粘り強い性質は良く、潜在力は十分あり、行動の余地空間の基本的特質には 変わりはなく、経済の持続成長を支える良好な基礎と条件には変わりはなく、経済構造の調整最適化の見通 しには変わりはない。 今後数年、国は供給側の構造的改革と財務財政体制改革を強力に実施し、社会経済発展のために良好な環 境をつくる。“大衆の創業、万人の創新”と“インターネット+”の新しいモデルを強力に提唱し、経済発 展のために持続的に新しい動力をつぎ込む。 また、“中国製造 2025”を深く推し進め、工業強化基地を立上げ、グリーン製造、ハイエンド設備等の 重大工事、製造業の構造転換とグレードアップを促す。“一帯一路”プロジェクトの建設を深く推し進め、 国際生産と能力の強化、京津冀(北京市、天津市、河北省)共同発展計画綱要の遂行、長江経済ベルト発展 の加速、新東北地区老工業基地新興戦略及び貧民区(中:棚戸区)改造、内地の河川航路、都市の地下管路 網建設等重大プロジェクトの実施は、すべて建機業界の回復発展にチャンスをもたらすであろう。 国内市場から見ると、国家発展及改革委員会と交通部が最近新しく公布した“交通インフラの重大工事建 設3年行動計画”は次のように指摘している。 “十三次五ヵ年計画”期間は国の交通インフラの重大工事建設の重要段階で、2016~2018 年は鉄道、自 動車道路、空港、都市交通プロジェクト 303 項目の実施が重点的に推し進められるであろう、プロジェク ト総投資額は約 4.7 兆元に及び、うち 2016~2018 年の毎年の投資額は、それぞれ 2.1 兆元、1.3 兆元と 1.3 兆元で、国の新しい交通インフラの投資機会は絶え間なく現れて来ている。 国際市場から見ると、“一帯一路”戦略の持続的推進と国際的生産能力の協力(合作)は、建機業界に新 しいチャンスをもたらすであろう、経済回廊を拠り所とし、交通インフラ建設を突破口として、シルクロー ド沿線諸国の現有インフラがいずれも脆弱であることから、 アジアインフラ投資銀行とシルクロード基金等 の関連資金の共同支援のもと、沿線国家にはインフラ建設高まりが起きるであろう。 IMF(国際通貨基金)は今後5年、アジア新興経済体は世界経済発展を先導する原動力となるであろうと 予測している。 ADB(アジア開発銀行)の試算によると、2020 年までは、アジア地区では、毎年のインフラ投資需要は 4 7,300 億米ドルに達し、インフラ投資全体の投資は8億米ドルを超えると見込まれ、新しい投資の高まりを 引き起こすであろう。 蘇子孟常務副会長兼秘書長は、「業界に存在する客観的な問題を正視しなければならず、やみくもに数量 の増加を求めてはならない。インテリジェント化、グリーン化、オアシス化(中:宜人化)の業界発展動向 をつかみ、製品の信頼性と耐久性を向上させ、製品の国際的競争力をさらに引き上げて、“一帯一路”の提 唱のもと、積極的に国際生産能力との協力を推し進めて、需要管理と供給側の構造的改革とを結び付け、有 効需要を増やし、業界発展の基礎を全面的に打ち固めることである」と指摘している。 また、「市場伸び率の下落に直面し、業界生産能力の過剰、安全、環境保全の強い制約の増大等多くのハ ードルは、建機業界・企業は、再び簡単な大規模化生産と低価格で長期的に競争の優位を獲得することは難 しくなっており、企業は必ず品質、ブランド、サービス、市場の持続的引上げに専念すると同時に、今後の 建機の技術発展動向に順応して、逐次従来要素主導から新要素主導発展への転換、価格とミドル、ローエン ドとのリンクから価格とミドル、ハイエンドとのリンク発展位置づけへの転換、短期利益重視から持続可能 な発展理念堅持への転換に向かって、省エネ環境保全製品、技術の開発と運用の推進を強化し、イノベーシ ョン駆動によって建機業界の構造転換とグレードアップを切望する。中国建機業界の構造調整を促すため に、従来の建機企業は、情報技術と建機設備及び施工作業プロセスとの深い融合を通して、建機製品のデジ タル化、インターネット化、インテリジェント化への転換を推し進めて、従来の需要減少、業界生産能力過 剰の苦境から抜け出すことである」としている。 5
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