PDF/806KB - みずほフィナンシャルグループ

企業価値を支える基盤
リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)
リスクアペタイト・フレームワークの位置づけ
〈みずほ〉のリスクアペタイト・フレームワーク(RAF)は、
中においてその運営状況をモニタリングする等、戦略とリ
お客さまの実 需に焦 点をあてた適 切なリスクテイクとソ
スク管理の一体運営を通じたリスク・リターンの最適化を
リューション提供を通じて競争優位を確立し、持続的かつ
行っています。
安定的な収益確保による企業価値の向上を実現し、公共
また、RAFはリスク・ガバナンスの中核をなすものであり、
的使命を全うすることを目指しています。
みずほフィナンシャルグループでは、RAFに関する基本的
この目的を達成するために、中期経営計画や業務計画
事項、ならびにRAF の運営態勢および具体的なリスクア
(業務計画等)の策定において、リスクアペタイトを明確に
ペタイト等を取締役会が決定し、それをリスクアペタイト・
したうえで戦略・施策や資源配分・収益計画を決定し、期
ステートメント(RAS)として文書化しています。
リスクアペタイト・フレームワークの運営
リスクアペタイトの策定
〈みずほ〉のリスクアペタイトは、リスクテイクに関する基
を具体化し、経営資源配分や収益計画を決定しています。
本的な方針を定めたリスクアペタイト方針と、この方針に
また、
〈みずほ〉の企業価値の維持・向上に不可欠である
基づいて定量的な水準を定めたリスクアペタイト指標で構
資本力・収益力・流動性等について、当グループ全体のリ
成しています。
スクアペタイト指標として普通株式等 Tier1比率、ROE、
リスクアペタイトの策定においては、はじめにマクロ経済
LCR 等を選定し、定量的なリスクアペタイト水準を設定し
環境・規制環境・競争環境等の外部環境に関する足元の
ています。
状況や将来見通しを経営で議論し、これを組織内で共有す
さらに、戦略の推進主体で顧客セグメント別に設置され
るためのメインシナリオを設定しています。さらに、景気
たカンパニーにもリスクアペタイト指標を設定し、当グルー
後退や金融市場混乱等の当グループに悪影響を及ぼす可
プ全体のリスクアペタイトの実効性を確保しています。
能性があるリスク事象を経営で議論し、リスクシナリオを設
カンパニーは、当グループ全体のリスクアペタイト方針
定しています。
やカンパニーごとに設定されたリスクアペタイト水準を踏ま
次に、これらの外部環境に関する認識を踏まえてリスク
えて、それぞれの業務計画等を策定し業務運営を実施し
アペタイト方針を策定し、この方針に基づいて戦略・施策
ています。
〈みずほ〉のRAF運営体制
監督
取締役会
・RAFに関する基本的事項やRASの決定 ・当該決定に基づく経営の業務執行の監督
監査委員会
リスク委員会
執行役社長
・リスクガバナンスに関する取締役会への助言、経営への提言
経営会議
経営
経営ガバナンス高度化委員会
[委員長:グループCEO]
・リスクアペタイト方針を策定
・リスクアペタイトに合致した業務運営の実施
・リスクアペタイト指標・水準を設定 ・業務部門へのリスクカルチャー浸透
・RASを策定
リスク管理委員会
[委員長:グループCRO※1]
・RAFに関する運営状況をモニタリング
バランスシートマネジメント委員会
[委員長:グループCFO※2]
※1. リスク管理グループ長 ※2. 財務・主計グループ長
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・RAFに関する取締役および経営の職務執行の監査
みずほフィナンシャルグループ
・バランスシートマネジメントを中心としたリスクコントロールや
リスクテイクに関する戦略の策定・推進
リスクアペタイトのモニタリング
己資本水準等の状況についてモニタリングを行っています。
て、四半期ごとにまたは必要に応じて随時そのモニタリン
こうしたモニタリングを通じて、環境変化に伴ってリスク
グを実施しています。具体的には、当初設定したシナリオ
が高まっている場合や、リスクアペタイトや戦略の実現に
と比べた足元の環境変化の状況や、リスクアペタイト方針
支障がある場合等は、リスクアペタイトや戦略の見直しも
およびリスクアペタイト水準と比べた足元の戦略遂行や自
含めた適時・適切なアクションを検討・実施します。
〈みずほ〉について
当グループは、策定したリスクアペタイトの実現に向け
ストレステストによるリスクアペタイトの検証
自己資本比率や業績等が必要な水準を下回る場合は、リス
等の妥当性を評価するために、設定したリスクシナリオが
クアペタイトや業務計画等の見直しを検討・実施します。
発生した場合の、自己資本比率や業績等への影響額を算
また、ストレステストを通じて、当グループのビジネスや事
出・評価するストレステストを実施しています。この結果を
業ポートフォリオ等の特性に関する理解を深め、リスクシナ
分析・検証し、リスクシナリオが発生した場合でも、必要な
リオが発生した場合にとるべきアクションをあらかじめ定め
自己資本比率や業績等を確保できることを確認しています。
る等、リスクへの運営力を高める取り組みを実施しています。
私たちが目 指すもの
当グループでは、リスクアペタイトの適切性や業務計画
〈みずほ〉のRAF運営プロセス
期中 リスクアペタイトのモニタリング
リスクアペタイトを明確にしたうえで、戦略・施策を
具体化し、経営資源配分や収益計画を決定
業務計画等
リスクアペタイトに則った業務運営状況の確認と
適時・適切なアクションの実施
リスクアペタイトの策定
リスクアペタイトのモニタリング
シナリオ
(メインシナリオ、リスクシナリオ)
資源配分
収益計画
ストレステスト
戦略・施策
価 値 創 造のための戦 略
リスクアペタイトの策定
期初
外部環境の変化
戦略の変更を必要とする
著変はないか
リスクアペタイト方針
戦略の遂行状況
方針通りに企業活動が
行われているか
リスクアペタイト指標
(資本、収益力、流動性)
定量的なリスクテイクと
リスク・リターンの状況
企業活動の結果、企業
価値が高まっているか
マクロ環境の
リスク
ダウンサイドリスク
シナリオの
当グループに悪影響を及ぼす
設定
リスク事象
ストレス
影響額の
算出
リスクシナリオ発生時の
自己資本比率や業績等への
影響額
企 業 価 値を支える基 盤
リスクカルチャー
リスクアペタイトの適切性、
業務計画等の妥当性
結果の
分析・活用 ビジネスや事業ポートフォリオ
等の特性
〈みずほ〉のリスクカルチャー
本指針は、
〈みずほ〉の役員・社員が、リスクに向き合う際
人ひとりがリスクに対して高い見識を持って正しく判断・行
に適切な価値観や行動軸を実現するための拠り所となるも
動することであり、それはリスクアペタイトや戦略の実現、
のです。役員・社員一人ひとりが、日々の業務のなかで判
企業価値の維持・向上につながります。
断に迷った場合等には本指針に立ち返ることで、リスクへの
〈みずほ〉は、役員・社員のリスクに対する感度を磨き、
適応力や対応力が高まり、健全なリスクカルチャーが醸成
リスクへの適応力や対応力を高めるため、
「リスクに関する
されます。また、こうした取り組みは、結果的として役員・社
行動指針」を制定し、研修等を通じて浸透を深めています。
員による不適切な行動を未然に防ぐことにもつながります。
2016統合報告書ディスクロージャー誌
財 務レビュー
健全なリスクカルチャーとは、
〈みずほ〉の役員・社員一
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