アナリストレポート:三協立山

2016 年 7 月 25 日
三協立山(5932)
担当
レーティング:
近藤 浩之
NEUTRAL
NEUTRAL(2016/4/13)→
海外事業の収益改善状況を注視したい。
売上高
(百万円)
連 13/5
271,757
連 14/5
295,236
連 15/5
292,391
連 16/5
332,168
連 17/5(予)
342,000
第 2 四半期累計期間
連 15/6-11
167,930
連 16/6-11(予)
169,000
株価(2016/7/22)
発行済み株式数(16/5 末)
自己株式数(16/5 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(16/5 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(16/5 実績)
PBR
CFPS(16/5 実績)
PCFR
EV/EBITDA(16/5 実績)
伸び率
(%)
8.6
-1.0
13.6
3.0
営業利益
(百万円)
12,073
16,613
8,541
6,251
8,500
伸び率
(%)
37.6
-48.6
-26.8
36.0
経常利益
(百万円)
11,009
15,553
7,928
5,395
7,500
伸び率
(%)
41.3
-49.0
-32.0
39.0
純利益
(百万円)
11,635
12,698
5,949
94
4,000
伸び率
(%)
9.1
-53.1
-98.4
-
EPS
(円)
370.03
404.09
189.43
2.99
127.40
1 株配
(円)
30.00
35.00
35.00
35.00
35.00
17.6
0.6
2,263
4,500
1,576
31,554
159
49,730
88,127
0.1
2.2
12.4
2,481.13
0.6
500.3
3.1
5.7
-66.1
98.8
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
1,666
4,000
-73.2
140.0
96
2,500
-98.0
-
3.06
79.62
15.00
15.00
株価チャート(週足)
出所:三協立山、ブルームバーグ、今村証券
主力はアルミニウム製の住宅用・ビル用サッシやドアなどの建材
事業(2016 年 5 月期売上構成比 62.9%)。木造住宅用アルミサッシ・
ドアの国内市場は、LIXIL グループ(5938 東証 1 部)、YKK AP(非上
場)、同社の 3 社がほぼ独占し、同社シェアは 3 位の 17.7%である(資
料1、出所:日本経済新聞社)。
非建材分野では、アルミニウムやマグネシウムの鋳造・押出・加
工・販売を行うマテリアル事業(2016 年 5 月期売上構成比 12.7%)、
店舗用汎用陳列什器の販売、規格看板・その他看板の製造・販売な
どの商業施設事業(同 10.5%)も手掛ける。海外展開は 2015 年 5 月
期末の買収を機に本格的に開始した(以下、国際事業)(2016 年 5
月期売上構成比 13.9%)(資料2、出所:同社リリース)。
(資料1)
木造住宅用アルミサッシ・ドアの
国内出荷シェア(2015 年)
(資料2) 主な海外買収案件
譲受対象事業
概要
企業結合日
・被取得企業
Aleris 社の押出事業部門(Aleris Extrusions)
ドイツ、ベルギー、中国に計5工場を有するアルミニウム押出、加
(現:ST Extruded Products Germany GmbH)
15/03/01
工グループ。主に航空機、鉄道、自動車分野向けの製品を製造。
(以下、STEP-G)
Thai Metal Aluminium
(以下、Thai Metal)
タイのアルミニウム鋳造、押出、加工メーカー。建材向けのほか、
自動車、電気製品向け部品など幅広い分野に製品を供給。
三協立山(5932)
1
15/03/02
2016 年 7 月 25 日
2016 年 5 月期は増収ながら大幅な減益(資料3、出所:同社決算短信)
。ただ、昨年 12 月に
下方修正した営業利益計画(50 億円)からは 12.5 億円上振れて着地した。純利益は特別損失の
計上が響き辛うじて黒字を維持した。足を引っ張ったのは、国際事業だ。国際事業の売上高は買
収効果で 460.7 億円(2015 年 5 月期比+418.0 億円)となったが、営業利益は▲30.6 億円(前年
同期比▲22.7 億円)で全体の減益幅(22.9 億円)のほぼすべてを占めた。会社計画からの上振
れは、建材事業の営業利益が 13.7 億円上振れによるものだ。
今期の営業利益は 85 億円(前期比+22.4 億円)の見通し。国際事業が▲7 億円(前期比+23.6
億円)にまで赤字幅が縮小することが要因だ。
(資料3) 業績の推移(通期)
以下で、国際事業、建材事業の前期実績、今期見通しをまとめる。
・ 国際事業
前期の業績悪化の主因、今期の赤字縮小見通しの主因ともに「欧州」である。前期は欧州子会
社 STEP-G の鉄道分野が大きく落ち込んだ。中国の鉄道車両メーカーが受注攻勢をかけ、STEP-G
の取引先である欧米鉄道車両メーカーが受注に失敗したり、先送りされたりといった状況に陥っ
た。人員削減に踏み切り、費用も膨らんだ。さらに、買収当初に想定した収益が見込めなくなっ
たことから、のれん未償却残高の減損損失 18.7 億円を特別損失に計上することを余儀なくされ
た。
今期の会社計画では、鉄道分野の厳しさが続くのに対して、自動車や航空機分野が伸びるとみ
ている。コスト面では、管理体制の見直しや、人員削減効果、のれん償却費用がなくなることが
寄与する。
もう 1 つの買収先である Thai Metal の前期業績は黒字だったとはいえ、
会社計画を下回った。
景気低迷による生産活動の停滞、建材市場の縮小が響いた。今期は自動車向けの需要増加、建材
需要の回復を見込む。
・ 建材事業
三協立山(5932)
2
2016 年 7 月 25 日
新設住宅着工戸数は昨年3月以降、10月、12月を除いて前年同月を上回っている(資料4、出
所:国土交通省・経済産業省)。貸家の着工の伸びが目立ったが、同社が得意とする持家の着工
戸数の伸び率は低水準で推移した。ビル向けでは中低層の案件が落ち込んだ。これを背景に、建
材事業の売上高は2,089億円と昨年12月計画(2,145億円)を下回った。売上が計画を下回ったに
も関わらず、営業利益が上振れたのは、アルミ地金など原材料の値下がり(資料5、出所:日本
経済新聞・一般社団法人日本アルミニウム協会)、開発・生産投資の見送り・先送り、販管費の
下振れなどがあったためだ。
今期は昨年 10 月に刷新した基幹サッシ、業界初の新採風機構付きの玄関ドアなど新商品の拡
充・拡販を図る。原材料の値下がりもフルに寄与する。アルミ地金の想定が 240 円/㎏に対して、
現在は 220 円/㎏程度と、想定より安値圏で推移している。現状のまま推移すれば、上振れ要因
となりそうだ。半面、新商品拡充・拡販に伴い開発・生産投資や販管費の増加を見込む。
(資料4) 新設住宅着工戸数・木造住宅用アルミサッシ販売数量の推移
(資料5)
アルミ地金の国内価格(日経新聞)の推移
(注) 16 年 7 月は、1~22 日の平均。
まとめると、今期の最注目点は、国際事業の収益改善状況である。四半期ベースでみると、国
際事業の営業赤字幅は 2 四半期連続で縮小しているものの(資料6、出所:同社決算短信)、慎
重な姿勢を崩さず下振れリスクがあるとみておきたい。一方で、建材事業での原材料の値下がり、
商業施設事業での小売業の新規出店や業界再編に伴う改装需要などによる押し上げが期待でき
る。全体の営業利益は会社計画近辺での着地を予想する。
中期経営計画についても確認する。昨年 7 月に公表した最終年度(2018 年 5 月期)の業績目
標を変更していない(資料7、出所:同社決算短信・リリース資料)。最終年度の国際事業の営
業利益計画を 21 億円としているが、コスト削減の継続や、STEP-G の高い技術力を ASEAN 市場に
展開する欧州・日系の自動車関連やハウスメーカーなどに提供することでの相乗効果を期待して
も黒字化が現実的な目標となろう。とすれば、国際事業の約 20 億円の下振れを、国内 3 事業で
カバーする必要がある。①高付加価値商品の売上構成比の向上、②アルミ地金の値下がり―を見
込んでも達成は容易ではない。
三協立山(5932)
3
2016 年 7 月 25 日
(資料6) 国際事業の営業利益の推移(四半期)
(資料7) 中期経営計画と実績・現計画との比較
株価はこの 5 カ月ほど 1,300~1,600 円の安値圏での横ばい推移が続く。様子見姿勢を堅持し
たく、投資判断はNEUTRALを継続する(資料8、出所:各社決算短信)。
(資料8) 同業他社との業績・投資指標の比較
株価
(16/7/22)
売上高
経常利益
営業利益
純利益
伸び率
伸び率 利益率
伸び率 利益率
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(%)
(%) (%)
(%) (%)
連15/5
292,391 -1.0
8,541 -48.6 2.9
7,928 -49.0 2.7
5,949
三協立山
1,576 連16/5
332,168 13.6
6,251 -26.8 1.9
5,395 -32.0 1.6
94
(5932・東1)
連17/5(予) 342,000 3.0
8,500 36.0 2.5
7,500 39.0 2.2
4,000
連15/3
1,705,427
- 48,041
- 2.8 59,564
- 3.5 30,864
LIXILグループ
1,870 連16/3
1,890,450 10.8 39,011 -18.8 2.1 -7,087
- -0.4 -25,605
(5938・東1)
連17/3(予) 1,880,000 -0.6 56,000 43.5 3.0 51,000
- 2.7 28,000
連15/3
99,020 0.4
3,018 -18.7 3.0
2,643 -21.2 2.7
1,292
不二サッシ
89 連16/3
97,704 -1.3
2,603 -13.7 2.7
2,233 -15.5 2.3
1,276
(5940・東2)
連17/3(予)
97,000 -0.7
2,600 -0.1 2.7
2,400 7.5 2.5
1,400
(注) LIXILグループ…15/3期より国際会計基準(IFRS)を適用。売上収益を売上高、税引前当期純利益を経常利益として作成。
予想
EPS
伸び率 利益率
PER
(円)
(%) (%)
(倍)
-53.1 2.0 189.43
-98.4 0.0
2.99
- 1.2 127.40
12.4
- 1.8 105.80
- -1.4 -89.33
19.2
- 1.5 97.56
-47.8 1.3 10.24
-1.3 1.3 10.11
9.7 1.4 11.09
8.0
BPS
(円)
2,654.96
2,481.13
2,038.56
1,828.84
98.06
97.51
-
予想配当
配当金
利回り
(円)
(%)
35.00
0.6 35.00
35.00
2.2
60.00
1.0 60.00
60.00
3.2
0.00
0.9
1.00
1.00
1.1
PBR
(倍)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
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すようお願い申し上げます。
三協立山(5932)
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2016 年 7 月 25 日
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三協立山(5932)
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株式 、債券、 投資信託 の手数料 等および リスクに ついて
■
国内株式等の売買取引には、約定金額に対して最大 1.1799%(税込)(1.1799%に相当す
る金額が 2,565 円未満の場合は 2,565 円(税込))の委託手数料をご負担いただきます。
■
国内株式等を募集等によりご購入いただく場合は、購入対価のみのお支払いとなりま
す。
■
国内株式等は、株価など売買価格の変動により損失が生じるおそれがあります。
■
外国株式(外国 ETF、外国預託証券を含む)の外国金融商品市場等における委託取引
にあたっては、売買金額(約定金額に外国金融商品市場における手数料と税金等を購
入の場合には加え、売却の場合は差し引いた額)に対し、最大 0.9720%(税込)の国
内取次手数料をいただきます。外国金融商品市場での取引にかかる手数料、税金等は
国(市場)により異なります。
■
外国株式の国内店頭取引にあたっては、取引価格に取引の実行に必要なコストが含ま
れているため、別途手数料は必要ありません。
■
外国株式(外国 ETF、外国預託証券を含む)の売買、配当金等の受取り等にあたり、
円貨と外貨を交換する際は、外国為替市場の動向をふまえて今村証券が決定した為替
レートを用います。
■
債券を募集・売出し等によってご購入いただく場合は、購入対価のみのお支払いとな
ります。
■
債券は、市場の金利水準の変動等により債券の価格が変動しますので、損失が生じる
おそれがあります。さらに外国債券は、為替相場の変動等により元本損失を生じる場
合があります。また、倒産等、発行会社の財務状態の悪化により元本損失を生じる場
合があります。
■
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とし投資元
本が保証されていないため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等
により投資 1 単位当りの価値が変動します。したがって、お客さまのご投資された金
額を下回ることもあります。
■
投資信託にご投資いただくお客様には、銘柄毎に設定された販売手数料および信託報
酬等の諸経費等をご負担いただきます。
■
株式、債券および投資信託のリスクにつきましては、上場有価証券等書面、契約締結
前交付書面やお客様向け資料をよくお読みください。
金融商品取引業者 北陸財務局長(金商)第3号
日本証券業協会加入
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