「教育相談」分科会 教育相談の活性化を目指す実践的取組 テーマ 1 ~児童一人ひとりの所属感を高めるために~ (分科会参加人数59人) 実践発表及び県立教育センターからの問題提起 実践発表 発表者:新発田市立第一中学校 森谷 優子 教諭 テーマ:「一人ひとりが所属感のある学校づくり -マルチレベルアプローチを自校化する-」 (実践報告書要旨) 学校生活に不適応を感じる生徒は少なからずいる。栗原(広島大)は、生徒の学校適応感 の向上には、その学校に適した意図的・計画的なマルチレベルアプローチの展開が有効であ ると言っている。そこで、マルチレベルアプローチとして、3つの戦略を自校化して実践する。 学校生活の多くの時間は授業である。よって、本研究は、第一に、「学校づくりは授業づくり」 であるということを柱に据えて取り組むものである。一人残らず全ての生徒が楽しい学校生活 を送るための環境を整え、生徒の学校適応感を向上させることで、いじめや不登校、非行等 の問題行動の未然防止を図るための取組について提案する。 県立教育センターからの問題提起 「一人ひとりの所属感を高める学校づくり(マルチレベルアプローチの自校化)を実現する ための大切なポイントとして次の3つを提起したい。第1に「かかわり合い」が成立するための 最低限のルールが必要であること。そのためには、①人を傷つけるようなことをいわない、しな い。②先生や友だちの発言は、最後まで聴く、ことが大切なのではないか。第2にリレーション (教師と子ども、子ども同士の間のふれあいのある人間関係)が必要であること。そのために は、一人ひとりの子どもが「自分は、先生から認められている、友だちから認めてもらっている」 と心から実感できるような取組が教師には必要でないか。第3に「中間的集団を育てる」という 視点を持つこと。荒れない学級づくりためには、生徒一人ひとりの活躍の場を作ることで、中 間的集団が育っていくのではないかと考える。 2 ポスター発表及び指導講評 ポスター発表 発表者:十日町市立十日町小学校 藤田 剛 教諭 テーマ:「「あたたかく安心でき、居心地のよい学級づくり」のた めに-「クラス会議プログラム」の実践をもとに-」 (実践報告書要旨) 互いのよさや生き方を尊重し、認め合い高め合い、「つながっている」という感覚を児童の 中にもたせること。これは、結局は様々な個性を尊重する態度を育てることにつながる。これ が多様な学びを引き出し、ひいては、新指導要領のキーワードにもなっている「思考力・判断 力・表現力の向上」にも結びついてくるのである。子どもたち相互が有機的に結びついた学級 を作り上げたいと考え、「クラス会議プログラム」を中核に据えた学級経営を行うことにした。そ れによる児童への効用を考察した。 発表者:糸魚川市立糸魚川中学校 熊木 勝 教諭 テーマ:「生徒の自己指導力を高める教育相談を行うために -生徒一人一人の内面理解を通して-」 (実践報告書要旨) 現在、いじめ、不登校、校内暴力、学級崩壊などの様々な問題 が学校のみならず大きな社会問題となっている。それらの問題に至 る要因を知り、それを未然に防ぐために生徒の内面理解や教育相 談についての基本的な考え方や方法について研究を深めた。当校 の 教 育 目 標 に あ る 自 己 実 現 を 目 指 す た め に 、 MASLOWの 欲 求 階 層 説を理解し、教育相談に取り入れることによって生徒一人一人の内 面を理解し、生徒の自己指導力を高められるような教育相談の在り 方を検証したものである。 発表者:県立荒川高等学校 山田 史代 教諭 テーマ:「高校生におけるピア・サポート・プログラムの試み -ピア・サポート・トレーニングとその効果-」 (実践報告書要旨) 本校では、コミュニケーションのスキルが不足していると思われる 生徒が多い。そこで、生徒のコミュニケーション・スキルを向上させ、 生徒にコミュニケーションの楽しさを感じさせるため、1年次生を対 象に、総合的な学習の時間を利用し、ピア・サポート・トレーニング を行った。職員が感じた効果をアンケートにより測定し、生徒の変 容については、アセス及びアンケートにより測定した。その結果、生 徒たちがピア・サポート・トレーニングを学ぶことに、喜びを感じる姿 が見てとれた。 指導講評 指導者:新潟市立教育相談センター指導主事 山田 友明 様 (要旨) 今日の発表を受けて、これからの教師に求められるものと課題に ついてお伝えしたい。これからの教師に求められるものとして、① 教育相談を行っていく上で新しい方法や道具が増えてきたが、教師が子どもたちの実態に合 わせてそれを使いこなす力が必要である。②教師のあり方についても、支持的な教師になる こ と 、 あ た た か み の あ る 教 師 、 児 童 生 徒 が hel pを 言 い や す い 教 師 ( 援 助 希 求 さ れ る 教 師 ) で あ ることが求められているのではないかと思う。課題としては、①学校の全教育活動を通して学 校の指導が生きる子どもたちの素地づくりが必要である。育てるべきは「他者への想像力」で ある。②教育相談の取組は、個人の取組から教育課程へ位置づけることが今後必要になって くる。③今後は心理教育授業や教師が教育相談の基礎を身につけること、また教師のメンタ ルヘルスなどの研修体制の整備に取り組んでもらいたい。 3 参加者からの感想 ○各先生の実践を直接お聞きすることで学ぶことがたくさんありました。明日から実践してみた い内容、来年度以降取り組みたい内容でした。担任としても生活指導主任としてもとても有 意義でした。 ○具体的な教育相談ケースを学べるというイメージで参加しましたが、通常学級の大多数の 指導をいかにするかという発表だった。期待違いではあったが教育支援(クラス支援)をし ていく上で参考になった。 ○小グループで話も聞きやすく、質問もしやすい雰囲気で大変よかったです。 ○様々な取組があることが勉強になりました。様々に工夫しなければならない子どもたちであ るとすれば、そのことをやりがいがあると感じるか、大変だと感じるか、教師は分かれるように 思います。やりがいがあると思う学級担任を増やすために日々サポートしていきます。 ○藤田先生の実践発表、山田先生の講評が大変勉強になりました。自分が勉強不足である ことを感じ、学ぶモチベーションを得ることができました。 ○実践では研究の検証方法とその結果をもう少し発表してほしかった。
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