みなさんこんにちは。 当院の保存期腎不全教育入院をされた方はよくご存じのことと思いますが、減塩をすることは尿 たんぱくの減少や、血圧の低下につながることが知られています。もちろん、皆さんはいろんな 工夫をしながら減塩に励んでいらっしゃることと思います。しかし、「降圧剤を服用しているか ら血圧は下がるだろう。」とか「尿たんぱくを減らすクスリを飲んでいるから大丈夫。」とクス リの効果を過信し、減塩療法がおろそかになっている方はいらっしゃいませんか? 最近発表された、興味深い研究をご紹介します。 「尿たんぱくを減らす降圧薬(ACE阻害剤)だけを服用した場合よりも、それに減塩療法を加 えた場合の方が尿たんぱくを減少させる」という研究です。 下に結果のグラフを示します。 2 減塩療法を加えた方が 1.5 尿蛋白が減少している! 1 0.5 0 薬のみ 薬+減塩 縦軸 : 1日の尿たんぱく量(g/日) 横軸 : 左が薬服用のみの群。右が薬服用+減塩療法の群。 上のグラフから、減塩療法が薬(ACE阻害剤)の、尿たんぱく量減少効果を、さらに高めてい ることがわかります。 薬をきちんと服用することはもちろんですが、薬の効果を最大限に発揮できるよう、普段から減 塩療法もしっかりと行うようにしましょう。 文責 薬剤部 林 (moderate dietary sodium restriction added to angiotensin converting enzyme inhibition compared with dual blockade in lowering proteinuria and blood pressure BMJ 2011;343 より図改変) 去る12月2日に第4回公開講座「腎臓病を知る責任」を開催いたしました。当日はとても寒 い日でしたが、約300名の方々がご来場して頂きました。 八田先生は腎臓病について解りやすく説明してくださり、初めて参加された方は腎臓病につ いてさらに関心を持って頂き、以前参加された方や保存期腎不全教育入院をされた方からは 「毎回とても勉強になります。再認識することができました。」と嬉しいお言葉を頂きまし た。管理栄養士の田中さんには減塩レシピの紹介や減塩のコツを教えて頂き、日常生活にと ても参考になるお話でした。糖尿病認定看護師の片山さんには糖尿病性腎症予防のポイント や糖尿病性腎症となった場合の食事や運動をどのように行ったら良いのかを教えて頂きまし た。現在、糖尿病性腎症が原因の透析導入が一番多く、今回の講演で糖尿病から腎臓が悪く なることを多くの方々に知って頂けたと思います。慢性疾患看護専門看護師の井上さんには、 腎臓病を持ちながらも自分が自分らしく健康な生活を送ることの大切さをお話しして頂きま した。理学療法士の森本さんには腎臓病と運動についてお話して頂きました。多くの方が腎 臓リハビリテーションがあるということを初めて知って驚かれていました。そして、運動療 法の必要性を教えて頂きました。そして、今回は薬剤師の井筒屋 磯七さんに「健康落語」 をして頂きました。皆さん大笑いでとても楽しい落語でした。参加者の中で「どうしても病 気に対して暗く考えがちですが、久しぶりに笑った」との声があり、どんな時も笑うことは 大切だなと思いました。 その他、ニューオウミ小谷料理長が考案された減塩梅干しの紹介や相談コーナーもあり、お 土産もたくさん持って帰って頂きました。 今後もご来場してくださる方々に喜んで頂ける公開講座を開催したいと思います。 文責 尾杉
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