豪州、ニュージーランドが相次ぎ利下げ

ベアリング
インベストメント・アップデート
2016 年 8 ⽉ 12 ⽇
豪州、ニュージーランドが相次ぎ利下げ
〜通貨⾼による輸出への悪影響やデフレ圧⼒に配慮
ベアリング・アセット・マネジメント・リミテッド
グローバル債券チーム
円ベース・ポートフォリオ構築グループ
要旨

8 ⽉に⼊り、豪州、ニュージーランドが各々0.25%の政策⾦利引き下げを実施

主要輸出品の需要低迷や⾃国通貨⾼による輸出への悪影響に配慮

資源依存経済からの構造転換や通貨⾼抑制に向け、⼀段の⾦融緩和も想定される

債券市場は堅調推移を予想するも、通貨市場ではこれ以上の豪ドル・NZ ドル⾼には警戒要
利下げの背景
(%)
8 ⽉に⼊り、豪州、ニュージーランドで政策⾦利の
引き下げが相次ぎました。豪州は 8 ⽉ 2 ⽇に
1.75%から 1.5%に、ニュージーランドは 8 ⽉ 11
⽇に 2.25%から 2.0%にそれぞれ 0.25%の利下げ
が⾏われました。両国中銀ともに利下げの背景とし
て、①インフレ指標がそれぞれの中央銀⾏の⽬標値
以下で落ち着いていること、②主要輸出品である天
然資源、農産物の需要が弱いこと、③⾃国通貨⾼に
よる輸出セクターへの悪影響、などを挙げていまし
グラフ1:中国向け輸出の推移
150
100
50
0
-50
-100
た。また、海外経済の不確実性も懸念材料の⼀つと
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
(年)
⾒られているようです。グラフ1に⽰す通り、豪州、
豪州の中国向け輸出(前年⽐)
ニュージーランドの中国向け輸出(前年⽐)
ニュージーランド両国の中国向け輸出の伸びは停滞
を脱し切れていないようです。リーマンショック後
の中国の⼤規模公共投資の恩恵を受け、資源価格の
⾼⽌まりが続いた 2014 年前半までの輸出ブームが
去り、両国ともに資源輸出以外の成⻑の種を模索し
ている状況が続いているようです。6 ⽉以降、豪ド
ル、ニュージーランドドルはともに対⽶ドル等で上
昇基調にあり、こうした⾃国通貨⾼が輸出需要の抑
制要因になることも懸念されたものと思われます。
通貨⾼抑制のため⼀段の緩和も
豪州中央銀⾏のスティーブンス総裁はかねてから
「資源に依存した成⻑からの構造転換を促進するに
は⾦融緩和が必要」と発⾔しており、資源開発以外
の投資を呼び込みたい意向を⽰しています。また、
資源価格の低迷に応じて豪ドル⾼の是正も必要との
発⾔も繰り返しており、1 豪ドル=0.75 ⽶ドルを超
えるたびにこうした発⾔が繰り返される状況を鑑み
ると、豪ドル⾼抑制を狙った⼀段の利下げも予想さ
れます。グラフ 2 は、短期⾦融市場での取引⽔準な
どから想定される市場の織り込む 1 年後の政策⾦利
の⽔準です。豪州、ニュージーランドともに⼀段の
利下げが織り込まれています。
情報提供⽤資料
(%)
4.5
いくものと予想します。⽶国以外の主要先進国がい
ずれも⾦融緩和スタンスを維持しており、⾦融緩和
グラフ2:市場の折り込む1年後の政策⾦利の推移
競争、さらに⾦融緩和を通じた通貨安誘導競争の様
4.0
相を⽰していることも両国の⾦融緩和持続を促して
3.5
いくものと考えます。
3.0
2.5
2.0
世界的にゼロ⾦利やマイナス⾦利が進む中で、両国
1.5
⻑短⾦利はともに依然としてプラスの⽔準にあり、
1.0
プラスの利回りを求める投資家の資⾦流⼊や、今後
0.5
の⾦融緩和期待を背景とした債券投資から、債券市
0.0
2014
2015
2016
(年)
市場の織り込む1年後の政策⾦利(豪州)
市場の織り込む1年後の政策⾦利(ニュージーランド)
場は引続き⾦利低下余地を探る展開が予想されます。
⼀⽅、通貨市場では、両国ともに⾦融緩和を進めて
いるもののプラスの⾦利が維持されていることから、
これ以上の豪ドル・NZ ドル⾼には警戒が必要
⾦利差を背景として資⾦流⼊が下値を⽀えるものと
過剰債務、過剰設備に苦しむ中国が投資主導から消
費主導への経済成⻑を模索し、世界景気の牽引役が
⾒当たらない中、豪州、ニュージーランドともに外
需、内需ともに盛り上がりに⽋ける状況は持続する
ものと予想されます。国内物価は両国ともに中央銀
⾏のインフレ⽬標を下回っており、通貨⾼が⼀段の
予想されます。しかしながら、通貨⾼に対する⾦融
当局の懸念が強いこと、資源価格の下落リスクが払
拭できないこと、などから、これ以上の通貨⾼には
警戒が必要であると⾒ています。当⾯は、1 豪ドル
=0.70〜0.78 ⽶ドル、1NZドル=0.66〜0.74 ⽶
ドルでの推移を予想しています。
デフレ圧⼒となる懸念もあることから、今後も豪州、
ニュージーランド両国ともに⾦融緩和が持続されて
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Date Complied(東京): 2016 年 8 ⽉ 12 ⽇
Ref No. M20163Q30
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