ニュースリリース 平成28年 8月 3日 千葉大学医学部附属病院 世界初の取り組み! 今後の治療開発に大きな一歩 希少難病クロウ・深瀬症候群におけるサリドマイドの有効性を証明 国際的に権威のある医学誌が論文を掲載 千葉大学医学部附属病院は、希少難病のクロウ・深瀬症候群におけるサリドマイド の有効性と安全性に関する臨床試験(責任者:神経内科 教授 桑原 聡)を行い、8 月 3 日 、 そ の 研 究 成 果 を ま と め た 論 文 が 、 国 際 的 に 権 威 の あ る 医 学 誌 「 Lancet Neurology」電子版に掲載されました。クロウ・深瀬症候群(別名:POEMS 症候群) は末梢神経、胸腹水・浮腫、腎不全など多臓器を障害する難治疾患です。全国の患者 数は 400 例弱とされる希少疾患ですが、日本では欧米より発症頻度が高いとされてい ます。平均発症年齢は 50 歳で、若年から中年に多く、手足の高度な麻痺と多臓器不 全により、適切な治療が行われない場合の平均生存期間は 33 ヶ月とされる重篤な疾 患です。 北は北海道、南は九州まで、日本で最多の 70 名以上のクロウ・深瀬症候群の患者 さんが集まる当院では、2003 年より新規治療の開発に取り組んできましたが、当時注 目されていた治療法である自家移植「自己末梢血幹細胞移植を伴う高用量化学療法」 も、患者さんの約半数が年齢や重症度の問題で行うことができませんでした。 そこで、当院の研究グループはサリドマイドに着目し、2010 年 9 月から臨床試験 を世界で初めて実施。神経学誌「Lancet Neurology」が認めた研究成果をぜひ、ご取 材ください。 【桑原教授よりコメント】 今回の臨床試験でサリドマイドの有効性が示され、本疾患の患者 さんに新たな治療を提供できることが期待されます。またクロ ウ・深瀬症候群に対して「ランダム化群間比較試験」を世界で初 めて行いました。効果がはっきりわかる新規治療法を開発する上 で非常に大切な取り組みで、今後のさらなる治療開発において大 きな一歩となるものと思われます。今後も患者登録システムの構 築など精力的な活動を継続し、新規治療開発を推進していきます。 【試験概要】 対象疾患 :試験期間中に移植療法の適応のないクロウ・深瀬症候群 患者 デザイン :多施設共同プラセボ対照二重盲検ランダム化群間比較試験 実施期間 :2010 年 9 月から 2014 年 7 月まで 投与法 :サリドマイド 200mg/日またはプラセボを 1 日 1 回就寝前に経口投与 [両治療群とも、デキサメタゾン 12mg/m 2 (4 日間/月)を併用] 治療期間 : 6 ヶ月間(24 週間) 主要評価項目:投与開始時から 24 週後の血清中の VEGF 濃度の変化率 結果 : ・血清 VEGF は 6 ヶ月後にプラセボ 群では 2%の上昇、サリドマイド群 では 39%の減少となり、プラセボ群 と比較しサリドマイド群で統計学的 に有意な VEGF の減少を認めました (P=0.04)。 ・副次評価項目である四肢筋力のス コアにおいて、サリドマイド群では プラセボ群と比較し有意な改善を認 めました(P=0.048)。 ・有害事象:サリドマイド群(53.8%) で プ ラ セ ボ 群 ( 0% ) と 比 較 し 有 意 に発生頻度の高い有害事象は洞性徐 脈でした(P=0.006)。 本件に関するお問い合せ先 取材に関するお問い合せ先 千葉大学医学部附属病院 千葉大学医学部附属病院 神経内科 教授 桑原 聡 講師 三澤園子 Tel:043-222-7171 E-mail:[email protected] 総務課 広報係 Tel:043-226-2225 坂本、丸山 Fax:043-224-3830 E-mail:[email protected]
© Copyright 2024 ExpyDoc