車載用タッチパネル世界市場に関する調査を実施

2016 年 7 月 29 日
プレスリリース
車載用タッチパネル世界市場に関する調査を実施(2016 年)
【調査要綱】
矢野経済研究所では、次の調査要綱にて車載用タッチパネル及びその部材の世界市場の調査を実施した。
1.調査期間:2016 年 4 月~6 月
2.調査対象:抵抗膜方式の車載用タッチパネルメーカー、静電容量方式の車載用タッチパネルメーカー、透明導電性
フィルムメーカー、カバープラスチックメーカー、カバーガラスメーカー、コントローラーIC メーカー、OCA メーカー
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリング、ならびに文献調査併用
<車載用タッチパネルとは>
本調査における車載用タッチパネルとは、カーナビゲーション等の車載機器向けに搭載される、抵抗膜方式タッチパ
ネルモジュールや、アウトセルタイプの静電容量方式タッチパネルモジュール、インセルタイプ・オンセルタイプの静電容
量方式タッチ機能内蔵型ディスプレイを対象とした。なお、赤外線方式のタッチパネルモジュールは 2014 年まで一部搭
載されたが、その後採用拡大には至っていない。
また、車載用タッチパネルが搭載される車載機器には、自動車メーカー純正品、ディーラーオプション品、アフターマ
ーケットで販売される市販品を含む。
【調査結果サマリー】
‹ 2016 年の車載用タッチパネル世界市場は前年比 115.9%の 3,898 万パネルと予測
車載用タッチパネル(以下、車載 TP)の世界市場は、主要用途であるカーナビケーションに加え、ディスプレ
イオーディオやリアシートエンターテイメント等の車載ディスプレイの搭載率が上昇し、それらの表示デバイスを
操作するために TP が使用されるようになったことなどから拡大を続けており、車載 TP 世界市場規模(メーカー出
荷数量ベース)は、2014 年は前年比 127.3%の 2,835 万パネル、2015 年は同 118.6%の 3,364 万パネルと 2 桁
の成長率で推移し、2016 年は同 115.9%の 3,898 万パネルになると予測する。
‹ 2016 年の静電容量方式車載用タッチパネル世界市場は前年比 148.0%の 1,601 万パネルと予測
車載 TP の中でも静電容量方式 TP の成長は著しく、2015 年の静電容量方式車載 TP 世界市場規模(メーカ
ー出荷数量ベース)は前年比 193.2%の 1,082 万パネルと推計し、2016 年は同 148.0%の 1,601 万パネルと予測
する。静電容量方式 TP はマルチタッチやジェスチャー機能などによる表示デバイスの操作性に優れているうえ、
曲面や異形などの形状に加工することもできる。これらの特長が、自動車室内のデザイン性向上に向けた取組
みを強化している自動車メーカーや自動車部品メーカーTier1 に高く評価されたことから、純正品を中心に静電
容量方式 TP の採用が拡大している。
‹ 2018 年には静電容量方式車載 TP の出荷数量が、抵抗膜方式車載 TP を上回ると予測
方式別に車載 TP 市場をみると、抵抗膜方式車載 TP は、今後も中国や東南アジアなどの新興国でのカーナ
ビゲーション向けなどを中心に堅調に推移していくと予測する。しかし、先進国では自動運転カーやコネクテッド
カーなどの次世代自動車の開発進展とともに、車載機器の表示デバイスの操作性や異形化・曲面化などのデ
ザイン性、ディスプレイの大型化に伴う低抵抗化などの多様な顧客ニーズに対応することで、静電容量方式車
載 TP の需要が拡大するものと考える。今後の車載 TP は、抵抗膜方式 TP から静電容量方式 TP へとシフトして
いき、2018 年には抵抗膜方式車載 TP 世界市場(メーカー出荷数量ベース)の 1,995 万パネルに対して、静電
容量方式車載 TP 世界市場(同ベース)が 2,235 万パネルと大きく上回っていくことになると予測する。
◆ 資料体裁
資料名:「2016 年版 車載タッチパネル・部材市場の現状と将来展望」
発刊日:2016 年 6 月 29 日
体 裁:A4 判 129 頁
定 価:150,000 円(税別)
◆ 株式会社 矢野経済研究所
所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝
設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/
本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/)
㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected]
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。
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2016 年 7 月 29 日
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【 調査結果の概要 】
1. 市場概況と予測
車載機器向けに搭載される車載用タッチパネルモジュール(以下、車載 TP)には、抵抗膜方式と静電容量方
式、赤外線方式があり、現状、抵抗膜方式と静電容量方式の 2 つの方式が主流となっている。
車載 TP は、主要用途であるカーナビケーションに加え、ディスプレイオーディオやリアシートエンターテイメン
ト等の車載ディスプレイの搭載率が上昇し、それらの表示デバイスを操作するために TP が使用されるようになっ
たことなどから拡大を続けている。車載 TP 世界市場規模は、メーカー出荷数量ベースで、2014 年は前年比
127.3%の 2,835 万パネル、2015 年は同 118.6%の 3,364 万パネルと 2 桁の成長率で推移し、2016 年は同 115.9%
の 3,898 万パネルになると予測する。
そのうち、抵抗膜方式車載 TP は長年の使用実績と製品信頼性、価格などを背景に、依然として自動車メー
カーからの根強いニーズがあり、2015 年の抵抗膜方式車載 TP 世界市場規模(メーカー出荷数量ベース)は
2,282 万パネルと、車載 TP 市場全体の 67.8%を占めている。今後も、中国や東南アジアなどの新興国でのカー
ナビゲーション向けなどを中心に堅調に推移していくと予測する。
一方、静電容量方式車載 TP の成長は著しく、2015 年の静電容量方式車載 TP 世界市場規模(メーカー出荷
数量ベース)は前年比 193.2%の 1,082 万パネルとなった。静電容量方式 TP はマルチタッチやジェスチャー機
能などによる表示デバイスの操作性に優れているうえ、曲面や異形の TP 形状への加工が可能で、デザインの
自由度が高い。こうした特長が自動車のデザイン性向上に向けた取組みを強化する自動車メーカーや自動車
部品メーカーTier1 に高く評価され、今後も採用が拡大すると考える。当初は欧州及び北米の自動車メーカーの
高級車種での採用が中心であったが、その後、日本や韓国の自動車メーカーも純正品を中心に静電容量方式
TP の採用を増やしており、2016 年の静電容量方式車載 TP 世界市場規模(同ベース)は前年比 148.0%の 1,601
万パネルまで拡大すると予測する。今後の車載 TP は、抵抗膜方式 TP から静電容量方式 TP へとシフトしていき、
2018 年の出荷数量は抵抗膜方式車載 TP の 1,995 万パネルに対して、静電容量方式車載 TP は 2,235 万パネ
ルと大きく上回っていくことになると予測する。
図 1. 車載用タッチパネル 方式別世界市場規模推移・予測
(単位:千枚)
45,000
42,000
40,500
40,000
38,000
抵抗膜式TP
静電容量式TP
赤外線式TP
36,000
35,000
32,000
30,000
28,600
26,500
25,000
22,820
22,750
22,970
22,350
21,530
20,350
19,950
20,000
17,500
16,014
16,500
16,300
16,000
15,300
15,000
13,000
12,500
10,820
10,000
5,600
5,000
3
0
2014年
2015年
2016年
(予測)
2017年
(予測)
2018年
(予測)
2019年
(予測)
2020年
(予測)
2021年
(予測)
2022年
(予測)
2023年
(予測)
2024年
(予測)
2025年
(予測)
矢野経済研究所推計
注1:メーカー出荷数量ベース
注2:車載 TP が搭載される車載機器には、自動車メーカー純正品、ディーラーオプション品、市販品を含む
注3:2016 年以降は予測値
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2. 注目すべき動向
2-1.車載 TP 市場は韓国・中国勢の市場参入、展開が加速し、本格的な競争へ
車載 TP 市場では、これまで、カーナビゲーションやカーオーディオ等の車載機器向けに特化した TP 製品の
展開を進めてきた日系 TP メーカーが市場をリードしてきた。一方で、海外勢は一部のメーカーが参入していた
が、2016 年には、LG Innotek Co.,Ltd.や ELK Corporation など新たに複数の韓国 TP メーカーが市場に参入を
果たしたほか、高い生産能力を武器に、Truly Semi-Conductors Ltd.や Wuhu Token Sciences Co.,Ltd.、
Shenzhen O-Film Tech Co.,Ltd.などの中国 TP メーカーも車載 TP 市場での展開を加速化している。
2-2.静電容量方式車載 TP 構造の今後
静電容量方式車載 TP を構造別にみると、ガラスセンサーを用いた GG2/PG2、OGS(One Glass Solution、Cell
type 製法+Sheet type 製法)、GGG 等に加え、フィルムセンサーを用いた GFF/PFF、PFG 等がある。
車載 TP では、ガラス本来の質感や耐擦傷性に加え、高透過率と製品信頼性などが自動車メーカーには評価
される。そのため、抵抗膜方式車載 TP では、純正品向けにはガラスセンサータイプの G/G が長年にわたり採用
されてきた。静電容量方式車載 TP においても、GG2/PG2 や OGS、GGG 等のガラスセンサーを用いた TP が車
載 TP 市場をリードしている。しかし最近では、薄型・軽量化に加え、シンプルな構造であるため製造が容易で、
コストダウンが図りやすく、ガラスセンサーよりも曲面対応での優位性が高い GFF/PFF 等のフィルムセンサーの
採用が徐々に拡大している。2015 年においては、GG2/PG2 が 70.7%を占め、OGS が 7.6%、GGG が 9.2%で
続き、フィルムセンサータイプの GFF/PFF は 12.4%であった。2020 年には、GG2/PG2 が 44.8%、OGS が 18.6%
を占めるものの、GFF/PFF は 23.0%まで拡大すると予測する。
図 2.静電容量方式車載用タッチパネル 構造別市場規模予測
GFF/PFF
12.4%
PFG
0.1%
GFF/PFF
13.7%
GGG
9.2%
OGS(Cell
・Sheettype)
7.6%
GGG
7.5%
2015年
10,820千枚
GG2/PG2
70.7%
PF2(Ag・
InCu両面)
cell/On1.4%
cell
PFG 3.5%
0.6%
GFF/PFF
18.0%
GGG
3.1%
OGS(Cell
・Sheettype)
15.3%
PF2(Ag・
InCu両面) cell/On0.8%
cell
GFF/PFF PFG 0.5%
0.2%
18.5%
PFG
0.1%
2018年(予測)
22,350千枚
OGS(Cell
・Sheettype)
15.7%
GGG
4.0%
2016年(予測)
16,014千枚
GG2/PG2
63.1%
InPF2(Ag・
Cu両面) cell/Oncell
2.8%
7.0%
PFG
0.3%
GFF/PFF
22.0%
GG2/PG2
58.1%
GGG
1.4%
2019年(予測)
26,500千枚
OGS(Cell
・Sheettype)
18.4%
OGS(Cell
・Sheettype)
14.4%
2017年(予測)
20,350千枚
GG2/PG2
61.6%
Incell/OnPF2(Ag・
cell
Cu両面)
9.0%
4.1%
GG2/PG2
48.3%
GFF/PFF
23.0%
GGG
0.6%
2020年(予測)
28,600千枚
GG2/PG2
44.8%
OGS(Cell
・Sheettype)
18.6%
矢野経済研究所推計
注4:メーカー出荷数量ベース
注5:静電容量方式車載 TP が搭載される車載機器には、自動車メーカー純正品、ディーラーオプション品、市販品を含む
注6:2016 年以降は予測値
注7:四捨五入のため、図表データ内の合計、比率が一部異なる
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2-3.車載 TP でも、2017 年からタッチ機能内蔵ディスプレイが量産開始の見通
2017 年にはメタルメッシュなどの非 ITO 系フィルムを使用した静電容量方式の車載 TP の上市が予定されて
いる。非 ITO 系フィルムを使用した TP は曲面対応に加え、低抵抗化や高感度によるスムーズな操作性、耐ノイ
ズ性などが特徴として挙げられる。
また、今後、ディスプレイメーカーによる車載 TP での展開も加速化し、2017 年には高解像度や狭額縁化など
を実現した、In-Cell/On-Cell タイプの静電容量方式タッチ機能内蔵ディスプレイの量産が開始される見通しであ
る。静電容量方式車載 TP を構造別にみると、2017 年から In-Cell/On-Cell タイプ(構成比 0.5%)が登場し、2020
年には In-Cell/On-Cell タイプが全体の 9.0%を占めると予測する。(図 2 参照)
2-4.静電容量方式車載 TP の今後の技術動向~自動車室内のデザイン性向上への対応など
自動車市場では、現在、自動運転カーやコネクテッドカーなどの次世代自動車の開発が進んでおり、新たな
形状を持つ自動車の上市が予定されている。
次世代自動車における室内のデザイン性向上のため、車載 TP は更にセンターコンソールやインストルメント
パネルにフィットするような曲面対応が求められている。そのため、TP メーカーは曲面形状の成形品を採用した
曲面 TP の開発を進めている。また、ガラスセンサーを主体に展開する TP メーカーにおいても、薄板ガラスセン
サーを利用した曲面対応に注力している。
また、ルームミラーやドアミラーの代わりに、カメラによるモニタリングシステムを使用するミラーレス車の開発に
伴い、今後、後方表示ディスプレイの搭載とその大画面化が考えられ、これらの車載機器を操作するための車
載 TP の需要も歩調を合わせて拡大すると考える。マルチタッチに加え、手袋対応やホバー機能、3D ジェスチャ
ー等のタッチ機能など車載機器の表示デバイスの操作性に加え、異形化や曲面化などのデザイン性、ディスプ
レイの大型化、大型化に伴う低抵抗化などの機能向上が求められており、多様な顧客ニーズに対応することで、
静電容量方式車載 TP の需要は今後更に拡大していく見通しである。
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