第1章 - 中国経済産業局

第1章
調査概要
第1章
調査概要
1.1 調 査 の 背 景
瀬 戸 内 海臨 海 部 は 、 高 度 経 済 成長 期 の 工 業化 に よ り 重厚 長 大 型 産 業 の 集 積 が進 ん だ
が 、一方 で 工 場 排 水 の 流 入 など に よ る 臨 海 域 の環 境負 荷 が 蓄 積 し 、1970 年 代 に は 赤潮
が 多 く発 生 し た 。 現 在 に お いて も 蓄 積 し た 底 泥( ヘド ロ ) や 環 境 ホ ル モ ンな ど の 問題
は 解 決さ れ て い な い 。
こ れ ら環 境 問 題 に 対 し、昭 和 48 年 に 瀬戸 内 海 環境 保 全臨 時 措 置 法 が 制 定 さ れて 以 降 、
窒 素 ・リ ン の 総 量 規 制 な ど の対 策 が 講 じ ら れ て きたが 、 現 在 で も 赤 潮 な どが 発 生 し、
時 と して 漁 業 に 深 刻 な 被 害 を与 え る な ど、臨 海部 の 周辺 環 境 は 依 然 深 刻 な 状況 で あ る。
こ の よ うな 状 況 の 中 、 近 年 で は自 然 再 生 推進 法 が 制 定さ れ る な ど 以 前 に 増 して 港 湾
関 連 事業 な ど に お け る 環 境 保全 へ の 配 慮・影 響評 価や 、環 境 浄化・修 復 技 術の 高 度 化 、
そ し て新 た な 産 業 公 害 防 止 技術 や 手 法 の 開 発 が求 めら れ る よ う に な っ て きた 。
1.2 調 査 の 目 的
本 調 査 では 、 依 然 深 刻 な 臨 海 部周 辺 の 環 境諸 問 題 解 決の た め 、 産 業 公 害 の 防止 に 寄
与 す る環 境 浄 化 ・ 修 復 技 術 の高 度 化 と 新 技 術 の実 用化 を 促 進 さ せ る こ と を目 的 と して
「 技 術の 連 携 」 と そ れ を 推 進す る 「 主 体 の 連 携」 につ い て 明 示 し た 。
複 数 の 環境 浄 化 ・ 修 復 技 術 を 組合 せ る 事 で 、そ の 効 果を よ り 大 き な 形 に で きる 。 こ
の よ うな「 技 術 の連 携 」を 実 海域 に お け る 実 証実 験 で効 果 を 検 証 し な が ら より 良 い「技
術 の 連携 」 を 模 索 し て い く 事に よ り 、 環 境 浄 化・ 修復 技 術 の 高 度 化 に 繋 がっ て い く。
ま た 、多 様 な 技 術 を 組 合 せ るた め に は 、 企 業 や行 政、 大 学 あ る い は 住 民 など 多 様 な組
織 の 連携 も 必 要 と な る 。 こ れを 「 主 体 の 連 携 」と 呼び 「 技 術 の 連 携 」 と 合わ せ て 重要
な 要 素と 考 え た 。
「 組 織 の連 携 」 の 中 で 、 環 境 浄化 ・ 修 復 技 術の 新 た な取 組 み や 課 題 を 解 決 する た め
の 技 術が 行 わ れ れ ば 、 環 境 浄化 ・ 修 復 技 術 の 実 用化も 促 進 さ れ る 。
こ の よ うに 多 様 な 主 体 の 連 携 によ り 、 技 術 の有 機 的 連携 を 検 討 し 、 そ れ ら の現 場 検
証 を 含め た 全 体 の 仕 組 み 作 りの こ と を 、 こ こで は フィ ー ル ド コ ン ソ ー シ アム と 呼 び、
そ の 形成 に 向 け た プ ロ セ ス ・手 法 を 提 案 す るた め 、よ り 具 体 的 な 検 討 試 行を 行 う 海域
( モ デル 海 域 ) を 設 定 し 、 さら に 具 体 的 な 検 討を 行う 事 と し た 。
瀬 戸 内 海臨 海 部 に お い て 、 モ デル 的 な フ ィー ル ド コ ンソ ー シ ア ム 形 成 を 検 討す る た
め に 、先 進 事 例 、 技 術 シ ー ズ情 報 な ど の 把 握 も行 った 。
本 調 査に お け る 全 体 の 流 れ を 図 1.2.1 に 示 す。
1-1
①岡山県、広島県及び山口県地域におけ
る瀬戸内海臨海部 (14 行政区域)
調査対象海域の
選定
• 産業集積
• 臨海工業立地の有無 等
②調査対象海域(10区域)
③瀬戸内海臨海部の
排水処理、水質、底質
等の状況調査
④各区域におけるモデル海域候補
の絞込み及び類型化(11 海域)
モデル海域
⑥企業・大学等の技術・
研究シーズ調査
⑤モデル海域の設定 (4 海域)
⑦先進事例の把握
フィールドコンソーシアム形成の検討
⑧修復技術の連携
図 1.2.1
修復技術およびフィールドコンソーシアム形成までのフロー
1.3 調 査 の 進 め 方
本 調 査 の実 施 に あ た っ て は 、 フィ ー ル ド コ ン ソ ーシ アム 形 成 に 向 け た 技 術 連携 策 を
委 員 会形 式 に て 検 討 す る た め、 産 学 官 か ら な る「 瀬戸 内 海 フ ィ ー ル ド コ ンソ ー シ アム
検 討 委員 会 」 を 設 置 し た 。
調 査 は 、主 に 中 国 地 域 の 瀬 戸 内海 臨 海 部 ( 岡 山県 ・ 広島 県 ・ 山 口 県 ) を 対 象に 、 瀬
戸 内 海臨 海 部 の 環 境 問 題 を 産業 集 積 の 視 点 か ら捉 え、 陸 域 か ら の 環 境 負 荷・ 海 域 にお
け る 水質 ・ 底 質 汚 濁 一 体 の 問題 と し て 考 慮 し 、モ デル 海 域 の 類 型 化 を 行 った 。
本 報 告書 で は 、 第 2 章 以 降 、以 下 の よ う に とり ま とめ て い る 。
< 第 2章 >
・ 瀬 戸 内海 臨 海 部 を 産 業 集 積( 主 に 第 二次 産 業)の 視 点 に よ り市 町 村 ご と の統 計 資 料
な ど を基 に 整 理 し た 。16 区 域 あ る 行 政単 位 か ら、14 区 域 を 設 定 し 、 各 区 域の 特 徴
を 整 理し た 。
・ さ ら に陸 域 の 状 況 と 沿 岸 海 域の 現 状 と を 併 せ て考 慮し 、 調 査 対 象 海 域 を 10 区 域選
定 し た。
1-2
< 第 3章 >
・ 第 2 章で 選 定 さ れ た 10 の 調 査対 象 海 域 に つい て、既 存 資 料 調査・ア ン ケ ー ト調 査・
ヒ ア リン グ 調 査 な ど を 行 い 瀬戸 内 海 臨 海 部 に おけ る排 水 お よ び 水 質・底 質 の現 状を
把 握 した 。
・ 調 査 対象 海 域 ご と に 、 モ デ ル海 域 候 補 を 原 則1 つ ずつ 選 定 し 、 結 果 と し て 11 のモ
デ ル 海域 候 補 を 抽 出 し た 。
・ 抽 出 され た モ デ ル 海 域 候 補 につ い て 、そ れら の 環 境特 性 な ど か ら さ ら に 類型 化 を行
い 、 4つ の モ デ ル 海 域 を 選 定し た 。
< 第 4章 >
・ 既 存 資料 調 査・ア ン ケ ー ト 調査・ヒ アリ ン グ 調 査など に よ り、中 国 地 域 内外 の 企 業・
大 学 など の 持 つ 技 術 ・ 研 究 シー ズ を 把 握 し た。
・ ま た、既 存 資 料 調 査、ヒ ア リン グ 調 査 な どに よ り、国 内 で 先 進 的に 環 境 浄化・修 復
な ど に取 組 ん で い る 事 例 に つい て 情 報 収 集 を行 い 、運 営 主 体 な ど の 整 理 を 行 っ た 。
< 第 5章 >
・ こ れ まで の 調 査 で 得 ら れ た 情報 な ど を も とに 、フ ィ ール ド コ ン ソ ー シ ア ムの 形 成を
検 討 した 。
・ 本 調 査で 初 め て 試 み る フ ィ ール ド コ ン ソ ーシ ア ム 検討 プ ロ セ ス に 従 っ て 、4つ の類
型 化 ごと の モ デ ル 海 域 に つ いて 具 体 的 な「主 体の 連携 」と「技 術 の 連 携」の 提 案 を
行 っ た。
< 第 6章 >
・ 4 モ デル 海 域 の 連 携 内 容 を 比較 し 、 各 類 型 の特 徴 ・傾 向 を 整 理 し た 。
・ フ ィ ール ド コ ン ソ ー シ ア ム の意 義 に つ い て 整 理し た。
・ 調 査 のプ ロ セ ス や 委 員 会 の 中で 検 討 さ れ た 事 項を 再整 理 し 、今 後 の 検 討 課題 や 方向
性 お よび フ ィ ー ル ド コ ン ソ ーシ ア ム の 実 現可 能 性 につ い て と り ま と め た 。
1-3
「瀬戸内海フィールドコンソーシアム検討委員会」
委員名簿
部 門
氏 名
委員長
上嶋 英機
(独)産業技術総合研究所中国センター
産学官連携コーディネータ
企業等
吉田 宏志
五洋建設(株) 中国支店 土木部
技術課長
企業等
高橋 達人
JFEスチール(株) 技術企画部
主任部員(部長)
企業等
川端 豊喜
中国電力(株)技術研究センター
マネージャー(生物・化学担当)
企業等
中山 憲治
(社)中国地域ニュービジネス協議会
コーディネーター
大学等
山本 民次
(国)広島大学大学院 生物圏科学研究科
教授
大学等
上月 康則
(国)徳島大学大学院 工学研究科
助教授
大学等
星加 章
(独)産業技術総合研究所中国センター
沿岸海洋研究グループ長
大学等
高山 晴義
広島県水産試験場
次長
行政等
錦織 隆行
(財)しまね産業振興財団
科学技術コーディネータ
行政等
稲村 義博
岡山県 生活環境部 環境管理課
総括副参事
行政等
石友 康雄
広島県環境生活部環境局
環境創造総室環境対策室
事業調整監
行政等
関屋 健三
山口県 環境生活部 環境政策課
課長
オブザーバー
江口 知之
経済産業省 中国経済産業局
参事官(循環クラスター担当)
オブザーバー
斉藤 信
経済産業省 中国経済産業局 地域経済部 次世代産業課 推進2係長
事務局
田中秀宜
日本ミクニヤ株式会社 東京支店
取締役支店長
事務局
土屋正隆
日本ミクニヤ株式会社 広島事業所
所長
事務局
所 属
藤崎奈緒美 日本ミクニヤ株式会社 広島事業所
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役 職
環境防災課