生命融合科学教育部 講演・セミナー開催報告書 生体情報システム科学専攻 名前 中村 真人 名称:平成28年度生命融合科学教育部セミナー 第 1 回 『バイオデザイン』 セミナー 演題:バイオデザイン:医工連携・産学連携研究 の考え方 演者:高久田 和夫 先生 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 バイオデザイン分野 教授 日時: H28 年 6 月 27 日(月) 16:30~17:40:講演 17:40~18:30:親睦会 場所:富山大学五福キャンパス 工学部新棟1階 多目的ホール 参加人数:60 名 (うち学生・教員 52名、そ の他 8 名:企業から) 【報告内容】 我が国で最初に「バイオデザイン」を 提唱した東京医科歯科大学高久田教授か ら、バイオデザインについての考え方の 講演があった。 【要旨】 1、バイオデザインの背景:①社会のニ ーズ:日本の社会は少子高齢化社会。寝 たきりを防ぐなどの解決すべき課題、必 要とされている対策が多く存在する。② 産業における課題:日本の医療機器は、 ハイリスクの高額治療機器は完全に輸入 依存。欧米企業が完全にマーケットを支 配。③高齢者問題:再生医療は期待され るが細胞移植では対応できない。コスト高の課題がある。 2、バイデザインの考え方:生物学的な設計に基づくものづくり、それによる治療 がコンセプト。解決すべき課題がまず存在し、それを解決するという熱い意志とハ ートから設計デザイン・戦略が生まれる。 サイエンスではなくものづくり。 3、具体的な技術的戦略案:生体機能を 利用した人工臓器を狙った具体例:線維 性カプセル形成を防ぐ骨と金属チタン 材料の接合技術、生体の組織化を誘導す るメッシュ付きインプラントの研究な どが紹介された。 【質疑】 Q)生体のしくみの教育とものづくりの教育の両方を教育せねばならないが、どの ように教育するべきか、お聞かせ願いたい。(篠原) A) 言葉を理解するベーシックなところ、自分で調べられるところまでは教えるべ きだが、後は自分にやらせるのが大事ではないか、例えば、医学者と一緒に動物実 験をしてその待ち時間の間にした雑談の中から耳学問として教科書にないことを学 ぶことが多い。臨床からの身につまされたニーズや医療側の問題意識は教科書から は学べない。熱意が冷めないうちに身につけさすには、実際にやりながら自分で探 させるしかないのではないか。(高久田) 【編集後記(中村)】 バイオデザインとは、 『医療現場のニーズや医療側の問題意識を工学者が共有する ところから始まるものづくり』という医工連携はの本質を意図した言葉である、と 理解した。医療現場ニーズを解決しようとの熱い気持ちを如何に持つか、それを促 進するためには、医療の問題意識を強く持つ研究者とエンジニアが一緒に実験する 環境をいかに作るかが大事で、富山大学でいかにそのようなシステムを作っていく か、が富山大学版バイオデザインを確立するのに必要である、と考えさせられた。 【写真】
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