「婦人公論」2016年8月23日号(PDF3.25MB)

かけ に発覚 した女性 の存在
夫 の死をき っ
0年も の裏 切り に心乱され ⋮⋮
5
。
生 活を 送 って いた部 屋 を片 付 ける
と 、
女 性 から の手 紙 が たく さ ん出
夫が 入
ど う やら 、
てき た のです 。
院 す る直 前 ま でや りと り し て いた
ワイ フと し て スピ ーチを した こと
なぜ ⋮ ⋮ 。
な のに 、
も あ ります 。
思 いあ ま って夫 の高 校 時
私は 、
し かも 、1日 に 1回 は必ず 電話 を
、
く れ ま した 。ハグ を した り 手 を
料 理 を 作 れば
つな いだ り ⋮ ⋮ 。
﹁
っ 完食 。
夫が
し
て
い
と
言
味
美
﹂
私 も 同行 、
学 会 に出席 す る際 には 、
相 手 の名 前 には見覚 えが あ
よう 。
、
りま した 。0
5年 ほど 前 私 と夫が
、
高
交際 を スタ ートさ せるとき に ﹁
卒 業 時 に結 婚 を申
校 の同級 生 で 、
夫 と女性 の関
代 の友 人 に連 絡 し 、
係 を 聞き ま した 。この女性 は高 校
私 と夫が 出
にな った と い います 。
︲
私が 8
歳 、
夫が 2
会 った のは 、
1歳
私 たち は 5年 の交 際 期 間
のとき 。
交際 当初 か
を経 て結 婚 した の で 、
職 場 の少 し年 上
就職 し 、
卒業後 、
。
の男性 と 0
2歳 で結婚 した そう です
それ な のに結婚後 半 年 も経 たな い
夫 と肉体 関係 を持 つよう
うち に 、
し込 んだ けれど 断 ら れ た ﹂と話 し
夫 は大学 の教 員
て いた相 手 です 。
で 、
研究 者 。3 つの国立大学 に勤
海 外 に赴任 し て いた ことも
務し 、
そ の女性 はす べ て の大
あ りま す 。
甘 い恋 心 を ささ やく封
学 宛 てに 、
書 や手紙 を大 量 に送 って いた ので
す 。
そも そも私 と夫が 離 れ て暮 らす
そ れ でも夫 は週
く の決 断 でした 。
私 と 子ど も た ち の い
に 3日 ほど 、
、
る住 ま いに帰 ってき て いた し 仕
埋 め る ことが
りと開 いてしま い 、
でき な い日 々に苦 しん で います 。
夫 の死を き っか け に知 った女 性
心 に大 きな穴が ぽ っか
の存 在 で 、
ら私 は裏 切 られ て いた こと にな り
ます 。
夫 は帰 ら ぬ
入院 し て 4日後 、
局 、
人 にな ってしま いま した 。
事 の状 況 によ っては 1週間ず っと
。
いる ことも珍 しく な か った のです
子ど も の受験
よう にな った のは 、
実 父 の介 護 な ど で仕 方 な
や進学 、
、
す べ てが 明ら か にな った のは
単 身 赴任
夫 の死後 の こと でした 。
相 手 に ついて
の顔 を 見 て いた ら 、
結
問 いた だす ことも でき ま せん 。
はわ か ります 。でも病 に苦 しむ夫
7
ル
バイト
歳 ・ア
大阪府 ・
¨
驚
一
摯
一
静
一
・
6
・
単 身 赴 任 生 活 を 送 って いた 夫
9歳︶が急 病 で入院 した とき 、
夫
︵
6
の携 帯 電話 に頻繁 に電話が か か っ
てき て いた のが 気 にな って いま し
た 。ふだ ん夫 の行 動 を事 細 か に チ
ェック しな い私 でも 、
相 手が 私 に
知 ら れ ては困 る女 性 だ と いう こと
す
│あ ま
談
●た人1生 機‐
1急
T 幸 せな 日 々は 間 違 い では な い
夫 は必 死 で 一畏
か った と いう こと は 、
切 り を隠 し てき た ん です よね 。そ れ
断 ち 切 る こと のでき な か った
あり 、
そ
夫 と相 手 の女性 も 、
腐 れ縁 です 。
うだ った のかも しれ ま せん 。そ んな
あ れ これ妄 想 す る価
二人 の関係 を 、
値 はな いのです 。
が わざ と夫 の真 実 の姿 を 見 せ てく れ
た のかも しれま せん 。
だ から 、
失 わ れ た 0年 あ ま り の時
5
間 を 取り 一戻し てや る 、
く ら いの気 持
な く ても仕 方が あ り ま せん 。でも 、
そ の女 性 の存 在 を知 った から こそ 、
今 はまだ 、シ ョック から立 ち直 れ
打 ち 込 ん で豊 かな時 間 を す ご し てく
い い のか ﹂な ん て後 ろ め た さ を感 じ
趣味 に
旅 行 を したり 、
る ことな く 、
自分
遠 慮 は いり ま せん 。﹁
夫 です 。
楽 し い思 いを し て
だ けが こんな に 、
ち で 、これ から の人生 を大 いに謳 歌
自 分 を 長年 裏 切 った
し てくだ さ い 。
夫 の死 から 早 く立 ち直 る ことが でき
ださ いc
そ れ で 一晏切 り により負
もち ろん 、
、生を謳歌 し て
●
一遠慮 せず 人
私 は思 います .
る のではな いかと 、
家族 の待 つ
単身 赴 任 を しなが ら も 、
ければ 、ヽ水遠 に明ら か にな ら な か っ
た かも しれ ま せん 。
家 に でき るだ け帰 ろう とす る 。1日
妻 の料 理を い つも
に 1回電話 を し 、
そ し て家庭 を決 し て壊 した
の関係 、
夫 にと って 、
く な か った から です 。
所懸 命 隠 した の
では 、
なぜ 夫 は 一
か 。
そ れ は妻 、つま り相 談 者 の方 と
幸せ
番 大 切 な 人だ った 。
あな た は 一
な 日 々は 間違 いではな か った の です 。
まず わ か ってほ し いと
そ の ことを 、
思 いま す c
新 たな伴 侶 を得 る ことだ ってあ る か
も しれ な いし 、これ ま で でき な か っ
った深 い傷 が 消 え る こと はな いでし
0代 はまだ まだ 若 い 。
ょぅ 。でも 、6
恋を して 、
な んだ って でき ます よ 。
そ んな素 晴 ら し い夫 に先立 たれ た
好 きな
た こと にチ ャレ ンジ したり 、
思 っても みな か った
道 を極 めた り 、
仕事 の場 では ワイ フと し て華
褒め 、
や かな 場 に立 た せ てく れ た ⋮ ⋮ 。
自 分 たちが
人 の関係 の長 さを 思 い 、
夫
結 婚後 の ことな ど 、
知 り合 う前 、
と そ の女性 と のあ れ これ を妄 想 し て
没 頭 しま し ょう 。そ
楽 しむ こと に 、
ぽ っかり 開 いた穴 も 、
う す るう ち に 、
埋 ま って いる はず です 。
人生 が 展 開 す る かも しれ ま せん 。い
っとき落 ち 込 んだ ら 、
人生 を大 いに
ら 、
相 談 者 の今 の思 いと は逆 の意 味
そ れ こそ大 きな 喪 失感
で気 落 ち し 、
それ でも納 得 でき な い
と は いえ 、
のは当 然 の こと 。0
5年 近 く と いう 二
女性 から の手 紙 を処 分 す る時
こそ 、
夫 の突然 の死だ け でも シ ョックな
入院後 た った 4日 で
間も な いま ま 、
のに 、0
5年近 く にも およぶ裏切りを
愕然 とな さ った こと でし ょう 。 亡 く な る と いう突 然 の出来 事 さ えな
知り 、
夫 を責 めたくとも 、この世 に いな い
ので 、
気持 ち の持 って いき場が あり
ま せんね 。
相談者 の方 は団塊 世代 。この世代
筋 、
女性 はそ の夫 を
の男性 は仕事 一
支 え るべぐ専業主婦 とな る人が多 か
っ
子育 ても し っか
た 。
家 の ことも 、
堅実 な家庭
り 。
そし て夫婦仲 よく 、
と いう世代 で
を作 る こと こそ幸 せ 、
母と
妻 とし て 、
す 。
相談者 の方も 、
幸福 を享受
して 一
所懸命 に頑張り 、
し ていた のでし ょう 。
幸 せだ
それが 女性 の存在 を知 り 、
と思 って いた 日 々が 根底 から ひ っ
く
り返 された よう にな ってしま った 。
つま でも悲 嘆 にく れ ると よく言 う で
神様
そう な ら な いよう に 、
し ょう 。
、
、
﹁
れ 、 かな か立 ち直 れ な いは
な
に
襲
わ
と
い
で
も
え
た
な
考
は 、
く
﹂
⋮
⋮
残
仲 のよ か った夫 婦 ほど 、
葛藤 の日 々が 続 いて いる のでし ょう 。 ず です .
結婚 し
され た ほう は シ ョ ックが 大 き く 、い
でも 、
男女 と いう も のは 、
な ければ 、0
1年 程 度 し か気 持 ちが 続
かな いも の 。0
1年 を 過ぎ たら惰 性 で
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自分 の存在意義 にも疑 間を持 ってし
夫 への信頼が
ま った かも しれな い 。
裏
一切られたと いう
強か っ
ただ け に 、
思 いは強 いでし ょう 。
たく気づ かな
でも 、
相談者が ま っ
しもだ かげき 1940年 静 岡
県 生 まれ。80年 に『黄 色 い
牙』で直木 賞受賞。執筆活
動 のかたわら、絵 本・児童書
「よい
作を行い、
作家として倉」
子に読 み聞かせ隊」の隊長と
して、読み聞かせ活動にも力
を入れている