社労士NEWS - 細川社会保険労務士事務所

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>>> 2016.7
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1. 助 成 金 > 採用後に障害を負った労働者への支援に関する助成金について
CONTENTS >>>
2. 社会保険 > 社会保険の適用拡大と企業の対応について
3. 提
1. 助 成 金
供 > 経営に役立つビジネスリポート
採用後に障害を負った労働者への支援に関する助成金について
近年、障害者を雇用する企業が増加しています。平成 27 年の民間企業における雇用障害
者数は約 45 万 3 千人で、前年より約 2 万 2 千人増加しており、雇用障害者数、実雇用
率ともに過去最高を更新しています。
そして、5 年ごとに厚生労働省が実施する「障害者雇用実態調査」において、平成 25 年
度に公表された内容によると、「障害者となった時点別」での割合は、事業所の「採用前
が 71.1%」
「採用後が 27.1%」と、勤めている途中で病気や事故により障害を負った方
(以下、
「中途障害者」)が、実に 3 割程度を占めています。
今回は、中途障害者に対して職場復帰を支援した際に受給できる助成金をご紹介します。
●対象となる職場適応の措置
【障害者職場復帰支援助成金】
次の1~3のいずれかの措置をとる必要があります。
1.職場復帰にあたり50時間以上の訓練(OJTを除く)
事故や難病の発症による中途障害などで、長期の休職
を本人に無料で受講させること
を余儀なくされた労働者に対して、職場復帰のために
2.医師の指示に従って労働時間を調整すること、通院
必要な職場適応の措置を行った事業主に助成されます。
のための特別休暇を付与すること、本人の同意の下
で親族などと同居するために勤務地を変更すること
●受給の要件
3.障害者の就労支援に関する専門家の援助や医師の意
次の1~4すべてに当てはまる労働者を、職場適応の
見書を踏まえ、職務開発や支援機器の導入などを行
措置を行って職場復帰させた場合に支給されます。
うこと
1.「職場復帰の日」に、下記のいずれかに該当する方
※対象労働者が、そう病・うつ病に該当する場合は、
・身体障害者
1~3のいずれかの措置に加えて、医師と本人の同
・精神障害者(発達障害のみの方は対象外)
意の下、就労に関する作業支援や集団指導、個別
・難治性疾患のある方
カウンセリングを含む支援計画に基づくリワーク
・高次脳機能障害のある方
支援を、1ヵ月以上実施する必要があります。
2.指定の医師の意見書において、3か月以上の療養の
ための休職が必要とされた方
●助成額
3.障害者総合支援法に基づく、就労継続支援A型事業
対象労働者1人につき、6ヵ月ごとに2期に分けて助成
所の利用者として雇用されない方
されます。
4.国などの委託事業費から人件費が支払われていな
い方
※その他、一定の要件あり。
-1-
大企業
50 万円
1年
中小企業
70 万円
1年
第 1 期 25 万円
第 2 期 25 万円
第 1 期 35 万円
第 2 期 35 万円
●受給までの主な流れ
4月から、改正「障害者雇用促進法」や「障害者差別
事故の発生や難病の発症などで、労働者が 3 か月以上、
療養のため休職
解消法」が施行されました。また一億総活躍社会の
実現に向けた取り組みも相まって、不慮の事故等に
①対象となる職場適応の措置を開始
より中途障害者となった方も、職場において希望が
②労働局またはハローワークに
「受給資格認定申請書」等を提出
叶い能力が発揮できる環境創りが求められます。
自社の従業員が中途障害という困難に陥った際に、
雇用を守る一助として、本助成金を記憶に留め、ご
活用いただければ幸いです。
③受給資格の認定後、労働局またはハローワークに
「支給申請書」等を提出
④助成金の受給
2. 社会保険
社会保険の適用拡大と企業の対応について
「被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に被用者保険を適
用し、セーフティネットを強化する」、
「社会保険制度における、働かない方が有利になる
ような仕組みを除去する」ことを目的として、平成 28 年 10 月 1 日より、社会保険の適
用拡大が行われます。
今回の適用拡大により、従業員数が500人を超える企
【特定適用事業所とは】
業(特定適用事業所)に雇用される短時間労働者は、
厚生年金保険の被保険者数の合計が、1年のうち6ヶ
新たに厚生年金保険および健康保険(以下、厚生年金
月以上、500人を超えることが見込まれる事業所のこ
保険等)の適用対象となりますが、これにより短時間
とをいいます。
労働者が私傷病や出産により休職した際に給付金の
受給が可能となり、また将来年金を受ける際には受給
※500人以下の企業においては、
「3年以内に検討を加
額が今よりも手厚くなるなどのメリットがあります。
え、その結果に基づき必要な措置を講じる」とさ
れています。
なお、特定適用事業所の定義や適用対象となる短時間
労働者の要件については、次の通りです。
【適用対象となる短時間労働者の要件】
平成 28 年 9 月 30 日まで
平成 28 年 10 月 1 日から
労働時間と労働日数が次の(1)(2)の通り、それぞれ一般社員
の4分の3以上であるときは原則として被保険者となります。
労働時間・労働日数がそれぞれ一般社員の 4 分の 3 未満で、
次の(1)~(4)の全てに該当する方が適用拡大の対象者となりま
す。
(1) 労働時間
1 日の所定労働時間が一般社員の概ね 4 分の 3 以上(所
定労働時間が 1 日 8 時間であれば 6 時間以上)の場合に
該当します。
日によって勤務時間が変わる場合は、1 週間の所定労働時
間の概ね 4 分の 3 以上である場合に該当します。
(2) 労働日数
1 月の勤務日数が、一般社員の所定労働日数の概ね 4 分の
3 以上の場合に該当します。
※ただし、これに該当しない場合であっても、就労形態や勤務
内容から常用使用関係にあると認められる場合は、被保険者
となります。
(1) 週の所定労働時間が 20 時間以上であること
週の所定の労働時間とは、就業規則、雇用契約書等により
対象者が通常の週に勤務すべき時間をいいます。
(2) 雇用期間が 1 年以上見込まれること
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が 1 年以上である場合
・雇用期間が 1 年未満であり、次のいずれかに該当する場
合
⇒雇用契約書に契約更新される旨、または更新の可能性が
ある旨の明示がある場合
(3) 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
週給、日給、時間給を月額に換算したものに、各種手当等を
含めた所定内賃金額が8.8万円以上である場合となります。
(4) 学生でないこと
生徒または学生は適用対象外となっております
今回の厚生年金保険・健康保険の適用拡大に伴い、特
間労働者も本人負担分の保険料が発生するため、今ま
定適用事業所は新規雇用者だけでなく、既に雇用して
でと同じ時間働いた場合、収入が減ることとなります。
いる短時間労働者についても同様の措置が必要にな
そのため、労使双方において労働契約について調整が
ります。この場合、会社負担分の保険料が発生するた
必要となる可能性があります。
め固定費の上昇という課題が出てきます。同様に短時
-2-
独立行政法人労働政策研究・研修機構「社会保険の適
いう消極的意向や、
「適用を受けるが手取り収入が減ら
用拡大が短時間労働者に与える影響調査」(2013年)
ない程度の時間増に抑える」(15.6%)という意向も一
によれば、労働者の対応は手取り収入の確保のために
定数見られ、短時間労働者が今後どのような働き方を
長時間化を図る傾向がやや強いものの、「適用になら
希望するかについては様々な意見があることがう
ないよう働く時間を減らす」「働くことをやめる」と
かがえます。
●社会保険の適用要件が拡大された場合に働き方を変更する意向
厚生年金・健康保険の適用基準が拡大
された場合、現在の働き方を変更するか
働き方をどのように変えるか
(n =社会保険が適用拡大された場合に
働き方を変える短時間労働者1,121)
(平均選択数1~2個)
無回答
変えることはない
と思う
変えると思う
働か
くつ
時手
間取
をり
増収
や入
すが
増
え
る
よ
う
(n =社会保険の加入状況について
有効回答のあった短時間労働者で、
現在、第1号あるいは第3号被保険者
であるか、加入していない者1,814)
適
用
さ
れ
る
よ
う
、
減増
らや
なす
いが
程、
度手
に取
時り
間収
増入
にが
抑
え
る
適
用
さ
れ
る
よ
う
働
く
時
間
を
働
く
時
間
を
減
ら
す
適
用
に
な
ら
な
い
よ
う
、
正
社
員
と
し
て
働
く
自
営
業
等
の
独
立
し
た
形
態
で
働
く
請
負
会
社
の
労
働
者
、
働
く
こ
と
を
や
め
る
そ
の
他
分
か
ら
な
い
・
何
と
も
言
え
な
い
無
回
答
(資料)(独)労働政策研究・研修機構「社会保険の適用拡大が短時間労働者に与える影響調査」
(2013 年)
適用拡大開始を目前に控え、企業は労働者の価値観が
なお、特定適用事業所であるか否かを問わず、短時間
多様化していることを踏まえて、今後の働き方につい
労働者に対して、所定労働時間を延長し厚生年金保険
て希望を確認し、それぞれの希望に寄り沿った柔軟か
つ細やかな対応が必要となってくるでしょう。
などの被用者保険を適用した場合や、一定賃金の引き
Q&A
上げを行った場合に受給できる助成金もありますの
で、併せて活用を検討してみると良いでしょう。
記事の中でちょっと気になる豆知識をご案内。今回は、1 ページ目の『採用後に障害を負った労働者への支援
に関する助成金について』に関連する豆知識をお伝えします。
Q. 障害者が働き続けられるよう支援する助成金には他にどのようなものがありますか。
A.
主に以下のようなものがありますが、対象によって受給できる助成金が異なります。
助成の対象
助成金名
作業施設整備
障害者の就労上の課題を克服する作業施設等を設置・整備する
障害者作業施設設置等助成金
福祉施設整備
障害者の福祉の増進を図るための福祉施設等を設置・整備する
障害者福祉施設設置等助成金
介助措置
職場適応援助者の配置
通勤措置
事業施設整備等
障害者の雇用管理のために必要な介助者の配置等を実施する
障害者の援助を行う職場適応援助者を企業に訪問させる
障害者の援助を行う職場適応援助者を配置する
障害者の通勤を容易にするための措置を実施する
重度障害者を多数継続雇用する事業施設等の整備等を実施
する
-3-
障害者介助等助成金
訪問型職場適応援助促進助成金
企業在籍型職場適応援助促進助成金
重度障害者等通勤対策助成金
重度障害者多数雇用事業所
施設設置等助成金
3. 提
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