2016 年 8 月 5 日 プレスリリース クラウド基盤サービス(IaaS/PaaS)市場に関する調査を実施(2016 年) -IoT にも牽引され、拡大するクラウド基盤サービス- 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の調査を実施した。 1.調査期間:2016 年 5 月~7 月 2.調査対象:国内クラウド基盤サービス提供事業者等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail によるヒアリングを併用 <クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービスとは> 本調査における IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)とは、いずれもパブリッククラウド (サービス提供事業者のクラウド基盤)を利用し、インターネット経由で提供される仮想化技術、自動化技術等を施 したクラウドコンピューティング環境をさす。市場規模は事業者売上高ベースにて算出した。なお SaaS(Software as a Service)は含まない。 【調査結果サマリー】 2015 年のクラウド基盤サービス市場は、前年比 39.1%増の 1,260 億円と大きく拡大 2015 年のクラウド基盤サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比 39.1%増の 1,260 億円 と引き続き大きく成長した。エンタープライズ分野での利用増加や複数のクラウドを使い分けるハイブ リッドクラウド/マルチクラウドの拡大、情報のデジタル化進展、PaaS の利用拡大などにより、クラウド 基盤サービスの活用範囲が大きく広がった。 クラウドエコシステム構築は、第二段階へ クラウド基盤サービスの活用は、本格的な普及期に入った。クラウド基盤サービス提供事業者には、 新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の利用量拡大、顧客との長期にわたる関係構築などが求めら れるようになった。そのためには、できるだけ多くのパートナー企業のクラウド向けサービスを自社のク ラウドエコシステムに取り込んでおくことが必要である。クラウド基盤サービス提供事業者は、パートナ ーになりやすい環境や、パートナー同士が連携しやすい仕組みをつくることで、クラウドエコシステム の拡大を図っている。 IoT の進展により、2019 年にクラウド基盤サービス市場は 3,500 億円と予測 近年、IoT が注目されているが、クラウド基盤サービスを活用すれば高い技術力や資本力を持たな くても IoT ビジネスに取り組みやすい。中堅・中規模のユーザー企業の中にも、クラウド基盤サービス 提供事業者が提供する IoT プラットフォームを中心とした PaaS を利用し、IoT ビジネスに積極的に取り 組む企業が出始めている。そうした動きにも後押しされ、当該市場は高成長を維持し、2019 年のクラ ウド基盤サービス市場規模は事業者売上高ベースで 3,500 億円に達すると予測する。 ◆ 資料体裁 資料名:「2016 クラウドコンピューティング(IaaS/PaaS)市場の実態と展望」 発刊日:2016 年 7 月 29 日 体 裁:A4 判 233 頁 定 価:180,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 8 月 5 日 プレスリリース 【 調査結果の概要 】 1. クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場概況 2015 年のクラウド基盤サービス市場は、事業者売上高ベースで前年比 39.1%増の 1,260 億円と引き 続き大きく成長した。ユーザー企業での導入事例の公開などにより、企業のエンタープライズ分野でクラ ウド基盤サービスを活用するケースが増加していることや、複数のクラウドを適材適所に使い分けるハイ ブリッドクラウド/マルチクラウドといった手法の利用が大規模なユーザー企業を中心に拡大していること、 企業内における情報のデジタル化進展などにより、クラウド基盤サービス市場は順調に成長を続けてい る。 特にクラウド基盤サービス市場を牽引しているのは、PaaS(Platform as a Service、以下 PaaS)である。 PaaS は、IT インフラの構築や運用保守が不要というだけでなく、提供されている様々なツールを組み合 わせることで、競合他社との差異化につながるアプリケーションを開発でき、ビッグデータや機械学習、 ※ IoT(Internet of Things、以下 IoT) のバックエンドとしても有望視されており、近年急速に市場が拡大し ている。 ※参考資料: 「センサーネットワークシステム数を予測(2016 年)」(2016 年 7 月 15 日発表) http://www.yano.co.jp/press/press.php/001559 「ビッグデータ市場に関する調査結果 2016」(2016 年 3 月 31 日発表) http://www.yano.co.jp/press/press.php/001516 2. 注目すべき動向 2-1.クラウドエコシステムの進展 クラウド基盤サービスの活用は普及期に入った。本格的な普及期に入ったことでクラウド基盤サービス 提供事業者には、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の利用量拡大、顧客との長期にわたる関係構 ※1 のクラウド向けサ 築などが求められるようになった。そのためには、できるだけ多くのパートナー企業 ービスを自社のクラウドエコシステムに取り込むことが必要である。クラウドサービス提供事業者は、パー トナープログラムの刷新や新設などによって、サービスベンダーがパートナーになりやすい環境やパート ナー同士が連携しやすい仕組みをつくり、エコシステム(多くの企業が共存共栄をはかれるビジネスの仕 組み)の拡大を図っている。近年は営業支援や情報提供など金銭以外のインセンティブを重視するパー トナー企業が多く、パートナープログラムもサービスの充実が重視されている。 2-2.ハイブリッドクラウド/マルチクラウドの利用増で、情報システム部門の運用負荷が増加 ユーザー企業では、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを利用してビジネスを強化する動きが活発化 しているが、一方では情報システム部門の運用負荷の増加にもつながっている。こうした運用負荷の軽 減や最適化のために、複雑化したクラウド環境を統合管理するマネージドクラウドサービスを提供する事 業者が増加基調にある。今後は、クラウド基盤サービス市場の成長とともに、クラウド支援サービス市場も 拡大していくと予測する。 ※1 参考資料: 「ECサイト構築市場/ECサイト運営代行市場に関する調査結果 2015」(2016 年 2 月 25 日発表) http://www.yano.co.jp/press/press.php/001501 「DMPサービス市場/MA サービス市場に関する調査結果 2015」(2015 年 12 月 14 日発表) http://www.yano.co.jp/press/press.php/001481 3. クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場の将来展望 クラウド基盤サービスの利用は本格化し、機能の充実や使いやすさが求められるようになった。近年、 IoT が注目されているが、自社で IoT 関連のサービスをゼロから構築することは、技術的にも、また費用 面においても負担が大きい。しかし、クラウド基盤サービス提供事業者が提供する IoT プラットフォームを 活用すれば簡単に IoT を導入できる。 これまで、高い技術力や資本力を持たないと IoT ビジネスに取り組むことができないと考えられてきた。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 8 月 5 日 プレスリリース しかし、クラウド基盤サービスを活用すれば、それらを持たずとも IoT ビジネスに取り組むことができると考 える。中堅・中規模のユーザー企業の中にも、クラウド基盤サービス提供事業者が提供する IoT プラット フォームを中心とした PaaS を利用し、IoT ビジネスに積極的に取り組むユーザー企業が出始めている。 そうした動きにも後押しされ、クラウド基盤サービス市場は、2016 年以降も高成長を維持していき、2019 年のクラウド基盤サービス市場規模(事業者売上高ベース)は、3,500 億円に達すると予測する。 図表 1. クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場規模推移と予測 単位:百万円、% 2013年 売上⾼ / 年 クラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場 60,700 2014年 2015年 90,600 126,000 2016年 2017年 2018年 2019年 予測 予測 予測 予測 170,000 220,000 280,000 350,000 対前年⽐ - 149.3% 139.1% 134.9% 129.4% 127.3% 125.0% CAGR - 49.3% 44.1% 41.0% 38.0% 35.8% 33.9% (単位:百万円) 400,000 350,000 280,000 300,000 220,000 200,000 170,000 126,000 90,600 100,000 60,700 0 2013年 2014年 2015年 2016年 予測 2017年 予測 2018年 予測 2019年 予測 矢野経済研究所推計 注 1: 事業者売上高ベース 注 2: 市場規模に SaaS(Software as a Service)を含まない 注 3: 表中の CAGR は 2013 年から当該年までの年平均成長率 注 4: 2016 年以降は予測値 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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